新卒採用などで採用人数が10名、エントリー人数が1,000名程度を越えてくると、採用管理をエクセルやスプレッドシートで実施することが煩雑になってきます。
さらに、新卒採用が早期化・長期化・複雑化するなかで、採用管理自体も複雑化しやすい状況です。
こうしたなかで、採用活動が一定規模になると、求職者・応募者を適切に管理、スピーディーかつミスのない採用活動を行なうために採用管理システム(ATS)を導入することが一般的です。
記事では、採用管理システムの概要と必要性、導入目的などの基礎事項を確認したうえで、採用管理システムを選ぶ際のポイントと、おすすめ採用管理システム10選をご紹介します。
<目次>
採用管理システムとは?
採用管理システムとは、採用活動における募集・選考・内定のプロセスを管理し、自社の求人情報、また求職者・応募者情報を一元管理できるシステムの総称です。
いつ、どこのチャネルからどれぐらいの人が応募してきて、誰が誰を選考して、今どのような状況かなど、採用に関するあらゆる情報を一元的に管理できます。
<採用管理システムの主な機能>
- 求人情報の登録
- 求人情報のWeb公開
- エントリーフォームの生成
- 面接日程の管理
- 応募者情報の管理
- 面接官の評価入力
- チャネルやステップ毎のデータ分析
採用管理システムは、英語では「Applicant Tracking System」と呼ばれ、英語の頭文字を取って日本でも「ATS」と呼ばれることがあります。
採用管理システムの必要性と導入目的
近年の採用活動は、新卒採用の早期化・長期化・複雑化にともない、企業側の管理負担が大きくなる傾向にあります。
過去の新卒採用では、全職種一括採用(メンバーシップ型)であり、スケジュールも以下を基本として実施されていました。
- 3月:採用広報の解禁(企業説明会のスタート)
- 6月:採用選考の解禁(実質的な内定出しの解禁)
- 10月:内定出しの解禁(10月1日に内定式開催)
この場合、同時期に形成された母集団から説明会⇒書類選考⇒一次面接⇒……とステップが進み、学生が絞られていくので、応募者の管理もさほど難しくありません。
利用する媒体も昔は1~3個ぐらいの大手採用媒体のみというのが一般的でした。
しかし、近年では、2018年10月に経団連が就活ルールの廃止を発表したことなどもあり、新卒採用の早期化が改めて加速している状況です。
早期採用に加えて、職種別採用やジョブ型採用に取り組む企業も増え、採用管理は複雑化しがちです。
最近では、たとえば以下のようなさまざまなステップの学生を管理する必要が生じていることが多いでしょう。
<例>
- Aさん:大学3年時にサマーインターンシップに参加して早期選考に参加、特別選考で幹部候補コースの選考を進んでいる
- Bさん:早期での幹部候補コースの選考は落ちたが、3月の企業説明会から通常の総合職採用に進んでいる
- Cさん:エンジニア採用向けの説明会に参加後、プログラミング経験があるため、ファストパスで一次選考を飛ばして二次選考に進んでいる
このように、求職者の管理が複雑かつ大変になれば、企業側の負担が大きくなるほか、採用・不採用通知の遅れや、別の応募者にメールを送ってしまうなどのミスも起こりやすくなります。
また、上記ほど複雑な採用は実施しなくとも、冒頭で紹介したとおり、採用人数で10名、エントリー数で1,000名程度になってくると、エクセルやスプレッドシートだけで採用管理(応募ステータスに加えて、チャネル別の効果検証や書類管理、面接の評価管理など)を実施することが困難になってくるでしょう。
最近では、大手就職サイトの相対的なパワーが低下し、特化型の就職サイト、ダイレクトリクルーティング、新卒紹介など、さまざまな採用チャネルを併用することが増えたのも採用管理システムの必要性を高めています。
採用管理システムを選ぶ際のポイント
採用管理システムを使って採用活動を効率化するには、自社の利便性だけでなく、学生側の使いやすさも考慮することが大切です。
母集団形成チャネルとの連携
採用業務を効率化する意味では、母集団形成として使っている求人媒体や人材紹介会社、自社の採用サイトなどと連携できるシステムを選ぶことが大切です。
母集団形成チャネルと連携できれば、求人サイトから自動で応募者データを取り込んだり、人材紹介会社ごとにエントリーフォームを発行して効果検証したりすることが出来ます。
応募者氏名の入力ミスなども解消でき、人事担当者の負担が大幅に削減できるでしょう。
LINE連携
LINEは若年層からビジネスパーソンまでが幅広く使っているプライベートのコミュニケーションツールです。
Instagramへの変遷などもいわれていますが、LINEがメジャーインフラであることは間違いありません。
LINEと連携できる採用管理システムを導入すれば、現在でもメールや求人サイト経由でコミュニケーションを取っている競合との差別化ができます。
コミュニケーションツールをLINEにすることで応募者の返信スピードも格段にアップし、面接日程の調整などもスムーズに行なえるようになるでしょう。
Slack、ZOOMなどの付随ツールとの連携性
日頃業務で使っているツールと連携できると、新たに操作方法を覚えたり、社内連絡を見落としたりすることもなくなります。
たとえば、社内チャットならSlackやChatwork、スケジュールならGoogle カレンダー、ビデオ通話ならZOOMやMicrosoft Teamsなどと連携しているツールが多いでしょう。
料金体系
採用管理システムには、専用のソフトウエアを自社サーバーにインストールする「オンプレミス型」と、インターネット環境で手軽に利用できる「クラウド型」の2種類があります。
現在は月額料金制のクラウド型が主流です。クラウド型の採用管理システムは、管理できる人数やデータ量などに応じて費用が変わります。
また、新卒と中途で費用が区分けされていることも一般的です。
そのため、管理する対象人数が多い、かつ新卒でも中途でも使うといった場合はそれなりのコストになってしまう可能性もあります。
採用管理システムのなかには初期費用が無料のサービスや月額料金が固定されているサービスなどもあるので、自社の管理人数なども踏まえて最適な料金プランのサービスを選ぶことが重要です。
UI・UXの使いやすさ
採用管理システムは、業務内で活用するものだからこそ、使い勝手の良いUI/UXデザインであることが大切です。
もちろん機能性も重要ですが、機能が複雑すぎて採用管理システムを使いこなせなければ、採用活動の効率がさらに低下してしまいます。
また、操作ミスなどからトラブルになる可能性もゼロではありません。
一般的に機能が豊富なシステムほど設定や操作は複雑になりがちです。
多くの採用管理システムには無料のお試し期間が設けられているので、導入前に使いやすさを確認してみるとよいでしょう。
おすすめの採用管理システム12選
以下は、おすすめの採用管理システム12選になります。
それぞれ特徴や機能、料金などが異なるので、自社に合った採用管理システムを比較・検討してみてください。
MOCHICA
応募者の選考日程や結果通知、連絡などをLINEで行なえるLINE連携に強みを持つ採用管理システムです。
ダッシュボードでは応募者の属性やエントリー数の推移、採用進捗などを一目で確認できるほか、管理用のフラグを自由に設定できるので、独自の方法で管理ができます。
採用一括かんりくん
候補者データの収集をはじめ、採用オペレーション業務や進捗確認業務を自動化できるシステムです。
LINEをはじめ、多くのツールと連携できるので、新たに操作を覚える手間も省けます。
sonar ATS
独自の採用フローを作成したり、さまざまなプロセスの自動化設定をできたりするのが大きな特徴で、新卒・中途採用はもちろん、さまざまな採用に対応可能です。
非常に多くの採用媒体とも提携、モバイルチェックインや書類提出管理機能も搭載していて、応募者にとっても使いやすいシステムといえます。
Reworks cloud
LINE連携による採用管理システムで、メールBOXと同様の画面を用いてLINEの送受信ができたり、フォルダ分けをしたりできます。
また、LINE画面の下部にリッチコンテンツを作成でき、学生が定期的に閲覧する仕組みを構築できます。
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応募管理と採用マーケティングに特化した、LINE完結型の採用管理システムです。
採用情報の管理以外に、応募者のアクションに合わせたスコアリングや、採用媒体別の効果測定、トーク画面へのコンテンツ設定など組み合わせることで、応募者一人ひとりに最適なコンテンツ発信ができます。
キャリタスContact
新卒就職メディアが運営する採用管理システムで、「キャリタス就活」「キャリタス就活フォーラム」との連携が可能です。
また、個別Webレクチャーや定期コンサルティングなどのサポートも充実しているので、採用管理ツールを使いこなす自信がない企業にも最適です。
HRMOS採用
ハイクラスの転職サイトで知られるビズリーチが運営する採用管理システムです。
レポート機能やデータ分析機能が豊富で、応募者や面接官、採用費用などのあらゆる傾向を可視化できます。
また、入社後のタレントマネジメント等の連携も特徴です。
ジョブスイート キャリア
1,000社以上の導入実績を持つ、中途採用に特化した採用管理システムです。
募集の掲載をはじめとする60種類の機能を搭載しつつ、設定や使い方はとてもシンプルになっています。
また、導入後も専任スタッフが定期的にフォローしてくれるので安心です。
i-web
「リクナビ」「キャリタス就活」の両者と連携できる採用管理システムです。
独自のオンライン面接プラットフォームや録画面接システム、オンラインセミナー配信システムなどを搭載しており、採用活動を一元的に実施できるのが特徴です。
ジョブカン採用管理
新卒・中途採用以外に、アルバイトなどのあらゆる採用形態に対応している採用管理システムです。
IndeedやGoogleしごと検索と自動連携できるほか、管理画面上でLINEのやり取りもできます。
HITO-Manager(ヒトマネ)
「HITO-Manager」は、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社が運営するアルバイト・パートの採用管理システムです。応募者の一元管理機能や自社採用ページの作成機能に強みを持ち、採用業務の効率化、採用コストの最適化、応募数・採用数の向上ができます。
主要な求人検索サイト、特にIndeedを含む様々なサイトとの連携が確立されており、毎日の原稿情報が各サイトに最適化された形で自動掲載されています。Indeedエントリーにも対応し、ATSパートナーとしてIndeedとの強力な連携を実現しています。
加えて、40以上の求人媒体から無料で応募者情報を取り込むことが可能です。従来の媒体ごとの管理やログイン作業、スプレッドシートでのデータ管理などの手間を省き、1つの管理画面で各媒体からの応募者を簡単に管理できます。
したがって、重複している応募者の発見などの確認工数が削減され、各条件に当てはまる場合の自動返信メールも一括で管理できるため、大幅に採用工数が削減できます。
HITO-Manager(ヒトマネ)がよくわかるページはコチラ
ワガシャ de DOMO
ワガシャ de DOMO(ワガシャ デ ドーモ)は、株式会社アルバイトタイムスが運営する中小企業向け採用管理システムです。
他の採用管理システムとは異なり、専任のスタッフに求人の作成・修正・更新までまるっと代行依頼することが可能です。創業50年の求人サービスで培ってきた豊富なノウハウを活かし、忙しい担当者に代わり、採用活動を強力サポートできることが強みです。
全国で導入企業は累計13000社以上で、中途採用やアルバイト採用で「求人メディア比5倍」の高い実績があります。加えて、月額33,000円の定額制と導入しやすい金額なのもポイントです。
応募数を最大化することに特化し、必要な機能のみを厳選して搭載しているため、いらない機能も不要なコストもカットしました。
まとめ
採用規模が一定以上になると、採用管理システム(ATS)を活用して求職者・応募者を一元管理することが一般的です。
採用管理システムを選ぶ際には、以下のポイントで検討すると良いでしょう。
- 母集団形成チャネルとの連携
- LINE連携
- Slack、ZOOMなどの社内ツールとの連携性
- 料金体系
- UI・UXの使いやすさ
採用管理ツールの導入を検討しているようであれば、HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、代理店として複数の採用管理ツールを取り扱っています。
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