
日本では、就業規則や雇用契約書に記載のない理由で人材を解雇することは非常に困難です。一方、試用期間中は正当な解雇事由があれば労働者を解雇することができます。試用期間中の解雇が認められる正当な事由は、以下の5つです。
勤怠不良
正当な理由がないのに遅刻をする、欠勤を繰り返すというように、労働者の勤務状況が著しく不良であり、企業側が指導しても改善されない場合は、正当な解雇事由として認められます。
ただし、「月に〇回遅刻をしたら解雇して良い」などと明確な数字が決められているわけではありませんので、“社会一般的に見て著しいと認められるか”が判断基準となります。自社で“遅刻を1回でもしたら解雇事由になる”などと定めていても、有効とは認められません。
また、勤怠不良に対して企業側が指導や教育を行なっていない場合も正当な解雇事由として認められないため、勤怠不良に対して指導や教育を行なったが是正されなかったという明確な証跡を残すことが必要です。
病気やケガにより復帰後の就業が困難
病気やケガ、不慮の事故などで就業が難しくなった場合は休職扱いになるのが一般的ですが、復帰後も就業が難しい場合は正当な解雇事由として解雇が認められます。
ただし、病気やケガをした時点で就業が困難だと判断しても、正当な事由として認められません。企業側は労働者の休業を認めるとともに、負担の少ない業務から与えて復帰をサポートする義務があります。
また、解雇と判断した場合は原則30日前に解雇予告を通知しなければならないため、就業が困難でも30日間は解雇できませんので気を付けましょう。
経歴詐称
入社後に経歴詐欺が発覚し、かつ詐称した経歴が採用判断に明確に影響していた場合は、正当な事由として解雇が認められます。
ただし、経歴詐称を理由に解雇する場合は「経歴詐称がなければ採用しなかった」ことを立証する必要があります。学歴、職歴、犯罪歴、健康状態などを意図的に隠した、意図的に詐称したなど、経歴詐称が悪質であったことをしっかりと主張することが大切です。
協調性の欠如問題行動が重なったり、協調性がなかったりした場合も、正当な解雇事由として認められます。
ただし、勤怠不良と同様に、協調性の欠如が発覚しただけでは改善の可能性がないとは言えません。従って、譴責→出勤停止→減給→解雇などのように段階を踏む必要があります。
問題行動に対して注意したという事実を明確に示すとともに、「改善しなければ最終的には解雇対象である」などと警告を十分に与えることが大切です。注意や指導を証跡として残すことで、改善の可能性が低い、もしくはないことが認められ、解雇が正当だと認められる可能性が高まります。
定められた成績の未達
試用期間における作業能率が著しく不良で、労働者として不適格と認められた場合は解雇することができます。
ただし、解雇が認められるのは不良の程度が「著しい」場合に限られるほか、同じ行為に対して労働者Aは解雇、労働者Bは懲戒処分など、不公平な評価は認められません。そのため、協調性の欠如と同じように、改善の余地がないことを提示する必要があります。
また、職務能力の欠如が解雇理由となる場合は、組織として十分な援助を行なったという事実も提示しなければなりません。注意や指導、教育の機会を十分与えたにも関わらず改善が認められなかった場合に、初めて解雇が認められます。