
ジョハリの窓を活用することで得られる効果はいくつもあります。本項では代表的なメリットを3つ解説します。
自己理解が深まる
私たちは往々にして、「自分のことは、自分が一番よくわかっている」と思いがちです。しかし実際には、必ずしもそうではありません。周囲の人のほうがずっと、自分の特性をよく知っていることも多いのです。
ジョハリの窓でいえば、自分がわかっている自分は「開放の窓」「秘密の窓」の領域です。自分では気付いていない領域、「盲点の窓」「未知の窓」に思わぬ特性があるかもしれません。
自分を客観視するのが得意ではない人の場合、自分自身に対する見え方と他人からの見え方に大きなギャップがあることも少なくありません。ジョハリの窓を使うことで、他人から自分がどう見えているかを把握できます。
また、もともと知っている自分の特性も、あらためて言語化することでより明確に理解できるでしょう。ジョハリの窓を使うと、こうしたプロセスを通じて自己理解が深まっていきます。
チームのコミュニケーションが円滑になる
ジョハリの窓は、組織内の人間関係をより良くするのにも役立ちます。チームでジョハリの窓を使ったワークに取り組み、メンバー各自が自分の開放の窓を広げることができれば、チームのメンバーがお互いのことをより深く理解できるようになります。
メンバー一人ひとりの自己開示が進み、自然な自分を出せる割合が増えれば、チームのコミュニケーションはより円滑になります。欠点も含めて自分らしさを開示し合える組織、つまり心理的安全性の高い組織になれば、生産性向上も期待できるでしょう。
対人関係スキルが向上する
自己開示が進み、開放の窓が拡大している状態は、恐怖や不安を感じずに自分自身をオープンにできている状態だといえます。オープンということは、自己を受容できており、自己肯定感が向上しやすい状態です。こうした状態では、対人関係における回避的な行動が減り、躊躇なく他者とコミュニケートできるようになります。
また、ジョハリの窓を通じて自分自身を客観視できるようになれば、他者を不快にさせたり傷付けたりする言動のコントロール・改善にもつながります。今まで無自覚的にそういった言動を取ってきた場合には、対人トラブル削減の大きなきっかけとなるでしょう。
自分の心の解放度や自己開示を把握できる
4つの窓の相対的な大きさの違いは、自分が周囲に対して「どれぐらい心を開けているか?」という心の開放度や自己開示レベルを示すものでもあります。前述の通り、「秘密の窓」が大きい場合、周囲に対して十分に心を開いていない、自分の一部しか見せていないような状態です。
自己開示のレベルから、普段のコミュニケーション傾向を推測することも可能です。自己開示とコミュニケーションの関係は、心理学の「返報性の法則」から推測できます。
例えば、「開放の窓」が大きく、何でもオープンに話す人の場合、返報性の法則が働き、コミュニケーションの相手も同じように自分を開示してくれることが増えます。互いに自己開示し合えば、信頼関係は高まりやすく、仕事での連携や意見交換などもしやすくなるでしょう。
これに対して、例えば「開放の窓」が著しく小さい一方で「秘密の窓」がとても大きい場合、ほかのメンバーに心を開いていない状態です。
自分が周囲に心を開いていないと、その状態は雰囲気として伝わるものです。相手からの自己開示も少なくなり、関係がぎくしゃくしたり表面的な関係性になってしまう、周囲との関係は縮まりづらくなります。ある意味で「自分を偽っている」「隠している」こともストレスの要因となります。
ジョハリの窓を使うことで、自分のコミュニケーション傾向や他者との信頼構築などへの気付きも得て、改善を図れます。
自己開発に役立つ
「盲点の窓」は「自分自身ではそう思っていないけど、他人からはそう見えている自分」です。盲点の窓をきちん自己認識して、開放の窓に統合していくことで、人間関係やコミュニケーションの改善につながります。
また、盲点の窓に入ってきたものが短所やネガティブなものである場合、自覚することで自己開発に取り組めるようにもなります。
盲点の窓に出てくる内容は、ほかのメンバーの主観や思い込みである可能性もあります。一方で、自分では「できている/やっているつもり」でも、他メンバーからすれば「できていない/やっていない」のかもしれません。盲点の窓の内容は、相手や内容によっては「そんなのは自分ではない」と反発したくなることもあるでしょう。
ただし、真実がどうであれ「相手からそう見えている」ことは事実です。「相手からそう見えている」ことを受け入れて、ギャップやズレを解消しようと努めることで、成長のきっかけやメンバーとの関係改善につながっていくでしょう。