費用と手間をかけて求人広告を作って掲載したのに「応募がない」「応募があっても、来て欲しい人材が全然いない」となってしまっては何の意味もありません。
本章では、反面教師として応募が集まらない求人広告の特徴を紹介します。
1.求人“広告”であることを忘れている
失敗の1つ目は、求人“広告”であることを忘れて、純粋な求人票として作ってしまうケースです。
ハローワークや学校求人などを中心に採用活動をしている中小企業などであるケースです。
ハローワークや学校求人などの場合、求人原稿の文字数制限が限られていますし、ハローワークやキャリアセンターの職員、カウンセラーなどを通じて求人紹介されることも多くなります。
こうした形に慣れていると、求人票としては必要な情報を網羅しており、仕事内容や待遇等もきちんと書かれているが、文章が事務的で、最低限の情報しか掲載されていないような求人になっているケースがあります。
ハローワークや大学求人と違い、求人サイトなどに掲載して応募されるためには、検索結果の一覧ページなどで表示される数十件、場合によっては数百件の求人情報から「選ばれる」ことが必要です。
従って、必要な情報を記載することに加えて、求人“広告”として応募者に興味を持ってもらう、魅了するということが、求人広告では必要です。
当たり前の話ですが、求人“広告”は、応募者に自社と仕事の魅力を伝えて応募の意思決定をしてもらうためのものです。それを前提に作成する必要があります。
2.ターゲットが明確でない
続いて期待する人材が集まらない求人広告でよくあるのが、誰に向けた広告なのかというターゲットが明確になっていないケースです。
「採用のターゲットは誰ですか?」という質問に対して、「優秀な学生に来て欲しい」「即戦力で働ける人が欲しい」といったぼんやりしたターゲット像しか返ってこないことは意外とよくあります。
マーケティングや広告作成における鉄則ですが、「誰に向けたメッセージなのか?」が曖昧になると、「何を伝えればいいか?」もあいまいになり、結果的に誰にも刺さらないメッセージになってしまうものです。
また、誰に向けた広告なのかが明確でないと、応募者のなかでミスマッチな人材が増えることにもなってしまいます。
3.安心して応募できるだけの情報が書かれていない
転職に関するアンケートによると、「95%の求職者は転職にリスクを感じている」という結果が出ています。
また、「どんな点にリスクを感じているか?」の質問では、「思っていた仕事内容と違う」と回答した人が66%と最多となっています。
【参考】エン・ジャパン「転職のリスク」意識調査(2020年4月)
大半の求職者にとって就職や転職は不安なことであり、その中でも最も不安なのが「仕事内容が思っていたものと違う」なのです。
だからこそ、応募者は応募前にしっかりと求人広告を見て、企業情報や仕事内容、待遇など念入りに確認したうえでエントリーを決めています。
もし応募するかどうか決断できるだけの情報が求人広告に掲載されていなければどうなるでしょうか。
多くの求職者は、「この会社のビジネスモデルはよく分からない」「もしかしたら、ブラックな職場じゃないだろうか」など不信感を抱いてしまい、「不安だからやめておこう」「ほかにも求人はたくさんあるし、リスクをとる必要はない」と考えて応募を躊躇してしまうでしょう。
つまり、求人広告を見て仕事内容や待遇などで不明瞭な部分がると、求職者が応募を見送ってしまう大きな要因となるのです。
「求職者が知りたい情報は何か?」「どんなことが書かれていれば安心して応募できるのか?」「応募者が知りたい情報が具体的に書かれているか?」など、求職者の気持ちになって考え、しっかりと求人広告に盛り込むことが大切です。
もちろん文字数の制限がありますので、すべてを盛り込むことは難しいでしょう。ただ、なるべく具体的に不安を解消することを念頭に置いて書きましょう。
4.内容を雑多に詰め込み過ぎて、決め手となる情報が伝わらない
上記とは逆に、あれもこれもと内容を詰め込み過ぎることも、応募を遠ざける要因になります。
採用担当者は往々にして、自社の求人が求職者の目に少しでも留まればと思うあまり、思いつく限りのPRポイントを盛り込んでしまうことがあります。
失敗のふたつめ「ターゲットが明確でない」にも通じますが、思いつく限りのPRポイントを盛り込んだ求人広告は、メッセージが曖昧となり、結果的に相手の心に響かなくなってしまいます。
PRポイントが多いこと自体は素晴らしい職場である証ですし、しっかりと盛り込むことは大切です。
ただし、「誰に向けたメッセージか?」という軸にそって、優先順位をつけて載せることは忘れないようにしましょう。
5.良いところしか書かれていない
中小企業やベンチャー企業、スタートアップなどの場合、会社の良いところ、魅力的なことしか書かれていない求人広告も、求職者が応募をためらう要因になりえます。
企業側は「たくさん応募が来て欲しい」「優秀な人材に応募して欲しい」と思い、自社の良い部分、求人の魅力的な部分だけを広告に載せたくなるものです。
もちろん応募してもらうためには、求人の魅力をしっかりと伝える必要があります。
ただ、どんな会社にも、良いところもあれば悪いところもあるものです。
とくに中小企業やベンチャー企業、スタートアップなどの場合には、やはり大手企業と比べて社内制度や組織の体制などで整っていない点もあるでしょう。
これは応募する人材側も承知していることです。
従って、魅力を伝えようと思って、過度に良いところだけを押し出しすぎると、応募者から逆に“うさん臭く”見えてしまうことがあります。
アルバイト求人などであれば、さほど気にする必要はないでしょうが、しかし、正社員の応募であれば、人材側も真剣・慎重に考えています。
だからこそ、会社の良いところや求人の魅力はしっかりと盛り込んだうえで、1割程度は「どういう部分が未整備か、それを入社して一緒に整備していってほしい」というメッセージを盛り込むことがお勧めです。
とくにWeb媒体などで記入できる文字数が多い場合、また自社の将来性やビジョンなどの想いなどを訴えるコンセプトの求人サイトなどの場合には、上記のように未整備の所なども見せておくことで、人材に「正直」や「誠実」といった印象を持ってもらうことができますし、採用ターゲットになり得る人材が応募してくれることにつながるでしょう。