人材紹介は、人材紹介会社に採用要件を伝えることで、条件に合う人材から応募意思を取得して推薦、また、内定承諾までを伴走してもらえるサービスです。
中途採用では昔から活用されている手法ですが、近年では新卒採用で利用する企業も多くなっています(新卒採用の場合、“新卒紹介”とも呼ばれることもあります)。
初めて人材紹介を利用しようと考えている場合、費用や手数料などの仕組みは気になることでしょう。
本記事では、人材紹介会社の知見も踏まえて、人材紹介の手数料の基礎知識と相場を確認します。確認したうえで、人材紹介の手数料で注意すべきポイントを解説します。
<目次>
人材紹介の手数料とは?
人材紹介を利用する際、紹介手数料をサービス提供会社(人材紹介会社)に払うことになります。本章では、まず、人材紹介の種類と手数料の考え方を確認しましょう。
人材紹介の一般的な種類
人材紹介と呼ばれるサービスには、大きくは「登録型」と「ヘッドハンティング」があります。登録型は、人材紹介のなかで最も一般的な種類であり、求人企業とサービス登録者のマッチングをしてくれるものです。
一方で、ヘッドハンティングは、求人企業のリクエスト内容に合う最適な人材を外部から探し出し、引き合わせてくれるタイプの人材紹介です。サーチ型と呼ばれることもあります。CXOクラスの経営幹部層、経営の後継者、特定分野のハイレベルエンジニア採用などで使われる種類です。
手数料の発生タイミング
登録型の人材紹介は、ほとんどのサービスが完全成果報酬制です。完全成果報酬制では、初期費用は発生せず、紹介してもらった人材の入社時(新卒の場合は内定承諾時)に採用手数料が発生する仕組みになります。
請求書は、採用決定者が入社したタイミング、もしくは新卒の場合には内定承諾書の提出タイミングで発行されるのが一般的です。完全成果報酬制の場合、人材の採用(入社)が決まらない限り、求人企業側のコストはかかりません。
早期退職にともなう返金規定
登録型の場合、登録型の多くが早期退職にともなう返金制度を設けています。
早期退職にともなう返金制度とは、人材紹介会社を通じて採用した人材が入社後すぐに辞めてしまった場合、支払った紹介手数料が返金になる仕組みです。新卒紹介の内定承諾後に辞退となってしまった場合も、返金対象になります。
具体的な返金額は企業によって異なりますが、相場は以下のとおりです。
- 入社前の辞退:紹介手数料の100%
- 入社後1ヵ月以内:紹介手数料の100%
- 入社後1~3ヵ月程度:紹介手数料の50%
人材紹介の手数料、相場はいくら?
人材紹介サービス会社には、許認可申請をする際に手数料に関する取り決めの報告が義務付けられています。また、手数料に関しては、大きく届出制手数料と上限制手数料の2種類があります。本章では、圧倒的に一般的となる届出制手数料を中心に解説しましょう。
届出制手数料
届出制手数料は、大半の人材紹介会社が選択している形態です。認可申請の際に、自社で決めた手数料表を届け出るものになります。届出制の場合、以下の式で手数料を算出します。
料率の相場は、通常時で30~35%です。ただし、売り手市場になると35~40%が相場、買い手市場では25~30%程度に下がるというように、求人市場の状況に合わせて多少の変動があります。
理論年収の計算方法
届出制手数料の料率算定で使われる理論年収とは、紹介した求職者が新年度のはじめから年度末まで在籍した場合の年収です。求人広告などに掲載される年収の大半が、理論年収になります。理論年収の計算方法は、以下のとおりです。
ただし、変動給が多い場合、求人企業の平均値や前年度実績をもとに算出することが一般的になります。諸手当には、以下も含まれます。
- 残業手当
- 深夜勤務手当
- 超過勤務手当
- 役職手当
- 資格手当
- 家族手当
- 住宅手当
- 食事手当
- 求人企業が独自に設定した手当 など
たとえば、月給26万円、賞与3.3ヵ月分、諸手当が月8万円の場合、理論年収は以下のとおりになります。
⇒312万円+85.8万円+96万円 ⇒ 理論年収(493.8万円)
上限制手数料
上限制手数料は、一部の伝統的職業で見られるもので、近年では減少傾向にある計算方法です。上限制手数料は、厚生労働省で定めた以下の数字が原則になります。
- 採用決定者に支払われた賃金額の10.8%(免税事業者は10.3%)に相当する額
- ただし、期間の定めのない雇用契約に基づき、同一の事業主に6ヵ月を超えて雇用された場合、以下aおよびbのうち大きい額になる
- 6ヵ月間の雇用に係る賃金について支払われた賃金額の10.8%(免税事業者は10.3%)に相当する額
- 6ヵ月間の雇用について支払われた賃金額から、臨時に支払われる賃金および3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金を除いた額の14.5%(免税事業者は13.8%)に相当する額
人材紹介の手数料で注意すべきポイント
人材紹介サービスの手数料を確認するときには、以下の点にも注意する必要があります。
ヘッドハンティングの場合、着手金が必要なケースもある
先述のとおり、登録型の人材紹介の場合、基本的には完全成果報酬です。一方でヘッドハンティングの場合、着手金+月額+成果報酬といった費用体系になることもあります。
費用体系が変わる理由は、ヘッドハンティングの場合、自社の登録者などではなく、CXO候補などの非常にハイスペックな人材を長期間にわたって探すことになるからです。したがって、初期費用として着手金が発生、また、月額手数料などが発生することも多くなります。
なお、ヘッドハンティングの場合、成果報酬の料率も50~100%程度と登録型の成果報酬よりも高額であることが多いです。
採用予算の確保
人材紹介の場合、完全成果報酬であるため、費用が無駄になるリスクはありません。ただし、手数料は相応に高額となる特徴があります。
たとえば、理論年収500万円の人材を、人材紹介会社経由で採用すれば500万円×料率35%⇒175万円のお金がかかります。そのため、人材紹介サービスを利用するときには、自社の採用ターゲットと採用予定の人数に見合った予算を確保しておく必要があるでしょう。
優良職業紹介事業認定
厚生労働省では、「職業紹介優良事業者行動指針」を遵守し、適正な業務運営と経営改善努力を行なっているなどの一定基準を満たした事業者を、外郭団体を通じて優良認定する「職業紹介優良事業者認定制度」を設けています。
制度の対象となるのは、職業安定法における職業紹介事業の許可を取得または届出をした民営の職業紹介事業者です。人材紹介事業の場合、設備投資やシステム開発などの初期投資が生じないため、本当に多くの企業が参入しています。
結果的に、人材紹介サービス市場の大半は、従業員10人以下の小規模企業となっています。小規模企業が悪いわけではありませんが、しかし、ある程度、安心できる企業を選びたい場合には、優良職業紹介事業の認定があるかどうかをチェックすることがおすすめです。
人材紹介における価格交渉のメリット・デメリット
先述のとおり、人材紹介サービス会社に支払う手数料は、理論年収500万円・料率35%であれば175万円となり、決して安いとは言い難い金額です。そのため、人材紹介会社に価格交渉をしようとする企業もあります。
もちろん人材紹介会社との価格交渉が悪いわけではありません。ただ、価格交渉を検討するうえでは、人材紹介会社側の視点も知っておくことも大切になります。
人材紹介会社の担当者(営業担当・人材担当)は「売上」を目標としていることが多いです。そのため、たとえば、以下の求人企業から相談があった場合、「売上」の点で見れば、A社のほうが魅力的な案件に見えるでしょう。
- A社:料率35%
- B社:価格交渉で料率を25%まで落としている
売上目標という観点だけでみると、上記のケースでは求人などを紹介するに際してA社が優先されやすくなるでしょう。
製造業の商品やWebサービスのように、提供される商品・サービスが一定であれば、価格交渉を行なっても提供サービスが変わることはありません。一方で、人材紹介の場合、価格交渉することで、先方社内での優先順位が下がる可能性があるので注意しましょう。
なお、以下のケースに該当するときには、人材紹介会社にとっては優先度を高める魅力があるため、価格交渉の有効性は高くなるでしょう。
- 内定が出やすい
- 大量採用である
- 魅力的な求人内容である
まとめ
人材紹介の手数料は、種類(登録型・ヘッドハンティング)によって仕組みが異なります。
登録型の場合は、完全成果報酬制で初期費用はかからないのが一般的です。一方でヘッドハンティングの場合は、求人企業に合う人材を探すために多くの工数がかかることから、成果報酬に加えて、着手金や月額がかかることが多くなります。
人材紹介の手数料の設定方法には、届出制手数料と上限制手数料という2種類がありますが、登録型の人材紹介のほとんどは届出制手数料です。届出制手数料の場合、以下の式で手数料を算出します。
料率の相場は、通常時で30~35%です。ただし、売り手市場で35~40%、買い手市場では25~30%と景況感に応じて多少変動します。
なお、HRドクターを運営する株式会社ジェイックでも、若手採用「採用カレッジ」と新卒採用「新卒カレッジ」という人材紹介サービスを提供しています。興味のある人は、以下のページから資料をダウンロードしてみてください。
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