新人研修はテキストを上手に活用しよう!資料作成のポイントと事例を紹介!

更新:2023/07/28

作成:2021/07/08

高嶋 阿由里

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

新人研修はテキストを上手に活用しよう!資料作成のポイントと事例を紹介!

新人研修は、新卒採用を行なう企業であれば、殆どの企業が実施しています。教育内容が多岐にわたる新人研修では、研修効果を高めるには、見やすく分かりやすいテキストを利用することも大切です。

 

記事では、効果的なテキストを作成する際のポイントを解説します。また、HRドクターを運営する教育研修会社JAICが使用するテキストも事例として紹介しますので、参考にしてください。

<目次>

新人研修のテキストとは?

勉強するビジネスマン

新人研修のテキストとは言葉のとおり、新人研修(新入社員研修)で用いられるテキストです。

 

ここでいう、新人研修は、新卒で入社した社員に対して実施されるものであり、自社で成果を上げることができる一人前のビジネスパーソンを育成することが目的です。

 

対象となる新人の中には、「つい昨日まで学生として過ごし、まだ社会人としての自覚を持てていない」という新入社員もいるでしょう。従って「プロのビジネスパーソンとしての意識づけ」をすることも新人研修の大きな役割です。

 

新人研修では、他にも

・自社の沿革、ミッション・ビジョン・バリュー、組織構成や商品サービス

・ビジネスパーソンとしての基礎スキル

・各職種や業務で成果を上げるための業務スキル

 

など、教えるべき内容が非常に幅広く、新人が覚えなければならない知識やスキルも多岐にわたります。従って、研修の際にはより分かりやすく知識やスキルを習得させるためにテキストを用いることが一般的です。

 

しかし、どのテキストを使っても効果は同じというわけではありません。より見やすく分かりやすい、クオリティの高いテキストを使用することで、研修効果を高めることができます。

 

また、テキストの品質を高めることは、研修後やOJTの際、新人自ら振り返れるようになり、知識やスキルの定着を助けることにもなります。

自社テキストと市販テキストはどちらが良いか?

比較するビジネスマン

新人研修で重要な役割を持つテキストですが、「社内で内製するのが良いか、それとも市販のものを買うのが良いか」と迷う方もいらっしゃるでしょう。本章では、自社で内製するテキストと市販のテキスト、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

 

 

自社テキストのメリット・デメリット

自社でテキストを作成する場合のメリットは、自社の「価値観」や「用語」「重視していること」などをテキストに反映しやすいことです。これにより、自社に合った教育が行ないやすくなります。

 

一方で、テキストを作成するために大きな労力がかかることがデメリットとして挙げられます。

 

 

市販テキストのメリット・デメリット

市販のテキストは、新人育成のプロが企画・作成し、多くの運用を経てブラッシュアップされている点がメリットです。つまり、もともとテキストとしてのクオリティが保たれているということになります。

 

一方で、市販のテキストは共通要素のみが反映されているケースが殆どです。そのため、業界固有の慣習や自社の実態などは反映されていません。この点がデメリットといえるでしょう。

 

 

研修内容によって両者を使い分けることがおススメ

「自社作成のテキストと市販テキスト、どちらが良いのか?」という問いの結論としては、研修内容に応じて使い分けるのがおススメです。

 

ビジネスマナーや敬語など、共通する一般的要素の学習には、市販のテキストが向いています。市販のテキストであれば、完成度の高いものを簡単に手に入れることができるでしょう。逆に、ミッションやビジョン、社内用語、商品やサービスなどの学習には、自社で作成したテキストがおススメです。

 

なお、研修で使うことを主眼におくのであれば、自社作成か市販かを問わず、図解が多く書き込みがしやすいテキストが良いでしょう。

 

逆に、新人が自己学習したり振り返ったりすることを主眼におくのであれば、内容が充実しているテキストがおススメです。例えば、秘書検定の参考書は、新人が身に付けるべきビジネスマナーや敬語などが一通り網羅されています。新人研修に特化したものではありませんが、そういった意味では研修のテキストとしても活用できるでしょう。

自社で新人研修(新入社員研修)のテキストを作成する際のポイント

自社で新人研修のテキストを作成する際は、以下のステップで作成していきましょう。

 

<作成ステップ>
  1. 研修内容の骨組みを作成
  2. 投影資料を作成
  3. 投影資料を基にテキスト教材を作成

 

それぞれのステップでのポイントを見ていきましょう。

 

 

1.研修内容の骨組みを作成

自社でテキストを作成する場合、まずは研修全体の流れ・投影資料を作成してからテキストを作成することがおススメです。

 

研修内容の骨組みを作る際は、何のために実施される研修かという目的、目標や研修を終えたときの状態から設計して、次に習得させるべき内容を書き出します。そこから研修の流れや時間配分へと進んでいくことがおススメです。

 

 

2.投影資料を作成

研修の骨組みができてきたら、次は投影資料を作成します。投影資料とは、研修時にプロジェクターなどで移す資料です。投影資料を作る際も、いきなりパワーポイントなどで作り始めると、箇条書きで内容を詰め込んでしまいがちです。

 

1スライド1メッセージを基本として、適度に図やイラストを交えて視覚的に分かりやすくしていくことがおススメです。

 

 

3.投影資料を基にテキスト教材を作成

最後に、投影資料をベースにしてテキストを作成します。投影資料をベースにすることで、話す内容とテキストに一致感が生まれます。また、投影資料では情報量が精査されているため、メモや書き込みをするスペースも取りやすくなるでしょう。

 

投影資料をそのまま配布するのではなく、意図的に内容を削って書き込ませるようにするといった工夫も、集中力を保つうえで有効です。ただし、書き込む量を増やし過ぎるとメモを取ることに時間を取られてしまい、研修が進行しにくくなりますので、重要なポイントのみ空白にすることがおススメです。

 

投影資料ベースの内容に加えて、チェックリストや事例などもテキストに盛り込んでおくのもおススメです。こうすることで、新人自身が振り返りや自己学習しやすくなります。

 

作成したテキストは、使用する前に必ず第三者に確認してもらいましょう。誤字脱字がないか、研修の意図に沿っているかなどをチェックしてもらうことでテキストの完成度が高まります。

社員研修会社が作った新人研修(新入社員研修)のテキストを公開!

本章では、社員研修会社が作成した新人研修のテキストを実際に紹介します。自社テキスト作成の参考にしてみてください。

 

 

 

“プロフェッショナル”として高い基準を身に付けるための新入社員研修プログラム、「新入社員研修PRO」。全世界で4,000万部を超えるベストセラービジネス書「7つの習慣®」を基にした内容が盛り込まれています。

 

ここからは、「新入社員研修PRO」で使われている研修テキストの一部を紹介します。テキスト作成のポイントを確認していきましょう。

 

 

 

「新入社員研修PRO」のテキスト(スライド)では、このように意図的に内容を削っています。こうすることで、受講者自身が書き込みをするように促し、知識の定着率を上げる工夫をしているのです。

 

なお、画像のように内容を削っているのは重要なポイントのみ。必要な部分はしっかりと情報を充実させています。

 

 

 

 

新人研修においては、座学だけでなくワークも重要です。テキストは、単に教える内容だけを盛り込めば良いわけではありません。ワークを実施する際には、自分の意見を考えて書き込むスペースを設けることで、発言しやすくなる、また、周囲の意見からの気づきを書き込めるようになります。

 

 

 

 

チェックリストなどは後々使える形で盛り込んでおくことが、現場での実践や振り返りに役立ちます。また、ケーススタディーなどもテキストに書き込んでおくことで、ワークが実施しやすくなります。

 

 

 

 

用語説明や事例紹介ばかりでは、どうしても長文のページになりがちです。テキスト内には、箇条書きや、写真・イラスト・図表といったビジュアルを適時挟んでいきましょう。

 

テキストだけの構成よりも、箇条書きやビジュアルがあるほうが読んでもらいやすく、記憶にも残りやすい傾向にあります。

 

 

仕事の基礎の基礎

 

学生から社会人へのマインドチェンジに最適な研修「仕事の基礎の基礎」。挨拶やコミュニケーション、ビジネスマナー、ホウ・レン・ソウといった、社会人としての基礎と心構えを新入社員に身に付けてもらえる研修プログラムです。

 

ここからは、「仕事の基礎の基礎」で使われている研修テキスト(スライド)の一部をご紹介します。実際のスライド画像を見ながら、テキスト作成のポイントを確認していきましょう。

 

 

 

 

テキスト内において、大切なポイントを空欄にするなど意図的に内容を削ることで、受講者自身に書き込ませるよう工夫されています。

 

 

 

研修と併せて使うテキストであれば、各章の終わりなど一区切りつくタイミングでメモを挟むことも有効です。質疑応答の内容や振り返りのワークを行なうときに書き込むスペースとなります。

 

 

 

「仕事の基礎の基礎」のテキストでも、適宜チェックリストを入れています。こうしたチェックリストは、研修後の振り返りに便利です。

 

 

 

 

研修では、単に知識をインプットするだけではなく、自らの意見や意思、決意などを考えてもらう、また文字にしてもらうことも大切です。自分事にする、現場で実践するための仕掛けを研修やテキストに盛り込みましょう。

 

 

 

 

文字ばかりではなく写真・イラスト・図表などのビジュアルを適宜挟むようにすることは前述のとおりです。

 

 

 

 

 

研修後、実務に必要なハウツーなどは「テキストのこの部分を見れば問題なく対応できる」というように、具体的に情報を網羅すると良いでしょう。

まとめ

教える内容が多岐にわたる新人研修では、テキストのクオリティも大切です。研修テキストを内製する場合は以下のステップで作成していきましょう。

 

  1. 研修の骨組みを作成
  2. 投影資料を作成
  3. 投影資料を基にテキスト教材を作成

 

このステップで作成を進めると、研修と併せて活用できるクオリティの高いテキストを作りやすくなります。

 

「社員研修会社が作った新人研修(新入社員研修)のテキストを公開!」の章でお見せしたテキストも参考にして、自社に適した新人研修のテキストを作成してください。

著者情報

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

高嶋 阿由里

明治学院大学卒業後、精密機器メーカーに勤務。新規事業をPJとして立ち上げから収益化までを行い、事業部にまで発展させる。その後、住生活関連のベンチャー企業に入社し、人事として社長直下で働いた後、ジェイックに入社。ジェイックでは、講師として受講者に寄り添い、現場でチームメンバーと協働して動ける「自立型人材」を育てる研修に特徴がある。

保有資格

「7つの習慣®」担当インストラクター、アンガーマネジメントファシリテーター、EQPI®トレーナー等

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