デメリットのところで紹介したとおり、分業化制度を導入すると、モチベーション低下や部門ごとの対立や分断、組織目標への無関心などの問題が生じやすくなります。これらの問題による悪影響を抑えるには、組織論的な考えが必要です。
組織論の基本にして原理原則となるのが、バーナードの組織論における組織の3要件です。3要件を詳しく解説しましょう。
共通目的(組織目的)
まず、分業体制の組織をうまく機能させるためには、組織に所属するメンバーが、共通のミッション・ビジョンを持つことが大切です。
たとえば、家電のメーカーで「家電を通して人々の不便や悩みを解消する」というビジョンを共有したと仮定します。
ビジョンを共有できている場合、製品開発・製造・営業などの各担当者は、自らの専門領域で目標達成するだけでなく、ミッションである「人々の不便や悩みを解消する」という同じゴールに向けて仕事をできるようになります。
もちろん、それでも役割による見解の違いは生じますが、「我々は何のために集まっているのか?」ということに対して共通の答えを持っている意味は大きいです。企業におけるミッション、ビジョン、バリューの浸透といった定性的であり、大きなゴールの共有が重要です。
また、もう少し短期的な組織目標の共有も大切です。たとえば、THE MODEL型の組織においては、フィールドセールスに先行して活動するマーケティング、インサイドセールスも最終ゴールであり、組織の共通目標となる「売上総額」を有効リード数や創出商談数に加えて目標設定することで、短期的なゴールを共有します。
協働意思(貢献意欲)
協働意思とは、企業で働くうえでそれぞれのメンバーが「組織やお互いの役に立ちたい」と思えるようになることです。協働意思は、分業体制における対立や分断を防ぐうえで、大事なポイントになります。
前述したように前工程の機能が後工程の目標にコミットするなどの目標設定をすることで、協働意思は向上しやすくなります。
先ほどのTHE MODEL型の組織を例にすれば、マーケティングチームは、一次目標となる有効リード数に加えて、後工程となるインサイドセールスの部門の一次目標である案件創出数や額、組織の最終目標である売上創出額を目標に持つといった形です。
協働意思を生み出すためには目標設定だけでなく、次のコミュニケーション、また、機能間での人事異動なども有効です。
意思疎通(コミュニケーション)
分業体制の分断や対立、仕事の全体像を把握できない問題は、機能間のコミュニケーションの少なさから生じることが多いです。
したがって、当たり前の話に聞こえますが、分業組織においては機能間で定期的にコミュニケーションの場を持つことが大切です。THE MODEL型の組織でいえば、たとえば、後工程の部門からフィードバックをもらう、各部門のマネジメントメンバーで定期的にすり合わせの場を持つ、などがコミュニケーションに当たります。
また、人的交流、仕事外でのコミュニケーション活性化の機会や組織風土の形成を行なうことも相互理解を深め、共有したミッションの達成に向けて協働できる組織づくりにつながります。