マンダラート作成方法、やり方を簡単・シンプルに解説

マンダラート作成方法を簡単・シンプルに解説 ~目標達成への道筋を描く方法~

マンダラートは、目標を達成するのに有効なツールです。某メジャーリーガーが高校時代に作成したものなどで一躍有名となりましたが、「マンダラートを作成してみたい!」と思ったとき、やり方が分からない方もいるかもしれません。

 

マンダラートは作成方法に少し特徴があるので、正しい考え方、方法を知らないと、効果が半減してしまいますし、目標達成につながらないということにもなってしまいます。

 

そこで記事では、マンダラートの正しいやり方、考え方を解説します。

 

なお、マンダラートについては以下の記事でも詳しく解説していますので、ご興味あればご覧ください。

 

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、「マンダラート」を使った目標達成研修(原田メソッド研修)を数多くの企業に提供しています。記事では研修で蓄積したノウハウを踏まえて、マンダラートの効果や作成方法を紹介します。

<目次>

マンダラートとは?

マンダラートとは?

マンダラートとは、「曼荼羅」と「アート」を組み合わせたツールであり、目標達成のための行動やアイデアを洗い出すのに利用されるツールです。某メジャーリーガーも活用していたことがマスコミで取り上げられたこともあり、気軽に目標達成のアイデアを発想できるツールとして有名になりました。

 

マンダラートでは、9×9のマス目を書き、ある一定の記入ルールでマス目を埋めることで、アイデアを整理し思考を深めていきます

 

呼び方には「マンダラチャート」「マンダラワーク」「オープンウィンドウ64」などがあります。

マンダラートとマトリクス法の違い

マンダラートとよく比較されるのが「マトリクス法」です。

 

マトリクス法はマンダラートと同じようにマス目を利用したツールになりますが、作成方法・ルールが異なります。

 

マトリクス法では、縦横の掛け合わせで思考していきます。例えば、少し前の話ですがスティーブ・ジョブズが考えたアップルの製品戦略は以下のようなものでした。

 

一般ユーザープロユーザー
デスクトップiMacPower Mac
ノートPCiBookPower Book

 

このように、マトリクス法は縦軸と横軸の掛け合わせでアイデアを生み出す手法です。マス目を使ってアイディアを考えるという点は確かに近しいものがありますが、ツールの目的や使い方はマンダラートとは全く異なるものです。

マンダラートと原田メソッド

マンダラートは、目標達成のための思考法である原田メソッドで用いられています。

 

原田メソッドは、大阪市立松虫中学校の教師だった原田隆史氏が、陸上部を指導した7年間で13個の日本一タイトルを獲得させた人材育成手法からはじまります。

 

スポーツ特待生も募集しておらず、陸上の有名校でもない公立中学校で、普通の中学生を常勝軍団へと変貌させた手腕は「松虫の奇跡」と呼ばれました。この陸上部での指導法をメソッドとして体系化したのが原田メソッドです。

 

原田メソッドでは、「成功は技術である」と説明しています。成功するために特別な才能が必要なわけではなく、成功するためのやり方を学び、実践すれば成功できるということです。成功のプロセスを繰り返すことでコツがわかり、どんどん成功の確率を高めていくことができます。

 

そして、原田メソッドのなかで成功したり、目標を達成したりするために「すべきこと」「やらなければならないこと」「達成するための方法」をあぶり出すツールがマンダラートです。

マンダラートの作成方法、やり方

ここからは、マンダラートのやり方、作成方法、ポイントを説明していきます。マンダラートを作成するにあたっては、9×9=81マスのワークシートを用意します。

マンダラートのワークシート

 

手書きでもエクセルなどに入力する形でも構いませんが、原田メソッドでは脳を活性化して思考を刺激できる手書きを推奨しています。

 

ステップ① 目標を設定する

まず、ワークシートの中心のマスに達成したい目標を書きます。目標を設定するうえで注意すべきポイントは以下の2点です。

 

ポイント1.目標達成期日を決めること
期日が決まっていない目標は単なる願望です。自分で決めた期日までに目標を達成するからこそ成功なのです。

 

なお、慣れないうちは、設定する達成期日は1~3ヵ月くらい先の短期スパンであることが望ましいでしょう。マンダラートで目標達成に必要なアクションをあぶり出すうえで、あまりに先の話になってしまうとアクションをイメージしづらくなります。

 

ポイント2.達成可否が判断できるように設定すること
達成期日が来たときに達成しているかを判断できないものは目標と言いません。具体的な数字などで表現したほうが良いですし、少なくとも「達成できた」「できない」という〇×が明確になるように表現しましょう。例としては以下などです。

達成可否を判断できる好ましい目標例

 

  • 売上○○○○万円達成
  • 部門利益□□□万円確保
  • 不良品率△%以下
  • ○○○賞を獲得する
  • 災害対策マニュアルを作成し役員会で承認を得る
  • 〇〇kgダイエットする
  • 貯蓄額□□□万円を達成する

目標設定が中途半端だと、マンダラートでのアウトプットも中途半端になりますので、2つのポイントに沿って適切な目標設定にこだわりましょう。

ステップ② 基礎思考をひらく

目標が決まったら「基礎思考」を考えていきます。基礎思考とは、設定した目標を達成するために考えなければならない抽象的な取り組みテーマやキーワードです。黄色いマスが目標を記入する中心のマスとすると、周りの8つのマスに基礎思考を記入していきます。

<基礎思考の例>

「部門利益□□□万円確保」の目標に対する基礎思考の例
 

  • 売上△△△△万円確保
  • 原材料費削減
  • アルバイト人件費削減
  • 重点商品Aの拡販
  • B工場歩留まり率改善
  • 客単価アップ
  • 従業員のコスト意識向上
  • 部門横断プロジェクト発足 など

「○kgダイエットする」の目標に対する基礎思考の例
 

  • 摂取カロリーを抑えた食事
  • 定期的な運動
  • 生活習慣の見直し
  • モチベーション維持
  • 通勤時できる工夫
  • 職場でできる工夫
  • 家族への協力依頼
  • 真似するべき事例探し など

目標達成のための基礎思考を漏れなく出すために、最初は8つという数にこだわらず思いつく限りアイデアを出しましょう。そのうえで優先順位をつけて8つ選び出しましょう。

 

場合によっては自分ひとりで考えるのではなく、適切なアイデアを出してくれそうな人に相談することで、より効果的な基礎思考をあぶり出すことができるでしょう(原田メソッドでは、お互いの知識や知恵を共有することを『知の移植』と呼びます)。

 

ステップ③ 実践思考をひらく

基礎思考が8つ出揃ったら、それぞれに対して8つずつ実践思考をひらきます。実践思考とは、目標達成のためにやるべき行動を記入した基礎思考に沿って具体的に定めたものです。つまり、具体的な行動や施策です。

 

8つの基礎思考に対して8つの実践思考を開きますので、全部埋めると、8×8=64個の行動や施策アイデアが生み出されます。これが原田メソッドでマンダラートを「オープンウインドウ64」と呼ぶゆえんです。

 

8つの基礎思考を、外側8つのマスの中央にそれぞれ転記します。次に各基礎思考の周りの8マスを「目標達成のためにやるべきことは何か?」と自分に問いかけながら具体的な行動で埋めていきます。

<実践思考の例>

 
「アルバイト人件費削減」の基礎思考に対する実践思考の例

  • アルバイトにお願いする業務をすべて洗い出す
  • アルバイト業務でなくせるもの、減らせるものを選定する
  • すぐに仕事に取りかかれるよう業務開始前のルールを決める
  • 正社員でまかなえる業務を選定する
  • アルバイトに対して業務効率化の研修を実施する
  • シフトの組み方を検討する
  • 担当させる業務と業務量をアルバイトごとに適正化する
  • アルバイトの残業ルールを決める など

「定期的な運動」の基礎思考に対する実践思考の例

  • 平日帰宅後に30分ウォーキングする
  • 平日1つ手前の駅で降りて徒歩で帰る
  • 平日時間があるときジムに通う
  • 休日自転車に1時間乗る
  • 入浴前に腹筋を20回やる
  • 買い物は自動車を使わず徒歩か自転車で行く
  • 通勤時はエレベーター、エスカレーターを使わずに階段を使う
  • オフィス内での移動はエレベーターを使わずに階段を使う など

目標達成に必要な行動を漏れなくあぶり出します。8という数にこだわらず思いつく限り書き出しましょう。多ければ多いほど良いです。

マンダラートの実践思考作成のポイント

マンダラート作成において、実践思考は「目標達成のために何をするのか」という具体的なアクションですから、確実に目標達成するには大変重要です。実際にひらいていくうえでのコツと注意点をいくつか紹介します。

具体的な行動を書き出す

まず、実践思考は具体的でなければいけません。「具体的」というのは、即実行に移せるということです。

 

「いつ、どこで、誰と、何を、どうやって」やるのか、といったことが明確でないと行動に移せず、絵に描いた餅で終わってしまいます。書き出したら、「いつ、どこで、誰と、何を、どうやって」が思い浮かぶかを脳内で問いかけてみましょう。

 

具体的な行動・方法に落とし込む

また、実践思考をひらいていくと、別の基礎思考で考えたものと同じアイデアが出てくることもありますが、重複は気にせず書き出しましょう。複数回にわたって出てくる実践思考は目標達成に向けて重要度が高い可能性が高いです。漏れなく実行に移していきましょう。

 

なお、実践思考は多ければ多いほど良い、と言いましたが、人によって、また基礎思考の場所に応じて、出てくる実践思考の数はバラつきがあるでしょう。

 

1つの基礎思考に対して8つで留まらず、9個10個……と数多くの実践思考が出ることを原田メソッドでは「専門性が高い」と言います。普段からよく考えている分野だということです。

 

作れなければ周囲に相談する

逆に数が少ないことを「専門性が低い」と言い、普段は後回しになっている分野、あるいは考えていない分野ということになります。

 

自分には専門性が低くても、社内を見渡せば専門性が高い人はいるでしょう。実践思考があまり出ない場合は、専門性が高い人から知の移植を受けるようにします。例えば、仕事であれば上司やベテランに相談するということです。

 

最後に、実践思考を書き出すうえで最も重要なことは、「実践すると目標達成に近づくか?」という視点です。

 

いくら数多く出ても、いくら具体的であっても、目標達成に近づかない実践思考では意味がありません。「これを実践すると目標達成に近づくか?」を自分自身に問いかけながら実践思考を書き出していくことが大変重要です。

 

こうしてすべての基礎思考について実践思考がひらけたら、マンダラートが完成となります。

マンダラートの効果

ここまで、マンダラートのやり方、作成方法、ポイントを説明してきましたが、マンダラートを活用することでどのような効果が期待できるのでしょうか。

短時間で目標達成へのアイディアを整理できる

マンダラートのメリットとしては、短時間で目標達成に必要なことが整理できるということです。

 

マンダラートは、9×9のマスさえあれば始められます。そして、マンダラートには難しいルールはなく、アイデアを順に書き出し、81マスを埋めるだけです。

 

ほかのツールでは、作成に時間がかかるものもありますが、マンダラートでは短時間で具体的な行動を導き出すことができ、すぐに行動を開始することができます。

アイデア出しの質と量が高まる

マンダラートを作成することで、アイデア出しの質と量が高まります。

 

マンダラートでは、81マスを埋めるために、目標達成のためのアイデアを多く出さなくてはなりません。あらゆる選択肢のなかからアイデアを検討することで、普段は思いつかないアイデアを見つけることができるでしょう。

 

このようにマンダラートを作成することで、様々なアイデアを考えることになり、アイデアの精度が高まるのです。

目標達成の確率が高まる

マンダラートを作成し実践することで、目標達成の確率を高めることができます。

 

マンダラートによって新しいアイデアを見つけられるだけでなく、抜け漏れのない質の高い計画を立てることができます。

 

計画を立てるときには、漠然とした計画では実行の精度、目標達成の確度は高まりません。しかし、マンダラートを使えば具体的に行うべきことが明確になります。何をすればいいかが明確になるので、精度の高い計画を作成しやすくなるのです。

 

また、計画を実行しているうちにつまずくことがあっても、マンダラートに書いているほかの施策を試すことで打開できる可能性があります。

 

終わりに「成功は技術である」

記事では、マンダラートの作成方法・やり方を解説しました。マンダラートは目標を達成するための方法やアイデアを洗い出すツールです。

 

目標達成のためには「やるべきことをやる」しか道はありません。頭を整理しながら、ときには周囲に助けてもらいながら、効果的な「やるべきこと」をあぶり出すために「マンダラート」は最適なツールです。

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、マンダラートを使った目標達成研修「原田メソッド」を多くの企業で指導しています。様々な研修を提供する会社だからのノウハウと経験と知識を持った講師によって、目標達成を実現します。お気軽にご相談ください。

 

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
・withコロナ時代における新しい採用力・定着率向上の秘訣
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