管理職の役割とは?果たすべき責任や仕事内容、必要スキルを解説

管理職の役割とは?果たすべき仕事内容や必要能力、スキルを解説

管理職が管理職としての役割をきちんと果たしている組織は、激しい競争や外部環境の変化にも対応して生き残れる強い力があります。

 

管理職の役割は現場をマネジメントして業績を作り出し、組織の方針や事業計画を実行する組織の要であり、組織の成長には管理職の育成が不可欠といっても過言ではありません。

 

管理職に求められる役割や責任、仕事内容、必要スキルはプレイヤー層と異なりますので、プレイヤーから管理職になる社員には、管理職に求められる役割や責任を正しく認識させ、必要なスキルの教育を実施することが大切です。

 

記事では、管理職の役割や果たすべき仕事内容と、必要な能力・スキルを確認していきます。

<目次>

管理職の役割と求められる成果とは?

朝礼のイメージ

 

管理職のおもな役割は、他人を動かして組織の成果を出す、目標を達成することです。管理職には責任とともに権限が与えられており、権限の範囲内で判断したり、人や予算を動かしたりしながら成果を出していくことが求められます。

 

また、管理職は成果ばかりでなく、メンバーの育成も意識しなくてはなりません。メンバーの成長は中長期的な組織の成果につながるものです。メンバーと信頼関係を築き、一人ひとりと向き合うことが大切です。

 

したがって、管理職の仕事内容や必要なスキルは、自分自身で成果をあげるプレイヤー層とは大きく異なり、新たに管理職を任命する際には、プレイヤーとして優秀な実績をあげてきた社員であっても、管理職としての意識を持たせ、必要スキルを習得するための研修が不可欠です。

管理職の仕事内容7選

管理職の仕事内容はさまざまですが、組織の成果を最大限に上げるために必要な7つの仕事内容を紹介します。

 

目標設定

組織の理念やビジョン、経営計画の達成等に向けて、チームの目標を設定する。また、チームの目標やメンバーの育成も意識しながら、メンバー各自の目標を設定させたりします。

 

目標は目標達成におけるゴールとなるため、具体的かつわかりやすい内容であることが大切です。また、高すぎたり低すぎたりしても思うような成果をあげられないため、チームやメンバーに適したレベルの目標を設定する必要があります。

 

目標を設定したあとは目標達成に向けた進捗管理やフィードバックを行ない、メンバーをモチベートすることも非常に大切です。

達成計画の作成、進捗管理

目標設定と並行して、目標達成するための行動計画を作成するのも管理職の仕事です。組織やチームとしての方針や計画を作成したうえで、メンバーが作成した計画に対する進捗管理やフィードバックを行ない、目標達成に向けてメンバーをモチベートします。

 

計画の実行進捗をマネジメントして、計画がうまくいかないときには補完策を企画・実行する動きは、管理職が多くの時間を使う重要なポイントだといえるでしょう。

 

人材育成

管理職の仕事には成果をあげるだけでなく、人を育てることも含まれます。メンバーを教育・育成していくことで、中長期的な組織の成長や生産性アップを期待できます。

 

生産性アップのためには場当たり的な指導ではなく、中期的な教育プランを作成して、計画的に育成を進めていくことも必要です。

人材配置・役割分担

管理職の権限範囲は企業によって異なりますが、部署内の人材配置や役割分担は管理職の権限となるのが一般的です。

 

メンバーそれぞれの特性を理解して、強みを発揮できる仕事内容、ポジションを与えられるように適材適所の人材配置を実現していきます。

 

特に上級管理職になるほど、実務的な進捗管理以上に目標設定、人材育成、配置などを通じて成果をあげるウェイトが増える傾向にあるでしょう。

関係各所との調整

目標を達成するためには、さまざまな部署と連携をとって業務を進めなければならないケースもあります。

 

そういった際、管理職はチームや組織の代表として、他部署と積極的に連携して仕事を進めたり、衝突や対立を調整したりする必要があります。

 

管理職が、他チームや部門の管理職と良好な関係を築き、普段から相互協力について言及していれば、連携もうまくいきやすいでしょう。

 

また、部署やチーム同士が対立してしまった場合などは、業務の進捗に支障を来たす可能性が高まりますので、管理職が主導して、速やかに状況を改善させることが大切です。

ミッション・ビジョンの浸透

管理職には、経営者や幹部陣が策定したミッション・ビジョン・バリューを、現場に浸透させる役割があります。ミッションやビジョンが浸透することで、メンバーに仕事の意味づけがされて内発的動機が高まります。

 

また、同じ目的・目標を持った仲間として連携もうまくいきやすくなります。

 

一方で、ミッションやビジョンは抽象的なものになりがちです。
管理職は、自分たちの仕事にどう関係するのか、自分たちの仕事がミッションやビジョンにどう貢献するのかといった点を現場メンバーが理解できる形に翻訳して伝えたり、各メンバーの欲求と紐づけてメンバーの動機付けを行なったりする必要があります。

バリューの実行やコンプライアンスの遵守

ミッションやビジョンが目標達成における方向性だとすると、バリューは目標達成に向かううえでの行動規範になります。チームや組織内にバリューを浸透させ、行動基準を高めていくことも管理職の役割です。

 

また、最近ではバリューと並んでコンプライアンスなどの法的・社会的な規範を遵守させることも大切です。

 

SNS等の発展により、コンプライアンス違反の行為は一気に世の中に拡散されて、ブランドを傷つけるリスクがあります。現場の管理職がしっかりとマネジメントすることが必要です。

管理職に必要な7つのスキル

ノートパソコンを抱えるビジネスマン

 

管理職に求められるスキルを分類した理論としては、カッツ理論が有名です。カッツ理論は、管理職に求められるスキルを「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つに分類しています。

下図の通り、管理職のなかでも、マネジメント範囲が広がっていくに連れて、テクニカルスキルの比率は減少して、ヒューマンスキルの比重が拡大。さらに上級管理職から経営者層になると、コンセプチュアルスキルの重要性が増してきます。

 

本章では、管理職に求められる7つの能力をカッツ理論も踏まえながら紹介します。

 

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PDCAやKPIなど目標管理スキル

管理者の重要な仕事は、目標を設定し、達成に向けた計画を立て、実行・効果検証・改善を繰り返しながら、達成することです。

 

したがって、目標管理スキルは管理職にとっても必須のテクニカルスキルといえます。目標管理を実行するためには、KPIマネジメントやPDCAサイクルにG(ゴール/目標)を足したG-PDCAサイクルなどの運用能力が必要となるでしょう。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングは、物事を整理したり筋道立てて思考したりするためのフレームワークです。
ロジカルシンキングは状況を正確に把握したり、相手の話を正確に理解したり、メッセージを論理的にわかりやすく伝えたりするために必要不可欠なスキルです。

 

先ほどの計画立案や目標管理、KPIマネジメント、G-PDCAサイクルを的確に実行するうえで、根底として必要になるスキルです。

 

マネジメントにおけるメンバーとのコミュニケーションは、相手の感情にも配慮する必要があり、ロジカルなコミュニケーションだけで十分というわけではありません。

 

しかし、情緒的・感情的なやり取りを除いた状況や計画の説明、メンバーからのヒアリングなどでは、ロジカルシンキングが欠かせません。

ゴールを示して先導するリーダーシップ

管理職にはリーダーシップの発揮も求められます。有効なリーダーシップのスタイルは組織の状況や管理職の強み、メンバーの特性などによって異なりますが、組織の向かう方向とゴールを示して先導するという大枠は変わりません。

 

自ら動いて成果をあげるのではなく、人を動かしてより大きな組織の目標を達成する管理職にとって、「人を動かす」ために本質的に求められる能力です。

意思決定力(決断力)

意思決定力(決断力)はリーダーシップの根幹となる要素で、管理職がリーダーシップを発揮するうえで不可欠な能力だともいえます。

 

ビジネスにおける意思決定は正解が分からないことが多く、リソースも不足し、状況も変化していきます。その中で意思決定を繰り返すことで、管理職は物事を前に進めていきます。

 

意思決定のプロセスでは、メンバーや関係各所の意見を聞くことが大切ですが、最終的な意思決定は管理職自身の責任と判断で下すことが多くなるでしょう。

調整力・交渉力

他部署や取引先など、社内・社外の関係者との調整や交渉には、相手と対等な関係を築きながら、適切に自己主張を行なうためのコミュニケーション技術が必要です。

 

自分の主張をわかりやすく伝えるとともに、相手の立場や考え、また主張を正確にくみ取り、お互いのWin-Winを目指すコミュニケーションが求められます。

動機付け

目標を達成するには、何がメンバーのモチベーションを上げるのか(下げるのか)を理解して、メンバーそれぞれに最適なアプローチを行なう必要があります。

 

メンバーの動機付けを行なうには、心理学者デイビッド・マクレランドが提唱した「欲求理論」を活用するのがおすすめです。

 

欲求理論は人の動機を「達成動機」「権力動機」「親和動機」「回避動機」の4つに分類した理論です。人によってどの欲求が強いかが異なり、相手のタイプに応じた働きかけが有効です。

コーチング

動機付けとも関連しますが、メンバーの内発的動機や主体性を引き出すためにはコーチングの技術も有効です。

 

リーダーが一方的にメンバーに教えるティーチング、また、リーダーがすべてを意思決定して動かしていく指揮命令のスタイルだけでなく、質問によって相手の意見や考えを引き出すコーチングを適切に活用しましょう。

 

管理職研修の内容と必要性は、以下の記事で紹介しているので参考にしてください。

まとめ

管理職は、人を動かして組織の目標を達成するという役割があり、成果を上げるための仕事内容や求められるスキルは多岐にわたります。また、目標達成ばかりでなく、メンバーの育成も管理職の仕事です。

 

プレイヤーとは仕事内容や要求されるスキルが異なり、新任管理職のための教育や研修はとても重要です。

 

しかし中小企業の場合、管理職に必要なスキルを習得させようにも、育成対象となる新任管理職の人数がそこまで多くない、また、管理職を体系的に教えられる人材やノウハウがないことも少なくありません。

 

そんな場合には、無理に自社で対応しようとせず、外部の研修会社へ依頼するのもおすすめです。

 

関連サービス:JAICリーダーカレッジ

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。

著書、登壇セミナー

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