中途採用が期待外れになる原因とは?中途採用を成功させる秘訣を解説

更新:2022/04/22

作成:2022/02/17

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

中途採用が期待外れになる原因とは?中途採用を成功させる秘訣を解説

中途採用で“期待外れ”が起きる原因は、中途採用者に対する考え方の誤りや採用の不備・フォロー体制の手薄さです。とくに面接で人材の見極めに失敗すると、せっかく採用しても早期離職を招いてしまうでしょう。面接内容を見直すと同時に中途採用者へのフォローを徹底しましょう。

 

<目次>

中途採用者を「期待外れ」と感じる原因

中途採用者を「期待外れ」と感じる原因
(出典) photo-ac.com
中途採用者に対して「高いコストをかけて採用したのに、即戦力にならない…」と、がっかりする経営者や幹部の声は意外と多く聞くものです。企業が『期待外れ』と感じるのには、どのような原因や背景があるでしょうか。

必ず即戦力になると思っている

ビジネスマナーや社会人経験があり、業務経験もある中途採用者は、『企業の即戦力』として採用されるケースが大半です。右も左も分からない新卒採用者に比べると頼もしいのは事実ですが、過大な期待は禁物です。実際のところ、中途採用者が新たな組織に入って、すぐに成果を上げるのは容易ではありません。「必ず即戦力になるはず」「自社を救ってくれるはず」「すぐに成果を出してくれるはず」と期待しすぎると、ギャップに落胆してしまうでしょう。中途採用者を期待外れと感じることが多い場合、そもそも考え方を変える必要があるかもしれません。組織で活躍するには、スキルや知識だけでなく、『能力を十分に発揮できる環境』が必要です。ここでいう環境には、仕事の進め方・社内用語・暗黙知・組織独特の価値基準・行動規範などへの理解を指します。企業文化や経営理念が企業ごとに異なるように、上記のような環境も違って当たり前です。中途採用者が本来の能力を発揮できるようになるには、『組織の価値観や暗黙知に馴染む』時間と機会を与えてあげる必要があります。専門用語で組織社会化と呼ばれるプロセスです。

経験があるからと何も教えていない

前職と同じ職務で採用された人の場合、新人研修や教育がなおざりになるケースも多くあります。「即戦力で採用したのだから」「経験者だから」といって研修や教育に手を抜けば、いつまでたっても自社のやり方になじめません。同じ業界でも、仕事の進め方やノウハウ・方針は企業ごとに全く異なります。前職のやり方で進めてトラブルを起こしたり仕事が滞ったりすると、「中途採用なのに使えない…」と感じてしまいがちです。職場に新しく人が入ると、実務を通じた職場教育(On the Job Training)が行われます。中途採用者の場合、ある程度はOJTでまかなえますが、OJTでは体系的な知識習得は行いづらく、穴あきの知識になりがちです。後述しますが、新卒・中途の新入社員の早期活躍を目指し、職場が受け入れ態勢を作ることを『オンボーディング』と呼びます。中途採用者を期待外れと感じるのは、組織になじむための手ほどきをきちんと行っていないことが原因である場合もあります。

 

期待外れは採用の不備でも起こる

期待外れは採用の不備でも起こる
(出典) photo-ac.com
中途採用において、面接官の間で生じる『評価基準のズレ』や『認識の不一致』も、採用のミスマッチを生む原因です。期待外れと感じる中途採用が続く場合には、自社の採用プロセスに課題がないか、いま一度振り返ってみましょう。

曖昧な採用基準が選考の評価をブレさせている

面接の採用基準が曖昧な場合、面接官自身の固定観念や経験・直感に従って判断するケースが多くなります。合理的でない考えに基づく判断の偏りや先入観は『バイアス』と呼ばれ、期待外れの採用を生むことにつながります。中途採用者の面接で気を付けたいのが『ハロー効果』です。ハロー効果とは一部の優れた結果に影響されて、判断を誤ってしまうバイアスです。例えば、応募者が大手企業や同業で働いていた、優れた実績をあげている、有名なプロジェクトに参加しているといった場合、上記の面に引っ張られて欠点を見逃したり、見極めが甘くなったりするケースです。ハロー効果には逆のケースもあり、本当は自社の求めるスキルを持っているのに、転職回数の多さや面接官が個人的に好まないコミュニケーションといった要素で、NGを出してしまうこともハロー効果の影響です。また、出身地や出身校が同じといった応募者に対して、面接官が個人的に感情移入してしまい評価が甘くなる『寛大化傾向』もよく見られます。主観等による評価の偏りをなくして人材の本質を見極めるには、面接で生じるバイアスの存在を知ること、また、採用の評価基準をしっかりと明確化することが有効です。

採用基準が必要十分になっていない

会社が望む人材を採用するには、評価基準に基づいた面接が欠かせません、しかし、そもそも基準が明文化されていなかったり会社が求める人物像が曖昧だったりすると、評価基準はあってないようなものです。特に価値観や人柄といった内面的な要素は、履歴書や職務経歴書から判断するのが難しいため、面接官の質問によって深掘りする必要があるうえ、面接官によって捉え方や基準も異なりがちです。だからこそ、採用基準は『採用ポジションで成果をあげるために必要な人物像』を明確化して、逆算していくのがポイントです。人材の経験やスキルはもちろん、思考力や人間性、価値観や動機も具体的に洗い出していきます。なお、採用のミスマッチが起こると早期離職率が増加します。中途採用の場合、社会人経験があるからこそ、価値観や判断基準が固まっています。能力やスキルは十分なのに企業文化や人間関係になじめずに早期離職が起こるケースもありますので、『企業文化との適合性』も評価基準に落とし込みましょう。

 

中途採用者が活躍できるようにする方法

中途採用者が活躍できるようにする方法
(出典) photo-ac.com
中途採用者が離職する原因の一つに、面接時の見極めが不十分であることが挙げられます。評価基準を見直すと同時に、スキルや経験を的確に評価する必要があります。

採用や評価の基準を明確に定める

中途採用と新卒採用では、重要とされる選考のポイントが異なります。やる気や熱意だけでなくスキル・経験・自社との適合性を見極めなければならないため、面接官の間でズレが起きるケースも珍しくありません。評価の基準を明確に定めてマニュアル化した『面接評価シート』を活用することで、面接の精度は上げられます。基準を点数化することで、より自社が欲する人材に近い人を見極められるでしょう。数値化しにくくズレが大きく出やすいパーソナリティの評価項目は、『内向的』『外向的』『論理的』といった単語に留めず、より具体的な行動特性に落とし込むのがポイントです。パーソナリティに関しては、社内で優秀な成績を上げる社員の行動特性(コンピテンシー)や適性検査の結果等を参考にすることがお勧めです。

 

面接で特に見極めたい応募者の性格特性や要素は?

面接で特に見極めたい応募者の性格特性や要素は?
(出典) photo-ac.com
下記の3つは中途採用者が入社後に成果をあげるための資質として、多くの職場で共通するものです。下記3つが全てではありませんが、自社で成果をあげるための資質をしっかりと調査して採用基準に反映しましょう。

達成動機

多くの仕事で成果をあげるうえでは『達成動機』が重要です。価値ある目標があると、人の中には達成しようという欲求が起こりますが、欲求の強さは人によって差があります。自分が掲げた目標を完遂しようとする動機や欲求を『達成動機』と呼びます。達成動機が強い人は、能力が不足していようが、環境が変わろうが「とにかく目標を達成したい」という強い気持ちに突き動かされた行動を取るのが特徴です。目標に焦点を合わせ、いかに効率的に達成できるかを逆算して考えるため、仕事においては成果を出し続ける可能性は高いでしょう。つまり、達成動機の強さは『仕事で成果を出し続けられる人』の特性の一つといえるのです。達成動機の強さは、適性検査や面接を通じて見極めができます。以下のような質問も達成動機を測るうえで参考になります。

  • 高い目標を掲げて努力した経験を教えてください。
  • どのような努力や工夫をしましたか?
  • 達成するまで苦労はありましたか?それをどう乗り越えましたか?

 

当事者意識

活躍する人の特徴として『責任感』が挙げられます。高い能力を持っていても責任を持って業務を遂行できない人は、企業に利益をもたらしません。では、責任感とは何でしょうか?定義はさまざまですが、仕事においては『責任感=当事者意識』と捉えることができるでしょう。また、自分の仕事の結果を『自分が選択・行動してきた結果』と素直に受け止められる『プロフェッショナルな意識』と言うことも出来るでしょう。ただし、面接では多くの応募者が『責任感の強さ』をアピールします。表面的な質問で終わるのではなく、『前職でどう行動してきたか』『主体性や責任感をどのように発揮していたか』を丁寧にヒアリングしましょう。以下のような質問でも責任能力の有無や、困難に対する向き合い方が分かります。

  • 前職で失敗した体験談を教えてください。
  • 〇〇とき、あなたはどんな方法で乗り越えたのですか?
  • 経験から学んだことは何ですか?

 

『責任転嫁していないか』『困難を打破するための努力をしているか』『失敗からの学びはあるか』が主なチェックポイントです。人のせいにせず困難に向き合い、ミスから学んできたエピソード等があるかが判断ポイントです。

協調性

経験が豊富な中途採用者でも、自分の力だけで仕事を成し遂げるのはほぼ不可能です。中途採用者と他の社員の間でいざこざが起きてしまっては、チーム全体で成果を上げることは難しいでしょう。従って、面接では職務遂行に必要なスキルの他に、『協調性』や『柔軟性』も確認しましょう。ビジネスにおける『協調性』は、単に性格の柔和さや傾聴力を指すのではありません。価値観や立場、利害が異なる人たちと信頼関係を構築し、相乗効果によってチームの成果を最大化する力を意味します。面接では『考えや価値観が異なる相手とどのように仕事してきたか』『意見の相違があった際にどう対処したか』を掘り下げていきます。いくら高い専門性や知識があるといっても、新たな環境では周囲に学ばなければならないことが数多くあります。知らないことに対する『謙虚さ』や『学ぶ姿勢』があるかどうかも重要なポイントです。

  • プロジェクトで、チーム内の意見が対立したときはどうしますか?
  • 周囲の助言を取り入れてうまくいった体験はありますか?
  • 年下の部下やメンバーからどのように学んできましたか?

 

中途入社の社員が自分のカラーを出しながら成果を上げられるようになるのは、早くて1年はかかります。最初の1年はチームのやり方になじんでもらう、新たな環境での流儀をしっかりと学びながら成果を出してもらうことを前提に、人事選考を行いましょう。

 

中途採用者には入社後フォローが重要

中途採用者には入社後フォローが重要
(出典) photo-ac.com
新卒採用の教育や研修は徹底しているものの、中途採用者へのフォローが手薄な企業は珍しくありません。フォロー体制が不十分な状態で業務がスタートすると、早期離職につながったり、活躍がおそくなったりします。

中途採用者は強いストレスにさらされる

中途採用者の入社後は、「お手並みを拝見」と注目が集まりやすかったりする職場もあります。また、中途入社の社員は、上記の空気だけでなく、「本音で話せる人がいない」「仕事のやり方やルールが分からなくても聞きにくい」「組織風土が分からない」といった理由で、中途採用者は強いストレスにさらされます。また、中途入社自身も『即戦力』という位置付けを自覚して、「早く成果を出さないといけない」「期待に応える必要がある」「何か能力を発揮しなければ」というプレッシャーが重くのしかかります。従って、中途採用だからといってフォローを怠ると、社内で孤立感を覚えてしまったり、プレッシャーが悪い方向に働いたりすることもあります。新たに加わったメンバーが、その組織の規範・価値観・人間関係・暗黙知・仕事の手順・共通言語などを習得し、能力を発揮できる状態になることを『組織社会化』と呼びます。最近、人事領域で当たり前になりつつある『オンボーディング』は、組織社会化を促進するために欠かせない手段です。仕事の手順やルールはきちんと言語化し、チームとしての共通認識を持ってもらうところからスタートしましょう。

早く職場になじめるようにするオンボーディングの工夫

入社後はオンボーディングを行い、中途採用者にできるだけ早く職場になじんでもらうことで即戦力化が促進されます。中途再硫黄の場合、基本的なオリエンテーション後は、配属部門で教育担当が付けられてOJTに入ることが一般的です。ここでOJTの担当者とは別に『業務以外をサポートする人(ブラザーシスターやメンター)』を付けると、中途採用者の不安低減に役立ちます。業務に直接関係がないことや教育係に相談しにくいことも話せるため、組織の文化に溶け込みやすくなでしょう。仲間意識が生まれると会社への帰属意識が高まり、結果的に離職者のリスクを減らせます。もちろんチーム全体でも気兼ねなく質問ができる環境を作る工夫が必要です。「経験者なんだからそのくらいは分かってくれ」という雰囲気ができてしまうと、中途採用者が孤立してチームの業務にも支障が出ます。また、オリエンテーションやOJTにおいては、直接的な業務知識以外に、組織の規範・価値観、沿革、共通言語、暗黙知、組織図や関係性なども丁寧にフォローすることで即戦力化が進みます。

 

まとめ

中途採用で、面接時は期待して採用したのに、入社してみたら「期待外れだった…」というケースを意外と多く聞きます。中途採用の『期待外れ』は本人だけの問題ではなく、企業の過大な期待値や面接でのミスマッチで起こるケースも多々あります。まず面接では、能力をしっかりと見極めると共に、カルチャーのマッチング度を正しく評価して、新しい環境でも適応できるかどうかを見極める必要があります。また、入社後は企業理念や暗黙知などを早く理解してもらうことが即戦力化につながります。経験者だからといって「お手並み拝見」といった意識が生まれないようにオンボーディング等の受け入れプロセスをしっかり整えましょう。ブラザーシスター制度やメンター制度などもメンタル面をケアするうえではおススメです。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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