人を動かすリーダーとは?特徴と必要スキル、身につけ方を解説

人を動かすリーダーとはどのような振る舞いができる人でしょうか?
さまざまな組織において、リーダーは組織目標を達成したり、プロジェクトを成功に導いたりすることが求められます。

 

異なる価値観を持った人たちをまとめ、物事をきちんと進行することは決して簡単な事ではありません。

 

特に、IT活用が進み、かつ、外部環境の変化も激しい現代社会では、リーダーに求められるスキルや資質も高度化しています。

 

しかし、メンバーを動機づけ協力しながら組織やチームの目標を目指すというリーダーの役割は、いつの時代でも変わることはありません。

 

リーダーの役割とは、いわば「人を動かす」ということでもあるのです。

 

本記事では、人を動かせるリーダーの特徴や必要なスキル、そして人を動かすリーダーになるために大切なポイントを解説します。

<目次>

人を動かすリーダーが備えている特徴

リーダーとして成功するためには、人を動かす技術が求められます。

 

人を動かすうえでは、分かりやすい指示といったことが基礎になりますが、そのうえで、相手の気持ちやニーズに応えて信頼を得ながら、相手が自発的に行動するように導いていくことが求められます。

 

本章では、そんな「人を動かすことのできるリーダー」が備えている5つの特徴を解説します。

1.他者に誠実に接することができる

人を動かすリーダーが持っている大きな特徴は、誠実さです。

 

人に対して誠実に接するとは、表面的なお世辞を言ったり、嘘やごまかしをしたりせず、相手に対して正直であり続ける態度です。

 

また、言行一致しており、言葉にしたことをきちんと実行するといった姿勢です。誠実さは、リーダーシップを発揮するために必要な根本となる人格です。

 

誠実なリーダーは、自分の言動や行動に責任を持ち、約束やルールを守ります。他人に対しても、その場しのぎや口先だけの態度ではなく、正面から向き合って接します。

 

だからこそ、相手から信頼されますし、ときには相手の耳に痛いことなどを伝えるときに信用されるのです。

2. 相手の立場に立って考えられる

人を動かすリーダーは、自分の考えや意見だけを考えるのではなく、相手の立場に立って考えることもできる人物です。

 

人を動かせるリーダーは相手の気持ちや思考、感情、価値観などを理解することに心血を注ぎます。相手の立場に立って考えることで、相手に対する共感や理解が深まり、心の距離もグッと近づきます。

 

組織として必要な指示やメンバーの成長に必要な指摘をするときにも、相手のことをキチンと考えるからこそ、相手が受け入れられるような伝え方を工夫することが出来ます。

3. 相手の強みや長所を見抜き認める

人を動かすことが出来るリーダーは、同僚やチームメンバーに対して、相手が持っている能力や特性、成果などを見抜き、引き出すことに長けています。

 

この世に万能な人物など存在しません。誰もが完ぺきではなく弱みを持っているものです。

 

だからこそ、弱みではなく強みにフォーカスして、強みを組み合わせることが出来れば、組織としては非常に強い力を発揮することが出来るのです。

 

強みを活かすことが出来れば、人の自己効力感は高まり、モチベーションもあがります。

 

人を動かすリーダーは、強みに着目することで、他者を心から褒めることも得意です。

 

褒められた相手は自信や満足感が高まると共に、自分を褒めてくれた人に好意や感謝を抱き、協力的な態度を示すでしょう。

 

褒めることは、相手のパフォーマンスと関係性を向上させることにもつながります。

4. 相手の自主性や責任感を引き出す

人を動かすリーダーは、相手に自主性や責任感を引き出すことが得意です。自主性や責任感を引き出すには、相手が自分で考えて決断するように仕向けることが大切です。

 

自分で考えたアイディア、決めた目標や計画だからこそ、結果に対して責任を持てるようになります。

 

リーダーの関わりを通じて、相手は自分の仕事に対する関心や意欲が高まります。それだけでなく、自分で考えて行動させることで、自分の仕事に対する達成感も得られるでしょう。

 

自主性や責任感を持たせることで、パフォーマンスUPだけでなく、結果として相手の成長や能力向上を実現できます。


5. 相手の悩みや困難に寄り添って支援できる

人を動かすリーダーの最後の特徴は、相手の悩みや困難に寄り添って支援できることです。

 

寄り添って支援するとは、相手が抱えている悩みや課題、障害などを理解・共感し、解決のために必要な支援をすることです。

 

このようなリーダーシップを発揮することで、相手は安心感や勇気を得ることができます。必要なアドバイスや支援を与えることで、相手は問題や困難を乗り越えることが可能になります。

人を動かすリーダーリーダーに求められるスキルとは?

前章では、人を動かすリーダーが備えている特徴を解説しました。本章では、人を動かすリーダーに求められるスキルを紹介します。

ゴールを設定する力

高い成果を生み出すには、向かう先であるビジョンや目標(ゴール)が必要です。

 

目標(ゴール)は、設定すれば何でも良いわけではありません。チーム全員をワクワクさせ気持ちを奮い立たせるようなビジョンやゴールであることが大切です。

 

メンバーの気持ちを奮い立たせ、動機付けるには、「ワクワクする」「達成したいと心から思える」といったビジョンを先頭に立って掲げることが求められます。

 

同時に、そのビジョンに近づくための行動計画を考えるための具体的、現実的な目標やゴール設定も重要です。人を動かすリーダーには、ビジョンや目標・ゴールを適切に設定する力が求められます。

コミュニケーションスキル

組織におけるリーダー(“トップ”という意味でのリーダー)は、人を動かして成果をあげることが求められます。

 

従って、人と信頼関係を築き、人を動かすコミュニケーションスキルは不可欠です。

 

人を動かせるリーダーになるためには、自分の考えや意図を誰にでも分かるように伝える力、また、相手の気持ちや状況を理解し共感しフィードバックし、信頼関係を築くコミュニケーションスキルが求められます。

問題解決スキル

目標に向かって邁進するうえで、チームは様々な困難やハードルに直面します。問題にぶつかったときこそ、リーダーシップが求められます。

 

「困難やハードルを乗り越えるのだ」というリーダーの姿勢が、メンバーの気持ちを奮い立たせます。

 

そのうえで、単なる根性論ではなく、現実的に問題解決する施策を考える能力が求められます。何が問題か?をきちんと設定するスキル、また、解決策を考える思考力です。

 

そして、考案した施策に周囲の人を巻き込んで実行できる実行力も求められます。

人を動かすリーダーになるために大切なこと

ここまで人を動かすリーダーが備えている特徴と求められるスキルについて解説しました。

 

お伝えした内容は、一朝一夕では身に付けることのできないものですが、どんなリーダーも最初から完璧なリーダーだったわけではありません。

 

本章では人を動かすリーダーが備える要素を身に付けるために大切なポイントをお伝えします。

1.「他者に誠実に接することができる」ようになるためには?

他者に誠実に接することができるようになるためには、以下に挙げたポイントが大切になります。

  • ・自己認識を高める
  • ⇒自分自身の価値観や信念を明確にし、自分が何を大切にしているかを理解することが重要です。自己認識が高まることで、自分自身がどのような人間であるかを把握し、不完全な自分自身を受けいれ、同じように不完全に他者に対しても誠実に接することがたやすくなるでしょう。
  •  

  • ・約束やルールを守る
  • ⇒約束やルールを守ることは、誠実さの象徴です。自分自身が約束したことやルールを守り、他者にも同じように求めることで、信頼関係を築くことができます。
  •  

  • ・言葉と行動を一致させる
  • ⇒言行一致も誠実さの表れです。リーダーの言っている事と行動が食い違っていれば、相手から信頼されません。言葉通りに行動することで、周囲からの信頼を得ることが出来るでしょう。

以上の習慣や取り組みを意識することで、他者に誠実に接し信頼されるリーダーへと近づいていくことができるでしょう。

2.「 相手の立場に立って考えられる」ようになるためには?

相手の立場に立って考えるためには、まず視点の違いを理解することが大切です。

 

人はつい自分を基準にして考えてしまいがちです。しかし、人は持っている情報の違い、そして、価値観、経験、立場などから、1人1人異なるように考えるものです。

 

この大前提を理解することが大切です。

 

そのうえで、相手の視点を想像する習慣が重要です。相手が何を考え、どう感じているかを想像することで、相手の立場に立って考えることに近づきます。

 

その際には、相手の言葉や表情、仕草などからも理解するための手掛かりをつかめるでしょう。

 

想像が正しいかを確認する、想像や推論する力を高めるためには、積極的に相手に質問をする、つまり実際に聞いてみることも大切です。

3.「相手の強みや長所を見抜き認める」ができるようになるためには?

相手の強みや長所を見抜き認めることは、リーダーにとって非常に重要なスキルの1つです。

 

強みにフォーカスすることで、チームメンバーの自己効力感を高め、モチベーションを向上させることができます。

 

また、メンバーの強みを活用することで、組織としても非常に強い力を発揮することができます。

 

強みや長所を見抜くためには、まず強みや長所に対する言葉のレパートリーを持つことが大切です。そして、相手の強みや長所を知ること、そして、活かすという3ステップになります。

 

3つのステップを進めるうえで、ストレングス・ファインダー®の診断や考え方が非常に参考になるでしょう。

4.「相手の自主性や責任感を引き出す」ようになるためには?

「相手の自主性や責任感を引き出す」ためには、以下のような習慣や取り組みをすると効果的です。

  • ・相手に考える機会を与える
  • ⇒リーダーが一方的に伝えるのではなく、相手に考える機会を与えることが大切です。例えば、会議の場で、自分の意見を述べる前に、まずは相手に自分の意見を述べさせることで、自分で考える機会を創り出すことができるでしょう。
  •  

  • ・相手のアイディアや意見を尊重する
  • ⇒相手のアイディアや意見を尊重することも重要です。人間は自分で考えたアイディアや意見だからこそ、責任感を持って取り組むことができます。また、相手のアイディアや意見を尊重することで、自己肯定感も高まります。
  •  

  • ・責任を持たせる
  • ⇒相手に実際に責任を持たせることで、自主性や責任感を引き出すことができます。目標設定の際に、まずは相手が自分で目標を考えさせる、プロセス計画を作成させるといったことです。もちろん適切なものになるように、アドバイスや誘導は必要です。

以上のような習慣や取り組みを行うことによって、相手のパフォーマンスUPだけでなく、成長や能力向上を実現することができるでしょう。

5「相手の悩みや困難に寄り添って支援できる」ようになるためには?

「相手の悩みや困難に寄り添って支援できる」ようになるためには、以下に挙げたことを意識して取り組むと効果的です。

  • ・相手の気持ちに共感する
  • ⇒相手の悩みや困難に寄り添うためには、相手の気持ちを理解し、共感することから始める必要があります。相手が抱える問題や課題について、真剣に向き合い、共感することで、相手が安心感を持ち、こちらに心を開いてくれる可能性が高まります。
  •  

  • ・相手の話を聴き、質問を投げかける
  • ⇒相手の話を聴くことも大切です。相手が話す内容を注意深く聴くことで、相手の気持ちや状況を正確に把握することができます。その上で適切な質問を投げかけることで、相手の状況やどんな支援を求めているのかも分かってくるでしょう。
  •  

  • ・助言や支援を提供する
  • ⇒相手が抱える問題や課題を理解した上で、必要なアドバイスや支援を提供しましょう。ただし、相手自身で問題を解決できるように、あくまでもサポート役としての立場を意識しましょう。

まとめ

今回は、人を動かせるリーダーの特徴と求められるスキルについて解説しました。

 

人を動かすリーダーになるためには、何よりもまずリーダー自身が周囲の模範になることが不可欠です。そのための実践行動や大事な習慣についても、記事の中でお伝えしました。

 

これらのポイントは、日々のコミュニケーションやフィードバック、研修などで身につけることができます。

 

日々の積み重ねを通じて、人を動かすことのできるリーダーへと、着実に近づいていくことでしょう。

 

HRドクターを運営するジェイックでは、人を動かすリーダーとなる上で役に立つデール・カーネギー研修を提供しています。ご興味あれば、ぜひ以下よりご覧ください。

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
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