派遣社員や派遣元とのトラブルを防ぐには、以下4つのポイントを理解したうえで、活用の検討、受け入れ手続きなどを進める必要があります。
派遣社員の「3年ルール」
平成27年9月30日以降に締結・更新された労働者派遣契約に基づく労働者派遣を利用する場合、すべての業務において2つの3年ルール(期間制限)が適用されます。
詳細は下記のとおりになりますが、最も影響が大きい部分をシンプルに表現すると、「同じ派遣社員を、3年間を超えて受け入れられない」というルールです。
【①派遣先の「事業所単位」の期間制限】
- 派遣先は、同一の事業所において派遣可能期間(3年)を超えて派遣を受け入れることはできない
- ただし、派遣先の事業所の過半数労働組合等から意見を聴いたうえであれば、3年を限度として派遣可能期間を延長することが可能
【②派遣労働者の「個人単位」の期間制限】
- ①において「事業所単位」の派遣可能期間を延長した場合でも、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)で、3年を超えて同一の派遣労働者を受け入れることはできない
出典:派遣先の皆様へ(厚生労働省)
業務制限の存在
労働者派遣事業では、以下の業務への派遣を禁じています。適用除外業務と呼ばれており、一般企業の業務で該当することはほぼありません。
しかし、派遣社員を受け入れる際には、業務制限の存在を知っておく必要はあるでしょう。
- 【港湾運送業務】港湾における、船内荷役・はしけ運送・沿岸荷役やいかだ運送、船積貨物の鑑定・検量等の業務(港湾労働法第二条第二号に規定する港湾運送の業務)
- 【建設業務】土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの準備の作業に係る業務
- 【警備業務】事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等における、または運搬中の現金等に係る盗難等や、雑踏での負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務(警備業法第二条第一項各号に掲げる業務)
- 【病院・診療所等における医療関連業務】医師、歯科医師、薬剤師の調剤、保健婦、助産婦、看護師・准看護師、栄養士等の業務
- 【弁護士・社会保険労務士等のいわゆる「士」業務】弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士の業務や、建築士事務所の管理建築士の業務等(公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士等の業務では一部で労働者派遣は可能)
引用:労働者派遣事業では、派遣が禁止されている業務があります(一般社団法人 日本人材派遣協会)
差別的な待遇の禁止
待遇は基本的に、同一労働同一賃金の考え方で決める必要があります。
また、自社で雇用した正社員などと派遣社員における不合理な待遇差を解消するには、以下いずれかの方式で、待遇差を解消するための意思決定などを行なっていく必要があるでしょう。
派遣先均等(均等待遇)とは、派遣社員と派遣先の通常の労働者との間で、①職務内容、②職務の内容・配置の変更の範囲が同じ場合は、派遣労働者であることを理由とした差別的扱いを禁じることです。
一方で均衡待遇とは、派遣労働者と派遣先の通常の労働者との間で、①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲、③その他の事情を考慮して不合理な待遇差を禁じることになります。
派遣社員の受け入れ企業は、派遣社員から求めがあれば、待遇差が生じている理由などを説明する必要があります。
以下のマニュアルを参考に待遇を決めていくとよいでしょう。
参考:不合理な待遇者解消のための点検・検討マニュアル(改正労働者派遣法への対応)
業務委託との違い
派遣社員と業務委託の目的には、以下の違いがあります。
たとえば、ホームページ制作のように明確に業務を切り出せる場合は、派遣社員ではなく業務委託のほうが向いているケースもあります。
業務委託の場合、マージン分の費用を人材派遣会社に払う必要もないため、コスト削減の効果も高いでしょう。
なお、業務委託の場合でも、準委任契約という形で、明確な成果物がない業務を時給契約などで依頼することも可能です。
自社の業務と欲しい人材の属性などから、派遣と業務委託を柔軟に使い分けることも有効です。