若手社員の離職を防ぐために本人たちに教えるべき3つの要素【ザ・現場ギャップvol.202】

更新:2023/07/10

作成:2022/07/15

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

お世話になっております。
株式会社ジェイックにて
取締役 教育事業部長を務めます
東宮美樹と申します。

お客様と接する中で常々感じますが、
20代の若手社員の離職は、会社にとっても、
人事にとっても痛手です。

しかも、人事だけでできることは限られているのが実情です。

根本的には、会社のルール自体を変えなくてはならないこともありますが、
人事が直接影響を及ぼすことができる『人材育成』でできることについて、
我々ジェイックが考える対処法/解決策を書いてみたいと思います。

若手社員の離職について
様々な事例に接する中で分かったことなのですが、
以前であれば、

「このままでいいのか不安だし、
 もやもやするけど、もう少しこの会社で
 頑張ってみよう」
 

と考える若手社員が多数派でしたが、
近年では

「このままでいいのか不安だから、
 思い切って、環境を変えてみよう」

 
という判断をする若手社員が増えてきています。

 
若手社員が抱えるこの“もやもや”の正体とは、
たとえば、、、

・今の仕事をこのまま続けて、自分の市場価値は高まるのか?

・この業界は10年後20年後も安定して続くのか?
 もっと新しい産業のほうが良いのではなかろうか?

・この会社の仕事はできるようになった気がする。
 もっと成長するには、どうすればよいのか?

・先輩や上司を見ても、自分とあまり変わらない業務をしている(ように見える)
 このままこの仕事を続けて、未来はあるのだろうか?

・自分にはもっと情熱を持って打ち込めるものがあるのではないか?

等々、自分のわかる範囲で物事を見て、
一人で悩んで考えて、明るい絵が描けず、
もやもやしてしまうのです。

一人で考えて、あるいは、社外の同年代の友人とだけ話して、

 本当は今の会社でまだまだ未開拓の可能性があるのに、
 それを知らぬまま、気づかぬまま、環境を変える決断をする

というのは、会社にとっても、本人にとっても、損失です。

そこで、本人たちには見えておらず、人事には見えているもの、
会社に“ある”ものを正しく理解する時間を設けたほうが、
良いと考えております。

『もやもや』を、なんとなくの『もやもや』にするのではなく、
より明確なものにするために、私たちは以下の3つを、
考えてもらうことをオススメしています。

1)本人の強み

物事を前向きにとらえ、成長速度を上げるためには、
自分の強みを理解し、周囲にも理解してもらうのが、効果的です。

自分の強みを理解するための方法はいくつかあります。

その中で、比較的容易に実施でき、結果への納得感が高いのが、
ギャラップ社が提供してる『ストレングスファインダー』です。

もしかしたらご自身ではやられているかもしれませんが、
WEB上で177問の質問に回答すると、

「あなたの資質はこれですよ!」

と視覚的にも、わかりやすいものがアウトプットされ、
中立な感じと言いますか、恣意的な感じがないのが良いです。

その結果をもとに、

「この強みを自分の仕事にどのように活かせるか?」

も、併せて考える時間を設けると、
『自分の強みと今の仕事での成長』をつなげて考えやすくなります。

2)パーパス

なんとなくの『もやもや』は、自分の目的や働く意義が、
イマイチぼんやりしていることから発生します。

学生時代の就職活動で志望理由を考えた後、
社会人として仕事をする中で、改めて目的を考える機会が
どれだけあるでしょうか?

わざわざ言うまでもない話ではありますが、
目的を意識することなく日々の仕事をしていれば、
何のためにこの業務をしているのか、
何のためにこの会社で働いているのか、
わからなくなるのは自然なことです。

若手社員に限らず、特別なことがなければ、
目的を考える機会は多くありません。

そうした中で、近年注目されているのがパーパスです。
働く目的、意義と捉えていただくとわかりやすいですが、
そのパーパスについて数十分の講義をした上で、
個人の働く目的を改めて考えてもらう、
そうしたワークを行うのが効果的です。

もしかしたら、普段考えていない話題なので、
自分一人でなかなか答えにたどり着かないかもしれません。

そんな時は、対話をしながら、本人たちのパーパスを引き出し、
明文化するようなサポートをするのがよろしいかと思います。

目的があいまいになりモヤモヤしている状態から、
彼らとっての働く目的が明確な状態へ導いた上で、
その目的が、この会社で実現できる(可能性がある)ことを
伝えていくというのが効果的な流れです。

3)オーナーシップ

言い換えるならば、当事者意識です。
自分の仕事の主人公は自分である、
という感覚とも言えます。

ここ数年、

・上司/先輩のお手伝い感覚

・「ありがとう」と言われる仕事がしたい

⇒一緒に仕事をしている人を手伝って
 「ありがとう」と言ってもらうことで
 心理的な満足を得られる

という思考傾向を持つ若手社員が増加しています。

自分が主人公という感覚であれば、
知恵を絞って積極的に意見を出したり、
率先した行動が生まれたりするのですが、

「あくまで自分はお手伝い=脇役」
という認識でいると、

・自分が影響できる範囲は限られてるな

・あまり出しゃばっても悪いな

といった仕事の仕方になり、
当然、仕事での貢献実感や成長実感は
感じにくくなります。

仕事を依頼されたら、それは上司/先輩を手伝うのではなく、
あなたの仕事だよ、という仕事に対する当事者意識を
喚起するコミュニケーションは重要です。

具体的には、

・自分がその仕事の主役であるとしたら、
 どういったことができそうか
 どういったことをすべきか
 

というケーススタディを
いくつかのシチュエーションで考えてもらい

 自分の仕事だと捉えたら得られる、大きな成長
 自分の仕事だと捉えたら得られる、仕事のおもしろさ
 自分の仕事だと捉えたら得られる、周囲を巻き込んで仕事を進める能力

これらを得らた先輩社員の実例を追体験する、
という形で進めていくのが一つの方法です。

これらすべて準備するのは、少々手間がかかるかもしれませんが、
私たちとしては効果がある要素だと考えているものです。

たとえば、

会議の資料の印刷を依頼された

というような新人が任されやすい
身近な事例から始めていただくと
取り組みやすいかと思います。

ご紹介した3つの観点でのアプローチが
もしかしたら解決策になるかもしれないとお感じになったら、
若手社員離職防止の打ち手の一つとして、ぜひお試しください。

ご質問や不明点などもしございましたら、
このメールにお気軽にご返信くださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。
引き続き、よろしくお願いいたします。

若手社員の離職を防ぐために本人たちに教えるべき3つの要素

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

・新入社員の特徴と育成ポイント
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