社員教育を成功させるポイントは「学ぶ文化」をもった職場環境
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社員教育を成功させるポイントは、「学ぶ文化」をもった職場環境です。
「背中を見て覚えろ」では、社員を育てられない時代
少し極端な話をしながら、社員教育の時代変化を考えてみます。昭和の時代、社員教育は「背中を見て覚えろ」でした。OJT(On-The-Job Training:現場での実務を通して行う教育)を通じて、先輩社員のやることを真似して覚えていくというやり方です。
その後、昭和の後半から平成中期までは標準化とマニュアル化の時代です。仕事のやり方をきちんと体系化、言語化・マニュアル化して、そのうえでOff-JT(Off-The-Job Training:集合研修や講習会など)を通じて知識をインプットします。そのうえで設計されたOJTに入っていくというやり方です。
しかし、平成中期までの社員教育は、ゆとり・さとり・ミレニアル世代の若者たちに適していると一概には言えません。
なぜならば、ゆとり・さとり・ミレニアル世代の若者は、「マニュアルがなくても使えるユーザーインターフェース」に慣れ親しんだ世代だからです。
読んで覚えるマニュアルと、背中を見て覚えるOJTによる社員教育だけでは、新世代の若者たちに十分な教育効果を上げることはできません。もちろん、仕事の標準化とノウハウの言語化、そして、オンボーディングをはじめとする設計されたOJTは重要です。
しかし、それに加えて、現代の社員教育に必要とされるのは、「自然と学べる環境」の構築です。
「先輩を見て盗む」ではなく、「社員自らが持続的に学んでいく環境」を作ることが、企業に求められるようになっています。自然と学べる環境が構築されると、研修の費用対効果にも大きな違いが出てくることでしょう。
社員教育の環境作りは「7:2:1の法則」と「コルブの経験学習モデル」がポイント
社員教育の環境を考えるうえで、重要になるのは「7:2:1の法則」です。「7:2:1の法則」は経営コンサルタントであるマイケル・ロンバルドとロバート・アイチンガーが、管理職向けアンケート調査の分析を通じて提唱したものです。
「7:2:1の法則」は、「管理職の成長は何によって得られるか?」を分析したもので、
- 70%は、仕事における自分自身の経験
- 20%は、上司や先輩など他者のアドバイス
- 10%は、研修やセミナー
というものです。成長は圧倒的に「仕事における経験」から得られるということです。マネジメント層の方であれば、感覚的に頷けるものがある比率ではないでしょうか。
「7:2:1の法則」を見ると、『社員を成長させるには仕事の経験が重要だ!社員教育はやらなくていい』と思ってしまう方もいるかも知れません。しかし、それは違います。
「仕事上の経験」から成長するのは事実です。しかし、“経験”が“成長”となるためにはステップが必要です。
人事の方であれば、人が経験から学ぶステップを表した「コルブの経験学習モデル」をご存知の方も多いでしょう。コルブの経験学習モデルは、「経験が学び」になる4ステップを表しており、
- 経験 : 具体的な経験をする
- 省察 : 経験を振り返る
- 概念化: 学びとして抽象化する
- 試行 : 学びをもとに試してみる
で表現されます。例えば
2)省察 「出張でいつもより早い時間に起きる必要があったのに、タイマーがいつも通りの時間だった」
3)概念化 「朝からの予定はカレンダーに入れる時に“目覚ましのセット”を一緒にしよう」
4)試行 「来週に予定された朝からの緊急会議向けに、目覚ましをセットする」
といった形です。「仕事における経験」は重要ですが、経験するだけでは、学びになりません。「省察:振り返り」⇒「概念化:次に使えるように咀嚼する」⇒「試行:試してみる」という3ステップがないと“経験しただけ”で終わってしまいます。
だからこそ、経験から学ぶ仕組みを職場に取り入れたり、時には研修を通じて中長期での振り返りをしたりすることが必要です。
研修をはじめとしたOff-JTには新しい知識やスキルを学ぶ、マインドセットするということ以外に上記のように「振り返って経験を学びにする」という役割もあります。
なお、OJTとOff-JT、それぞれのメリット・デメリットに興味があれば、以下の記事を併せてご覧いただくことがおすすめです。
社員が育つ環境作りをしている企業の事例
上記を取り入れて、社員教育の環境作り、学ぶ文化を作っている事例として、サトーの「3行日報」、物語コーポレーションの「発言しないといけない組織」を紹介します。
【サトーの「3行日報」】
プリンタや自動認識装置を製造するサトーグループでは、全社員が毎日、経営トップに対して、1日の顧客接点や仕事での気づきを、「会社を良くするため改善提案」として3行(127文字)の日報で提出するという仕組みがあります。
1日の終わりに「1日を振り返る(省察)⇒発見や気づきを考えて改善提案にする(概念化)⇒提案として提出する(空想上の試行)」というサイクルを回しているわけです。
現場で起こる日々の発見や顧客の変化、予期せぬ成功や失敗を経営トップに上げて、施策を打っていくための仕組みですが、同時に社員教育として、社員一人ひとりが自ら学び成長する環境を生み出している事例です。
【物語コーポレーションの「発言しないといけない組織」】
焼肉やラーメンなどの飲食店をチェーン展開する物語コーポレーションでは、年齢も役職も関係なく「参加者全員が会議で意見を言わなければいけない」ことが徹底されています。従って、会議に参加する社員は、何を発言するか常に考える必要があります。
「自分なりの意見を考える」習慣というのは、「日々の現場で、気づきがないかのアンテナを立てる」意識です。
これも経験学習モデルにおける“省察(振り返り)”と“概念化(気づきや提案にする)”を促進している事例と言えます。






