外部研修とは?|研修会社がメリット・デメリット、成功させるポイントを解説

更新:2023/10/06

作成:2023/10/06

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

外部研修とは?|研修会社がメリット・デメリット、成功させるポイントを解説

研修には社内で開催する社内研修と、外部の企業が開催している研修に従業員を派遣する外部研修とがあります。

 

記事では、社員研修を提供している研修会社としての知見を踏まえて、外部研修のメリットとデメリット、また、効果的な外部研修を選ぶためのポイント、外部研修の効果を高めるコツを紹介します。

 

 

<目次>

外部研修とは?

外部研修とは、企業や組織が従業員を外部の研修などに派遣して、新しい知識や技術を身につけさせることを指します。

 

なお、社内の人間が講師となって行うものを社内研修と呼んでいる場合、それとの対比で、「外部の講師を自社に呼んで研修を実施する(インハウス研修や講師派遣と呼ばれる形式)」ものも外部研修と呼ぶ場合もあります。

 

ただし、本記事では、「外部の公開講座・オープンコースなどに社員を派遣する形式のもの」を外部研修として解説します。

 

外部研修で登壇する講師は各テーマのプロであり、研修会社や業界団体、またはメーカーなどが主催し、社外の施設などを会場にして実施されることが多いでしょう。

 

 

外部研修の種類

外部研修はビジネスマナーや社会人の基礎スキルを養う新入社員向けのもの、マネジメントスキルやチームビルディングなどの管理職向け、プログラミングや語学、WEBデザインなどの専門スキルを学ぶ研修など、テーマは多岐に渡ります。

 

階層や職種、テーマやスキル別に非常に細分化されていますので、社内にノウハウがない、社内研修をするほど対象者がいないといった場合には外部研修を活用することが有効です。

 

実施形式もオンライン・対面、あるいは半日〜2日間ぐらいの単発研修、週1回や月1回などの頻度で数カ月間に渡って実施されるものまで様々です。

 

単発研修の方が派遣しやすい側面もありますが、学習効果や行動変容の効果は継続型の方が高いです。とくに「知識を身に付ける」よりも「実践する」ことを重視したい場合は継続型の研修がおススメです。自社の状況やテーマに応じて、適切な実施形式の外部研修を選びましょう。

 

 

外部研修のメリット

外部研修は、社内研修と比べて、以下のような効果やメリットが期待できます。

 

プロ講師から専門知識が得られる

外部研修に参加することによって、従業員は社内の視点や習慣にとらわれない客観的な知識、ノウハウを得ることができます。また、外部研修はプロ講師や第一線の人が講師を務めることが多いので、専門的でタイムリーな知識が学べます。教える技術も高いことが多く、受講する側の理解や吸収も早まるでしょう。

 

ただし、外部講師を社内に招へいして研修を実施するインハウス研修や講師派遣の場合には、本効果は社内研修でも得られます。

 

異業種交流や他流試合による効果

公開型の外部研修では、社員は他社から派遣されてきた受講生とコミュニケーションを取ることになります。業界や職種によっては、他社や他業種の人と関わることが少ない従業員も多く、他社人材との交流は良い刺激になるでしょう。

 

同業種や異業種間で交流することで、社内では得られない視点や人間関係が広がるきっかけにもなり、仕事に対する意識改革に繋がる可能性もあります。また、良い意味での同期・仲間意識やライバル意識も生まれます。

 

こうした異業種交流や他流試合による刺激は社内研修では得られないものです。

 

担当者の負担を軽減できる

社内研修を行う場合、講師や会場の手配、資料準備や研修内容の検討など、社内の負担が大きくなります。外部講師を呼ぶ場合でも会場の手配、プログラムの調整など、意外と手間はかかるものです。

 

外部研修を利用すれば、開催準備の手間がかからず、事前に用意されたプログラムの中から目的に適う受講内容を選ぶだけでいいので、担当者の業務負担は大幅に軽減できるでしょう。

 

社員にとってリフレッシュの機会になる

外部研修は社外で行われるため、社員はいつもと違う環境の中、新鮮な気持ちで研修に臨むことができます。また、外部研修の中には体験型のアクティビティ、ロールプレイングゲームなど座学だけでなく遊びの要素を取り入れているものもあります。

 

さらに研修場所への移動時間や社外の人との交流が気分転換になり、社内だけで研修を行うよりもメリハリのある学びの機会になるでしょう。

 

 

外部研修のデメリット

様々なメリットがある外部研修ですが、下記のようなデメリットもあります。

 

コストがかかる

外部研修は半日から1日程度のプログラムが大半ですが、なかには継続型のプログラムなどもあります。半日〜1日のプログラムであれば数万円程度ですが、複数日程や継続学習であれば、10万円〜数十万円になるものも珍しくはありません。

 

教育研修は決して安い投資ではありませんので、研修後に期待できる効果や研修自体の品質をきちんと見極める姿勢が不可欠です。

 

適切な研修を探すことが難しい

外部研修には本当に多くの種類があります。たとえば、「新入社員研修」だけでもきちんと探せば100を超える外部研修があります。その中で、どの研修会社、どのプログラムが自社に合ったものなのか、品質が高いのか、品質と費用が見合っているのか、などを判断することはかなりの難しさがあります。

 

外部研修を利用する場合は、複数の研修会社を比較して、できれば研修資料などを見せてもらうことが大切です。

 

同じような内容でも、重点を置いている部分や想定している対象者のレベルが違ったりすることはよくあります。手間はかかりますが、きちんと調べて対象者にフィットした研修を選びましょう。

 

研修結果や効果を把握しにくい

外部で研修を行うと指導を任せることになるので、研修効果などが見えづらくなる側面があります。

 

社内研修であれば内容も把握していますし、アンケートなどで感想を把握することもできますが、外部研修の場合はそうもいきません。社員に研修内容の共有をしてもらうことや、研修後のレポート提出を義務付けることなどが必要でしょう。また、フォロー体制がある研修企業を選ぶことも大切です。

 

なお、研修で配布された資料は会社でも管理しておくと、次回以降の参加を検討する際に役立ちます。

 

期間や時間、場所が限定される

外部研修は、年中開催されているとは限りません。

 

たとえば新入社員向けのマナー研修なら3~5月頃の開催が多いなど、期間が限られることがほとんどです。また、新任管理職研修などで対象者が限定されていくと、実施頻度は少なくなり、同じ会社であれば、2カ月や3カ月に1回などの開催になることも珍しくありません。

 

また、社内研修であれば対象者や会社のスケジュールに合わせて実施日程を決められますが、外部研修の場合は開催側の日程に合わせなくてはいけません。最近はオンラインでの研修も増えていますが、対面実施の場合は開催場所が都内や主要都市に限られていることも多く、地方企業は利用しにくい場合も多々あります。

 

 

外部研修を選ぶ際のポイント

外部研修を利用する場合、成功の鍵を握るのは適切な研修会社の選択です。ここでは、外部研修を選ぶ際に意識しておきたいポイントをいくつかご紹介します。

 

研修内容を確認する

当たり前の話ですが、「他社もやっていて人気があるから取り入れる」のではなく、自社が抱える課題にあっているか、想定参加者のレベルなどが自社とあっているかをきちんと確認することが大切です。

 

外部研修の場合は、社内研修と違って、コンセプトやレベルをカスタマイズしてもらうことができません。従って、打ち合わせで研修資料を確認させてもらうなどして、内容やレベルを確認することが大切です。

 

講師の経歴や実績などを確認する

研修内容と同じくらい大切なのが講師の「質」です。指導する講師によって研修効果は大きく左右されますので、講師をしっかりと見極める必要があります。

 

経歴がどれ程すばらしくても、自社の講師として最適とは限りません。講師の「質」を判断するには、打ち合わせに参加してもらったり、サンプル動画を確認させてもらったりすることが有効です。

 

なお、大手研修会社の場合、社員ではなく契約している外部スタッフが講師をしており、研修品質にばらつきがある場合もありますので注意しましょう。

 

実践的かどうかを吟味する

外部研修は、「いい話だったな」で終わってしまうこともあります。もちろんそうした経験が社員のメンタルに良い影響を与えることもあるでしょう。

 

しかし、企業が外部研修を取り入れるのは、自社の課題を解決し成果をあげるためです。重要なことは、研修を受けた後に社員の行動がどう変わるかです(知識をインプットするために研修する場合は別です)。

 

従って、研修プログラムを通じてどんな行動変容が起きるのか、行動変容を起こすためにどんな仕掛けがあるのかなどを確認しておきましょう。

 

研修先の評判や信頼性を調べる

研修先の評判や信頼性を調べることも重要です。品質改善のPDCAを回すためには一定の規模や開催実績も大切です。

 

研修ビジネスには初期資本が要らないため、個人で実施している人や小さな会社も多数あります。もちろん個人や小規模な研修会社でも良質なものはたくさんあります。ただしその場合は、講師の実績や能力をきちんと確認することが大切です。

 

また、研修講師が社員かどうか、社員の場合もそうでない場合も、どのように講師の選抜や認定を実施しているかなども確認するとよいでしょう。

 

 

外部研修の効果を高めるためのコツ

ここからは外部研修の効果をより高めるために、実践したいポイントをいくつかご紹介します。

 

参加者の意欲を高める

研修対象となる社員に、期待事項を伝えることが非常に大切です。

 

研修における行動変容は、参加前のアプローチが4割、研修自体が2割、研修後のフォローが4割といわれています。つまり社員に前向きな姿勢、学ぶ意欲を持って参加させることが、研修効果を高めるために非常に大切なのです。

 

経営層に「課題があるから行ってこい」と頭ごなしに命じられたり、上司に「この忙しいのにいい身分だな」などという言われ方をしたりしたら、参加者の意欲は高まりません。

 

短時間でもいいので上司や人事などが面談をして、「費用が掛かる外部研修にあなたを選抜し派遣するのは、このような期待をしているから」と参加の意味を伝えたり、また、「このテーマに関してどのような課題を感じ、このテーマで成長すれば何が実現すると思うか?」など、参加者自身の問題意識を引き出したりすることが大切です。

 

参加後のフォローを実施する

前述の通り、行動変容を生み出す上では研修前後のアプローチも非常に大切です。

 

外部研修の参加後で言えば、研修共有をしてもらう(そうすることで記憶を定着させる、教えることで学ぶ)、何を実践するかを発表してもらう、実践結果を報告してもらうといったフォローが大切です。

 

また、実践してもらう上では、変化が生じたときに上司などがきちんとほめる、承認することも非常に大切です。上司側も「何をするのか?」を知らなければほめることは難しいですから、そのためにも「何を実践するか」を発表してもらうことが大切です。

 

内部/外部を使い分ける

自社独自の理念や伝承すべき技術など、業務により深く密着した内容の場合は、経営陣や技術を熟知した社内のエキスパートが講師を務める社内研修の方が向いています。

 

逆に、一定の型を身に付けたり、他社とも共通するような汎用的な能力を身に付ける場合は外部研修が適しています。

 

研修する内容によって社内研修にするのか、外部講師を呼ぶのかを使い分けることも、外部研修を効果的に使うためのポイントです。

 

場合によってはまず外部研修に派遣して基礎知識を身に付けさせ、その上で軽い社内研修を実施して自社へのブリッジング、実践のフォローをするといったことも有効でしょう。

 

 

まとめ

すべての企業で外部研修が必須とはいえませんが、組織を改善するに当たって外部の力を活用することは、客観的に組織を見直すという点でも重要です。

 

外部研修のメリットとデメリットをよく考慮した上で、自社の課題解決に適う研修をしっかりと吟味して選択すれば、外部研修は組織を効果的に改善できる一つの有用なツールとなることでしょう。

 

 

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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