採用活動で重要となるのは「面接で優秀な人材をいかに見極めるか」と同時に「自社に不適合な人間をいかに避けるか」です。精度の高い採用活動をするには、面接評価シートや面接チェックシートを活用して、面接官の見極め力などを高めることも効果的です。
記事では、面接評価シートや面接チェックシートの特徴やメリット・デメリット、一般的に含めるとよい項目、作り方、運用ポイントを解説します。
<目次>
- 面接評価シート/面接チェックシートとは?
- 面接評価チェックシートを導入するメリット・デメリット
- 面接評価チェックシートに含むと良い一般的な項目
- 面接評価チェックシートの作り方
- 面接評価チェックシート作成と運用のポイント
- 面接評価チェックシートのサンプル例
- まとめ
面接評価シート/面接チェックシートとは?
面接評価シート/面接チェックシートとは、面接での評価基準や項目を明確化したシートです。面接評価チェックシートを用いることで、採用基準のイメージを共通化して採用のミスマッチを防いだり、面接官の面接力に依存することなく見極め精度を底上げしたりすることが可能になります。
面接評価チェックシートを作成・運用すると、一次面接から二次面接への申し送りなどもスムーズになります。また、ポジティブ・ネガティブな要素や懸念点を共有、確認しやすくなり、選考プロセス全体の精度を高めることも可能です。
こうした理由から、採用精度を高めるためにも、面接評価チェックシートを用いることは非常に有効です。
面接評価チェックシートを導入するメリット・デメリット
採用活動に面接評価シートを取り入れるときには、以下のメリットとデメリット(注意点)を頭にいれたうえで作成を進めていきましょう。
面接評価チェックシートを導入するメリット
面接評価シートには、以下3つの利点があります。
面接の客観性が向上する
面接評価シートを活用すると、面接時に求職者を客観的に評価しやすくなります。また、面接の記録として評価シートを残すことで、次の面接への引継ぎなどもスムーズになります。
面接官が共通の認識で面接を行なえる
採用活動で複数の面接官がいる場合に、面接評価チェックシートを使うことで採用基準に対する共通認識を作れるとともに、面接自体の品質や採用精度も向上します。前述のとおり、面接評価チェックシートは、申し送りにも有効です。
たくさんの人材を一括採用する企業では、面接業務をスムーズにするうえでも、評価シートの導入は特におススメになります。
面接が効率化する
新卒一括採用などの場合、限られた時間内で多くの学生との面接をしなければなりません。面接評価チェックシートを用意しておけば、見るべき要素を統一して効率よく面接を進められます。また、チェックシートに質問なども記載することで、構造化面接を簡単に実施することも可能となるでしょう。
面接評価チェックシートを導入する際の注意点(デメリット)
既存フォーマットを流用した場合、以下のような問題が生じやすくなりますので、しっかりと考えて面接評価チェックシートは作成しましょう。
- 基準が一般的・抽象的な項目になりすぎる
- 面接の精度アップに反映することが難しくなる
- 面接官のスキルによって採用の質に差が生まれる状況が改善されない
面接評価チェックシートに含むと良い一般的な項目
評価項目を決める際には、以下のような項目分野を盛り込むことが一般的です。各項目のなかで「自社で活躍するために必要な項目」を明確化・具体化して、評価基準へ盛り込みましょう。
コミュニケーション力
- 関係構築力
- 他者への興味・関心
- 傾聴力
- 観察力
- 質問力
- 説明力
- 提案力
- 交渉力
- ロジカルコミュニケーション力
思考力
- 論理的思考力
- 状況把握力
- 分析力
- 課題発見力
- 集中力
- 想像力
- 企画力
- 概念思考力
- 視座の高さ
実行力
- 主体性
- 積極性
- チャレンジ精神
- 達成志向
- 計画力
- 決断力
- 柔軟性
- 楽観性
- 巻き込み力
人間性(※コミュニケーション力や思考力と重なる部分あり)
- 主体性
- 積極性
- チャレンジ精神
- 達成志向
- 計画力
- 決断力
- 柔軟性
- 楽観性
- 巻き込み力
必要知識・スキル
- 業務遂行に必要な基礎知識
- 成果をあげるための専門性
- 市場や商品・サービスの知識や理解力
面接評価チェックシートの作り方
面接評価チェックシート作成における基本的な流れを説明します。
採用の目的を明確にする
面接評価チェックシートを作成するうえでは、まず、自社(採用職種)で「採用後にどうパフォーマンスして欲しいか」を言語化するとよいでしょう。
新卒の場合、即戦力を求めた採用ではなく、ポテンシャル採用して育てていく側面が強いので、「どう活躍して欲しいか?」はあまり重視しなくてもよいでしょう。一方で中途採用の場合は、以下のように求める結果(活躍要件)を明確にすることが大切になります。
これまでの営業経験を活かし、A営業部門の売上を20%上げて欲しい
応対品質の向上や業務改善の企画をして欲しい
など
ピンポイントな採用を実施する場合には、解決して欲しい問題点や数値などを入れた具体的な活躍要件にするとさらによいでしょう。場合によっては、5W1Hなどを使って考えることもおススメです。
活躍要件とコンピテンシー一覧表などを見比べながら評価基準を設定する
活躍要件が決まったら、あらためて必要な姿勢や素養、スキルを考えて評価基準に落とし込んでいきます。
評価基準に落とし込む際にはコンピテンシー一覧表などを用いると言語化しやすくなるでしょう。また、単語だけを基準として落とし込むのではなく、自社において「この単語は、こういう意味・言動を指す」と言語化しておくと面接官に展開しやすく、解釈のズレも生じにくくなります。
なお、活躍要件とは別に、「自社の社風や価値観から照らし合わせて、絶対に外せない価値観や行動」という視点で評価基準を考えるのもおススメです。「こういう価値観や行動を持った人はどれだけ優秀だとしても採用しない」という視点でも考えておくと、カルチャーフィットが促進されます。
面接で評価基準を確認するための方法・質問などを決める
思考パターンや性格特性の見極めは、面接官の力量によって差が出やすい箇所です。したがって、面接でのマッチング精度を高めるには、評価基準を確認する方法や質問もチェックシートに盛り込んでおくのがおススメです。
例えば、HRドクターを運営するジェイックでは、小学校時代から今にいたるまでの主な意思決定のプロセスをヒアリングしていくことで主体性や動機の見極めを実施しており、面接官のマニュアルへと落とし込まれています。
さまざまな社員が面接を実施する場合には、抽象的な評価基準だけを提示しても適切にヒアリングできないことが多々あります。どのようなヒアリング・質問を通じて、評価基準の要素を見極めていくかも言語化しておきましょう。
面接評価チェックシート作成と運用のポイント
面接評価チェックシートの作成と運用では、以下の点に注意をするとよいでしょう。
面接官の負担を考えたシート作り
多すぎるチェック項目は、面接官の負担にもなりかねません。そのため、チェックリストの項目はある程度絞り込むことも大切になります。項目は多くて5~7個、3~5個が妥当でしょう。
各項目の確認・評価方法を決める
評価項目を決めても、精度の高い確認方法が共有されていなければ、結局、面接官の感覚でチェックされてしまうことになります。
また、レベルが低い面接官の場合、信頼のおける評価にならないこともあるでしょう。面接官の評価コメントが雑であったり適当な内容だったりした場合、一次面接から二次面接への引き継ぎもうまくいかなくなります。
したがって、面接評価シートの作成・運用をするときには、各項目を確認する質問例を共有し、質問のロールプレイングなどのトレーニングも併せて実施することがおススメです。そうすることで、経験が少なかったりレベルが低かったりする面接官でも、高精度の見極めをしやすくなります。
運用後の面接官へのヒアリングと改善
面接評価チェックシートは、作成して終わりではありません。継続的に改善点を洗い出しPDCAを回していく必要があります。PDCAを繰り返すことで、自社に合った人材を見極める採用精度や面接官のレベルアップが可能になります。
面接評価チェックシートのサンプル例
面接評価シートのサンプル例を紹介しておきます。
(引用:面接評価シート【サンプル】)
ただし、シートの導入で採用精度を高めるには、自社の採用業務に合わせてオリジナルの基準で面接評価シートを作成する必要があります。また、面接評価シートに盛り込んだ項目をどういう質問で確認するのかについても共通認識にしていく必要があります。
中途面接における質問事例を知りたい方は下記からダウンロードしてください。
まとめ
面接評価シート/面接チェックシートは、面接合否の基準を言語化することで、採用精度を高めるものです。面接評価シートの作成・導入をすると、以下のメリットが期待できます。
- 面接の客観性が向上する
- 面接官が共通の認識で面接を行なえる
- 面接が効率化する