組織風土の改革を成功させる秘訣は?事例から学ぶ社風改善・改革のポイント

2020/08/18

組織風土の改革を成功させる秘訣は?事例から学ぶ社風改善・改革のポイント

多くの経営者が「いまの組織風土を変えたい」「いい組織風土にしたい」と悩まれています。組織風土とは、「社員一人ひとりの意思決定や行動を左右している組織の行動規範や暗黙知」です。存在しても明言されていないことが多く、改善・改革することは簡単ではありません。

 

しかし、仕事への取り組み方、業務の進め方、組織内の人間関係等で共通の問題が生じているときには、組織風土の改革を目指すべきかもしれません。記事では、組織風土が重要である理由を踏まえ、組織風土の改革や改善にどのように取り組めば良いかを解説します。

 

 

<目次>

組織風土とは「水面下にある価値観の塊」である

「企業」という組織は、ハード面とソフト面に分けて考えられます。

 

「ハード」とは、企業を形づくる事業や商品・サービス、成長のための戦略や戦術、それを動かす仕組み、役割分担を描いた組織図等を指します。何らかの形で目に見えるものであり、実体を伴います。

 

「ハード」に対して、「ソフト」の大きなウェイトを占めるものが「組織風土」です。組織風土は「社風」とも呼ばれます。より具体的に言えば、「一人ひとりの社員が業務においてどのようなコミュニケーションをして、どのような判断基準で業務を遂行しているのか」という行動や考えの基本となるものです。

 

行動やコミュニケーションの基準、価値観は、社員一人ひとりによって異なる部分は勿論ありますが、一方で、「うちの会社においては…」という組織の行動規範や価値観が、全社員に暗黙の了解として共有され、裏ルールのように存在しています。

 

このような組織風土は、ソフト面であり言語化されていることは少なく、社員もそれが組織風土だと意識しないままに日常を送っていることが多く、「水面下にある価値観の塊」とも呼ばれます。

 

組織が存続していくと、意識するか否かに関わらず、自然と組織風土が形成されていきます。組織風土は、明文化された「企業理念」や「行動規範」と必ずしも一致しているとは限らず、経営理念や行動規範と反するものが生まれているケースも少なくありません。

 

組織風土は、仕事の進め方や考え方、コミュニケーション等、企業内のあらゆるものに変化を及ぼすため、ネガティブな組織風土が形成されている場合、経営のかじ取りや意思伝達は困難になり、組織の実行力やスピード感も減少するでしょう。

 

逆に言えば、短期的にも中長期的にも、企業をより良く運営するためには組織風土の改革・改善が不可欠であるということです。

 

組織風土の改革、改善が求められる状況とは?

改革、改善が求められる組織

近年、組織風土を改革・改善する重要性に気が付き、取り組みを始める企業が増えています。大きなポイントとして挙げられるのは、時代背景と経営環境の変化です。

 

 

組織風土の重要性が増す時代背景とは

少子高齢化や経済活動のグローバル化、労働に対する価値観の変化、IT技術の変化等、外部環境の変化が激しく、かつスピードを増す中で、企業は迅速かつ臨機応変に対応する力が求められています。2020年は、コロナ禍による世界経済の不安定さや働き方の変化への対応も非常に大きなトピックです。

 

さらに、「事業のサービス化」が進んでいるという状況も影響しています。事業のサービス化とは、製品やサービスを製造したり販売したりするだけでは事業が成立しなくなってきたということです。物が飽和し価値観が多様化した中では、サービスは勿論、たとえ、形あるものだとしても、顧客ニーズに合わせた使い方の提案やアフターフォローが求められています。

 

決まった製品を製造したり、流通や販売のフレームワークを動かしたりするのとは異なり、「サービス」は現場の社員一人ひとりが、その場で判断して創り出す側面があります。

 

上記のような状況の中で、臨機応変な意思決定や対応が求められたり、事業のサービス化が進んだりする中では、組織内でのコミュニケーションの潤滑さや連携、そして、社員の主体性が求められます。また、「社員の仕事への向き合い方」や「組織のミッションやビジョンの浸透」「バリューの実践」等の重要度も高まっています。

 

 

組織風土のありがちな課題

組織風土に問題が生じている場合、具体的には次のような特徴を持つ社員や職場環境が目立っているでしょう。当てはまるものが多いと感じるようであれば、組織風土の改革が必要かもしれません。

 

  • 受け身な社員が多い
  • 仕事にやりがいを感じていない社員が多い
  • 部門内、または部門間で仲が悪い
  • 社員同士がギスギスしていて、風通しが悪い
  • 現場の声が、経営陣に届いていない
  • ミッションやビジョンが浸透しておらず、短期的な成果だけが重視されている
  • 事なかれ主義がはびこっている

 

組織風土の改革・改善を成功させるカギとポイント

組織風土の改革・改善を成功させる

組織風土とは「水面下にある価値観の塊」ですから、改革や改善は一朝一夕でできることではありません。組織風土を改革・改革するためには、ポイントを押さえることが必要です。

 

 

現状の把握と理想像、問題点の明確化

組織風土の改革・改善をおこなうためには、まず現状の把握と理想像、そして、問題点について、経営陣の間で明確化して、共有することが必要です。目に見えない組織風土だからこそ、現状とゴールを言語化しないと、後々ボタンの掛け違いや方向性のズレが生じてくる危険性が高くなります。

 

また、組織風土の改革・改善には、経営陣のコミットが必須です。なぜなら、経営陣と管理職の言動こそが、組織風土に大きな影響を与えているからです。人は誰しも、「評価」と「承認」に向かって動きます。では、最終的な業績指標と人事制度以外で、誰が組織メンバーに対して「評価」と「承認」をおこなっているか。それは、上司であり、経営陣です。

 

従って、最も大元である経営陣が改革にコミットし、自分たちの言動を変える必要性を自覚することが組織風土の改革・改善の第一歩となります。

 

 

組織風土の改革・改善を成功させるカギ

組織風土の改革・改善を実際に成功させるためには、3つのポイントが重要です。

 

1.共通言語の構築

組織風土の改革・改善を進めるうえでは、あるべき姿を示す共通言語の構築が重要です。目指すべき方向や意思決定や行動基準を示す共通言語が構築できれば、社員間の意思伝達はスムーズになり、かつ的確になります。

 

例えば、リクルートで言えば「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という旧社訓は、グループ外にも広く知られた価値基準ですし、「お前はどう思うの?(どうしたいの?)」というマネジメントのやり方等も共通言語の代表的なものと言えるでしょう。

 

HRドクターを運営するジェイックでは、ミッションやビジョンを構成する「ホームドクター」や「メンター」、「可能性に貢献し続ける」といった言葉がよく社内を飛び交います。また、全社教育として導入する「7つの習慣®」や「原田メソッド®」の「主体性」「一時停止」「パラダイム」「第3案」「刃を研ぐ」「4観点」「ルーティン」「心の栄養」等の言葉も同様です。

 

社員の誰もが意味を理解している共通言語が増えると、自然と行動規範も統一されてきますし、メッセージを発信したり、指導やフィードバックしたりするうえでも、短い言葉で意味が通じやすくなります。

 

2.ミッションやビジョン、バリューの浸透

組織風土の改革を実現するうえで、組織のミッションやビジョン浸透は切っても切り離すことはできない重要事項です。組織に所属する社員一人ひとりは、異なるプロフィールを持ち、価値観や強みも異なります。ばらばらの個人が、1つの組織として集まる成立する意味を与えるのがミッションやビジョンです。

 

「我々は何をするために集まっているのか」という目的を共有しているからこそ、個々の違いを超えて、組織に一体感と協力関係が生まれます。また、違いを前提にした中でも「ここだけは組織として譲れない価値観である」という価値基準・行動規範がバリューです。

 

3. 諦めないこと

繰り返しになりますが、組織風土の改革は一朝一夕でできるものではありません。組織風土に問題がある場合、最初の数か月は、社員は様子見状態でしょう。そこから徐々に、賛同者と抵抗勢力が出てきて、組織にうねりが起こりはじめます。そして、2~3年で「変わったんだな」という変化を感じられるようになります。

 

時間もかかりますし、改革の途上では、しばしば壁や難関が立ちはだかることもあります。そこで、諦めてしまうとすぐに改善前の状態に戻ってしまいます。諦めずに改革を成し遂げる姿勢が重要です。

 

組織風土の改革・改善事例から成功要因を学ぶ

組織風土の改革・改善を実践する前に、他の企業の成功事例を学ぶことも効果的です。この章では、組織風土の改革・改善事例として2社の事例を紹介します。

 

 

1.オリンパス株式会社

オリンパス株式会社は、医療や科学の分野で有名な大企業ですが、2011年に経営者が自ら粉飾決算を指揮していた事件が明らかになり、大損害を受けることになりました。2012年に新体制をスタートさせる際に「One Olympus」というスローガンを掲げましたが、その直後の企業調査により現場の活力が下がっていることが判明しました。

 

オリンパスでは活力が低下した原因が組織風土にあると仮定し、5点の分類を抽出しました。

 

  • トップとのコミュニケーション不足
  • 上位方針の展開とPDCAの不徹底
  • 人と組織を束ねるマネジメント力の弱体化
  • 現場活力の減退
  • 個別最適化の加速

 

これらを改善するために、トップミーティングの開催、上司や部下、360度評価の採用、他部署間の交流の活性化、全社イベントの開催等を積極的に実施しました。また、働き方改革による業務効率化にも取り組んでいます。これらのイベントや催しを社員が率先的に担当し、最後までやり遂げる姿勢を尊重することで、経営風土の改革を実現しました。

 

2.三菱UFJフィナンシャル・グループ

三菱UFJフィナンシャル・グループは、三菱UFJ銀行等を筆頭とする日本を代表する金融グループ企業です。伝統のある大企業ながら、さまざまな革新的な取り組みを実行しています。

 

  • 経営ビジョンや行動規範の見直し・周知の徹底
  • 経営人材を拡充するための「MUFJ University」の創設
  • 革新を起こすためのスタートアップ企業支援「MUFG Digitalアクセラレータ」

 

見直された行動規範では、サービス向上のため社員一人ひとりのあり方を具体的に記載すると同時に、「上司」に対しては、部下への模範の示し方やビジョンの伝え方等も別途規定しています。

 

これらの対策の実行により、顧客からの信頼獲得や社員や企業の成長・変革を実現し、アジアを代表する金融グループになるという中・長期的な目標を実現しようとしています。

 

 

紹介した2つの事例は、いずれも誰もが知るような大企業です。短いトピックでは、その全貌は到底想像しにくいかと思いますが、連結で従業員数万人となるような大企業でも組織風土の改革・改善に真剣に取り組んでいます。

 

まとめ

長年の積み重ねにより形成された企業風土を変革・改善することは簡単なことではありません。しかし、「水面下に潜む価値観の塊」とも言われるように、組織風土は社員の意思決定や行動、組織内のコミュニケーション、組織の実行力に多大な影響を与えています。

 

従って、外部環境の変化が激しく、スピード感を持って臨機応変な迫られる中で、良い組織風土を作れるかは、企業の成長、存続を左右する重要な命題です。

 

HRドクターを運営するジェイックでは、リーマンショックによる経営危機をきっかけとして、組織風土の改革に取り組みました。以下の資料では、ジェイックでの生々しい事例を紹介していますので、ぜひご一読ください。

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。専門はマネジメント、幹部育成、組織論。

【著書、登壇セミナー】
・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
・withコロナ時代における新しい採用力・定着率向上の秘訣
・オンライン研修の「今と未来」、社員育成への上手な取り入れ方
・社長が知っておくべき、業績達成する目標管理と人事評価
・社長の右腕 ~ナンバー2の上司マネジメント / 部下マネジメント~
・オーナー経営者が知っておきたい!業績があがる人事評価制度と組織づくりのポイント
・社長の右腕 10の職掌 など

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