『7つの習慣』ミッション・ステートメントを作成して自分の中心を明らかにする手順とポイント

更新:2022/06/22

作成:2021/12/22

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

スティーブン・R・コヴィー博士が著した『7つの習慣』は、全世界で4000万部、日本国内でも240万部の売上げを誇る大ベストセラーです。『7つの習慣』がテーマとしているのは、長い人生で長期的・継続的に望む結果を手にし続けるための原理原則です。

 

『7つの習慣』は小手先のテクニックで成功を手に入れようといった主張とは一線を画します。人間の「あり方」に迫る重みのある内容を主軸にしているからこそ、世に出てから何十年も経った今でも色あせることなく、また国や文化を超えて広く支持を集め続けています。

 

記事では、『7つの習慣』第2の習慣で登場する「ミッション・ステートメント」をテーマに、ミッション・ステートメントの概要や価値、また作り方の手順やポイントを紹介します」。

<目次>

ミッション・ステートメントは?概要と作成のメリット

最初にミッション・ステートメントの概要、そして、ミッション・ステートメントを作成するメリットを解説します。

 

ミッション・ステートメントとは?

ミッション・ステートメントは、「私たちがどんな人生を生きるか?」という意思を文章やビジュアルとして形にしたものです。

 

<ミッション・ステートメントの例>
ミッションステートメントの作成例
ミッションステートメントの作成例
ミッションステートメントの形式は自由です。写真などを中心に作成しても良いでしょう。本記事では作成しやすいような形でテーマ、想いや価値観、実践したい行動という3区分、文字だけで作成した事例を紹介します。

 

 

ミッション・ステートメントが登場するのは『7つの習慣』第2の習慣「終わりを思い描くことから始まる」です。第2の習慣は「すべての物は二度つくられる」という原則に基づいた習慣です。

 

世の中のあらゆるものは、まず頭の中で想像され、実際に形あるものとして創造されます。コヴィー博士は、最初に頭の中で行われる想像のことを「知的創造」、実際の形に作られることを「物的創造」と言っています。

 

例えば、家を作るとき、はじめに頭の中で「どんな家にしたいか?」「どんな生活を過ごすための家なのか?」「誰が住むのか?」「生活のなかで何を大切にしたいのか?」といったものを考えて設計図という形にします。これが第一の創造、知的創造です。そのうえで、整地して基礎を固めて実際に家を建てていくというプロセスが始まります。これが第二の創造、物的創造です。

 

私たちが何かをつくるとき、知的創造をしっかりと明確にすればするほど物的創造はスムーズになります。逆に、知的創造をしなかったりいい加減にしたりすると、物的創造は大変になり、完成するものの質も下がってしまいます。例えば、設計図を書かずに、もしくはいい加減な手書きのメモだけで家を建て始めることを想像すれば、知的創造の質が物的創造や完成物に影響することをイメージできるでしょう。

 

私たち一人ひとりにとって、最も偉大な創造物とは何でしょうか。それは自分自身の「人生」です。ミッション・ステートメントは、自分の人生の本質を文章などで表現したものです。どのような人間になりたいのか、何をしたいのか、どんな価値観を大切にしたいのかが表現されたミッション・ステートメントは、私たちにとっていわば人生の憲法ともいえる存在であり、自分が望む人生を生きるということに対する知的創造です。

 

ミッション・ステートメントを作成するメリット

私たちが人生を過ごすうえで、目指すべき目的地や理想とする自分の姿があります。しかし、私たちは仕事や私生活、子育てなど、日々の忙しさに意識が流されてしまうと、自分が目指す目的地や方向を容易に見失ってしまいます。

 

しかし、目的地や理想、判断基準をミッション・ステートメントとして表現することで、私たちは日々の行動や意思決定を一貫した軸に沿って実施することが可能になります。結果として、自分が目指す目的地に迷わず自信をもって進むこともできるでしょう。

 

ミッション・ステートメントは、日々の忙しさのなかで、自分にとって何が最も重要なのかという優先順位も教えてくれます。また、ミッション・ステートメントがあることで、試練や困難にぶつかったときも、自分が大切にしたい価値観に従って行動することができるでしょう。感情に流されたり起こった状況にうろたえたりすることも減ります。

 

ミッション・ステートメントとは自分の中心を明らかにするもの

ミッション・ステートメントは、私たちの人生の「中心」軸を明らかにするものです。例えば、家族中心の人生であれば、家族の期待に応えることで心が安定します。家族を大切にすることは素晴らしいことです。しかし、家族が人生の「中心」になってしまうと、自分の夢や目標、機嫌までを家族に依存してしまうことになります。

 

同じように、人生が仕事中心になると、自分の勤める会社や仕事内容が自分の価値を決めるようになってしまいます。「会社に求められているか」「仕事に必要か」など、会社や仕事に自分の行動が影響されることになります。

 

このように、家族や会社、友人、お金……などなど、何を中心に置くかによって私たちの行動も人生は大きく左右されます。『7つの習慣』では、私たちが望む結果を手に入れるために大切な普遍的なルールを「原則」と呼びます。自分自身の原則となるミッション・ステートメントは、心の中心に据えることによって、私たちは自分のミッションや価値観に従って行動することができるようになるでしょう。

ミッション・ステートメントを作成する流れとポイント

本章では、個人がミッション・ステートメントを作成するための流れとポイントをお伝えします。HRドクターではミッション・ステートメントのフォーマットを無料で提供しています。以下のページからダウンロードできるので、フォーマットを手元に置いてご覧いただくとさらに理解が深まるでしょう。

1.ささげられたい言葉は?

まず「ささげられたい言葉」というワークを通じて、自分にとっての大切な人や価値観を考えていきましょう。

 

私たちは人生でさまざまな人間関係を持ち、その中でいくつもの役割を果たしています。最初に、家族、恋人、友人、恩師……など、みなさんにとって大切な人を思い浮かべてください。思い浮かんだ相手に対するあなたの役割(妻・夫、友人、父親・母親……)と、役割を果たす相手の名前(〇〇さん)を書き出していきましょう。

 

役割と大切な相手を書き出したら、次にあなたが亡くなったとき、それぞれの相手から「どんな人だった」と言われたたいか、“ささげられたい言葉”を想像してみてください。相手から見て、どんな人、何を大切にしている人、何を成し遂げた人だと言われたいでしょうか。

 

想像できたら、名前の隣にその言葉を書き出しましょう。きれいな文章を書こうとする必要はありません。手を動かしながら考えていきましょう。自分が亡くなったとき、大切な人にかけて欲しい言葉は、あなたが人生で成し遂げたい貢献や価値観、目的地に深くつながったものになるでしょう。

 

2.誰が喜んでくれるか?

あなたの“仕事”は、誰にどんなふうに喜んでいただける仕事なのでしょうか。仕事を通じて誰に何を与えているでしょうか。2つ目のワークでは、“仕事”を通じて貢献したい相手と、貢献したいことを考えていきます。“仕事”とは誰かへの貢献であり、誰かの喜び・幸福につながっています。普段の仕事で貢献できる相手と貢献できることを具体的に想像することで、貢献実感は高まり、仕事の意義や目的が一層明確になるでしょう。

 

3.自分自身を深く理解するための質問

自分自身を深く理解するための質問に答えていきます。

 

・あなたの自分らしさとは何ですか?
・あなたが欲しいものは何ですか?
・あなたの才能は何ですか?
・あなたがやりたいことは何ですか?
・あなたに向いていることは何ですか?
・あなたにとって一番大切なものは何ですか?
・今までの人生で、最も尊敬もしくは憧れる人は誰ですか?それは、何故ですか?
・余命1年と宣告されたら、何をしますか?
・あなたは何をもって「成功」としますか?
・今までの人生で、最も影響を受けた人は誰ですか?どんな影響を受けましたか?
・お金も時間も自分の意のままになるとしたら、何をしますか?
・あなたは何をもって「幸せ」としますか?

 

どれも正解がある問いではありません。“ささげられたい言葉”などと同じようにまずは単語でもよいでしょう。手を動かしながら自分自身と対話していきましょう。自分との対話を通じて、心の中にある価値観や目的地への道筋もはっきり見えてきます。

 

4.ミッション・ステートメントの作成

1~3の問いに答えていくことで、ミッション・ステートメントを作成する準備が整うことでしょう。書き留めた質問への答えを参考にしながら、ミッション・ステートメントを言葉にしていきましょう。

 

・どんな人生を過ごすか?
・人生で何を成し遂げるか?
・何を大切にして生きるか?

 

自分の考えを「宣言」として落とし込んでいきます。最初の挑戦で完成に至らなくても、書き上げるプロセスに意味があります。心に浮かんだものを文字に落とし込んでいきましょう。

 

5.ミッション・ステートメントを作成して効果的にする2つのポイント

まず、ミッション・ステートメントを作るときは、誰にも邪魔されない環境を用意し、時間に余裕を持って行なうことをおススメします。最低でも2~3時間、リラックスして考えられるスケジュールと場所を確保しましょう。図書館、静かな喫茶店、ホテルの一室、アウトドアでやる人もいます。

 

また、ミッション・ステートメントは一回書き終えたら完成ではありません。境遇の変化や自分の成長とともにミッション・ステートメントは少しずつ変わることもあります。定期的に静かな環境へ赴き、そのときの心と向き合ってミッション・ステートメントに反映して、新たな要素を加えたり、言い回しを変えたりしましょう。

 

ミッション・ステートメントと向き合って磨き続けることで、体裁が整い、より納得のいくものができ上がります。

まとめ

書籍『7つの習慣』で紹介されるミッション・ステートメントは、

 

・どんな人生を過ごすか?
・人生で何を成し遂げるか?
・何を大切にして生きるか?

 

といった自分自身の望む人生、価値観をビジュアルや文字などで表現したものです。

 

『7つの習慣』でミッション・ステートメントが登場するのは、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」です。第2の習慣では、何かをうまく作り上げたいなら、実際に作り始める(物的創造)の前に、何を作るのかを明確かつ詳細に思い描く(知的創造)ことの大切さを伝えています。

 

ミッション・ステートメントを通じて、望む人生や価値観を言語化することで、私たちはぶれない判断基準を手に入れ、人生において一貫した意思決定を下していけるでしょう。

 

ミッション・ステートメントを書き上げる過程は、自分の人生、役割、大切な人、価値観などについて自分自身と対話するプロセスです。今回の記事が、望む人生を鮮明に表現したミッション・ステートメントの作成、そして、望む人生を過ごすことに少しでもお役に立てば幸いです。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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