
内定辞退を防止するためには、自社の魅力をしっかりと伝える「魅了付け」の徹底が重要です。ここでいう「魅了付け」は、自社の魅力を一方的に発信すればいい、ということではありません。もちろん求人原稿や説明会、選考過程を通じて、自社の魅力を発信することは重要です。
しかし、内定辞退を防ぐためには、「1人1人の応募者に魅力が伝わる」ことが重要です。「魅力の発信と何が違うのか?」も含めて、魅了付けを行う上での3つのポイントを紹介します。
応募者への理解を深め、信頼関係を築く
魅力付けを行うでことで、まず重要なのが「応募者が求める価値や懸念点、会社選びの基準」を理解することです。応募者への理解を深めることで、「応募者にとっての魅力」が明確になり、自社の魅力をより効果的に伝えることができます。応募者の理解には採用ペルソナの作成が効果的ですので、以下の記事も参考になるでしょう。
ただ、採用ペルソナは万能ではありません。実際に応募してくる応募者は一人ひとり価値観や状況が異なります。
従って、初期段階では「ペルソナ人材にとって、うちの会社の魅力は○○」と絞って発信することになりますが、実際に魅了付けを行う過程では、応募者一人ひとりをきちんと理解することが必要です。
『田中さん(仮)が会社選びで重視しているのは○○○と○○○。表面的には言わないが、他の応募先などの話を聞くと、○○の条件と○○○は気にしている。会社選びの軸で、うちの会社はこの点とこの点が一致していると感じている』といった具合です。これは一方的に『うちの会社への志望動機は?』という面接をしていても分かりません。「応募者を理解する」という姿勢が重要です。
なお、応募者を理解する姿勢を持ち、信頼関係を築くことは、魅了付けを実践するステップでも重要です。また、信頼関係が築けていれば、万が一内定辞退が起きてしまった際も本音の理由を教えてもらうことができ、今後の辞退者を減らしていくための貴重な情報が得られるでしょう。
志望度をスコアリングして、競合への勝利シナリオをつくる
就職・転職活動では複数の企業に応募するのが一般的です。そのため、自社の応募者についても、「複数の企業に応募している」、そして、「自社で内定を出す人は他社でも内定を獲得する」という前提で魅了付けを行う必要があります。つまり、競合(採用の競合は事業上の競合、すなわち同業他社だけとは限りません)と比較されているという前提で、競合に勝利するためのシナリオを作ります。
競合への勝利シナリオをつくる上では、以下の情報を知っておくことが大切です。これらの情報は応募者との信頼関係がないと教えてもらえないため、勝利シナリオを作るうえでも信頼関係が重要なポイントです。
- 競合の選考状況はどうなっているか?
- どんなスケジュールで選考が進むか?
- 自社と競合に対する志望度は?(志望度を100点満点で点数化してもらうと効果的)
- 競合のどこに魅力を感じているのか?
- 競合のどこに懸念点があるのか?
これらを把握したうえで、
- 競合に勝てる魅力ポイントをしっかりと伝える
⇒情報提供、社員と会わせる、職場見学etc
- 競合に負けないためにどうするか?
⇒競合が打ち出しているポイントで自社の情報を提供できることはないか
というシナリオを考えて実行していきます。
自社の魅力をきちんと伝える
応募者と信頼関係を築き、競合への勝利シナリオができたとしても、自社の魅力が伝わっていなければ意味がありません。魅力をきちんと伝えるうえでは、以下の3つがポイントです。
面談や懇親会、合宿など、企業と応募者の接点を増やすフォローアップの仕組み作り、自社の魅力を伝えるタッチポイントをつくりましょう。その際、会社の良い面だけを伝えるのではなく、仕事の大変さや未整備の点もしっかりと伝え、応募者に信頼してもらうことも大切です。接触はリアルだけでなく、ネット上で行うことも有効です。最近では、LINEでのコミュニケーションが応募者との接触を増やすうえで最適です。
また、応募者とリアルに接触する際に気をつけたいのが、社員の挨拶や態度です。普段から外部の人に明るく接する社風であれば問題ありませんが、意外と出来ていない会社も多くあります。人事や面接官がいくら頑張っても、入口で通りがかった社員の対応で「雰囲気が悪い」「思っていた会社と違う」と思われてしまう可能性もあるので注意しましょう。
面接は応募者を見極めて合否を決める場ですが、同時に魅了付けするうえでも重要な場です。質問を通じて、応募者の価値観を理解して、一人ひとりに適した魅了付けの情報を提供できるのが面接です。従って、合否を決めるだけではなく、「面接に来る前よりも志望度が上がった状況で帰る」状態をつくるのも面接官の仕事です。
採用担当が面接を進める場合には比較的やりやすいですが、現場のマネージャーや経営陣などが面接に入る場合は注意が必要です。場合によっては面接官トレーニングをやることも有効な施策になるでしょう。
自社の情報は、採用担当や会社が思っているほど伝わっていなかったり、誤って理解されていたりすることも少なくありません。例えば、「説明会で話した内容は当然分かっていて欲しい」と思いますが、新卒採用では「自社の説明会に参加した後で、あと10社の説明会に参加している」といったことが普通です。
そうすると、説明会で話した内容が曖昧に記憶されていたり、他社と混同されていたりすることは、残念ですが、ごく当たり前に起きます。従って、応募者が自社についてどれぐらい理解しているかを把握することは大切です。
とくに応募者が会社選びで重視しているポイントや自社への懸念点、競合との比較ポイントになっている項目に関しては、特にしっかりと確認しましょう。情報提供の不足や誤解で、内定辞退されては、悔やんでも悔やみきれません。