アサーティブコミュニケーションの具体例を解説!実践の要素やDESC法も紹介

更新:2022/08/16

作成:2022/08/16

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

アサーティブコミュニケーションの具体例を解説!実践の要素やDESC法も紹介

 アサーティブコミュニケーションは、お互いを尊重しながら意見を交わすことで、良好な人間関係の構築につなげるコミュニケーション手法です。ストレス社会と呼ばれる、いまの時代に、メンバーのメンタルヘルスケアにも貢献するとして改めて注目が集まっています。

 記事では、具体例を挙げながらアサーティブコミュニケーションの実践方法を解説します。実践の要素や、すぐに使えるノウハウであるDESC法も合わせて紹介します。

<目次>

アサーティブコミュニケーションとは?

アサーティブコミュニケーションとは?
 
 アサーティブコミュニケーションとは、相手を尊重しつつ、 自分の意見や主張を適切な方法で伝えるコミュニケーション手法を指します。

 お互いを尊重しながら意見を交わし良好な人間関係の構築に貢献するコミュニケーションであり、同時に“自分の意見を言えずにストレスを溜める”という状況を解消してストレスを軽減できるという点でも重要なスキルです。

アサーティブコミュニケーションの実践を支える4要素と具体例

誠実自分にも相手にも誠実にコミュニケーションをとる
率直自分を主語にして相手にわかりやすく伝える
対等相手が誰であろうと対等に向き合う
自己責任言動の責任は自分で引き受ける

 アサーティブコミュニケーションを実践するうえで、土台となる4要素を押さえておきましょう。具体例も合わせて解説します。

誠実

 アサーティブコミュニケーションでは、まず自分に対しても相手に対しても誠実であることが求められます。

 たとえば、相手の意見を聞かずに、自分の主張だけを相手に押し付けるのは、相手に対して誠実ではありません。同時に、アサーティブコミュニケーションでは、自分の意見を押し殺して、相手の意見ばかりを尊重することも自分に対しても相手に対しても不誠実であると考えます。

 “相手の考えをしっかりと受け止める(相手への誠実さ)、同時に、自分の意見や考えもしっかりと示す(自分と相手への誠実さ)”という姿勢を持つことが重要です。

率直

 アサーティブコミュニケーションでは、主語を自分にして、意思や考えを伝えることが大切です。たとえば「社会人として…」「社内でも、○○という声が多い」「普通はこうする」など、主語を第三者にすり替えたり誰かに代弁させたりするのは率直とはいえません。

 感情的な口調になることなく「私は~と感じている」「私が~という意見だ」「私は~と思う」などと、自分を主語にして意見やニーズをわかりやすく、相手に伝わる言葉で伝えることが大切です。

対等

 相手が誰であろうと対等に向き合うことが大切です。たとえば、後輩だから横柄になる、社長だから必要以上にへりくだる、といった相手との力関係に左右されることなく、常に対等に意見を交換するのがアサーティブコミュニケーションの姿勢です。

 もちろん言葉遣いなどはTPOや関係性に合わせて調整する必要があります。また、意思決定権限などは、コミュニケーションの対等さとは別の問題です。

 しかし、コミュニケーションの関係性として、心の中で対等に相手と向き合って対話することが大事です。上から目線になったり、卑屈になったりすることなく対等な態度で相手と向き合いましょう。

自己責任

 アサーティブコミュニケーションを実践する上では、自分の言動の責任を自分で負う意識をもつことが大切です。“言った責任”も“言わなかった責任”も自分が引き受けます。

 たとえば、相手にしてほしいことがあるのに、「言わなくてもわかるだろう」と伝えなかった場合に、「察してくれない相手が悪い」などと考えるのは、アサーティブではありません。コミュニケーションに問題が生じた際、“言った”ことも、“言わなかった”ことも含めて、自分の責任を振り返ることが重要です。

自己主張に関するコミュニケーションスタイルの3類型

アグレッシブ型自己主張が強く攻撃的なコミュニケーションを取る
ノンアサーティブ型自己主張が控えめすぎる
アサーティブ型相手を尊重しつつ、自分の意見を適切に主張する

 自己主張の視点でコミュニケーションスタイルを捉えると、アサーティブ、ノンアサーティブ、アグレッシブの3パターンに分類できます。この3タイプは、漫画・アニメ「ドラえもん」のキャラクターにたとえられることも多いので併せて紹介します。

アグレッシブ(攻撃型)

 アグレッシブ型は、自己主張が強く、相手の主張を聞かないコミュニケーションスタイルで、ドラえもんのキャラクターでいうと、ジャイアンです。

 アグレッシブ型の人は、自分の意見をストレートに伝えられますが、自分の要求を押し通して相手より優位に立とうとしたり、自分の意見が受け入れられないと感情的になったりします。

 ビジネス場面で“権限”が伴うと、アグレッシブなコミュニケーションは、とくに高圧的で押し付けがましく見えたり、反論を許さないため相手を委縮させてしまったりします。いき過ぎるとハラスメントにつながる危険もあります。

ノンアサーティブ(受動型)

 ノンアサーティブ型は、自己主張が控えめすぎるコミュニケーションスタイルです。ドラえもんのキャラクターでいうとのび太くんです。

 ノンアサーティブ型の人は、周囲の目を気するあまり、自分の意見を押し殺してしまう傾向があり、言い訳が多い傾向もあります。ビジネス場面においては、頼りない、本心がわからないなどと、ネガティブな印象をもたれる可能性もあるでしょう。

アサーティブ

 アサーティブ型は、相手を尊重しつつも適切に自分の主張ができるコミュニケーションスタイルで、ドラえもんのキャラクターでいうとしずかちゃんです。

 その場に合った言葉や適切な表現を選びながら、相手を傷つけることなく異なる意見を持つ人とも建設的な議論が可能です。アサーティブなコミュニケーションスタイルが、私たちがスキルとして身に付けたいコミュニケーションスタイルです。

アサーティブコミュニケーションの実践に役立つDESC法

1.Describe事実を描写する
2.Explain自分の気持ちを説明する
3.Specify相手に求めるものを提案する
4.Choose相手の反応に対する行動を選択する

 アサーティブコミュニケーション実践に役立つDESC法を紹介します。DESC法は、アサーティブコミュニケーションを実践するための4ステップの英語の頭文字を取ったものです。

1.Describe(事実を描写する)

 まずDescribeでは、客観的に事実を描写します。 Describeでは、推測や自分の感情、相手への評価などを含めないことが重要です。客観的な状況や相手の言動に関する事実を伝えます。

 認識している事実が異なれば、相手と適切にコミュニケーションを取ることは難しくなります。まずは事実を共有することが大切です。

 ただし、人は100%客観的になることは不可能です。事実を伝えるときには、「こうだから」「こうなっているよね」と断言してしまうのではなく、「私にはこう見えた」「私はこう理解した」といった形で伝えることも有効です。

2.Explain(気持ちを説明する)

 Explainでは、事実に対する自分の意見や気持ちを説明します。心配した、悲しくなった、驚いたなど主観的な感情を相手に伝えます。ビジネス場面では、伝えるものは感情だけではなく、感情+意見になることも多いでしょう。

 なお、ビジネス場面で感情を出してはいけないという感覚を持っている方もいます。ただし、率直に意見交換をするためには意見や捉え方の裏側にある感情を冷静に伝えることも大切でしょう。

 なお、感情を伝える際に、感情的になったり、攻撃的になったりせずに、落ち着いて率直さと誠実さをもって伝えることが重要です。また意見を伝える際には、前述したとおり自分を主語にして、「私はこう思う」「私はこういうやり方もあると思う」といった形で伝えましょう。

3.Specify(求めるものを提案する)

 Specifyでは、相手に求める行動を依頼したり、解決策を提案したりします。相手を責めたり命令したりするのではなく、提案や依頼という形で、具体的かつ現実的な内容をわかりやすく丁寧に伝えるのがポイントです。

4.Choose(相手の反応に対する行動を選択する)

 コミュニケーションにおいては、自分の考えや意見に対する反応が返ってきます。アサーティブコミュニケーションにおける最後のステップは、相手の反応に対する自分の行動を選択することです。

 提案は必ずしも受け入れられるわけではありません。相手の反応が「Yes」なのか「No」なのか、反応に合わせて自分の行動を選択しましょう。相手の答えに応じて柔軟な対応をとること、そして、“自分の言動の責任は自分にある”という意識を持って、反応を選択しましょう。

DESC法によるアサーティブコミュニケーションの具体例

DESC法によるアサーティブコミュニケーションの具体例

  • 後輩のミスにフィードバックする場合
  • 上司の依頼を断る場合

 上記の2ケースにおいて、DESC法を活用したアサーティブコミュニケーションの具体例を紹介しますので、ビジネス場面での具体的なやりとりをイメージしてください。事例として記載するため、若干堅い言い回しになっていますが、その点はご了承ください。

後輩のミスにフィードバックする場合

 権限や経験が下、かつ、ミスに対するフィードバックのコミュニケーションはアグレッシブになりがちです。相手を適切に指導することはもちろん大切ですが、高圧的な態度で相手を委縮させても、何の意味もありません。「後輩が作成した資料にミスがあった場合」のフィードバック、DESC法を用いてフィードバックすると以下のようになります。

Describe(描写)
 「資料の〇〇の箇所にミスがあったよ」と事実を伝えましょう。高圧的に相手を責めるのではなく、あくまで客観的な事実のみを伝えることがポイントです。

DESCの4ステップを一気に実施するのではなく、「(私は)資料の○○という箇所はミスかと思ったけど、どうかな?」と事実を確認する・合意することも有効です。相手も感情的になっているような場合、また丁寧に進行したほうがよい場合は、ここで「相手から見た事実」を確認することもおススメです。

Explain(説明)
 「ミスがあるとクライアントの信用を損なう可能性があるから心配だ」「確認の手間が増えて困る」と自身の意見や感じていることを、冷静に伝えます。説明する際に感情的になると、相手を委縮させたり、逆に怒らせたりすることにつながります。感情的にならず、冷静に伝えましょう。

Specify(提案)
 「次回から、早い段階で一次確認したい」「不明瞭な箇所があればすぐに質問してほしい」と再発防止のための解決策を提案します。フィードバック等であれば、相手に解決策を考えてもらうこともひとつのやり方です。

Choose(選択)
 相手に納得してもらえたら、実際に何をするのかを相手に復唱してもらう、相手への期待を伝えるなどして終わります。納得してもらえないようであれば、他に有効な解決策はないのかヒアリングをして探ったり、代替案を提案したりしましょう。

 なお、相手が納得しない場合、解決策の内容ではなく、そもそもの事実の解釈がすり合っていない、自分に責任がないと思っているようなケースもあるでしょう。Specify(提案)の段階ではなく、最初のDescribe(描写)の段階に戻って、お互いにとっての事実の確認をすることも有効です。

上司の依頼を断る場合

 ビジネス場面では、上司など目上の存在に対してはノンアサーティブなコミュニケーションになることも多いでしょう。

 もちろんビジネスには役割分担や権限というものはあります。一方で、前述したようにアサーティブコミュニケーションでは、“言わなかった”という選択をしたことに対する責任も自分にあると考えます。

 全体にとって最適な選択となるように、伝えたほうが良いと思うことをしっかりと伝えることも大切な責任です。

 たとえば、“上司に新たな仕事を依頼されたが、手いっぱいで引き受けられそうにない”といった場合、ノンアサーティブに「わかりました」と受け入れるだけでは自分の能力以上の仕事を抱えてしまい、結果的にトラブルの原因にもなりかねません。DESC法を用いて、たとえば、以下のようなアサーティブな対応をすることが大切です。

Describe(描写)
 「他の仕事で手一杯の状況です」と引き受けられない事実を伝えます。

Explain(説明)
 「協力したいのですが、他の仕事もあり、納期までの提出が難しいかも知れません」「引き受けるとしたら、いついつの納期になってしまいます」と自身の状況や見解を説明します。

 ビジネス場面で否定的な意思だけを伝えると相手も感情的になりやすくなるでしょう。「引き受けるとしたら……」といった形で協力する意思はあるといった形で伝えたりすることも有効です。

Specify(提案)
 「明日以降であれば、引き受けられるのですがいかがでしょうか」「この仕事と優先順位を調整して欲しい」などの代替案を提案します。

Choose(選択)
 相手の反応に応じて、納期を延ばしてもらって引き受ける、納期を伸ばすのが難しいのであれば現状の仕事との優先順位を確認する、他のメンバーに依頼してもらうように求める、などの合意を探っていきましょう。

組織内でアサーティブコミュニケーションが浸透すると、組織のストレスレベルが軽減、また、相乗効果も発揮されやすくなります。

 アサーティブコミュニケーションを実践するためには、まずはアサーティブの4つの要素を理解することが大切です。また、普段のコミュニケーションを振り返って、自身のコミュニケーションスタイルの傾向を認知することも重要です。

 そのうえで、日常のコミュニケーションのなかで、DESC法を取リ入れていくことを意識しましょう。アサーティブコミュニケーションは理論を理解しただけですぐに身につけられるものではありません。

 しかし、意識とスキルの掛け合わせであり、トレーニングすることで確実に身に付きましょう。組織内にアサーティブなコミュニケーションスタイルが浸透すると、組織のストレスレベルが軽減しますし、意思決定の精度向上や相乗効果が発揮されやすくなるなどの効果が期待できます。

 記事で紹介したアサーティブコミュニケーションの具体例も参考にしながら、組織内の、また自分のコミュニケーションをより効果的なものにしてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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