株式会社ノースサンド|人間力重視で勝ち筋を見出し、時世に流されない組織づくりへ

更新:2026/04/16

作成:2026/03/05

いい会社づくりのヒントサムネ_ノースサンド

ITの中期計画の策定やシステム導入による業務効率化、さらに中期経営計画の策定や新規事業の立案などを行う、総合コンサルティング会社の株式会社ノースサンド。2015年の創業から10年間で従業員数は1,500名超となり、2025年11月には東証グロース市場へ上場しています。

 

Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキングでもベストカンパニーに9年連続で選出されており、急激に組織拡大する中で、どのような考え方で組織づくりに取り組み、事業成長を実現しているのかを人事部 専務執行役員 新山 純様に伺いました。

 

会社情報

会社名:株式会社ノースサンド
設立:2015年7月10日
従業員:1,646名(2025年10月末時点)

ITコンサルティング、ビジネスコンサルティングなどの事業を展開。コンサルティングで求められるスキルのみならず、コンサルタントの”人”にフォーカスを当てることで、他社に例のない「人間力」を強みとしたコンサルティングサービスを展開する。

 

<目次>

Q.創業の背景と、事業内容について教えてください

新山氏_インタビュー中

 

新山様:当社代表の前田は、国内の大手コンサルティング会社でコンサルタントとして勤務していました。その中で、「自分の人に寄り添った働き方がお客様に評価され活用されていることを実感し、真に求められるコンサルティング会社とは何か」を強く考えるようになり、前職で出会った11人の仲間と会社を設立しました。

 

コンサルティング業務は問題解決が主軸なので、プロフェッショナルスキルは必要です。一方でハードスキルのコモディティ化が進み、コンサルティングスキルだけでは勝ち筋が見出せません。コンサルティングスキルに加えて、“人にフォーカスする”といった、サービス業としての側面を発揮すべきだと感じたのです。

 

つまり、真にお客様に選ばれるためには、ハードスキルだけではなく、「この人と一緒にやりたい」と言っていただける存在になること。そのために、愛嬌・素直さ・しつこさを大切にし、人にフォーカスしたコンサルティングを実現するために、前田は創業を決意しました。その志を胸に、お陰様で創業から約10年が経過し、現在の売上は164億円となりました。

 

また当社の多くのメンバーはお客様先に常駐し、課題解決の支援にあたっています。リモートや半常駐など様々な働き方がありますが、お客様の要望を最大限叶えられるよう柔軟に対応しています。

 

一般に、コンサルティング会社は社員の帰属意識を生み出しにくいと言われています。その中で当社はコンサルティングを事業の軸とした会社ながら、「会社は人と人が集まるもので、人間同士が高め合うことが文化である」といった考え方を大切にしています。

 

コロナ禍では、多くの企業がオフィスを縮小する中で、当社はあえて逆の選択をしました。社員の安全は確保しつつ、社員の交流こそが新たな気づきや帰属意識を生むと考え、現在も社員規模に合わせてオフィスの増床を続けています。社員もプロジェクトのためにオフィスに集まり、お互いの繋がる場として、上手に活用しています。

 

Q.どのように組織を成長させてきたのでしょうか?

新山様:強固な組織づくりの取り組みとして、当社ではメイン事業であるコンサルティングの現場を支える体制づくりに力を入れてきました。具体的には、人事部やコーポレート本部といったバックオフィス機能です。

 

会社としての守りを固めて基盤を作り、その上で攻めの部隊である現場の仕事をスムーズにする組織の形です。この体制が整ってきたことで仲間も増え、社員数は間もなく2,000名が見えてくる規模にまで成長しています。

 

組織づくりにおいて、高度な戦略などはありませんが、創業時から一貫して「人の力で勝つ」ことを伝え続けています。

 

仕事をする上で大事なのは、相手を思うことだと考えています。当社には「8 RULES」という行動指針があり、その中で「スピードで圧倒しよう」「迷わずチャレンジしよう」などを掲げています。

 

どれも当たり前のことですが、全社員が当たり前のことをより高いレベルで実行できる会社を目指すための共通の価値観です。社内では「スピ圧」「マヨチャレ」などの略語がよく飛び交っています(笑)

 

このマインドセットをすべての事業部に共通して持ってもらい、互いに助け合い、支え合う関係性を築いてきました。人を大事にする姿勢を創業当初からブラさないことで、組織を成長させてきたと自負しています。

 

Q.改めて、貴社のMVVについてお聞かせいただけるでしょうか?

新山様:ノースサンドのビジョンは「世界をデザインする」、ミッションは「カッコいい会社を増やす」です。

 

ビジョンの「世界をデザインする」というのは世の中にまだない新しい価値を提供するといったメッセージを込めています。

 

コンサルティングの仕事は、自分たちが表に立って新しいものを作り込むというよりも、顧客の取り組みに伴走し、支援しながら価値を形にしていく役割だと捉えています。

 

その中で、今までコンサルティング業務で培ってきた世界観を磨きあげて価値を高めていくこと、新規事業開発の支援ではまだ世の中にない新しい価値観や尺度をアウトプットさせていくことに取り組んできました。

 

「世界をデザインする」といったビジョンを実現するためのミッションが「カッコいい会社を増やす」です。“カッコいい”というのは定性的な価値観ですが、あえて“カッコいい”を明確に定義せず、余白を持たせるようにしています。

 

たとえば、現場のコンサルティング業務で「このプロジェクトを絶対成功させる」と強く思って仕事することも“カッコいい”ですし、支援を通じて自分の担当するお客様を出世させるというマインド、「このプロジェクトに関わるお客様全員を元気にしたい」という姿勢で仕事に取り組む、すべて“カッコいい”と考えています。

 

そのように“カッコいい”の尺度は様々ですが、認識の多様性の根底にあるのが「社会に求められ、お客様のご支援をしている」という実感であり、その実感が我々ノースサンドの原動力の一つになっています。

 

ひとつの価値観だけを押しつけるのではなく、多くの社員一人ひとりが、それぞれの立場で確かなスキルと人としての魅力を発揮しながら、お客様に貢献していく。そんな想いから、カッコいい会社を増やしたいと考えています。

 

Q.2025年1月期において貴社の離職率は6.6%でした。業界では非常に低い数値ですが、創業当時から離職率は低かったのでしょうか?

新山様:いまノースサンドの離職率は結果的に低くなっていますが、2019年1月期の離職率は19.8%でした。この変化が生まれた背景には、社員のバックキャリアが大きく異なっていたことにあります。

 

私がノースサンドに入社したのは創業立ち上げ期の2016年のことでした。創業時のメンバーはBIG4出身者が多く、将来的に経営ポジションを狙っていこうという意識を持ち、ハイレベルな戦略構想力やスキルを備えた、いわゆる「腕の立つ」人材が中心でした。

 

コンサルタントとして腕が立つのは素晴らしいことです。一方で、必ずしもスキルの高さが、当社のMVVにある「世界をデザインする」「カッコいい会社を増やす」という価値観や働き方とマッチするとは限りません。

 

その後、行動指針である「8 RULES」をはじめ、コンサルティングの“スキル”だけでなく、コンサルタントという“人”にフォーカスする方針が、徐々に言語化され、明確になっていきました。その過程で、ノースサンドの価値観が合わないと感じた方々が離れていき、結果として離職率19.8%という数字に表れました。

 

会社として進むべき方向に向かうために必要な過程だったわけですが、同時に事業の行方を見極める大きな分岐点だったかもしれません。私はノースサンドの価値観がしっくりきたので、「この会社で勝負したい」と改めて決意したことを覚えています。

 

一般的に、社員が辞めると業績は下がるものです。しかし、2019年1月期の業績は前年対比157%と成長しており、我々の選択は間違っていなかったと確信しました。以降は、何よりもカルチャーに共感する人材の採用に力を入れてきました。

 

その結果が、いまの低い離職率を実現できていると考えています。

 

Q.具体的に、ノースサンドにはどのような方が入社しているのでしょうか?

新山氏_仕事中

 

新山様:ノースサンドでは、「愛嬌」があって、「素直」で「しつこい」人間力のある人を採用しています。

 

当初は「人間力」といってもなかなか周囲からは理解されませんでしたが、それでも社員全員が努力を重ね、少しずつ当社の姿勢が理解され、2021年ごろにはコンサルティング会社でありながら、良い意味でコンサルティング会社らしくない、他社にはない“かゆいところに⼿が届く”存在として認知されるようになりました。

 

現在は、理念に共感し、かつ技術的なポテンシャルを持つ方が入社しています。若手だけでなく即戦力となるシニア層も含めて、目指していく方向に共感し、ビジネスとしてアウトプットしながら会社の価値を一緒に高めていく意思があるかを、採用のポイントにしています。

 

Q.採用体制や入社後の定着に向けた仕組みについても教えていただけるでしょうか?

新山様:当社の人事担当は100名超います。そのうち採用チームは、キャリア採用が30数名、新卒採用チームが10数名で構成されています。

 

ノースサンドの採用戦略として、採用リクルーターには「数ある中から選んでくださるのだから、とにかくうちの会社を好きになってもらえるようにしたい。相手に喜んでいただくために何をやるか、常に考えよう」と声がけし、営業パーソンのようなマインドで採用に取り組んでもらっています。

 

候補者が入社に至るまでのケアは、役割を分けて設計しています。まず採用担当が候補者の選考全体の設計をして、選考のディレクションから入社の意思決定まで携わります。

 

入社を決めていただいた後は、人事部門内にあるフォローアップチームが引継ぎます。フォローアップチームのミッションは、当社のコアバリューにある「Jobyに働いて、エンゲージメント高く、この会社を楽しむ」を実現させることであり、これに共感した仲間を増やすことです。

 

ただ、これまでお話ししてきた「真に人を大事にしていく」という姿勢は、巧妙な戦略を立てて作ってきたというわけではありません。創業時からのフィロソフィーを言語化した一方で、組織が拡大してもMVVが変わらず浸透し続けるように、それを補完する機能を整備してきた結果、現在の人事体制となりました。

 

そこで、組織が拡大してもMVVの濃度が薄まらないように、補完するような機能を作ってきた結果、今の人事体制になりました。

 

コンサルティング会社で当社のようなフォローアップの体制を持つケースは、珍しいかもしれません。採用チーム、フォローアップチームに加えて、採用部分から入社後の定着をディレクションするようなチームがおり、このチームが現場の課題を補完しています。

 

加えて、入社した社員を教育・育成するチーム、メンタル面をサポートするチームがいて、フィジカルやメンタルの不調に対応する専業の産業医・保健師などもいます。

 

コンサルティングの仕事内容そのものは、他社と変わりません。一方で社内には周囲に協力的で一緒に頑張ってくれる仲間が数多くいます。これまでお話してきた機能や仕組みはもちろんありますが、根本的には、「良い人が多いから上手くいっている」のではないかと思っています(笑)。

 

課題として残っているのが労務管理です。当社では全社員の残業時間を毎週の役員会議で細かくチェックしています。「なぜ、その状況が起きているのか」「現場で何が起きているのか」を起点に対策を考え、社員に寄り添ったコミュニケーションをとり残業抑制を行っています。

 

もちろん、クライアントワークでは、ときに厳しい局面もあります。お客様の期待に応えるために一時的に踏ん張ることは必要です。その中で、当社が大切にしているマインドセットを踏まえた、無理のない仕事の進め方を見出すことも重要だと考えています。

 

実際に、ある現場では当社の役員がクライアントの責任者と相談し、業務を可視化したうえで、適切なリソース配置のために増員をしました。そして結果的に業務全体の負荷を平準化できました。

 

ただ綺麗ごとで「人を大事にする」と謳うのではなく、全員が自分事としてやり切ることが、当社の大事にしている姿勢です。

 

Q.管理職やリーダー育成にはどのように取り組まれていますか?

新山様:コンサルティング業界のみならず、会社員で評価されるのは任された仕事をしっかりと遂行する方です。結果として周囲に評価され、仕事をさらに任せられるようになります。しかし、1人で担える仕事量には限界があります。そこで会社として「メンバーを付けるから、もっと大きな役割を担ってほしい」という流れになり、管理職やリーダーになるわけです。

 

この流れの中で、当社が特に大事にしているのが「昇格の考え方」です。評価会議でよく議論されるのですが、単純に高いスキルを持っているだけの人は昇格させません。

 

「組織は上から腐る」と言われているように、プロフェッショナルとして確かな腕を持つことは大前提として必要です。一方で、リーダーやマネジメントを担う立場を任せられるかは、人格や人間性をかなり厳しく見ています。良いリーダーを育てることができれば、「この人に言われたら頑張ろう」と部下も自然と思えるものです。

 

スキルはもちろん大事です。しかし、マネジメントに近づくうえでの第一歩は、人間力を磨くことだと考えています。当社でいう「愛嬌があって、素直で、しつこい」という要素は、決してスマートなものではありません。しかし、泥臭いことを厭わず行えるか、泥臭い体験を重ねて人間力を伸ばせるかが、リーダー・マネジメントへの評価につながっています。

 

Q.「愛嬌・素直さ・しつこさ」は育成で伸ばせるものなのでしょうか?

新山様:育成で伸ばすというより、カルチャーマッチと人間力の基礎素養を感じる方を採用しています。そのうえで、入社後にビジョン「世界をデザインする」、ミッション「カッコいい会社を増やす」、コアバリュー「Joby」を学び、「8 RULES」に基づき行動していくことで、ノースサンドらしいコンサルタントへと成長していきます。

 

「愛嬌・素直さ・しつこさ」という人間力は、ある種“個人のセンス”に依る部分が大きいと思っています。ただ周囲にセンスのある人がいないと、自分のセンスはなかなか磨かれません。本を100冊読んだからセンスが良くなるわけでもありません。

 

当社で言う「センスがある人」とは、仕事で結果を出している人です。そうした実績を持つ人と話し、行動を間近で見て、学ぶことで、少しずつ養われていくものだと考えています。

 

例えば、代表の前田は、毎日全社員へメッセージを発信しており、先日1,400日目を迎え、習慣になっています。メッセージには、前田が日々の気づいたことや学んだことを投稿しているのですが、私もそれを読み、自分ごとに置き換えて「何か今日できること、変えられることはないか」と考え、学んでいます。

 

このように社内の情報透明度は高く、全員が同じものを同じ瞬間に見ることができるため、気づきの回数は自然と増えています。採用した仲間は、全員に人間的なポテンシャルがあると信じて採用していますので、「全員が必ず伸びていく」と期待しています。

 

Q.より良い組織づくりに向けた現状の課題、今後の展望についてお聞かせください

新山様:会社の規模がどれだけ大きくなっても、当たり前のことをコツコツとやり続けることが、理念浸透や組織づくりへの一番の近道だと考えています。そのために、取締役は毎月全国の拠点を行脚し、社員と対面でのコミュニケーションをとっています。

 

私は個人的に、当社の理念や価値観・考え方を「フィロソフィーのシャワー」と表現していますが、「シャワー」を浴びる機会をもっと増やして多くの人に届けることを目標にしています。

 

そのために、社内で理念やフィロソフィーを伝播できるアンバサダーの育成プログラムに取り組んでいます。現状では代表のメッセージに頼る部分が多いですが、今後は社内に理念を浸透のため、インフルエンサーやエバンジェリストのような存在を増やしていくことが求められます。

 

今後もコンサルタントの「人」にフォーカスをし、人間力を育みつづけ、他のコンサルティング会社にはない、ノースサンドならではの新しい価値を提供していきたいと考えています。

 

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