前述の傾向も踏まえたときに、若手にリーダーシップを発揮してもらうには何がポイントになるでしょうか。3つのポイントを紹介します。
リーダーシップ発揮のポイント① きっかけを作る
若手社員の多くはゆとり世代であり、また昭和世代と比べれば少子化も進んだなかで、「厳しい競争に勝つために懸命に頑張る」ことを経験している人は減っている傾向があります。
当然、競争に対するリーダーシップを発揮している若手が減っているわけですが、これは人口減や教育方針の影響であり、若手社員に責任がある話ではありません。
例えば、2021年時点で、来年入社してくる大卒となる2000年生まれの出生数は119万人、一方で、いま部門のマネジメントや経営を担っているであろう50歳の層、1971年の出生数は200万人です。同い年の競争相手で考えると4割減です。また、最近は保育園や小学校の運動会の徒競走でも順位を付けないことが増えているといったニュースは多くの方がご存じでしょう。
ただし、今の若手にリーダーシップの経験が少ないからといって、リーダーシップを発揮できないわけではありません。例えば、研修でグループワークをする際、リーダーを決めてグループワークの仕切りをやってもらえれば活動を全うしようとします。「周りの空気を読む」という特徴を強みとして、リーダーシップをうまく発揮できる若手も意外に大勢います。
HRドクターを運営する研修会社ジェイックが提供するリーダー育成研修『JAICリーダーカレッジ🄬』を卒業した若手社員も、卒業後に企業のプロジェクトや組織のリーダーとなって、役目をきちんとこなしているといううれしい話もよく聞きます。
若手がリーダーシップを発揮する素質は十分にあるのです。リーダーシップを発揮するためには、リーダーとしての役割を担う必要があります。責任や役割が人を育てるのです。研修、社内プロジェクト、小チームのリーダーなど、リーダーシップ発揮の機会と責任を与えることが若手のリーダーシップを育成する最大のポイントです。
リーダーシップ発揮のポイント② 期待と方向性を伝える
若手にリーダーシップ発揮の機会を与えただけで満足してしまう企業も多くあります。「君にこのプロジェクトのリーダーを任せよう!よろしく頼む!」と指名だけして放置されては、任されたリーダーにとってはたまったものではありません。周囲の目を気にする若手にとって、リーダーシップの発揮、「意思決定」を担うことはかなり大きなプレッシャーがかかります。
一方で、せっかくリーダーを任せたのに細かく干渉しすぎると、リーダーシップの発揮が損なわれてしまいます。大事なことは、機会を与えるときにしっかりと期待と方向性を伝えることです。例えば、「君を今回リーダーに抜擢したのはこういう理由と期待がある。今回のプロジェクトでリーダーとしての役割はこういうことで、こういうことを軸に進めて欲しい」など、リーダーとして抜擢した理由、期待していること、進め方のアドバイスを送りましょう。
「人は期待されると、そのとおりの人間になろうと努力する」という現象を指す「ピグマリオン効果」という言葉があります。ピグマリオン効果は多くの実験によっても効果が実証されています。リーダーシップ発揮の機会を与えた若手に、リーダーとしての評価や期待を伝えることは、若手のプレッシャーを和らげると同時に、ピグマリオン効果につながります。
リーダーシップ発揮のポイント③ 失敗できる環境を用意する
今どきの若手は、「リーダー」という言葉を聞いただけでプレッシャーを感じ、モチベーションが下がる人もいます。繰り返しですが、周囲の目を気にする若手にとって、最も目立つポジションであるリーダーという役割、また意思決定を担うという責任は大きなプレッシャーなのです。
若手が感じるプレッシャーを和らげるためには、前述の期待を伝えることと同時に、「環境を整える」ことも大切です。環境を整えるうえで最も大事なことは「失敗しても大丈夫」と感じさせることです。今の若手は失敗をとにかく恐れます。
もちろん組織として責任ある仕事を任せる以上、失敗してもらっては困るという事情もあります。しかし、いまの若手は失敗への恐怖心が失敗の原因になりやすい傾向があります。失敗への恐怖心が失敗につながるぐらいなら、失敗してもフォローしたり、実際に失敗したときは叱るのではなく対策を一緒に考えたりして、若手が安心してリーダーシップを発揮できる環境を作りましょう。