レジリエンスとは?折れない心を鍛える3つのトレーニング方法を解説

メンタルケアのイメージ

レジリエンスは「折れない心」などと呼ばれ、ストレスに対応するメンタルスキルとして注目されています。レジリエンスが備わっている社員は目標達成力が高く、困難をチャンスに変えることができます。高いレジリエンスを持つ社員が増えれば企業としての目標達成力が高まるだけでなく、メンタルヘルス問題も減少して、働きやすい組織を作ることが可能です。

レジリエンスは、スキルであり、正しいトレーニングを行なうことで鍛えることができます。そのため、近年ではレジリエンス研修に力を入れる企業も増えています。記事では、レジリエンスの概念や高めるメリット、レジリエンスを鍛える効果的なトレーニング方法を解説します。

<目次>

レジリエンスとは?

街を行き交うビジネスマン

レジリエンス(resilience)とは、仕事におけるストレスや困難を受け止め、跳ね返し、適応・回復していく能力のことをいいます。「折れない心」や「しなやかさ」といった形でも表現され、「ストレスに耐える」「我慢する」ではなく「受け流す」「切り替える」という言葉がしっくりきます。強風に煽られても受け流して倒れない、柔軟な柳のようなイメージです。

 

レジリエンスと「ストレス耐性」は混同されることもありますが、ある意味では真逆の概念です。ストレス耐性とは、心理的・精神的に受けたストレスに耐えられる程度(耐久性)であり、「ストレスに耐える力」「我慢する力」というイメージです。

 

ストレス…外部からの刺激によって生じる「歪み」

  • レジリエンス…ストレスの歪みを跳ね返す弾力性や受け流すしなやかさ
  • ストレス耐性…受けたストレスに耐えられる強度

 

現代社会では、IT化にともなって受け取る情報量は莫大となり、求められる処理スピードも速まっています。変化も激しく、あらゆることでストレスを受けやすくなっています。だからこそ、ストレスに対応する力であるレジリエンスを鍛えることに注目が集まっています。

 

<レジリエンスが高い人の特徴>

・思考に柔軟性がある

・感情のコントロールができる

・自尊心が養われている

・楽観的である

・失敗しても諦めない

なぜレジリエンスを鍛えると良いのか?

オフィスでの仕事風景

 

組織内でメンバーのレジリエンスを鍛えると、以下のようなメリットが手に入ります。これは組織として得られるメリットであり、同時にレジリエンスを高めたメンバーが手に入れられるメリットでもあります。

 

 

目標達成力が高まる

目標達成に向かう過程では、ほとんどの場合、困難や失敗、思いどおりにいかないことが生じます。年間目標のように長期間にわたる目標や新しく挑戦すること、難易度が高い目標ほど、困難にぶつかる可能性は高いでしょう。

 

当然、困難や失敗にぶつかるとストレスが生じます。そのときに、レジリエンスが高い社員はすばやく切り替えたり、受け流したりして、困難や失敗を乗り越えて目標達成へと向かい続けることができます。したがって、大きな目標に携わる管理職層や難易度の高い新規事業に携わるスタッフなどは、レジリエンス強化がとりわけ不可欠だといえます。

 

また、アメリカスタンフォード大学の心理学者であるケリー・マクゴニガル氏は、「ストレスは成長につながる」と発言しています。レジリエンスを発揮してストレスを乗り越えていった経験は、個人にとっても組織にとっても得難い成長へとつながるでしょう。

 

 

メンタルヘルスの問題が減少する

IT化が進むなかでホワイトカラーの仕事から単純労働は減り、感情労働や意思決定、創造的な仕事をすることが求められています。そのなかで、ストレスが増加してメンタルに不調をきたしたり、生産性を下げたりするビジネスパーソンは増加傾向にあります。

 

こういった状況を未然に防ぐ、または改善するためにも、レジリエンスを鍛えることが有効です。自らのストレス要因を把握して、適切に処理できるようになることで、一人ひとりのストレス状況が改善します。

 

また、メンバーのストレス状況が高く、心的余裕がない職場においては、対人関係でも許容範囲が狭くなり、ギスギスとした雰囲気になりがちです。結果として、さらにストレスが生じるという悪循環が生まれます。

 

一方で、メンバーが仕事のストレスを適切に処理できていれば、必然的に対人関係も良好な状況を保ちやすくなり、職場においてストレスの大きな要因となる対人関係の問題も減少します。

 

したがって、レジリエンスを高めたメンバーが増えるほど、組織全体が働きやすい環境となり、組織の生産性を継続して保ったり、メンバーのエンゲージメントを高めたりすることができます。

レジリエンスを鍛える方法1.ABC理論の考え方を身に付ける

レジリエンスを高めるうえで、土台となるスキルの一つが「ABC理論」です。ABC理論はアルバート・エリスが提唱した心理療法で、「ABCDE理論」とも呼ばれます。

 

<ABC理論>

ABC理論

・A(Activating Event) =出来事、事実

・B(Belief)           =信念(考え方、価値観、思い込み、クセ…)

・C(Consequence)      =結果(捉え方によって生じる感情や行動、身体反応)

 

人は、出来事や事実をそのまま捉えているわけではなく、自らが持っている信念(考え方、価値観、思い込み、クセ……)で出来後や事実を解釈します。そして「どう解釈したか?」に応じて、感情や行動・身体反応が引き起こされます。

 

少し極端な例を出すと、「外出した直後に雨が降ってきた」という出来事に対して、「濡れてしまった!何で雨が降ってくるんだ!」と怒りの感情を持つ人がいれば、「外出する前は天気予報を見よう」と考える人、「やっぱり自分は運が悪い」と捉えて落ち込む人もいるわけです。

 

私たちが、身の回りに起こる出来事や事実(A)をコントロールすることは困難です。しかし、自分の考え方や価値観、思い込み、思考のクセ(B)に気づき修正することは可能です。

 

つまり、ストレスの要因となる出来事や事実を変えることは困難ですが、出来事や事実からストレスを受けるかを選択することはできます。そして、ネガティブな感情に振り回されることなく、適切な行動を取ることもできます。

 

自分の考え方や価値観、思い込み、思考のクセに気づき、修正するプロセスがDとEです。

 

<ABCDE理論>

ABCDE理論

・D(Dispute)          =反論(自分の捉え方への気づきと疑問・反論)

・E(Effect)           =効果(修正した捉え方によって得られる新たな結論と影響)

 

捉え方によって生じる感情や行動、身体反応(C)が好ましいものではなかった場合、自分の捉え方(B)に戻って、「この捉え方は正しいのか?」「それ以外の捉え方はないのか?」と自分に問いかけます。

 

自分自身の捉え方に対する反論は「学習者の問い」と呼ばれ、自分の捉え方を自覚し、違う捉え方を生み出します。結果として捉え方が変化して、より好ましい捉え方をすることができます。

 

事例でいうと、雨が降ってきたことに対する「やっぱり自分は運が悪い」という考え(C)に対して、「ちょっと待って!本当にそうなの?」と自分に問いかけることが学習者の問い(D)です。学習者の問いにより、「冷静に考えると、雨が降ることは単なる偶然だよな。そもそも自分は“運が悪い”が思い込んでいるのか……」という気づき(E)を得られます。

 

ABCDE理論の考え方を身に付けることは、レジリエンスを鍛えるうえで非常に有効ですので、ぜひ日常生活のなかでトレーニングしてください。

 

なお、ABCDE理論は、7つの習慣®の「パラダイム」や「See-Do-Getサイクル」といった考え方とも非常によく似ています。下記の資料も参考にしていただくと、理解がより深まるでしょう。

レジリエンスを鍛える方法2.成功体験を積み自己効力感を高める

自己効力感とは、課題や困難に対して「自分ならできる」という自信の高さを示します。

 

自己効力感を高めれば、困難な目標や仕事に対して、萎縮することなくチャレンジが可能です。壁にぶつかったときにも「自分ならきっと壁を乗り越えられる」と考えて、方法を探す思考へとすぐに切り替えることができます。

 

自己効力感を高める方法として効果的なのが「成功体験を積む」ことです。成功体験を積むというと、何か逆境を乗り越えたり、大きな成果を生み出したりする必要があると捉えられがちです。

 

しかし、実は「振り返り方」を工夫することでも、成功体験を積んで自己肯定感を高めることができます。例えば、日々のなかで「今日できたこと」を振り返ってみましょう。

 

・些細なことでも良いので、数値を動かしたり、成果を出したりすることができたことは?

・自分の感情が上がって嬉しくなったり、達成感を得たりしたことは?

・誰かに喜んでもらえたり、感謝されたり、笑顔をもらったことは?

 

上記3つの視点で振り返ると、必ず「今日できたこと」があるはずです。ぜひ日記などに書き出してみましょう。繰り返すことで成功体験が積み重なり、自分に対して自信を持てるようになります。

 

また、「自分との約束を守る」ことも自己効力感の向上に有効ですので、毎日やる習慣を決めましょう。続けることで、自己効力感が高まっていきます。

 

ポイントは「毎日実行できるものにする」「ハードルを下げる」ことです。例えば、「1日30分本を読む」という目標を継続することは困難です。「ビジネス書を毎日1回は開く」といったハードルの低い目標にすることが習慣化を成功させるコツです。

レジリエンスを鍛える方法3.自分の強みを活かす

自分の「強み」を理解することも、自己効力感やストレスに対する緩衝力を高めて、レジリエンスが鍛えることにつながります。自分の強みを活かすと幸福度が高まり、自己肯定感の向上も期待できます。

 

自分の強みを理解するには、アメリカのコンサルティング企業であるGallup社が提供している「クリフトンストレングス34」がおすすめです。クリフトンストレングス34は、強みの心理学の父として知られるドン・クリフトンが開発した“クリフトンストレングス”をもとにした才能テストです。

 

177問の質問に答えることで、34種類のクリフトンストレングスの資質から自身の才能を明確にし、自分の強みとなりうる資質と活用方法を知ることができます。

クリフトンストレングス34

クリフトンストレングス34 診断サイト

https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja/253634/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0.aspx

 

日本では、『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』という書籍を買うと、付属のシリアルコードでテストを受けられます。

 

上記の診断サイトで直接シリアルコードを購入することもできますが、書籍にはそれぞれの強みや活かし方が日本語でわかりやすく解説されています。

 

『さあ、才能(自分)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』

https://www.amazon.co.jp/gp/product/4532321433/ref=dbs_a_def_rwt_bibl_vppi_i1

まとめ

レジリエンスは仕事におけるストレスや困難を受け止め、うまく適応・回復していく能力です。レジリエンスを高めると個人においても組織においても、目標達成力の向上やメンタルヘルスに関する問題の減少につながります。

 

IT化や自動化によって単純労働が減り、感情労働や意思決定、創造的な仕事が求められる割合が増えて、ストレスを受けやすい現代社会で働くうえで、レジリエンスの向上は非常に重要なテーマです。

 

レジリエンスを鍛えるうえでは、“ABCDE理論を身に付ける”“自己効力感を高める”“強みを活かす”の3つがとても有効です。レジリエンスはスキルとして後天的に鍛えることができますので、3つのトレーニングを日常生活に取り入れていきましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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