人材派遣会社を活用するメリットとは?|活用のポイントや注意点を紹介

更新:2023/07/28

作成:2023/05/18

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

人材派遣会社を活用するメリットとは?|活用のポイントや注意点を紹介

人材派遣会社を活用する最大のメリットは、一定の技能レベルを持ったスタッフを期間限定で確保できることです。

 

ただし、人材派遣会社には、スキル保有者が獲得できるなどのメリットが多い一方で、活用時や活用の注意点もあります。

 

本記事では、まず基本となる人材派遣会社の仕組みとメリットを確認します。

 

後半では、実際に人材派遣会社を活用してきた経験を持つ筆者が、人材派遣会社を活用する際の注意点、派遣社員を募集する流れ、活用ポイントを解説します。

 

人材派遣会社の活用に興味を持つ方の参考になれば幸いです。

<目次>

【人材派遣の基礎知識】人材派遣会社の仕組みとは?

人材派遣会社は、名前のとおり、企業に人材を派遣する会社を指す言葉です。人材派遣会社には、営業・経理事務・プログラミング……など、さまざまなスキルや経験を持つ人材が登録されています。

 

求人企業は、たとえば、繁忙期などの一時的な人材不足などが生じたときなどに、人材派遣会社に「こういうスキルを持つ人材はいないのでしょうか?」と問い合わせます。

 

そこで、要件にマッチする人材が見つかれば、派遣会社がスタッフと雇用契約を結ぶ形で、派遣会社から求人企業にスタッフを派遣するというのが、人材派遣会社の基本的な仕組みです。

人材派遣では、派遣労働者と雇用契約を結ぶ人材派遣会社を「派遣元」、派遣労働者が実際に働く企業を「派遣先」と呼びます。

 

人材派遣の場合、派遣社員の社会保険の加入や賃金の支払いは、雇用主である人材派遣会社(派遣元)が行なうことになります。

 

また、派遣先である求人企業は、現場で仕事をするうえで必要な指示・指導などを行ないます。

 

派遣元と派遣先の権利・役割などの違いをまとめると、以下のようになります。

 

派遣元(人材派遣会社)の管理権・業務 ・派遣社員の雇用
・派遣契約の締結
・社会保険の加入
・賃金の支払い
・年次有給休暇の付与
・就業規則の作成・届け出 など
派遣先(求人企業)の指揮命令権・管理権 ・働く場所の指示
・始業時間、終業時間の決定
・休憩時間、休日の決定
・シフトの決定
・仕事の進め方やスケジュールの指示
・時間外労働の依頼 など

人材派遣会社を活用するメリットとは?

オペレーター

 

人材派遣会社を活用すると、求人企業に以下の効果・メリットが生まれます。

メリット①|雇用に関する機動性の向上

たとえば、繁閑差(繁忙期と閑散期の差)が激しい企業の場合、たくさんの人員が必要となる繁忙期に合わせて正社員を雇用すれば、閑散期に余計な人件費がかかりすぎることになってしまいます。

<繁閑差が激しい事業の例>

  • リゾート施設(7~9月のプール・12~3月までのスキーシーズンが繁忙期)
  • 食品工場(年末商戦前だけが繁忙期)
  • 物流会社(お中元・お歳暮・引越しシーズンが繁忙期)

繁閑差を吸収する手法として非正規雇用(アルバイトやパート)の募集をすることも一つの方法ですが、アルバイトなどの代わりに人材派遣会社を活用することもできます。

 

人材派遣会社をうまく活用すると、たとえば、「夏の繁忙期は経理補助の派遣社員が2人必要だが、一方で冬は1人の派遣社員で大丈夫」など、業務の繁閑などに合わせた調整などが容易になります。

メリット②|スキル保有者の獲得

以下のような必要要件を人材派遣会社に伝えることで、一定スキルを持った人材を確保できるようになります。

  • 簿記資格もしくは経理事務の経験がある人
  • コールセンターのスーパーバイザー経験者
  • 金融系システム開発に詳しい人 など

パートやアルバイト募集と比べて、一定の経験や能力を持った人を確保しやすい点が、人材派遣会社の活用メリットです。

メリット③|確保のスピード

たとえば、上記のスキル保有者を自社で直接採用する場合、たった1人の募集だとしても、以下のような採用活動が必要となってきます。

  • 採用ターゲットを明確化する
  • 求人媒体を選ぶ
  • 求人広告を出す
  • 応募を待つ/スカウトメッセージを送る
  • 選考を行なう(書類選考/適性検査/面接)…… など

しかし、人材派遣会社を利用する場合、採用ターゲットの明確化さえできていれば、あとは派遣会社に問い合わせ⇒顔合わせ⇒受入れという流れになり、数週間程度で確保できることもあります。

 

一定スキルの人材を確保するうえでは、直雇用よりも人材派遣会社のほうがスピーディーに人を確保できることも多いでしょう。

メリット④|固定費の削減

正規雇用の形で人を採用すると、年間を通じて払い続ける給料は、売上や業績が悪化しても変えられない「固定費」となります。

 

変化が激しい時代にビジネスを続けていくには、さまざまなリスクに備えて固定費を抑えることが大切です。

 

特に日本における解雇規制はとても厳しく、正規雇用で一度採用すると、人員調整することはかなり大変です。人員調整の点、人材派遣会社との契約であれば、短期間での人員調整が可能になります。

 

したがって、人材派遣会社に払う派遣社員の費用は、一種の「変動費」になります。売上や業績が悪化してきた際には、契約を更新せずに終了することで、費用を削減することができます。

 

なお、労働者を1人雇った場合、法定福利厚生や就業スペースの確保、備品の貸与などで支払い給与の1.5~2倍弱の費用が発生します。

 

先行きが見えない時代には人材派遣会社などをうまく活用して、固定費を抑える工夫も大切になるでしょう。

人材派遣会社を活用する際の注意点

人材派遣会社の効果性を最大化するには、リスクやデメリットにつながる以下の点を意識しながら活用準備などを進めたほうがよいでしょう。

注意点①|帰属意識の強化が困難

派遣社員の場合、本人も“期間限定”の認識ですので、正社員のようにチームや組織への帰属意識を高めることは困難です。

 

また、雇用関係がないこともあり、場合によっては継続的に働くパート・アルバイトなどの非正規雇用よりも帰属意識が低いこともあります。

 

派遣社員の帰属意識が低すぎる場合、生産性が高まらなかったり、他メンバーのモチベーションやチームビルディングによくない影響をもたらしたりすることもあり得ます。

注意点②|業務や就業時間が柔軟性に欠ける

派遣社員の仕事内容や働く時間は、人材派遣会社(派遣元)との契約で決めた内容に限られます。

 

そのため、経理事務の仕事が早く終わり終業時間まで暇になってしまったからといって、たとえば、別部署の人事や営業事務といった“契約外の仕事”の依頼はできません。

 

また、派遣社員の場合、急な注文増や進捗の遅れなどが生じても、基本的に契約にない残業や休日出勤などを指示することもできません。

注意点③|時給が高い

派遣社員の時給は、派遣社員がもらう給与+派遣会社が負担する福利厚生など+派遣会社自体の営業費用や宣伝費用+派遣会社の利益……などが含まれていますので、時給だけで見ると、自社でパートタイマーやアルバイトなどを雇い入れるよりかなり高くなります。

 

なお、人材派遣料は、近年、コロナ禍の収束による人材確保に乗り出す企業の増加や、少子高齢化による労働人口の不足などの影響で高騰する傾向にあります。

 

具体的な金額はエリアや職種、求めるスキルによって変わってきますが、事務職でも時給2,000円程度が最低限、少し専門性のある業務であれば2,500~3,000円ぐらいの時給になるケースが多いです。

 

出典:採用事務の派遣時給が高騰 「コロナ後」見据え7月1.9%増
出典:派遣料金、製造・IT上昇 今春時点、経済回復にらむ

注意点④|離職の発生

派遣社員は、帰属意識が低く、また契約期間があるため、必ず一定の離職、スタッフの入れ替わりが発生します。

 

また、人材派遣には、いわゆる“3年ルール”というものがあります。大雑把にいえば、“同じ派遣社員を3年超えて受け入れることはできない”という規制です。

 

そのため、たとえば、派遣社員を継続的に活用する場合には、派遣社員の離職や入れ替わりを前提とした役割分担・体制づくりなどが必要となってきます。

 

なお、“3年ルール”を詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。

派遣社員を募集する流れ

オフィスでガッツポーズをする女性

 

求人企業が派遣社員を募集するときには、以下の流れで手続きなどを進めていきます。

STEP1|派遣社員の就業条件を決める

まず、人材派遣会社に伝える内容を決めていきます。具体的には、「どういう派遣社員がほしいか?」と「どのような就業条件で働いてもらうか?」を以下のように決めていきましょう。

  • 【派遣社員が必要な理由、背景】スキー場が繁忙期になるため、経理部門が忙しくなる
  • 【派遣社員に必要な要件】簿記資格もしくは経理の業務経験
  • 【派遣社員にお願いしたい仕事内容・業務範囲】経理担当者の補助的業務(売上の計算、両替、簡単な仕訳、資料整理 など)
  • 【就業開始時期と派遣期間】12月15日~3月15日
  • 【就業条件】週5日のシフト勤務、土日祝日は出勤、原則は9時~18時まで、一日1時間程度の残業があることも(週2日程度) など

STEP2|人材派遣会社を選定する

人材派遣会社にも、得意分野があります。また、先述のとおり、派遣料は、人材のレベルや派遣会社、契約条件によっても変わってきます。

 

したがって、自社が求める人材を効率よく見つけてもらうには、各派遣会社の得意分野を知ることが大切です。

 

なお、給与相場を知るうえでは、複数社で相見積もりをとることがおすすめです。

STEP3|人材派遣会社に依頼する

自社に合う人材派遣会社が見つかったら、STEP1で明確化した要件を伝えて正式に依頼します。

STEP4|マッチングする

人材派遣会社におけるマッチングとは、派遣会社から紹介された人材が事業所訪問・職場見学・顔合わせなどを通じて、お互いに「今後の進行を希望するか?」を確認することです。

 

顔合わせでは、以下のようなことを行なうのが一般的です。

  • 自己紹介
  • 仕事内容や勤務時間などの説明・確認
  • 業務開始までの流れとスケジュールの確認
  • 質疑応答 など

なお、人材派遣会社を利用してスタッフを確保する際には、「労働者派遣法第26条6項」や「派遣先が講ずべき措置に関する指針第2の3」などの法律で、求人企業は以下のような“見極め・選考”を行うことができません。

  • 年齢・性別の指定
  • 履歴書・職務経歴書による選考
  • 適性検査や面接による選考

出典:派遣先の講ずべき措置は・・・(厚生労働省)
出典:派遣先の講ずべき措置に関する指針

STEP5|派遣契約後に受け入れスタート

顔合わせを通じてお互いに問題がなく、今後の進行を進めるようであれば、人材派遣会社と求人企業での派遣契約を締結します。

 

なお、派遣社員の受け入れ準備は、労働者派遣法に則って進める必要があります。

 

受け入れの際には厚生労働省が公開する以下の準備資料なども見ておくとよいでしょう。

参考:派遣社員を受け入れるときの主なポイント(厚生労働省 都道府県労働局)

人材派遣を活用する際のポイント

人材派遣の活用を考えるうえでは、以下のようなポイントを押さえておくことがおすすめです。

ポイント①:派遣以外の選択肢も検討する

先述のとおり、派遣社員の時給単価は直接雇用と比べるとかなり高くなります。

 

一方で、近年はフリーランスなどの業務形態が増え、リモートワークも普及したなかで、以前よりも業務委託の人材を確保することも容易になっています。

 

そのため、まずは人材派遣会社の利用を検討するうえでは、直雇用や業務委託といった選択肢と比べて、「本当に派遣利用がベストなのか?」をきちんと考える必要があるでしょう。

ポイント②:業務を標準化する

派遣社員は、たとえば、コールセンターのオペレーションやプログラミングなどの専門スキルを持っている一方で、自社の仕事の進め方に精通しているわけではありません。

 

そのため、たとえば、社内における業務のやり方が標準化されておらず、メンバーによってバラバラになっている場合、育成の手間・期間もかかりますし、派遣社員が離職する際の引き継ぎも難しくなります。

 

したがって、派遣社員の活用を進めるうえでは、仕事の標準化、マニュアル化を進めることが大切です。

ポイント③:丁寧な受け入れを実施する

派遣社員の場合、帰属意識が上がりづらいからこそ、モチベーション高く働いてもらうための受け入れ準備が大切になります。具体的には、以下のようなことを実施するとよいでしょう。

  • 社内メンバーに周知と紹介をする
  • 食事・着替え・荷物を置く場所など、細かな点にも配慮をする
  • 自社の直接雇用メンバーと同等に接する
  • 仕事で使う共通言語や価値観などは最初に教える など

まとめ

人材派遣会社には、以下の利用メリットがあります。

  • 機動力の向上
  • スキル保有者の獲得
  • 確保のスピード
  • 固定費の削減

ただし、人材派遣会社を利用するときには、以下の点で注意が必要です。

  • 帰属意識の強化が困難
  • 業務や就業時間が柔軟性に欠ける
  • 派遣料の単価
  • 離職の発生

受け入れた派遣社員に活躍してもらい、人材派遣会社の効果を最大化するには、業務の標準化や丁寧な受け入れ準備などの環境整備も大切になります。

 

なお、HRドクターを運営する株式会社ジェイックは、人材派遣会社ではないものの、若手未経験者の人材紹介サービス「就職カレッジ」を提供しています。

 

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著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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