
重要度が増しているストレスマネジメントのスキルを向上させるために注目すべきポイントや、取り入れるべき方法をご紹介します。
個人のストレスマネジメント力向上
ストレスマネジメント力を向上させるためには、「ストレスコーピング」のスキルを身につけることが効果的です。ストレスコーピングとは、ストレスを感じたとき、要因であるストレッサーにうまく対処する方法を指します。ストレスコーピングのスキルを身につけて活用することで、仕事をはじめ、日常生活の多くの場面で、自分自身でストレスを適度なレベルへと管理できるようになります。
ストレスコーピングには「問題焦点型コーピング」と「情動焦点型コーピング」の2種類があります。問題焦点型コーピングは、ストレッサー自体に直接働きかけ、その状況を変化させることで解決を目指す対処法です。
情動焦点型コーピングは、ストレッサーになっている状況や問題そのものをどうにかするのではなく、状況や問題に対する自らの考え方や感じ方を変えたり、ストレス解消法を用いて不快な感情を軽減させたりすることで解決を目指す対処法です。
例えば、職場の人間関係がストレスとなっているとき、相手に働きかけたり第三者に支援を求めたりして、原因となっている人間関係の問題を解決しようとするのが問題焦点型コーピングです。問題が解決できれば良いですが、例えば、人間関係のストレスであれば、問題になっている相手の言動を変えることは難しいかもしれません。
問題となっているストレッサーを消し去れない場合に効果的なのが、情動焦点型コーピングです。上述の人間関係であれば、以下のような方法が情動焦点型コーピングの例です。
<人間関係に関する情動焦点型コーピングの一例>
- 他人の言動のとらえ方や思考のクセを見直す
- 考え方の違う人と協力して目標を達成するチャンスだと考える
- 自分に合った気晴らしの方法を見つけて実施する
(運動をする、温かい飲み物を飲む、友人・知人と雑談をする、何もせず休むなど)
問題焦点型コーピングのスキルを高めることでストレッサーそのものを消し去る。そして、消し去れない場合には情動焦点型コーピングでストレスを受けないようにしたり、ストレスを解消したりすることができます。
多様なストレスに対応するためには、ストレスコーピングのレパートリーをなるべく多く持っておくことがポイントです。ストレスコーピングの方法に偏りがあると、手持ちの方法で対処できない問題が生じたとき、「解決できないこと」自体が大きなストレスとなってしまう恐れもあります。
ストレスコーピングのスキルを高めるためにおススメしたいのは、「コーピングリスト」の作成です。ストレスを感じていない状態で、問題解決型コーピングや情動焦点型コーピングの方法をできるだけたくさん書き出しておくのです。問題の解決方法、問題の捉え方、ストレスの解消方法を思いつく限り書き出しましょう。
作成したリストをいつでも見られる場所に置いておき、ストレスを感じたときに、リストから好きな方法を選んで試すのです。過度なストレスを感じている時は、どうしても思考も制限されてしまいます。その時にコーピングリストが役立ちます。
組織のストレスマネジメント力向上
個人のストレスマネジメントのスキルを向上させるためには、組織のサポートも有効です。まず考えられる手段が、研修の実施です。前述したストレスコーピングやレジリエンス、マインドフルネスの技術を学べるような研修の導入は効果的です。
最終的に技術を実施するのは各個人ですが、ストレスコーピングやマインドフルネスなど、ストレス発生の理論や対応の技術を知っているだけで、対応できる幅は広がります。組織として学ぶ機会をぜひメンバーに提供しましょう。
また、研修を取り入れるだけでなく、普段の業務内でサポートを提供することも大切です。コミュニケーションツールを導入したり、定期的な面談を設置したりと、日頃から部下の心理状態、ストレス状態に気を配れる仕組みを作りましょう。
遅刻や早退が増えたり、仕事のなかでミスが目立つようになったりと、いつもと違う様子に気付いたときに、早期のサポートを提供することも大切です。なかなか上司だけでは手が回らないとき、問題が深刻化しそうなときには、早めに産業医やカウンセラーのような外部の専門家にストレスマネジメントを委ねることもポイントです。
もちろん、取り組みの大前提として、メンバーとの間に信頼関係が構築されている必要があります。メンバーにとって上司が「いつでも相談できる存在」であることが、ストレスマネジメントの土台となります。日頃から組織内のコミュニケーションを活性化させ、良い関係の構築に努めましょう。