少子化が進み、また、グローバル化が身近なものとなったなかで、外国人労働者の採用を検討する企業が増えています。
特に人手不足が著しいITエンジニア、高卒採用を実施していた企業などが、外国人労働者を積極的に採用している傾向にあり、これにともない外国人の人材紹介サービスも増えてきています。
外国人労働者を採用する際には、スキルや経験以外に日本語のレベルや価値観の違い、就労ビザの申請・更新などの注意が必要となり、それらをサポートしてくれる外国人人材紹介サービスはとてもありがたいサービスだといえます。
記事では、外国人の人材紹介サービスに関する基礎知識、外国人の採用時に人材紹介サービスを利用するメリットを解説します。
おすすめしたい5つの外国人人材紹介サービス、外国人人材紹介サービスを利用する際の注意点も紹介しますので、参考になれば幸いです。
<目次>
外国人人材紹介の基礎知識
外国人の人材紹介に関する基礎知識を紹介します。通常の人材紹介とさほど異なる点はありませんが、確認しておきましょう。
外国人人材紹介とは?
外国人人材紹介とは、外国人に特化した人材紹介サービスです。
日本の人材紹介(有料職業紹介)の外国人版で、外国人を採用したい企業と働きたい外国人のマッチングを行ないます。
また、人材の推薦だけでなく、求職者への連絡や面接日の日程調整、また、ビザ申請・更新のサポートなど、採用にまつわるさまざまなサポートを実施してくれます。
人材紹介サービスによっては外国人労働者への住居紹介なども担っており、企業と外国人労働者のどちらにとっても心強い存在だといえます。
外国人人材紹介サービスの種類
人材紹介サービスには、そもそも「登録型」と「サーチ型」の2種類があります。
登録型とは外国人求職者と求人企業をマッチングするサービスで、いわゆる一般的な人材紹介サービスです。
サーチ型は、求人企業の条件に適した人材を探し出すサービスで、ヘッドハンティングやスカウトとも呼ばれています。
自社のデータベースや市場の情報を駆使し、求人企業の希望に沿った人材を探し出します。
経営幹部層や最新技術を持つエンジニアなど、ハイレベルな人材採用に使われます。
外国人の人材紹介サービスの場合、これに加えて、「国内にいる外国人を紹介することを主にするサービス」と「国外での採用、いま現地にいる人の紹介を主にしているサービス」があります。
費用・料金体系
外国人人材紹介の料金体系は日本人の人材紹介と同じで、紹介者が入社するタイミングで紹介手数料を請求する成功報酬型が一般的です。
登録型であれば、求職者の理論年収の約20~35%が相場になっています。
通常の人材紹介は30~35%が相場になっていますので、特定スキルを持たない層の紹介であれば、通常の人材紹介よりも少し安い相場になっています。
なお、理論年収とは採用された人の推定年収のことで、以下の計算式で計算されます。
理論年収=(基本給+既定の諸手当)×12ヵ月分+賞与
たとえば、年収400万円で採用した場合、人材紹介サービスの紹介手数料が30%であれば、求人企業は120万円の成果報酬(手数料)を支払うことになります。
なお、サーチ型の場合は契約時に着手金が発生したり、料率が40~50%になったりするケースもあります。
また、外国人の人材紹介であっても通常の人材紹介サービスと同様に、入社人材が早期退職したときには紹介手数料の一部を返金する返金規定が設けられている場合がほとんどです。
外国人人材紹介サービスを利用するメリット
外国人人材紹介サービスは、外国人採用に慣れていない企業はもちろん、すでに多くの外国人を採用している企業にとっても多くのメリットがあります。
採用活動の工数を減らせる
採用活動では、出稿先やプランの選定、広告の準備、応募者対応、内定承諾のクロージングなど、多くの工数がかかります。
さらに、外国人労働者の採用をする場合は、外国人ならではの以下のような作業が加わります。
- 各言語でのコミュニケーション
- 在留資格の確認
- (資格がなければ)在留資格の申請
- (場合によっては)現地での面接 など
しかし、外国人人材紹介を利用することで、これらをサポートしてもらえます。
特に外国人の採用に特有となる在留資格の確認や就労ビザ申請のサポート、海外での採用などを支援してもらえることは大きなメリットです。
費用が無駄になるリスクがない
外国人人材紹介サービスは通常の人材紹介と同じく成果報酬型が一般的ですので、コスト面のリスクがありません。
たとえば求人サイトの場合、求人広告を出す時点で料金を支払う必要があり、採用できてもできなくても費用が発生します。
一方で、人材紹介サービスは成果が出なければ手数料は発生しないので、費用が無駄になることがありません。
また、外国人人材が自社に馴染めず早期退職した場合も、返金規定があるので安心です。
外国人採用の経験が少なく、入社後の受け入れ・定着に不安がある場合、返金規定は特に心強いサービスだといえます。
非公開求人で募集できる
非公開求人とは、一般の求人サイトや求人情報誌、また自社の採用ページなどには掲載していない求人のことをいいます。
人材紹介会社の多くは非公開求人を取り扱っているので、自社の求人情報を外部に晒さずに人材を募集することも可能です。
非公開求人で募集することには、以下のようなメリットがあります。
- 応募の殺到を防げる
- 採用基準とはずれた人材に会う必要がない
- 採用活動を効率化できる
- 競合などに知られずに済む など
ビザ取得などに関してアドバイスをもらえる
企業が外国人を雇用する場合は、上述の通り、日本人採用とは異なるさまざまな手続きが必要となります。
- 就労ビザなどの確認
- 就労ビザの申請・更新
- ハローワークへの届け出
- (必要に応じて)住宅の確保 など
外国人労働者の採用・雇用に慣れていない企業の場合、ビザの種類、ビザ取得の方法やハローワークへの届け出の流れ、その他受け入れ手続きなどのノウハウがわからないこともあるでしょう。
こうした問題を解消し、外国人をスムーズに採用するために、厚生労働省もマニュアルなどを公開していますが、多くの企業を支援してきた外国人人材紹介会社からの実務的な助言は頼りになるでしょう。
おすすめの外国人人材紹介5選
国内での外国人労働者の増加に伴って、近年は数多くの外国人人材紹介サービスが存在しています。ここでは、そのなかでもおすすめの外国人人材紹介サービス、またダイレクトリクルーティングをご紹介します。
グローバルパワー
152ヵ国、約4万人の人材情報を保有する、“高度外国人材”に特化した人材紹介サービスです。
高度外国人材とは、各分野における専門性を持ったキャリア人材と考えると分かりやすいでしょう。登録している外国人の多くが日本語に堪能なほか、日本の商習慣も理解しており、即戦力となる人材を採用できます。
外国人の雇用やマネジメント、異文化コミュニケーションなどが学べる研修・講習の実施や、外国人のマネジメント経験がある日本人の紹介など、外国人雇用に付随するさまざまなサポートも提供しています。
YOLO JAPAN
226ヵ国、20万人以上の在留外国人が登録するサービスです。
外国人向けの採用情報メディア「YOLO JAPAN」をはじめ、外国人向け市場調査や賃貸物件検索サイトなどを運営しており、豊富なネットワークを持っていることが強みです。
グローアップ
おもに「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」の在留資格を持つ、若年層の外国人を紹介してくれる人材紹介サービスです。
外国人求職者との関係性を重視しており、事前に信頼関係を築いたうえで人材を紹介してくれるので、安定した人材を採用できます。
アジア圏途上国の人材が多く、即戦力性には少し欠けますが、若手人材を確保したい、育成して将来的に海外進出の要員にしたいといった企業におすすめです。
グローバル人材紹介(Global Agent)
大手人材・広告企業の株式会社マイナビが運営する、日本在住の外国人留学生、国内外在住の日本人留学生、海外大生を対象とした人材紹介サービスです。
理系人材が中心となっており、機械や電気、情報工学、土木建築系の業種に最適です。
RISE for Business
機電/IT/建設の外国人エンジニアに特化したダイレクトリクルーティングのサービスです。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得可能であることが求職者の会員資格で、2.3万人の登録、80万人の独自コミュニティ*1を有しています。
ダイレクトリクルーティングですが、求職者フォロー、ビザ申請/更新フォロー、採用事務代行等、人材紹介同様のサポート体制を有しております。一方で料金は40~80万円/名*2の成功報酬型となっており、採用費を抑えて求人を行えます。
日本在住/勤務中の即戦力人材から海外在住の若手人材まで、様々な求人内容に合わせて利用いただけるサービスです。
*1 数字は2023年6月30日時点、80万人はRISE for関連Facebookアカウントの総フォロワー数です。
*2 理論年収に関わらず、選択したプランにより料金が決定されます。
外国人人材紹介サービスを使う際の注意点
外国人を採用する企業にとってメリットの多い外国人人材紹介サービスですが、利用する際の注意点もあります。
在留資格の確認を忘れずに
日本国内で合法就労者となれるのは、いわゆる居住資格を持つ外国人と、就労可能な在留資格(就労ビザ)を持つ外国人のみです。
在留資格やビザ申請は人材紹介会社が確認したうえで推薦してくれることが基本ですが、万が一非合法就労者を採用してしまえば、雇用主が罪に問われます。
在留資格が企業の業務内容にそぐわない場合も違法になるので、外国人労働者を雇い入れる際には、企業側でも必要な在留資格を確認することが大切です。
欲しい人材要件の擦り合わせを丁寧に行なう
外国人労働者の場合、経験やスキル以外に、日本語のレベルや雇用への価値観なども異なります。
特に日本語や日本のビジネス慣習への理解は他の社員とコミュニケーションを取るうえで重要な要素です。
したがって、通常の採用基準以外に以下のような人材要件も検討して、人材紹介会社の担当者と擦り合わせることが大切です。
- 日本語能力(日本語能力試験(JLPT)で◯◯以上の日本語レベル)
- 現地での就業経験
- 日本の企業文化への慣れ、日本でのビジネス経験
まとめ
外国人労働者の採用を行なう場合、求人サイトなどを利用する以外に、外国人の人材紹介サービスを利用する方法もあります。
外国人の人材紹介サービスは通常の人材紹介と同じように、採用活動の工数を代行してくれる、成果報酬で利用できる、非公開求人を依頼できるといったメリットがあります。
なお、外国人の人材紹介サービスも、通常の人材紹介(登録型)と同じ完全成果報酬制の企業が大半で、料率は理論年収の20~35%程度と、日本人の人材紹介よりも下限の相場が少し安くなっています。
外国人労働者を雇用する際には、在留資格の確認をはじめ、就労ビザの手続き、ハローワークへの届け出など、手続きや受け入れのノウハウが必要です。
また、場合によっては受け入れ側の上司になる人が異文化対応についての知識を深める、採用した人材に日本語研修を受けさせるなどが必要になることもあるでしょう。
外国人の人材紹介サービスでは、こうしたビザの確認や申請のサポート、また、付随サービスを提供しているところもあり、外国人採用の経験が少ない企業や初めて採用する企業は、外国人の人材紹介サービスでこうした点をサポートしてもらうこともおススメです。