株式会社東急キッズベースキャンプ|民間の学童保育「アフタースクール」を運営|ミッションを浸透させ、社会に貢献する

更新:2023/09/22

作成:2022/12/02

株式会社東急キッズベースキャンプ様

 民間による学童保育事業「アフタースクール」の経営、未就学児保育事業、学童保育等運営受託を行う株式会社東急キッズベースキャンプ。Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキングにおいて、5年連続でベストカンパニーに選出されています。

 労働集約的な側面もある事業構造の中で、どんな職場づくりに取り組まれて、働きがいのある組織を作っているのか、代表取締役社長の島根 太郎様にお話を伺いました。

<目次>

Q.貴社の事業内容について教えてください

代表取締役社長 島根様
 子育て支援の会社として、学童保育を中心に未就学児保育などを事業の柱としています。創業は2006年。当時、ほとんどの保育所が税金等で賄われており、子どもたちが楽しく過ごすには設備等で不十分だったり、正規職員が少なくサービス自体に大きな課題を抱えていたりするケースも多くありました。

 そこへ保護者や子どもの双方のニーズに対応すべく、国内における民間学童保育のビジネスモデルとしては初めての試みとして、付加価値型の民間学童保育「アフタースクール」をスタートさせました。

 子育て支援や教育に関わる新たな事業展開を進めたところ、瞬く間に注目が集まり、2022年4月時点で、民間学童保育を22店舗、公営受託事業で45施設、保育園を5園運営するに至りました。

Q.これまでにない学童保育の形式ということで、その特徴と事業を支えるミッションはどのような内容でしょうか?

 もちろん学童保育を単にアフタースクールと呼び名を変えただけではありません。働く学童保育指導員であるスタッフを「キッズコーチ」とし、近所のお兄さん、お姉さんのように子どもに寄り添い、プロフェッショナルとして成長する多岐にわたる研修制度をつくりました。そのうえで通常の学童保育にはない、子どもたちの力を引き出す特徴的な教育プログラムを提供しています。

 例えば、アフタースクールの人気プログラムに「キッズMBA」というものがあります。これは子どもたちが参加しやすいゲームなどを通して仕事や経済の仕組みについて学び、自分と社会のつながりを知ることができるものです。グループで行うので子どもたちのコミュニケーションも活発になりますし、仕事や社会に関心を持ってもらうことで、自分にとっての適職を見つけるきっかけや将来の夢・目標を持つことにつなげます。

 こうした取り組みの根幹には、私たちのミッション「子育てが楽しい、子どもを産み育てたいと思える社会の実現に貢献する」があります。

 自発性・自立心を育むプログラムや、社会・コミュニケーション力を養うプログラムを開発し、「自分」と「社会」の2 軸で考えた12の知恵を身につけもらう場、“社会につながる人間力”を育む場を作っています。
 
12の知恵
 アフタースクールを子どもたちの将来のための価値ある時間にすることが、保護者の子育ての楽しさにもつながり、社会貢献にもつながると考えています。

Q.ミッション浸透のために行っていることは?

クレド
 当社には創業時からミッションを基礎にしたクレドカードがあり、日々の業務で実践しています。3年に1回更新していますが主な内容は現場社員自身が考えており、「主体性を引き出し、子どもの個性を大切にしよう」などの当社らしい“保育のあり方”や“自分たちが何を大事にしているか”が綴られており、「みんなで作った憲法」のような意味合いがあります。

 現場ではクレドカードの読み合わせ機会もありますし、社員のIDカードに入っているのでいつでも見ることができます。

Q.事業成長されて現在、70を超える拠点数になっています。拠点型組織ならではの課題もあると思いますが、組織づくりどんな工夫をされているでしょうか?

 先ほどキッズコーチの研修について触れましたが、当社では研修制度を充実させることでミッションを理解し、拠点を越えて同じ姿勢で業務に取り組むことができるようにしています。例えば、新卒であれば私が新卒内定者研修で理念研修を行ったり、リーダー昇進時には責任者・園長候補者研修でリーダシップなどのあり方などを学んだりします。

 さらにチームリーダーが集まる責任者・園長研修もあり、そこでリーダー同士が情報交換できる場をつくって、1つの拠点で人間関係や考え方などが“閉じたもの”にならないようにも努めています。

 ほかにも社員が長く勤められるようメンター制度を設けたり、人事交流の一環としてほかの関連施設に“出稽古”で学んで職場に新しい風を取り入れてもらったりするなど、拠点型組織で陥りがちな閉塞感を払しょくし、“開かれた組織”づくりに向けた様々な対策を打ち立てています。

 社長である私自身も現場との距離感を大事にしているので、先にお話しした通り研修には参加し、また各現場へ半年に1度は行くようにしています。さらに店舗責任者などともMBOミーティングもやはり半年に1度行い、現場の考えをしっかり把握しています。

 前述のクレドカードも社員が自分たちで作り上げていることで、拠点ごとで考え方や価値観がずれることを防ぐために役立っています。

Q.業界では待遇の限界や勤務の長時間化などの課題を抱えた同業も多くあります。貴社ではこうした問題にはどんな風に取り組まれていますか?

 保育業界全体にいえることですが、ビジネスの構造上、他業界と比べたときに待遇面などで高い期待に応えることは難しいかもしれません。だからこそ、この仕事を続けていくには、どれだけやりがいや誇りをもてるかに重点を置くべきかと思います。そのため当社では、入社時の面談で仕事にどういう思いをもっているか、どういう仕事がしたいかを重視しています。

 また、入社後のマネジメントや評価では、会社のミッションと年間目標に対するMBO(目標管理)を重視しています。自分の立場でどうミッションに貢献するか、半年に1回ほど店舗責任者とコミュニケーションを取りながらミッションと自分のやりたいことを結び付け、業務に取り組んでもらい、その成果が社員の評価につながっていきます。

 もちろん個別面談も行っていますし、社員ごとにやりたいことを自由に提出する仕組みもあります。これらを積極的に実施することで、社員にはさらに主体性を発揮してもらいたいと思います。

 会社としても社員の“やりたい”という発信に寄り添い、社員の発信内容に基づいて人事異動にも役立たせるようにしています。とくに女性には出産や育児などを含めたライフステージの変化に合わせた休職・復職・仕事との両立をうまく実現してもらい、長く仕事を続けていただけるように個々の状況に合わせた対応をしています。

 また当社には社員の間から発生した、「KBCネウボラ」という子育て社員同士のネットワークがあります。これは人材開発チームのメンバーで、ワーキングマザーの社員が発起人で、子育てをする社員がより働きやすい環境とするための悩み解決や情報交換の場になっています。

 独自にLINEグループもあって意見が積極的に飛び交っているようです。今はあまり機会がないですが、対面で集まる時にはそれぞれのお子様も集まって、社内が一気に保育園のようになり楽しい雰囲気になります(笑)

Q.今後も施設数の伸びが期待される中、どのような点を重視して事業に注力されるのでしょうか。

 民間学童はサービス業ですので、様々なプログラムを用意しております。中には海外ツアーのようなプログラムもありますが、やはり費用の面で限られた方の利用になる部分はあります。

 今後は児童福祉へのニーズが高く、それに応えていくのが社会貢献にもなるかと考えます。児童福祉の対象となる子どもたちは、経済的な面のほかに精神や発達に伴う身体的な側面での支援を必要としており、時に子どもの家族にも支援が必要です。

 受託事業はこれから、地域の支援をうまく活用していけるとより可能性が広がるでしょう。児童館の子どもが地域の祭りに出たり、地域の人が児童館の行事に参加したりと、地域とつながりながら子育て支援していくことで、子どもを通した世代間交流も活発になると思います。また、子どもたちのサードプレイスとしての広がりも期待できると思っています。

Q.非正規職員の多い職場の中で、どのような組織づくりを意識されていますか?

 現在、常勤社員が400人以上、非常勤社員が1000人以上働いており、現場では常勤と非常勤の社員が1:1の割合で業務についています。この比率は保育業界における常勤社員の比率としては高いものです。

 ただ、常勤か非常勤かということは、現場で求められる仕事の姿勢やリスク管理などには全く関係ありません。だからこそ、先ほどのクレドカードについても非常勤社員用のものがありますし、入社時には動画などで研修も行っています。日頃のチームミーティングも、連絡ノートを用意して業務内容や子どもの様子などを把握できるようにしています。

 当社の非常勤社員のモチベーションは高く、10年以上勤務しているような人も多くなっており、社内報でそうした非常勤社員にスポットを当てて紹介したりもしています。

 当社の社内報は社員からも「話したことのない社員の紹介でも、会ったことがあるような気になれる温かい内容」と評判が高く、社内の貴重な文化としてこれからも大事にしていきたいと思っています。

 また当社には「39(サンキュー)カード」という社員同士で感謝を伝える制度があります。本部や現場の隔たりなく感謝をあえて言葉にしており、“39月間”を設けていつも以上に積極的に感謝の発信に取り組むこともあります。

 さらに社内には、自分たちの働きがいを“与えられる”ものではなく“主体的に見出す”ものにすることを目指した「働きがい向上委員会」があります。こちらでは、社員同士の交流する場をつくるファシリテータの役割を果たしたり、社内報のコーナーをいくつか担当し、拠点が増え希薄になっている社員の横のつながりを活性化させたりしています。委員会は15人前後で構成されており、今はキッズコーチ出身の方が委員長になって現場に様々な声掛けを行っています。

 こうした取り組みは日ごろの事業運営で、子どもたちの主体性を大事にしてアフタースクールを運営していることにも通じるものがあります。会社としての支援や制度整備はもちろんしますが、やはり社員が自ら作り上げることが、社員の働きがいにつながると考えています。

 その他、コーチや保育者など、部門ごとの活躍メンバーを表彰する「KBCアワード」も開催しています。こちらも“39カード”と同じように社員が社員を承認し合う仕組みです。最後の選考はアワード当日に社内の決選投票を行って決まるので、現場の声が生かされた意味のある表彰になっていると思います。

 KBCアワードの中には、選考に漏れた人にあえてスポットを当てて表彰する社長賞もあり、これも私の楽しみの一つになっています(笑)

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