部下の叱り方で上司が身に付けたいマインド&スキル。やってはいけない間違いは?

更新:2021/12/30

作成:2021/12/27

部下の叱り方で上司が身に付けたいマインド&スキル。やってはいけない間違いは?

部下のミスを正すのは、上司の重要な役割の一つです。しかし、間違った叱り方をしてしまうと、部下のモチベーションを下げたり、人格否定になったりする可能性があるため、十分に注意しなければなりません。

 

職場におけるハラスメント防止対策も強化された昨今では、「部下に嫌われる」「パワハラに抵触する」ことを恐れて、部下を叱れない上司が増えています。とはいえ、間違いを指摘し、より良い方向に導く「叱るスキル」は部下の成長を促すために非常に大切です。

 

本記事では、部下を叱る際の正しいマインドセットや重要スキル、正しく叱るポイントを解説します。部下を効果的に叱る方法の参考にしてください。

<目次>

叱り方に関する正しいマインドセット

叱るときには「何のために叱るのか?」という正しい意識を持つことが重要です。部下を叱るときに必要な3つのマインドを解説します。

 

叱る目的

上司が部下を叱る目的は、好ましくない言動や行動を部下自身に認識させ、改めてもらうことです。過去や現在の言動、結果を責めるのではなく、未来に向けて部下を成長させる意識と言葉選びが大切です。

 

また、「より良い方向に導きたい」という相手への愛情をもとに叱るということを肝に銘じておきましょう。上司の部下に対する愛情は、相手の成長を心から願う気持ちから生まれるものです。

 

叱ると怒るの違い

「叱る」とは、部下の言動や行動の誤りを理性的に正すことです。客観的な視点で問題点を指摘する、相手本位の行為です。

 

一方の「怒る」とは、相手に自分の不満や怒りをぶつけることです。感情的であり、かつ自分本位な行為です。なぜ自分本位かというと、「怒る」という行為の裏には、相手の言動や行動への不快感をアピールすることで不満を発散させたいという目的が隠れているためです。

 

しかし、管理職のなかには「叱る」と「怒る」の違いを明確に区別できていない人も少なくありません。本人は「部下を叱っている」つもりであっても、傍から見れば「怒っている」、部下のミスを理由に己の感情を爆発させてストレスを解消しているように見える人もいます。

 

絶対にやってはいけないダメな叱り方

絶対に避けるべき4つの叱り方も押さえておきましょう。

・怒鳴る

部下のミスに対して怒鳴り散らす上司がいますが、相手を言葉で威圧することはまさしく、「叱る」ではなく「怒る」行為です。部下を委縮させるだけで、問題の改善にはつながりません。上司に怯えるあまり、平常心で業務を遂行できなくなり、さらにミスを連発するなど悪循環に陥る恐れもあります。

 

・行動否定ではなく人格否定

「だからお前はダメなんだ」というように、相手の存在そのものを否定する叱り方は厳禁です。相手の自己肯定感を奪う行為であり、ハラスメントにも抵触します。部下は完全に心を閉ざしてしまうでしょう。叱るときに問題にして良いのは「言動や行動」であって「人格」ではありません。

 

・多くの前での叱責

見せしめのように、大勢が見ている前で叱責することも絶対にやめましょう。相手の面子を潰す行為であり、「大勢の前で恥をかかされた」と部下の心には大きな動揺が走り、指摘を受け入れる余裕がなくなってしまいます。トラウマになり、心に深い傷を負ってしまう可能性もあります。

 

・人と比べる

「○○はこんなミスはしないのにお前は……」というように、他人と比べる叱り方もよくありません。上司としては相手を奮起させるつもりであっても、部下の自己肯定感やモチベーションが低下してしまい、逆効果になります。

 

他人と比較して相対的に叱るのではなく、部下個人の成長にフォーカスして、絶対値でフィードバックしましょう。

部下を叱る際の重要スキル

部下のやる気を引き出しながら問題点を正し、成長へと導く叱り方の重要スキルを紹介します。具体的には、次の3つのポイントを意識して叱りましょう。

 

叱る理由を明確にする

叱る際には「なぜ指摘しているのか?」という理由を明確に伝えることが、とても大切です。人は、叱られている理由がわかれば納得しやすいものです。しかし、理由が曖昧では納得しにくく、場合によっては反発心を覚えます。

 

したがって、上司自身が部下の言動や行動の「何が問題なのか」「なぜ直してもらう必要があるのか」を明確に言語化できていなければ、相手を効果的に叱ることはできません。「なぜ叱るのか?」を自分のなかできちんと整理しておきましょう。

 

叱るときには、論理的に問題点を伝えるロジカルコミュニケーションのスキルも役立ちます。「どの行為を指摘しているのか」を明確にして、双方が共通の認識に立ったうえで話を始めることが大事です。

 

好ましくない言動1つに絞り込んで叱る

指摘すべきことは、部下の人間性や価値観ではなく言動や行動です。叱る際には「ここだけは絶対に直して欲しい、変えて欲しい」という優先順位の高い行為1~2つだけに絞って指摘するようにしましょう。

 

一度の多くの問題点を指摘しても、相手は受け止めきれません。最も大事な指摘の焦点もぼやけてしまいます。部下からしても、“ついでにあれもこれも”と言われているような気になってしまいます。

 

また、指摘ポイントが多いと、どうしても長い時間叱り続けることになります。叱られている間に部下の頭も心も疲れてしまい、行動を変えようという意欲も削がれてしまうでしょう。指摘したい行為が複数ある場合は、現時点で優先順位の高いことにフォーカスして叱ることが効果的です。

 

一貫性を持って叱る

同じ行動で、特定の人だけを叱る、叱る基準がバラバラで予測できない、日によって言うことが変わるといった矛盾だらけの状態では、叱られる部下は納得感を持てません。

 

「○○さんは見逃してもらったのに自分は叱られた」など、理不尽な目に遭った部下は上司に不信感を覚えます。不公平な上司だと思われると、信頼関係は構築できません。

 

上司も人間ですので、機嫌の良い日もあればそうでない日もあるでしょう。しかし、叱るというのは、少なからず相手に精神的なショックを与える行為です。

 

信頼関係を維持するには、自分のなかで叱る基準を明確にしておき、相手が誰だろうと同じミスに対しては同じように叱責するというように、一貫性を持たせることが重要です。

褒めると叱るのバランス

部下を「褒める」ことは「叱る」と同じくらい、人材育成の重要な要素です。部下の成長促進において、叱ることは好ましくない行為の修正、褒めることは好ましい言動の強化と自己効力感や自己肯定感の向上につながります。

 

たとえ重要なポイントに絞って論理的に正されたとしても、自分の言動や行動への指摘は耳が痛いものです。素直に受け入れてもらうためには、信頼関係が肝心です。信頼関係ができていない状態で叱っても、部下に反発されてしまいかねません。褒めることは信頼関係を築くうえでも大切です。

 

理想的な褒めると叱るのバランスは、「褒める3:叱る1」だといわれています。双方をバランス良く取り入れることで、部下との間に良好な信頼関係を築くことができます。「3:1」のバランスを意識することで叱ることの効果性も高まります。

 

褒めてから修正して欲しい点を伝えるのも賢い叱り方の一つです(ただし、テクニックとしてやるとすぐにバレますので注意が必要です)。

 

適切に褒めるためには、普段から部下の仕事ぶりをチェックしておく必要があります。部下を褒められるかは、上司として部下に関心を持っているかのバロメーターだと考えるとよいでしょう。

 

なお、絶対にやってはいけないのは、褒めるも叱るもどちらもやらない、無関心な態度です。上司からまったく関心を持ってもらえない状況では、会社から期待されていないと感じ、部下は不安になってしまうでしょう。「忙しいから部下にかまっている余裕がない」という言い訳は通用しません。

叱ることに抵抗感がある場合は?

叱ることで部下と険悪になり、仕事がやりづらくなると考えている人もいることでしょう。年功序列が廃止され、部下が年上で叱りづらいというケースも増えているかもしれません。

 

いずれにおいても、「怒る」と「叱る」はまったく別の行為であり、叱ることは部下の成長を促進する、行動を修正するうえで必須な行為だと認識しましょう。

 

ある程度大きな組織をまとめるには、統制力が必要です。部下の言動や行動に問題があることに気付きながら叱らずにいると、周囲にも影響がおよびます。放任主義の職場に向上心の高い人が失望して離職するなど、組織力も低下していきます。

 

「嫌われたくない」という気持ちが強い場合は、相手に無関心でいることのほうが問題だと考えてください。信頼関係が十分にできている場合、「叱り方の重要スキル」で解説した正しい叱り方を実践すれば、関係が壊れることはありません。

 

相手の成長を心から願うがゆえの叱責は相手にも伝わり、むしろ信頼関係は強化されるはずです。叱ることは相手への強い愛情の示し方の一つなのです。

まとめ

叱ることは、部下の成長を促すうえで、重要な役割を果たします。部下を叱る際には、叱る理由を明確にし、問題行為の修正にフォーカスすることが大切です。

 

叱るときのシチュエーションや言い方にも十分配慮しましょう。相手が素直に受け入れやすいように、1対1で叱る、指摘するポイントを絞り込む、人格や価値観の否定はしないなどが効果的に叱るための鉄則です。

 

また、効果的に叱るためには信頼関係が不可欠です。信頼関係を築くうえでは、「褒める3:叱る1」のバランスが最適だといわれます。普段から部下の仕事ぶりを褒めることで、相手をきちんと見ていることが伝わり、結果的に叱ることの効果も高まるでしょう。

 

しっかりと信頼関係を築いたうえで正しい叱り方をすれば、信頼関係にヒビが入ることはありません。相手の成長に関心を持ち、愛情を込めて「叱る」スキルを身に付け、実践していきましょう。

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