株式会社フラッグシップオーケストラ|自社のカルチャー形成を明文化して「“非”常識を常識に」当たり前を変えていく

更新:2024/03/06

作成:2022/03/15

フラッグシップオーケストラ

品質の良い格安動画を大量制作している株式会社フラッグシップオーケストラ。Great Place to Work® Institute Japan 2021年版日本における「働きがいのある会社」ランキングでは、小規模部門の第1位に選ばれています。オフライン主体だった動画業界で、リモートワーク率90%以上、さらに社員の働きやすい職場づくりを実現した秘訣をお伺いしました。

<目次>

Q.貴社の事業内容について教えてください

当社は動画制作に関するサービスをトータルに提供しています。クリエイティブやマーケティングの側面から、今日では“非”常識とされることを常識に変えるようなサービスを提供することにより、新たな動画サービスのプラットフォームになることを目指しています。

これまで動画制作には様々な課題がありました。当社が動画業界に参入したころは「料理のレシピ動画」が流行っていたのですが、専門性が高く、かつコストもかかっていました。まだまだテレビや映画の力も強く、CM動画などもアーティスティック作品のようなものが求められているような状態でした。

一方でどんな動画でも、いいものであれば残りますし、手間暇をかけても残らないものもあります。であるならば、「いいものを無駄なく格安で大量に」作ることができればいいのではないかと、動画コンテンツ作りの新常識を築き上げるべくスタートを切ったのです。

現在の主軸事業に「ムビラボ」というものがあります。こちらは1本2万円からの低価格で月間1,500本を制作できる動画制作サービスであり、企業のYouTubeチャンネルや動画の配信、動画広告効果測定などの動画マーケティングに関するトータルサービスを行っています。

さらにムビラボ体制を広告用に構築した「ムビラボアド」、動画を閲覧したユーザーを特定したり閲覧データを取得・分析したりできる「ムビパス」など、多角的にサービスを開発していき、顧客の課題を払拭して、動画制作を身近で手軽に感じられるような新常識を打ち出してきました。

Q.良質な動画を格安で大量に作るための秘策は、どこにあるのでしょうか?

たくさんの動画をリーズナブルに作り上げると同時に、質を担保していくことは大切です。そのため、制作する内容にはよりますが、当社ではあえて「制作」を属人化させず、基本的に制作作業のオペレーション化・標準化を図っています。

動画制作の基本はお客様が求められる内容をきちんと伝えることです。それを実現するためにどこまで作り込むべきかを考えた体制づくりを図っています。

例えば、過去に作られてきたアーティスティックな広告の制作パフォーマンスを10だとすれば、その半分の5でも「伝わる要素」がしっかり入っていれば、それは10と同じ効果をもたらします。

そうした効率的な作業を実現するには、これまでの属人的なものを排除していく必要がありました。それぞれの制作過程を細分化し、属人的にならない状況を作り出してどれだけ多くのコンテンツを作り出せるかを考えていきます。それがコスト抑えた動画づくりに結び付き、低コストで大量の良質な動画制作を可能にしています。

Q.これまでオフラインが主流だった動画制作の業界で、どのようにリモートワークを推進していったのでしょうか?

現在コロナ禍ということもあり、社員の90%以上がリモートワークを実施しています。1日あたり1人が出勤しているかいないかという状態のため、実際には99%に近い数字かもしれません。

リモートワークに関しては、作業効率向上の反面、業務連絡の減少などによるコミュニケーション不足などがよく課題とされていますが、当社はコロナ前から「変化していく組織」を目指して、新しい施策や新しい働き方を柔軟に取り入れる変化への対応力が重要だと考えていました。

そこでは今のコロナ禍のような不測の事態、カネ・ヒト・ビジョンによる突然の方向転換は必ず起こるものと想定し、それにすぐ対応できることを意識してきました。

先に述べたように、当社は「“非”常識を常識に」を企業理念としており、「変化していく組織」を実現するために、以下の「5つの信条」の社内浸透に取り組んできました。

  • ・Challenge(常識への挑戦)
  • ・Give(関わる全ての人へ感動提供)
  • ・Growth(思考力と人間力の追求)
  • ・Crew(仲間への感謝、承認、団結、尊敬)
  • ・Professional(成果にこだわる。あらゆることに妥協しない)

新value

この「5つの信条」の浸透があったからこそ、固定観念に囚われていた動画業界で、あえて制作工程を属人化せずにオペレーション化(標準化)することも実現しています。企業理念のもと、「当たり前」になっていることをあえて変えていくような姿勢を、各自が自分なりに持って業務に向き合っています。

コロナ禍において、社員が同じ場所で働く機会がなくなったときも、全員がそうした企業理念をしっかり胸にして業務を行っていたため、ぶれずに新たなカルチャーを作り続けることができています。

さらに当社では「組織をより強くする施策」として毎日の朝礼から総会、上長との面談などをすべてオンラインで行い、リモート化を徹底することにより今後のコミュニケーションが希薄化することを防いでいます。さらに今まで社員が日頃なんとなく思っていたことも言語化し、オンラインで共有化していつでも読み返せるようにしました。

全体朝礼

Q.リモートワークの中で「雑談とコミュニケーション機会の創出」を唱えていますが、どのような手法を打ち出しているのでしょうか?


リモートワークの浸透によって社内における「雑談」の機会が一旦ほぼなくなりました。しかし、スティーブ・ジョブズが「イノベーションは雑談から生まれる」という言葉を残したように、「雑談」は可能性を秘めた重要なコミュニケーション手法のひとつだと捉えています。

そこで、リモートワーク下において雑談やコミュニケーションを促進させるための施策をいくつか取り入れてきました。

まず執行役員以上を対象に、外部の方や知り合いの経営者にご協力いただき、メンターになっていただきました。幹部層にとっての外部交流であり、他社の経営も聞く機会であり、同時に外との「雑談」機会とも位置付けて、定期的に執り行っています。

また、これまであった日常業務中のやりとりやランチでの団らんもなくなっていたため、先に述べたように動画による全体朝礼や表彰式、ランチ会、ミーティングを行い、ライブ形式でのオンライン社員総会を実施したり、勉強会もオンライン動画で開催したりしています。

リモートでの表彰やランチ会などの様子

当社の中途採用者の中には、映像制作での経験者のみならず、百貨店出身者や、EC事業に携わっていたりと様々なフィールドで活躍してきた社員が入社しています。中途メンバーにはそれぞれの経験を踏まえて、当社のカルチャーをどう感じているか、どこを改善したらよいと思うかを聞いたりしています。

他にも毎月一度は上長との面談機会があり、さらに代表取締役の大澤とも半期に一度、社員全員が1対1で話す機会を設けて仕事の進捗状況や、個々の適性や能力、個人の描く人生観や夢なども共有しています。

大澤は社員1人ひとりのキャリアを何よりも大切にしています。よく会社の経営を船の航海にたとえて「メンバーが船に乗ることで自分の人生にプラスになるようにしたい」と個の人生、力を考える会社の在り方を考えています。

もちろん、個の自由を無条件に尊重するわけではありません。面談等でのフィードバックを重ねて個の自由を尊重しつつ、会社として求めるプロ意識も持ってもらうようにしています。

Q.さらなる働きがいのある職場づくりのため、動画制作会社ならではの施策「ムービメント」を活用されているとのことですが、どのような内容なのでしょうか?

他にもリモートワークによるコミュニケーション向上のための補てん策として、「ムービメント」があります。これはムービーとエンゲージメントを組み合わせた造語です。当社では、社員全員が自己紹介や仕事の内容などを配信したり、会社側から企業理念に関する動画を制作して会社の方針や想いなどを配信したりしています。

ムービメントイメージ

自己紹介動画の制作・配信といっても、説明的な映像は途中で飽きられてしまい、最後まで見てもらえません。動画制作会社だからこそ、自己満足の動画にならないよう、自社サービス「ムビパス」で誰がどこまで動画を見たのかも分析しながら作り上げていきます。

魅力ある動画をつくることは、社員間のコミュニケーション向上につながりますし、お客様が求める動画制作を実現するヒントにもなるでしょう。また、当社の企業理念への理解をさらに深めることにもなります。動画を軸とした活動は、「社員が働きがいをもって働ける職場」づくりの一助になると考えて取り組んでいます。当社のリモートワーク中心の働き方による組織施策は、今後業界を超えて新たな“常識”となっていくと思います。

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