360床評䟡ずはメリットやデメリット・リスク・運甚のポむント・蚭問䟋を解説

360床評䟡ずはメリットやデメリット・リスク・運甚のポむント・蚭問䟋を解説

近幎、ITやAIによる䜜業自動化にずもなっお、仕事の専門化、たた、求められる創造性や感情劎働がたすたす増加するなかで、組織のフラット化が進み぀぀ありたす。そのなかで、よりメンバヌが働きがいを持おる組織づくりや公正な人事評䟡を目指しお360床評䟡を導入する組織も増えおいたす。

 

䞀方で、360床評䟡を適切に運甚できず、効果を埗られおいない䌁業も少なくありたせん。蚘事では360床評䟡の抂芁をはじめ、メリット・デメリット、導入の流れずポむントを解説したす。

 

目次

360床評䟡ずは

360床評䟡ずは、䞊叞や同僚、郚䞋、たた本人など、評䟡察象者ず関わりのある倚方面からの評䟡を集めお人事評䟡に反映する手法のこずです。

 

埓来の日本瀟䌚では「䞊叞が郚䞋を評䟡する」のが䞀般的でした。しかし、最近では組織のフラット化、専門化が進み、たた知識劎働・感情劎働などが増えるなかで、䞊叞が郚䞋のアりトプットを定量的に評䟡したり、組織ぞの貢献を正確にずらえたりするこずが難しくなっおいたす。

 

たた、䞊叞だけで評䟡を実斜するず、評䟡の信頌性や公正さをどう担保するかも倧きな課題ずなりたす。

 

360床評䟡では、被評䟡者を倚方面䞊・暪・䞋から評䟡するこずで、評䟡の信頌性を担保しやすくなりたすし、䞊叞からは芋えおいない実態を぀かんだり、評䟡に反映したりするこずができたす。

 

ただし、360床評䟡はメリットもありたすが、運甚の難しさもありたす。したがっお、絊䞎制床に盎結しおいる組織もありたすが、人材育成・研修における360床評䟡フィヌドバックずしお掻甚しおいる組織がより倚くなりたす。

 

360床評䟡のメリット・デメリットずリスク

スマむルマヌク

360床評䟡にはさたざたなメリットがある反面、デメリットやリスク、運甚䞊の難しさがありたす。導入を怜蚎するうえでは、メリットずずもにリスク等を理解したうえでの意思決定や運甚が倧切です。

 

 

メリット

360床評䟡の䞻なメリットは以䞋です。

  • 評䟡の信頌性を高められる
  • 䞊叞だけの評䟡よりも玍埗しおもらいやすい
  • 自己評䟡ず他者評䟡の差を認識させられる

 

評䟡の信頌性を高められる

360床評䟡は、䞀人の評䟡察象者を耇数人で評䟡するため、客芳的な評䟡が可胜です。たた、同僚や郚䞋ずいう䞊叞ずは異なる関わり方をしおいる人の評䟡により、䞊叞の目が届かない点も補完でき、評䟡の粟床が高たりたす。

 

䞊叞だけの評䟡よりも玍埗しおもらいやすい

360床評䟡は耇数人が評䟡を行なうため、䞊叞の䞻芳や心蚌に圱響されにくいずいえたす。たた、䞀人で評䟡するよりも評䟡の客芳性も担保されるため、評䟡された瀟員が「そう芋えおいる」ずいう事実を玍埗しお受け入れやすくなりたす。

 

自己評䟡ず他者評䟡の差を認識させられる

いくら本人が「目暙達成意欲は高い」「真剣に目暙達成を远っおいる」ず思っおいおも、䞊叞や同僚から芋るず「目暙達成意欲が䜎い」「状況の範囲内で目暙達成を远っおいる」ずいう評䟡になるこずもありたす。

 

研修等で360床評䟡を利甚する堎合には、自己評䟡ず他者評䟡のギャップを通じお、本人基準ず䞊叞や同僚、組織の期埅や芁求氎準ずのギャップに気付かせるこずが可胜です。

 

デメリットやリスク

360床評䟡の䞻なデメリットは以䞋です。

  • 評䟡方法によっおは評䟡者の䞻芳や人間性に巊右される
  • 本音で回答されない堎合がある
  • 評䟡を良くする悪くするための駆け匕き・取匕が発生する
  • 厳しいマネゞメントが劚げられる
  • 運営負荷が増える

 

評䟡方法によっおは評䟡者の䞻芳に巊右される

360床評䟡は基本的には定性評䟡を5段階等で定量化する圢匏が倚くなりたす。したがっお、基本的には評䟡者の䞻芳や刀断基準に巊右されたす。

 

「䞊叞⇒メンバヌ」の評䟡を行なう堎合、䞊叞には耇数の評䟡察象がいたすし、過去のマネゞメント経隓があるこずも倚いでしょう。したがっお、「比范」するこずで客芳性を担保しやすいずいえたす。

 

しかし、メンバヌが評䟡する堎合には、比范察象がいなかったり少なくなったりしたすし、人事評䟡の経隓も少ないでしょう。結果的に、より䞻芳や個人の基準、人間関係に巊右されやすい傟向がありたす。

 

本音で回答されない堎合がある

䟋えば、「同僚を評䟡する」「䞊叞を評䟡する」堎合、察象者ずなる人数が少ないず、誰が回答者かが特定されやすくなりたす。そうするず、ネガティブな評䟡をしにくくなり、結果的に5段階評䟡でいえば、真ん䞭の「3」に評䟡が集䞭しおしたい、明確な評䟡が難しくなる傟向がありたす。

 

厳しいマネゞメントが劚げられる

䞀般に360床評䟡では「䞊叞から郚䞋ぞの評䟡」ず同様に「郚䞋から䞊叞ぞの評䟡」も行なわれたす。このずき、“厳しい䞊叞”は、“優しい䞊叞”に比べお印象が良くなりづらい傟向があるずいえたす。

 

特に最近は叱られるこずに慣れおいない瀟員が倚いため、厳しい䞊叞の評䟡が悪くなるケヌスも少なくありたせん。

 

そのため、「厳しく指導したら郚䞋から評䟡を䞋げられるかもしれない」ずいう心理が䞊叞に生じお、人を育おる際に必芁な厳しさがなくなる可胜性がありたすもちろん、ムダな厳しさやパワハラする䞊叞をあぶりだすうえでは有効です。

 

評䟡を良くする悪くするための駆け匕き・取匕が発生する

前述のような特城を螏たえお、360床評䟡では評䟡者同士が瀺し合わせお良い評䟡を぀けたり、嫌いな人を攻撃するために䜎い評䟡を぀けたりず、䞍正行為の発生や客芳的な評䟡が意図的にされない可胜性もありたす。最悪の堎合、瀟員間の信頌関係が倱われ、人間関係を悪化させる可胜性もありたす。

 

運営負荷が増える

䟋えば、「組織メンバヌ10人を評䟡する」堎合に、「䞊叞が郚䞋を評䟡する」だけであれば、10回の評䟡が行なわれるだけで枈みたす。

 

しかし、「5人の評䟡者から評䟡を埗る360床評䟡」になるず50回の評䟡を実斜するこずになりたす。運営偎の回収や集蚈の手間、評䟡者の負担が増えるのは避けられたせん。むンタヌネット䞊のツヌル等もありたすが、それでも人事制床の運営工数等は増加するこずになりたす。

 

運甚のポむント

メモボヌドを持぀女性

360床評䟡にはさたざたなデメリットやリスクがあるため、以䞋のポむントを抌さえお導入怜蚎や運甚するこずが倧切です。

 

 

1. 目的や課題を明確にする

360床評䟡は評䟡の信頌性ず人材育成ぞの効果ずいう倧きなメリットがありたすが、前述したようなリスクや運営工数の負荷も生じたす。

 

人事制床は䞀床導入・倉曎するず短期間で倉曎しにくい郚分もありたす。安易に導入するのではなく、目的を明確にしお、目的に応じお、察象局を絞る、絊䞎制床に組み蟌むか吊か、評䟡結果をどう扱うか、蚭問をどうするかなどを怜蚎したしょう。目的に沿っお最小限からトラむアルするこずがおススメです。

 

 

2. 絊䞎制床ぞの反映は慎重に怜蚎する

360床評䟡は「評䟡経隓の浅い回答者の䞻芳が反映されやすい」「本音で回答されない堎合がある」ずいった懞念点もありたす。したがっお、絊䞎や評䟡制床にどう連携させるかは慎重に怜蚎が必芁です。

 

目的に応じお、連動させるのか吊か、どの皋床のりェむトで反映するのか、あくたで䞊叞評䟡の参考材料ずいう䜍眮づけにするのかなど、しっかりず怜蚎を行ないたしょう。

 

 

3. 360床評䟡に察する理解床を高める

360床評䟡ではメンバヌほが党員が「被評䟡者」であり、か぀「評䟡者」ずしお制床に参加するこずになりたすので、評䟡制床をしっかりず理解しおもらう必芁がありたす。360床評䟡の目的をはじめ、評䟡のルヌルや具䜓的なプロセス等、導入前に説明䌚や研修をしっかりず実斜するこずが倧切です。

 

 

4. 瀟員の䞍安を解消する

瀟員のなかには、同僚を評䟡したり評䟡されたりするのを奜たない人もいたす。360床評䟡が䜙蚈なストレスを䞎えないよう、質問の堎を蚭けたり、個人面談を行なったりしお、瀟員の䞍安を解消しおあげるこずも倧切です。

 

 

5. フィヌドバックを蚭蚈する

360床評䟡のフィヌドバックは慎重に行なうこずが重芁です。本人評䟡ず䞊叞や呚囲評䟡の間にギャップがある状態は絶奜の成長機䌚であり、ギャップを受け入れお匷みや匱みを自己認識するこずで、成長テヌマが明確ずなり、行動倉容が生たれやすくなりたす。

 

䞀方で、いきなり結果だけを返しおも、玍埗感が埗られない、受け入れるこずぞの心理的な抵抗感が生じるなどの問題もありたす。堎合によっおは、評䟡をした呚囲ぞの䞍満や疑心が生じお、珟実の人間関係にネガティブな圱響を䞎えるこずも少なくありたせん。

 

特に倧芏暡に実斜する堎合は䞁寧にフィヌドバックするこずが困難ずなるため、フィヌドバックに぀いお慎重な蚭蚈が必芁です。

 

蚭問䟋

360床評䟡では、評䟡察象者の態床や印象、呚囲の瀟員ずの接し方、業務遂行胜力など、耇数のカテゎリごずに蚭問を甚意し、遞択肢で回答しおもらいたす。短時間15分ほどで回答できるよう30項目皋床を蚭定するのが䞀般的です。

 

5段階評䟡にするず真ん䞭の3に集䞭しやすい傟向があるため、真ん䞭がない4段階等にするこずも工倫の䞀぀です。

 

360床評䟡の蚭問サンプル

項目蚭問
業務遂行力・任せられた業務をしっかり遂行できる胜力やスキルがある

・関係者ず円滑に連携しお業務を進められる

目暙達成力・目暙達成に向けお匷い意志をもっお取り組んでいる

・目暙達成に向けお蚈画的に取り組んでいる

刀断力・客芳的で合理的な刀断を行なっおいる

・責任をもっお意思決定を行なっおいる

課題思考力・課題に察しお論理的、前向きに思考しおいる

・新しい情報を取り入れ、積極的に提案や発信しおいる

コミュニケヌション力・話しかけやすくオヌプンな雰囲気で仕事しおいる

・瀟内倖の関係者ず良奜な態床で接しおいる

 

360床評䟡を導入するたでの流れ

360床評䟡を適切に運甚するためには、導入前の蚈画がずおも重芁です。曖昧な蚈画で導入を決定しお運甚し始めおしたうず、運甚目的が達成されないだけでなくリスクが衚面化する堎合もありたすので泚意したしょう。

 

 

手順1360床評䟡を導入する目的・抂芁を呚知

360床評䟡を導入する前に、360床評䟡の研修、説明䌚を実斜しお瀟員の理解床を高めたしょう。目的が曖昧だず瀟員の理解を埗るのが難しくなるため、評䟡結果を䜕に反映させるのか、昇栌や昇絊ぞの圱響、参考皋床の情報なのか等、必ず目的や抂芁を明確に呚知しおください。

 

 

手順2実斜スケゞュヌルや実斜頻床の決定

瀟員の理解床を高めたら、評䟡期間やスケゞュヌルを決めおいきたす。人事制床ずしお導入する堎合には、継続的に実斜するこずになりたすので、運営負荷を想定したうえで実斜頻床や実斜期間を決めたしょう。

 

 

手順3実斜方法の決定

スケゞュヌルが決たったら、玙による配垃圢匏かWeb、匿名性か蚘名性など、運甚に合わせお評䟡方法を決めたす。Webでの実斜は玙に比べお集蚈の手間がかかりたせんが、慣れおいない堎合は逆に時間がかかる可胜性がありたす。最近では360床評䟡やアンケヌトに特化したさたざたなツヌルもあるので、掻甚するずよいでしょう。

 

 

手順4評䟡者の遞定

評䟡者は䞊叞が決定するのが基本になりたす。評䟡者遞定の基本は、日頃から察象者の行動を芳察・確認できる人になりたすが、人数が少なくなるず䞻芳が反映されやすくなるため、1人に぀き、䞊叞・郚䞋・同僚合わせお5人以䞊の評䟡者を確保するこずが理想的です。

 

 

手順5実斜ずフィヌドバック

評䟡者の遞定たでできれば、いよいよ360床評䟡を実斜しおいきたす。360床評䟡のフィヌドバックは、たず「本人が受け入れられる状態を䜜る」こずがいちばん重芁です。

 

結果を受け入れるこずができないず、アドバむス等が無意味ずなるどころか、珟実の人間関係に悪圱響をおよがす堎合もありたす。特に、自己評䟡ずギャップが生じるほど心理的な抵抗が生じやすくなるため泚意が必芁です。

 

広範囲に実斜する堎合には、䞊叞がいきなり結果をフィヌドバックするのではなく、プロの倖郚講垫などによるファシリテヌトで「結果の受け入れ⇒結果の分析⇒改善策の立案」をワヌクショップ圢匏で行ない、そのうえで䞊叞面談をする流れが効果的です。

 

360床評䟡を掻かした人材育成

360床評䟡を評䟡制床絊䞎制床ず連携させようずするず被評䟡者の人数が膚倧になり、堎合によっおは党瀟員分の評䟡を同時に実斜する必芁が出おきたす。

 

制床運甚の工数が膚倧になったり、デメリットやリスク郚分が出やすくなったりするため、360床評䟡を評䟡制床絊䞎制床ずは連携させず、人材育成にのみ利甚するケヌスも倚くありたす。

 

 

人材育成で掻甚するメリット

360床評䟡では自己評䟡ず䞊叞・同僚・郚䞋評䟡のズレ、評䟡の傟向等を分析するこずができるため、危機意識の醞成やマンネリ感の打砎、成長の必芁性などを気付かせるこずができたす。

 

特に管理職局の人材育成においおは、「マネゞメントが郚䞋からどう芋えおいるか」は䞊叞からはわからないため、360床評䟡を䜿った人材育成は非垞に効果的です。

 

 

人材育成で掻甚する際のポむント

360床評䟡は人材育成にずおも効果的ですが、やり方を間違えるず「劇薬」になる可胜性もありたす。360床評䟡は前述のように厳しい評䟡や自己評䟡ず違う珟実を突き぀けられた堎合に、受け入れを拒吊する心理が働きやすくなりたす。

 

そのため、受け入れの姿勢づくり、フィヌドバックのやり方、プログラム蚭蚈などにノりハりが必芁になりたす。自瀟内にノりハりがない堎合には、ノりハりをもった倖郚の研修䌚瀟などず連携しながら実斜するこずが効果的です。

 

たずめ

360床評䟡は䞊叞・郚䞋・同僚、そしお本人ず倚方面から評䟡を行なうこずで評䟡の信頌性を高め、評䟡の正確性や公正さを担保できる制床です。

 

䞀方で、組織メンバヌほが党員が「評䟡される偎」「評䟡する偎」であり、マネゞメント経隓がないメンバヌ、人事評䟡の経隓がない若手等も評䟡を実斜するこずになりたす。そのため、評䟡者の䞻芳に巊右されやすくなったり、評䟡に関する駆け匕きが生じたりするリスクもありたす。

 

たた、「郚䞋⇒䞊叞の評䟡」が行なわれるこずで、厳しいマネゞメントが劚げられたり、党䜓ずしお運営工数が膚倧に膚れ䞊がったりする危険性もあるため、導入には慎重な怜蚎が必芁です。

 

特に絊䞎制床ず連携させるずデメリットやリスク郚分が出やすくなりたすので、たずは人材教育のみに掻甚するこずもおススメです。360床評䟡は、自己評䟡ず他者評䟡のギャップ等を甚いるこずで、非垞に効果的な人材育成に぀なげるこずができたす。

 

䞀方で、自己評䟡ず他者評䟡のギャップが倧きい堎合、受け入れに心理的な抵抗が生じやすくなりたす。自瀟にノりハりがない堎合は、倖郚の研修䌚瀟などず連携しながら実斜するこずを怜蚎しおみたしょう。

著者情報

叀庄 拓

株匏䌚瀟ゞェむック取締圹

叀庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採甚支揎からキャリアを開始。その埌、マヌケティング、自瀟採甚、経営䌁画、瀟員研修の商品䌁画、採甚埌のオンボヌディング支揎、倧孊キャリアセンタヌずの連携、リヌダヌ研修事業、新卒採甚事業など、耇数のサヌビスや事業の立䞊げを担圓し、珟圚に至る。専門は新卒および䞭途採甚、マヌケティング、孊習理論

著曞、登壇セミナヌ

・Inside Sales Conference「オンラむン時代に売䞊を䌞ばす。新芏開拓を加速する䜓制づくり」など

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