マンダラチャートとは?メリットや作り方、ポイントをご紹介!

マンダラチャートとは?メリットや作り方、ポイントをご紹介!

マンダラチャートは「曼荼羅」と「アート」を組み合わせたシートで、目標を達成するための具体的な行動やアイデアを洗い出すことに有効なツールです。
(「マンダラチャート」は一般社団法人マンダラチャート協会の登録商標です。)

 

目標達成に有効なフレームワークとして知られていますが、作成するうえでいくつか欠点もあります。欠点を無視してマンダラチャートを作成してしまうと、行動計画の質や先の展開なども難しくなってしまうため、作成のポイントを押さえて利用することが重要です。

 

本記事では、マンダラチャートとは何か、そして作成のメリットと欠点、その補完方法を分かりやすく解説します。

 

マンダラチャートは、目標達成の方法として原田メソッドでも用いられています。原田メソッドについては以下の記事でまとめているので参考にしてください。

<目次>

マンダラチャートとは何か?

マンダラチャートとは

マンダラチャートとは、仏教の「曼荼羅」と「アート」を組み合わせた語源のツールであり、設定した目標を達成するには具体的に何をすべきなのか、具体的な行動やアイデアを明確にすることが可能です。

 

野球選手の大谷翔平選手も、高校一年生の時から活用していたことは有名です。マンダラチャートを利用することで、二刀流での活躍という大きな夢を叶えたのかもしれません。

 

マンダラチャートでは、シートに3×3のマスを9つ作成し、中央のマスに自分が達成したい目標を周囲の8マスに目標を達成するためのテーマを記入していきます。そして、残りの3×3のマス8つに具体的な方法や施策を記入して展開していき、合計81マスをすべて埋めます。

 

「マンダラチャート」以外にも「マンダラート」、「目標達成シート」、「オープンウィンドウ64」といった呼び方がありますが、基本的にはどれも同じ仕組みになります。

 

マンダラチャートの例

マンダラチャートの完成イメージは以下です。

 

オープンウィンドウ64作成例

 

目標を「来店数の増加」とした場合、それを中心に書きます。そして、来店数の増加を達成するための取り組みテーマとして、「毎日100件のポスティング」「店頭での呼び込み」「ネット広告への出稿」「タウン誌への掲載」「新聞折込の実施」「ハガキDM送付」「未契約顧客へのメール」「新規入会キャンペーンの実施」を記載します。

 

そして、それぞれのテーマに対して、具体的な行動・施策を考えます。

 

<マンダラチャートの構成>

・中央のマス           :目標(1マス)

・中央の周囲           :目標達成のための取り組みテーマ(8マス)

・テーマの周囲         :各テーマにおける具体的な行動・施策(8テーマ×8マス)

マンダラチャートが完成すると、1つの目標に対して64個以上の具体的な行動、アイデアが明確になるため、行動計画の質を高めるとともに、目標を達成しやすくなります。

マンダラチャートとマトリックス法の違い

マンダラチャートと似たツールに、「マトリックス法」があります。よく比較されるのでマトリックス法も説明しておきます。
 
マトリックス法は、マンダラチャートと同じくマスを使います。ただ、マトリックス法ではルールが異なります。
 
マトリックス法の場合には、縦横の掛け合わせで思考していきます。この位置関係がマンダラチャートと異なる点です。
 

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このように、縦軸と横軸でテーマを設定し、その掛け合わせで思考をしていく方法です。

マンダラチャートを作成するメリット

マンダラチャートにはメリットがたくさんあります。

 

目標達成の方法を洗い出せる

マンダラチャートは1つの目標に対して8つの取り組みテーマ、64個以上の具体的施策やアイデアを書き出すため、目標達成に向けた行動や施策が多数書き出され、質の高い行動計画作成につながります。

 

また、計画を実施している最中につまずいてしまった場合も、マンダラチャートを確認することで追加施策や二の手、三の手を打つことが容易になります。

質の高い行動計画を作成できる

マンダラチャートは質の高い行動計画を作成するためにも効果的です。マンダラチャートを使わずに行動計画を作成した場合、頭の中で実践思考を考えることになるため、どうしても抜け漏れが生じやすくなります。

 

また、思いつきやすい基礎思考だけにとどまってしまい、具体性に欠ける行動計画になりがちです。

 

しかし、マンダラチャートを使えば数多くのアイデアを洗い出すことができるため、施策の質が高くなることはもちろん、いきなり行動計画を作成するよりも施策の抜け漏れなどが生じにくくなります。

 

新しいアイデアの発見につながる

マンダラチャートは81マスをすべて埋める必要があるため、目標達成のための施策を集中して考えなくてはなりません。したがって、普段思いつかないようなアイデアをひねり出すことができます。

 

また、8つのテーマ、64個のアイデアという形で順を追って展開していくので、新しいアイデアだけでなく、既知の手法や施策などの抜け漏れも生じにくいでしょう。

導入しやすい

マンダラチャートには細かなルールはなく、ルールは81マスをすべて埋めることのみです。作成方法は、基礎思考から実践思考へと順を追って目標達成のアイデアを書き出していくだけなので、マインドマップなど以上に誰でも取り組みやすい施策といえます。

 

フォーマットはインターネット上から無料でダウンロードできますし、エクセルなどで自作したり、ペンと紙を使って手書きで作成したりすることも可能です。導入しやすいということも大きなメリットでしょう。

 

思考を整理することができる

マンダラチャートを作成する際には頭の中のアイデアをすべて吐き出し、可視化するため、思考を整理することができます。様々なアイデアも頭のなかにあるだけだと関係性がわかりませんが、シートに書き出すことによってそれぞれの関わりや優先順位などが明確になるでしょう。

 

マンダラチャートは施策をあとから振り返ったり、追加で考えたりする際にも使いやすいでしょう。

マンダラチャートの作り方

では、マンダラチャートはどのように作るのでしょうか。ここでは、マンダラチャートをイチから作る手順を紹介します。

目標を設定し、中央のマスに記入

9×9のマスを用意してください。まず、達成したい目標をひとつ設定し、中央のマスに記入します。

 

この目標は、簡単に達成できそうなことではなく、現状のままでは難しいものを設定します。必ずしも定量的である必要はありませんが、具体的に書きましょう。

 

目標達成に必要な取り組みテーマ(基礎思考)を8マスに記入

次に、中心に書いた目標の周りの8マスに、目標達成のために必要なテーマを記入します。これは「基礎思考」と言われます。
 
基礎思考は、目標達成に大きな影響を与える要素であり、それを達成することが中心に書いた目標達成に直接つながるものです。
 
基礎思考を考えるときには、それぞれの要素が重複しないように考えましょう。それぞれを、9×9を構成する8個の3×3の中心に書いていきます。
 

取り組みテーマごとに具体的な施策(実践思考)を8個ずつ記入

基礎思考を書いたら、それぞれの基礎思考を達成するための要素を考えます。
 
3×3の中心にある基礎思考の達成に必要な施策を8個ずつ書きます。それは「実践思考」と言われます。
 
実践思考を考えるときには、すぐに取り掛かれるものを書きましょう。さらに、記載するときにはなるべく具体的に書き、数字など定量的に計測できるものを記載するのがよいです。

マンダラチャートの欠点・デメリット

目標達成に有効なマンダラチャートですが、完ぺきなツールというわけではありません。マンダラチャートにはいくつかの欠点も存在するので、それを踏まえたうえで活用することが大切です。

 

効果的に活用するために知っておくべきマンダラチャートの欠点を2つご紹介します。

 

取り組みテーマに抜け漏れがあると質が下がる

マンダラチャートでは最初に「基礎思考」を書き出し、それぞれの基礎思考に対して「実践思考」を洗い出していくことになります。

  • 基礎思考・・・取り組みテーマ(8マス)
  • 実践思考・・・各分野で取り組む具体的な行動や施策アイデア(8マス×8マス)

しかし、マンダラチャートの仕組み上、基礎思考の段階で取り組みテーマに抜け漏れが生じると、抜け漏れた基礎思考に対する実践思考はアクションをリストアップできません。結果的に全体の精度や目標達成の確度がぐっと落ちてしまうことがあります。

 

慣れなかったり経験値が足りなかったりすると、目標達成するための要素を思いつく順に記載してしまい、目標達成に十分な要素を網羅していなかったり、必要ない要素を書き出してしまうケースもあります。

 

また、目標に対する取り組みテーマの粒度やレベルがそろっていないと、そこから実践思考に落とし込むプロセスも難しくなりがちです。

 

目標設定をし、基礎思考や実践思考のアイデアを考えるときの方法は以下で解説しているので参考にしてください。

取り組み分野の知識・ノウハウが必要

取り組み分野の知識・ノウハウが必要というのもマンダラチャートのデメリットです。

 

マンダラチャートの作成では81マス分のアイデアが必要になりますが、なかなか難しいかもしれません。

 

経験が豊富な人や思考力がある人の場合は、81マスどころか各マスからはみ出して100個以上のアイデアを生み出したりもしますが、思考力が十分についていなかったり、設定した目標分野に関する知識が十分になかったりすると、81マスを埋められないでしょう。

 

特に実践思考のアイデアが浮かばず、マンダラチャートがなかなか完成しないことも珍しくありません。

 

このように、そもそも経験値が少なかったり、新たに取り組んだりする領域では、質を担保しにくいというのが2つ目の欠点です。

 

マンダラチャートをより効果的に作成するためのポイント

マンダラチャートの欠点ですが、ちょっとした工夫で補完することが可能です。マンダラチャートを作成する際には、以下2つのポイントを押さえることがおススメです。

 

作成方法をしっかりと学ぶ

マンダラチャートを有効に活用するためには、マンダラチャートの目的や作成方法をしっかりと学ぶことが大切です。

 

また、初心者が作成する場合は抜け漏れが出やすいので、しっかりと理解している講師や経験者などのアドバイスをもらう、ファシリテーションをしてもらいながら作成するのがおススメです。

 

マスをすべて埋める

マンダラチャートでは、マスをすべて埋めることが重要です。

 

マンダラチャートでは、マスをすべて埋めるほど考えることで最善の方法を見つけ出します。すべてのマスが埋まるほど考え抜かなければ、中途半端な状態になり目標達成までに重要な施策を見逃してしまうかもしれません。

 

必ずマスをすべて埋めるまで考えるようにしましょう。思いつかない場合は、さらに情報を収集するのもよいでしょう。

マスを埋めきれない場合には周囲の力を借りる

マンダラチャートは個人で作成するものですが、マスが埋まらない場合は周囲からヒントを得ることもできます。特に組織でマンダラチャートを導入する場合には、部署やチームなど、同じ仕事をしているメンバーで一斉に作成するのがおススメです。

 

そうすると、経験が少ない新人や若手も、先輩やベテラン、トップセールスのマンダラチャートを見ながら作成することができ、抜け漏れを防止したり、81マスをしっかりと埋めきったりすることができます。どうしてもマスが埋まらない場合は、上司や先輩にアドバイスをもらうことも有効です。

「知」を共有する

マンダラチャートに展開された目標達成の施策やアイデアは、各自が持っている知恵やアイデアを言語化したものです。

 

したがって、組織でマンダラチャートを作成する場合には、作成したマンダラチャートをデジタルデータなどで保存しておくことがおススメです。

 

過去に先輩や上司が作ったマンダラチャートを保存しておくことで、マスを埋めきれない新人が、自分では持ち合わせていない知恵を参照することができます。

 

また、計画を実行しながら改善策を考えたいときなども、過去のマンダラチャートを見ればアイデアが広がるでしょう。つまり、マンダラチャートは組織全体の知恵として展開することができるのです。

 

まとめ

マンダラチャートは目標達成にとても有効なツールですが、基礎思考で抜け漏れが生じると大きく品質が下がったり、目標設定した分野に一定の知識がないとマスを埋めきれなかったりといった欠点もあります。

 

欠点を補完するためにはマンダラチャートの正しい作成方法を学び、上司や先輩の知恵を借りることが大切です。

 

マンダラチャートには質の高い行動計画を作成したり、新しいアイデアを生み出したり、個人の知恵を組織内に展開することができたりと、欠点以上に多くのメリットがあります。

 

個人の目標達成はもちろん、組織全体の目標達成にも効果的なので、今回ご紹介した欠点を上手に補完しながら積極的に活用していきましょう。

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|取締役 兼 常務執行役員

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て入社。
IT戦略事業、全社経営戦略、教育事業、採用・就職支援事業の責任者を経て現職。企業の採用・育成課題を知る立場から、当社の企業向け教育研修を監修するほか、一般企業、金融機関、経営者クラブなどで、若手から管理職層までの社員育成の手法やキャリア形成等についての講演を行っている。
昨今では管理職のリーダーシップやコミュニケーションスキルをテーマに、雑誌『プレジデント』(2023年)、J-CASTニュース(2024年)、ほか人事メディアからの取材も多数実績あり。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
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