初めての面接官ガイド【質問集付き】 | 面接の流れと役割を紹介

更新:2023/10/27

作成:2021/11/04

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

面接官マニュアル【完全版】役割と心構え、面接の流れや質問のポイントを紹介

企業が求める人材を採用できるか、また、適切ではない人材を見極めて選考で絞り込めるかは、面接官にかかっているといっても過言ではありません。近年では、企業の口コミサイトやSNSの浸透にともなって、面接官の対応が企業イメージに影響することも増えるようになりました。

 

記事では、初めて人事や面接官をされる方向けに、面接官の役割や心構え、良い面接官の特徴、実際の質問例を解説します。

 

初めての方でも失敗しない面接官マニュアルをまとめているので、ぜひ読んでみてください。

 

<目次>

面接官とは?

面接官は、採用の成否に重要な役割を果たす存在です。まず、求職者との会話を通じて、相手が企業に価値を与えてくれる人材かを見極め、選考の合否を決める役割を担っています。応募者のスキルや経験を評価することはもちろん、性格や価値観といった人間性に関わる要素なども踏まえて、入社後に定着・活躍するかを判断します。日本は解雇規制が厳しい制度になっていますので、誤った人を採用してしまった場合、企業が被るダメージがかなり大きなものがあります。

 

面接官は、見極めるだけでなく、魅了するという役割も担っています。一般的に自社で採用したいと思う人材は、他社でも内定がでる人材です。つまり、良い人を採りたいと思うのであれば、選択権は常に人材側にあるわけです。従って、面接官は見極めると同時に、自社を選んでもらえるように自社の魅力を伝える必要があります。HPや説明会とは異なり、面接は1対1で実施するからこそ、個人の性格や価値観、会社選びの判断軸などを踏まえて情報提供することが可能です。

面接官の役割と心構えとは?

面接官の役割は、求職者のスキルや特性、ポテンシャルを見抜き、自社で活躍できる人材かどうかを見極めることです。同時に、面接での質疑や対応を通じて、求職者へ企業の魅了付けを行なうことでもあります。求職者の志望度を上げるには、面接官が、相手の志向性に応じて企業や仕事の魅力を正しく伝える必要があります。

 

面接官が役割を果たすには、まず、人事と協力して企業が求める人物像をしっかりととらえる必要があります。そのうえで、

 

  • 求める人物像にスキルや特性は合致するか
  • 価値観は企業のカルチャーとフィットするか
  • 成長するポテンシャルがあるか

 

などについて、面接を通じてしっかりと見極めることが重要です。

 

同時に、面接官は求職者に寄り添って、動機と気付きを与え、迷いや不安要素を排除してあげることも大切です。優秀な人材は常に「売り手」市場であり、自社で採用したい人物は他社でも内定を取得します。したがって、基本となる見極めスキルを身に付けたうえで、魅了付けスキルを高めることが大切です。

 

また最近では、企業の口コミサイトやSNSの影響も大きく、マナーに外れた面接やハラスメント要素のある選考活動を行なうと、インターネット上で拡散されてしまうリスクもあります。面接の口コミなどをきっかけに企業ブランドを毀損することもあるため、注意が必要です。

 

面接官は、採用面接でやってはいけないことをあらかじめ理解しておきましょう。

 

優れた面接官の特徴

ペンとタブレットを持つ女性面接官

 

優れた面接官には、以下の特徴があります。自分が「どこのスキルは十分で、どこのスキルを伸ばす必要があるか」などを意識しておくとよいでしょう。

 

 

面接の雰囲気作り

ほとんどの求職者は緊張しています。とりわけ新卒採用の場合は、新卒のポテンシャルを見極めるうえでも、場作りが重要です。リラックスできる雰囲気を作ることは、求職者の本音を引き出すうえでも、求職者の志望度を上げるうえでも大切です。

 

面接での雰囲気作りには、面接冒頭のアイスブレイク、また、表情や言葉遣いなどにも気を付け、求職者に安心感を与えることが必要です。

 

対面であれば、広くて明るい部屋を選んだり、カジュアル面談であれば座る角度、また座り心地の良い椅子や求職者の足元が隠れる机を用意したりするといったファシリティー(設備の意味)などの工夫も効果的です。

 

 

相手を見極める質問力

面接官は、自社の採用基準に合わせて、相手のスキルや特性、地頭、ポテンシャルなどを見極める必要があります。職務経歴書に書いてあることをそのまま質問しても、見極めはできません。

 

面接では、経験や人間性、価値観、働き方をうまく聞き出すことが大切であり、うまく聞き出すためには、面接における質問力が必要になります。

 

また、中途採用であれば、相手の実績や成果に関して「自社で再現性があるのか」を確認する視点が非常に大切です。再現性があるかどうかの確認は、表面的な実績や成果を聞くのではなく、STAR面接などの手法を使って、しっかりとエピソードや成果を上げたプロセスを深堀する必要があります。

 

 

認知バイアスの調整力

認知バイアスとは相手への見方が偏る状態のことです。我々は人間ですので、面接する際には、価値観や無意識などによって常に認知バイアスが生じます。

 

例えば、「自分と共通項が多いと親しみを感じる」や「高学歴や職務経歴書で成果をあげていることで“きっと優秀だろう”という思い込みが働く」「絶対値ではなく、直前に会った人との比較で能力などを見てしまう」といったものが認知バイアスです。

 

面接の見極め精度を高めるためには、面接で生じる認知バイアスを知っておき、低減させる意識を持つ必要があります。

 

 

自社の魅力や課題への正しい理解

面接の場は、自社の魅力付けをする絶好のチャンスです。相手の志望度を上げるためには、自社の魅力や課題への取り組みなどを正しく理解しておく必要があります。自社の良い面はもちろん、悪い面も隠さずに正しく求職者へ伝える姿勢も大切です。

 

 

興味関心や動機に合わせた臨機応変な説明力

自社の魅力や課題について、単に説明するだけでは、相手の志望度は上がりません。求職者を魅了付けするには、相手の興味関心や動機に合わせて、臨機応変に説明の仕方を変える対応力、一種の営業力やプレゼン力が大切になります。

 

場合によっては、面接官からの質問を、求職者の興味関心や動機に合わせて調整することで、志望度アップにつなげることもできます。

 

面接の事前準備と面接の流れ、見るべきポイント

良い面接を実施するうえで、大切な事前準備と面接の基本的な流れ、見るべきポイントを紹介します。

 

 

事前準備

まず、各求職者の履歴書や職務経歴書、適性検査の結果などにしっかり目を通します。中途採用の場合は、前職・現職のホームページなどは確認しておくことが望ましいでしょう。求職者のおおよその特徴がわかったら、面接で質問・確認すべきポイントを準備していきます。

 

良い場を作るためのアイスブレイク、場作りの準備として、相手が喋りやすいテーマや自分との共通項を探すことも有効です。

 

 

面接の流れ

面接は、以下の流れで進めることが標準です。

 

  • 場作り 相手が喋りやすいように、また本音を引き出せるように場を作る(アイスブレイク)
  • 面接官の自己紹介、企業の説明をする
  • 相手の活動状況を大枠で把握する
  • 相手を見極める質問をする
  • 志望動機や就活状況を深堀りしつつ、動機などに応じた魅了付けや懸念払しょくの情報提供を実施する
  • 相手からの質問を受ける
  • 事務的な確認や連絡事項を説明する

 

 

面接でおもに見るべき3つのポイント

面接では、以下3点を中心に見ていきましょう。

 

 

・自社で活躍するために必要なスキルと特性の有無

いわゆるスキルフィットと呼ばれる項目です。本人のスキルと自社の業務内容との親和性や、自社で活躍できるだけの能力があるかを見極めます。

 

中途採用の場合、職務経歴書に書かれた実績や成果は、必ずしもすべて本人の実力ではなく、以下のような要素によるものも混じっているケースがあります。

・前任者から良い顧客を引き継いだ

・市場自体が伸びていた

・アシスタント的役割だったプロジェクトの成果

・良い顧客にたまたま巡り会えた(ラッキーパンチ)

 

そのため、スキルフィットの見極めでは、成果を出したときの役割や環境⇒プロセス⇒成果を出すために本人が実施していることを深堀りし、自社で「成果の再現性」があるかどうかを見極める必要があります。

 

 

・カルチャーフィットした人材かの見極め

カルチャーフィットとは、自社の価値観や企業風土、文化にマッチしているかどうかということです。

 

新入社員の場合は、教育を通して価値観を変えやすい傾向がありますが、中途人材の場合は経験があるからこそ、仕事への意味付けや価値観はそう簡単に変わりません。社風に合わない中途社員を採用すると、周囲に悪影響が生じることもあるため、カルチャーフィットも重要な項目です。

 

 

・就職活動の状況、自社への志望、意思決定の基準

優秀な人材の場合、他社でも二次面接に進んだり内定を獲得したりしている可能性もあります。したがって、面接では、スキルフィットやカルチャーフィットといった「自社における採用基準」での見極めだけでなく、「求職者の企業選びの基準や活動状況」にも耳を傾けるとともに、自社の魅力付けを行なう必要があります。

 

実際の面接で使える質問例

面接をしながらメモする面接官

 

実際の面接では、自社の採用基準に合わせて、以下のような質問の使い分けをすることが大切です。

 

 

アイスブレイクの質問

場作りやアイスブレイクでは、以下のように相手が答えやすい質問や、共通点などの紹介につながる質問が望ましいでしょう。

 

  • 名字や名前に関する質問
  • 住まいに関する質問や共通の話題
  • 趣味に関する質問や共通の話題

 

 

経歴・スキルについての質問

先述のとおり、履歴書などに記載された経歴などは、本人だけの成果や実績ではない可能性もあります。したがって、以下のように5W1Hを使って「どのように成果を出したのか?」や「なぜそうしたのか?」といった質問の掘り下げをすることが大切になります。

 

  • ○○の経験がおありとのことですが、どのくらい携わっていらっしゃったのですか?
  • 組織編成や組織内でのお立場について教えてください
  • これまでのお仕事で誇れる実績や成果がありましたら教えてください
  • 成果を上げるうえでハードルになったこと、ハードルへの対処方法を教えてください
  • 成果を上げるために心がけていること、実践されていることを教えてください

 

 

退職理由についての質問

中途採用の場合、前職の退職理由(転職理由)を確認することも大切です。

 

  • 前職で「○○だったら辞めていなかった」という点はありますか?
  • 退職の決め手となったのは何ですか?
  • 今後、また転職するとしたら、どのような理由だと思いますか?

 

 

志望動機・仕事観についての質問

自社とのカルチャーフィットや、入社意欲・成長意欲の有無を確認する質問です。仕事観は、経営者と似ていることが理想となります。

 

  • 仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?
  • 今回の転職活動で重視していることは何ですか?
  • 当社でどのような点に魅力を感じていますか?

 

 

ストレス耐性についての質問

なお、ストレス耐性は一概に強い弱いだけで判断することは危険です。先天的なストレス耐性の強さは感受性の鈍さにもつながります。後天的なストレス耐性やストレスへの対処力などを総合的に見る必要があります。

  • これまでに挫折した経験はありますか?それはどのような出来事ですか?
  • 仕事で成果を上げるうえで、ご自身の強みと弱みを教えてください。
  • 前職で最もストレスに感じたことは何ですか?

 

面接官として応募者を見極めるその他のポイント

応募者の能力や経験に加えて人間性や業務の適性を正確に評価するためには、会話だけでなく、些細なサインや行動にも着目することが重要です。本章では、質問への受け答え以外の部分で応募者を見極めるポイントをいくつか紹介します。

 

 

目線や手、足元の動き

面接官は、応募者の言葉だけでなく、身体的な動作にも注目するとよいでしょう。目線や手、足元の動きは、本音や自信を示す重要な要素です。自信を持って語る応募者は、しっかりとした目線や落ち着きのある行動で話をします。一方で、不安や緊張がある場合、応募者は目線を逸らしたり、手が震えたりすることがあります。面接官はこうしたサインを読み取りながら、応募者の本音を見極めることが重要です。

 

 

フィードバックや弱みの指摘に対する反応

面接中に応募者に対してフィードバックを行ったり、弱みを指摘したり、少し意地悪な質問をしたりする場面もあるでしょう。フィードバックや指摘、突っ込みなどに対する反応は、応募者の素直さや成長意欲を示すポイントになります。

 

ポジティブなフィードバックに対して謙虚に受け入れる姿勢や、弱みを認めつつそれを克服しようとする姿勢は、好印象と捉えることができます。一方、批判的なフィードバックをとにかく否定したり、反論したりする態度、責任を他に押し付けようとする姿勢などは、入社後のパフォーマンスを懸念する材料となります。

 

 

面接のパフォーマンスに引っ張られ過ぎない

面接では、声のトーンや表情、コミュニケーションのスタイルなど、そのときのパフォーマンス、コミュニケーションが注目されがちです。確かにこれらは重要な要素です。しかし、面接のパフォーマンスだけに引っ張られ過ぎてしまうと、その人が持つ本質的な能力や業務の適性を見抜けない可能性があります。

 

採用選考は面接のパフォーマンスを評価するためだけではなく、入社後の可能性を見極めるためのものです。「入社後に活躍するために大切な要素は何か?」をしっかりと明確化して、選考を実施しましょう。

面接官がやってはいけないNG行動

面接官は、応募者の能力や適性を正しく評価するだけでなく、公平さと相手を尊重する気持ちを持って業務を行うことが重要です。面接におけるNG行動を理解していないと、採用業務のクオリティや企業の信頼性に悪影響を与える可能性があります。ここでは面接の際に意識すべきNG行動とその理由について、詳しく解説していきます。

 

応募者を見下す態度

面接官の基本姿勢は、応募者の尊重と公平な評価です。応募者を見下すような態度を取ることは、優秀な候補者の就職意欲を下げるだけでなく、企業の評判を下げる可能性もあります。とくに今の時代、不適切な対応はSNSなどに書き込まれて一気に拡散される時代です。相手を「人」として尊重する気持ちを持って、応募者と向き合うことが大切です。

 

就職差別的な発言や質問

面接中に就職差別的な発言や質問をすることは、法的な問題を引き起こすだけでなく、企業の信頼を失うリスクもあります。就職差別につながる可能性がある質問は、俗に”NG質問”と呼ばれます。性別や人種、宗教などはもちろんですが、意外な質問がNG質問とされている場合もあります。

 

原則は、面接における質問は選考の合否を決めるための能力や経験、コンピテンシーや性格特性を見極めるための質問に絞ることです。ポテンシャル採用の場合、相手の人柄や価値観も大切な判断要素になり得ますので、育った環境や趣味、インプットの情報源(新聞や読書、Webメディアなど)にも踏み込んでしまいがちです。合否に必要な情報を質問すること自体は問題ありませんが、就職差別と捉えられるリスクがある質問には十分注意しましょう。

まとめ

面接官の役割は、人材の見極めと魅了付けです。優秀な人材を見極めて魅了付けするには雰囲気作りや質問力、認知バイアスの調整力、臨機応変な対応力が必要となります。

 

自社に合った人材の採用精度を高めるには、トレーニングをしながら面接官のスキルアップをしていくことも大切です。トレーニング時には、ここで紹介した質問例を活用してロールプレイングなどを実施してもよいでしょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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