株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ|充実した研修プログラムと社員の意志を尊重したキャリア開発

更新:2024/03/06

作成:2022/08/28

テイクアンドギブ・ニーズ

オリジナルウェディングにこだわり、全国でウェディングプロデュースを手がける株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ。Great Place to Work® Institute Japan 2022年版日本における「働きがいのある会社」ランキングでも、大規模部門の上位に選ばれています。

組織が大きくなる(現在約1500名)中で、人材育成とキャリア開発をいかに実現しているか、人事部の新保 亜美様に伺いました。

<目次>

貴社の事業内容について教えてください

主軸となるのは国内ウェディング事業です。加えてホテルやレストラン、ウェディングのコンサルティング、衣装、グループ企業でのブライダルローンや、ハネムーンなどの事業を展開しています。

現在、グループの売上高の構成比はウェディング事業が約9割ですが、2030年に向けてホテル事業を成長させ、ウェディングと並ぶ事業の大きな柱とすることを目指しています。

ウェディング事業は決して新しい分野ではなく、近年では婚姻数の減少傾向もあります。さらに直近ではコロナによる結婚式の取り止めなどがある中で、どのように創業から今日まで発展を築かれたのですか?

ウェディング事業は決して新しい分野ではなく

当社が創業した1998年当時、結婚式はどこで行われてもほぼ同じ内容でした。パッケージ化された中で、違いといえば余興などの進行や衣装のほか、料理で松竹梅の差がある程度だったかと思います。

それを見た創業者の野尻は「一生に一度の大切なイベントがこれでいいのか」と一念発起し、結婚式を「新郎新婦の人生を表現する場」としてオリジナルウェディングにこだわり、これまでに業界になかった新しいスタイルやサービスを創り上げてきました。

そこで創り上げたひとつが、今では一般的になったレストランウェディングです。これはまだ当社が直営会場を持っていないとき、野尻自身がレストランに直談判して実現したもので、それまでホテルや専門式場での開催が主であったところに、新しいスタイルを開拓した画期的なものでした。

また、当社は業界で初めて「一軒家完全貸切」のハウスウェディングを実現しました。チャペル、披露宴会場、ガーデン、ロビーなど、邸宅を贅沢に貸し切るハウスウェディングは、ゲスト一人ひとりの想いを大切にしながら、行き届いたおもてなしが叶うことから人気を博し、いまでは全国31都道府県に直営会場を展開しております。

他にも、打合せから当日の立ち合いまで同じプランナーが行う「一顧客一担当制」を取っており、顧客への深いヒアリングをもとにした提案や、オリジナリティの高い演出を実現しました。結婚式当日の様子をその場で撮影・編集し、披露宴の結びに会場で上映する映像が最近はよくあると思いますが、これも実は当社が最初に始めたもので、他社様にも広がっているサービスです。

また、選ばれるウェディング実現のために、マーケティングによるデータ解析はもちろんのこと、サービスをご利用いただいたお客様へのヒアリングも功を奏しています。

当社では年間1万組を超える結婚式をお手伝いしていますが、結婚式を終えたカップルにアンケートを取り、実際の声を集めています。同じ「楽しかった」という感想でも、実際の声には様々なトーンがあり、その温度差を読み解いてサービス・商品を改善し、高い満足度へと結びつけています。

組織が大きくなるうえでの人材育成における課題や工夫点を教えてください

現在当社には約1500名の社員がおり、毎年150名程度の新入社員が入社しています。組織が大きくなっていく中で人材育成の課題は少なからず発生しています。

例えば有望な社員がいたときに、従来は様々な部署やエリアで経験を積んでいくのがスタンダードなキャリアパスでしたが、一方で個人としては家庭の事情などで全国転勤を希望しない場合もあります。仕事とプライベートの両立、そのバランスをどう取っていくかは難しいところです。

そうした中で、たとえばエリア限定社員の登用もスタートさせています。エリア限定社員でも店舗の支配人としてマネジメント職でのキャリアアップが可能であり、これは今後の採用活動においても強みになると思っています。

また組織が大きくなると、会社への帰属意識や連帯感、ロイヤルティなどは希薄になりがちです。

しかし当社では約20年前から、新入社員が初めて契約を頂けた際に上長が全社メールで告知したり、初担当のお客様の挙式当日に社内から応援メッセージを集めるなど、今でも仲間を全力で応援し讃える、温かみをもった社内コミュニケーションを続けています。

私も経験がありますが、告知メールの内容も単に“お知らせ”という形ではなく、新入社員の入社からこれまでの苦労話や励ましなども盛り込まれた、上司からの心のこもったメッセージとなっています。

告知メールを受け取った他部署の先輩や同僚、他店舗配属の同期などから「おめでとう」の声が数多く届き、離れていても共に頑張っていることを実感することができました。こうしたコミュニケーションは今後も積極的に継続していきます。

最近ではLINE WORKSを導入したことでさらに密な連絡が取れるようになり、経営者の考えなども瞬時に全社へ伝わるようになりました。

月1回のペースで社長から10分程度の動画発信もあります。社内の取り組みや人物、本社の部署等を紹介し、社員のモチベーションアップやキャリアを描くきっかけを作る動画なのですが、学びがあるだけでなく、社長の想いや人柄も垣間見え、身近に感じることができます。私を含めた社員たちは毎回配信を楽しみにしています(笑)

貴社の人材育成のための具体的な内容を教えてください

貴社の人材育成のための

当社では人材育成で重視する2つのポイントがあり、まず1つ目は「期待を込めて成長に投資する」ことです。

たとえば、具体的な取り組みとしてウェディングプランナーの育成プログラムがあります。ウェディングプランナーの業務は営業、打合せ、企画から式当日のディレクションまで多岐にわたり、教育項目も約180に及びます。それだけ多くの知識やスキルを要するため、新卒社員には1カ月にわたる研修を行い、業務を習得させていきます。

研修は泊まり込みで内容も厳しいものですが、前述の通り明文化された180項目のカリキュラムがあるので1人前になるための道のりはむしろわかりやすく、目標設定もしやすいものとなっています。私も新入社員のときに研修を受けました。1カ月間はつらいものでしたがその分達成感があり、何より同期の絆が深まりました。

また入社の年次に合わせたキャリア開発支援を目的とする研修もあります。チーフ、マネージャー職研修のほか、営業職であれば店舗を管理する支配人になるための新任候補者管理職研修があり、研修ではコーチングスキルや部下を評価する際の心構えなどを学びます。

新任候補者管理職研修はキャリアの中でも大きなターニングポイントでもあり、先ほどの苦楽を共にした同期の間でも誰が最初に研修を受けられるかなどが話題になり、良い意味で競争意識の向上にもつながっています。

このような多彩な研修制度を通じて、会社は社員に投資し、社員は研修を受けて未経験から学べる環境に感謝しつつ、次の後輩に育成のバトンをつなぐ恩返しのリンクのようなものが起きています。

人材育成で重視するもう1つのポイントが「意欲ある社員に平等な機会提供をする」ことです。当社では人事評価にグレード制度を導入しており、社員一人ひとりのグレードに合わせたスキルや知識を、オンラインでいつでも学ぶことができるシステムもあります。

内容は接客力向上のような実務的なものから一般的なビジネススキル、さらには人生への向き合い方にも紐づくようなものまであり、各15~90分程度の長さで100タイトル以上の内容があります。

ほかにも選択型の障がい者接遇研修やLGBTQについて学ぶ研修などもあり、意欲ある社員を育成するために幅広いテーマ・手法で対応しています。

社員同士の強い絆や社内の温かな雰囲気、また、人材育成への強い想いが伝わりました。採用からの受け入れに関して伺いたいのですが、入社前のウェディングプロデュースの華やかなイメージと入社後のギャップを感じる新入社員はいないでしょうか?

社員同士の強い絆や社内の

ギャップについては大なり小なり発生してしまうかと思いますが、できるだけなくなるように対策を行っています。

例えば採用時の説明では、ウェディングプロデュースにおける仕事の魅力よりも、その厳しさや責任のあり方などを伝えるようにしています。採用担当も元プランナーが多いので、お客様からこんなことを言われたというような実体験、“少しの怠慢が大切な思い出に傷をつけてしまう”という責任のある仕事であることを話しています。

また採用活動が進む中では、先輩社員と「面接」ではなく「面談」できる機会も作っています。合否に関係しないことを前提として何でも話せる場として面談を設け、仕事に対するギャップや不安をできるだけ払拭できるようにしています。

さらに最終面接に入る前にも、仕事内容が本当に理解できているかを学生自身に考えさせる「覚悟の確認」も行います。双方の幸せを考えて、そうした慎重な対応を入社前から行い、少しでもギャップを埋める努力をしています。

入社した後もすぐに配属先を決めることはありません。まずは前述の1カ月研修の中で、個人のパーソナリティを把握していきます。その後、上長との相性もみながら配属を決めていきます。

配属を人員補充として捉えず、本人の成長のために最良となる選択をしています。配属後も人事と上長で連絡をとり、その後の働き方を見るなどフォローを継続させていきます。会社の規模が大きくなっても、社員一人ひとりを見ていく方針に変わりはありません。

先ほど「意欲ある社員に平等な機会提供をする」ことを重視するとありましたが、キャリア開発についても同様なのでしょうか?

当社ではキャリア開発における平等な機会提供のため、2017年から半年に1度、社内公募を行い、全社員が社歴・年齢・性別・役職に関係なく、直属の上司への申告なしで、希望する部署へエントリーできるようになっています。

公募がある部署から告知があり、希望する部署にエントリーシートを提出してオンライン等で部門長との面談を行うという“社内転職”のような形です。私自身もウェディングプランナーとして経験を積んだ後に、社内公募制度を利用して人事部へと異動しました。

当社に入社する社員はサービス業ならではの貢献心が強く、仕事に関しても、上司や先輩など「周囲からの期待に応えたい」とまず考えます。そのため個人のキャリアデザインを後回しにする社員が多かったので、社内公募制度をスタートさせました。

もちろんすべての社員が異動を実現できるわけではありません。ただチャンスを掴めなかった場合でも、他部署の話を直接聞くことができるなど、キャリアを考える機会になっています。2017年に社内公募制度を導入後、これまで約100名が自らの手で異動のチャンスを掴み、活躍しています。

女性比率が60%超と高いですが、女性活躍をはじめとする貴社ならではの今後の施策について教えてください

女性比率が60%超と高いですが

先日20代後半~30代前半の女性を集めた研修を行いましたが、研修で出た結論は「決めつけや固定概念に縛られるのはやめよう」でした。

結婚や出産をはじめ様々なライフステージにおける出来事において、女性は特にキャリアとの向き合い方に変化が生じやすいのが現状です。その時には、一人で勝手に決めずに相談すること、過去にも成功している人はいるから「できない」と決めつけず、できる方法を考えようという答えを見出しました。

これは女性に限ったことではありませんが、こうした結論を踏まえながらキャリアアップを促進するような機会提供は今後も続けていきたいですね。

当社では、働き方も全国転勤ありのフルタイムのほかに、エリア限定、時短社員、副社員、アルバイト、フリーランス、業務委託などがあり、プライベートとの両立も考えられる働き方の幅は広がっています。

会社として掲げる長期経営方針のなかで、「ホスピタリティ業界にイノベーションを起こし日本を躍動させる」をパーパスとしています。女性活躍はもちろんのこと、業界のリーディングカンパニーとして社会に貢献し、さらに社員が幸せに働ける会社づくりを実現していきたいと考えています。

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