「若手の扱い方がわからない」と感じているマネジメント層の方も多いかと思います。無理もありません、今のマネジメント層が育ってきた環境と、今の若手が育ってきた環境は大きく異なります。そのため、当然、価値観も異なっています。
今の若手を理解するためには、まず彼らが育った時代背景から確認をする必要があります。そこで、「24卒新入社員の傾向」を時代背景から読み解いていきます。
本レポートでは、新入社員の本音と特徴、そして、どのようにマネジメントすることが求められるのかを掘り下げます。
*本レポートは2024年4月18日に開催したセミナーを基に作成したものです。予めご了承ください。
<目次>
- 時代背景から読み解く!24卒新入社員の傾向
- 24卒内定者の8割が社会人になることを不安と回答
- 入社後に想定している壁TOP3
- 先輩社員との関係構築のサポートを求めている
- 入社理由は学生時代の経験によって違いが生じる
時代背景から読み解く!24卒新入社員の傾向
まずは、24卒の新入社員(大学をストレートで卒業し、社会人になった場合)が生まれ育った時代背景を確認すると共に、彼らの考え方の傾向をお伝えします。
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最初に注目すべきなのが、小学校時代です。
既に携帯電話があり、FacebookやTwitter(現X)、YouTube、LINEもサービスを開始しています。これらを小学校時代から身近に感じていた彼らは、デジタルネイティブ世代とも言われています。
一方で、7歳でリーマン・ショック、10歳で東日本大震災を経験しています。
また、新型コロナウイルスの拡大に伴う緊急事態宣言が大学1年生の時です。彼らは、大学時代、オンラインで勉強をしていて、就職活動も企業側がオンライン面接に切り替えたため、オンライン対応が多かった世代です。
アルバイトや旅行などのやりたいことが制限された体験が多かったことも特徴です。
そして、いよいよ社会に出ていくタイミングで、緊急事態宣言は終わり、各社がリアル出社に切り替える動きも増えてきました。
全体を通して見ると、スマホが当たり前の世代であり、子供のころからSNS等を通じて多くの情報に晒された世代でもあります。スマホコンテンツの拡充により、彼らは、素早く情報収集することに慣れており、ここは強みでもあるといえるでしょう。
また、受けてきた教育の影響として、他者の多様な価値観を尊重する方が多いです。そして、同様に自分の個性も大切にしていきたい・して欲しいという方が増えています。
世界的な大不況や震災、コロナなどを学生時代に経験したことが、キャリア観に影響していることも見て取れると感じており、もう少し細分化して見ていきます。
24卒内定者の8割が社会人になることを不安と回答
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ラーニングイノベーション総合研究所 「内定者意識調査」対象者:2024年卒業予定 404名
24卒で4月に入ってきた方々を対象に入社前に取ったアンケートの結果、内定者の8割が「社会人になることが不安」と回答しています。
学生から社会人になると立場も生活も切り替わりますので、一定の不安はつきものですが、24卒は特に学生生活もオンラインで、採用面接もずっとオンラインで、「4月から入社する会社に行ったことがない」人もいますし、「最終面接の1回しか行ったことがない」人はかなり多いです。
その状態からリアル出社して働くということで、生活リズムの変化なども含めて不安視している方が多いです。
では、具体的に入社後、どんなことが壁になると想定しているのかを見ていきます。
入社後に想定している壁TOP3
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ラーニングイノベーション総合研究所 「内定者意識調査」対象者:2024年卒業予定 404名
第1位の「仕事が難しい」は想像がつくと思いますが、特徴的な回答は第2位の「生活リズムの変化」です。
前述の通り、コロナ禍で自宅でのオンライン学習をしてきた方が多いので、早く起きて身だしなみを整えて会社に出社するということで、生活リズムが一気に変わります。
じつは新人研修のときの相談として今非常に増えているテーマです。1学年上の23卒の方の入社後の様子を見ていても、生活リズムのバランスが取れずストレスで悩んでいたり、中にはメンタル不調者が出たりしている会社もあります。
通勤や、出社して自分より年齢の高い方とのコミュニケーションを取ることなどは、私たちが思う以上に、本人たちにとって、かなりの負荷がかかっている印象です。
先輩社員との関係構築のサポートを求めている
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ラーニングイノベーション総合研究所 「内定者意識調査」対象者:2024年卒業予定 404名
会社に求める支援として第1位に挙げられたのが「先輩社員との関係構築」です。2人に1人以上がこのような支援を求めています。
このアンケートでは、「上司との関係構築のサポート」はランク外という結果でした。それよりも、年の近い先輩への関係構築を真っ先に会社にサポートしてほしいというのが、入社前の新人が思っていることです。
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ラーニングイノベーション総合研究所 「内定者意識調査」対象者:2024年卒業予定 404名
他の内定者(同期)との交流機会よりも、先輩社員との人間関係を築く機会を早く作って欲しいと要望しています。
弊社で、23卒の方が働きだして半年ぐらいのタイミングで、数百人の新入社員にキャリア面談を行い、面談データを言語解析にかけたところ、対話の中で「上司」よりも「先輩」という言葉が頻出することが分かりました。
さらに紐解いていくと、先輩が活躍していなかったり、会社に対してネガティブな発言をしていたりすると、かなりネガティブな影響を受けていることも分かりました。
先輩が辞めたり、ネガティブなことを言っていたりすると、新入社員のモチベーション低下・退職意向にぐっと影響するということです。一方で、先輩が活躍していたり、生き生きと働いていたりすると「この会社で働き続けたい」という意向も強まります。
分析を通じて、じつは上司のマネジメント以上に、先輩の言動が新入社員に影響を与えているということが分かりました。
入社理由は学生時代の経験によって違いが生じる
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ラーニングイノベーション総合研究所 「内定者意識調査」対象者:2024年卒業予定 404名
上記は、入社の理由を聞いたデータです。働く理由は、学生時代の経験によって違いが出ています。
では、学生時代にどういう経験をしている人が、どういう理由で入社を決めるのかを見ていきます。
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ラーニングイノベーション総合研究所 「内定者意識調査」対象者:2024年卒業予定 404名
あなたは何のために働きますか?という問いを、学生時代の経験の違いを元に確認していきます。
「目標とか目的、ゴールに向かって努力した経験がある」という人と「学生生活に目標や目的がなく、努力をしてこなかった」という人で、働く目的に明確な違いが生まれます。
両者共通して、「お金を稼ぐために働く」が1位ですが、選択の比率を見ると、学生時代に目標や目的、ゴールに向かって努力した経験がない人の方が圧倒的に多くなります。
一方で、目標や目的ゴールに向かって頑張った方の働く理由として多いのは「自分の能力や人間性を高めるため」という回答や「夢を叶えるため」という回答です。
自社が採用した人のタイプによって、会社選びの理由が異なり、意識づけのポイントも異なるというのは、若手育成において重要なポイントです。
本記事は、全2部構成でお送りします。Vol.2は下記よりどうぞ。







