LMSとは?主な機能や導入・運用のポイントを紹介

LMSとは?主な機能や導入・運用のポイントを紹介

eラーニングのコンテンツや学習履歴を管理する『LMS』は、最近、企業等でも導入が増えているシステムです。

 

LMSの導入目的や導入のメリット、実際に導入を開始するときの手順を解説します。LMSの種類や主なサービスも紹介します。

<目次>

近年需要が高まるLMSとは?

近年需要が高まるLMSとは?

 

オンライン学習の管理システムとして知られる『LMS』では、具体的に何ができるのでしょうか?コロナ禍で増加したオンライン研修をうまく管理する、また、リモートワーク(在宅勤務)等が増える中で通達事項等を適切に社内に共有する等を目的に、企業にも需要が高まっています。

 

本章ではLMSの概要や主な使用シーンを解説します。

 

社員教育の効率化に欠かせないLMS

LMSは、Learning Management System(学習管理システム)の略称で、e-ラーニングやオンライン研修を実施する際のプラットフォーム(基盤)となるシステムです。

 

LMSは、eラーニングで使用する動画やテキストをまとめた『ポータルサイト』のような役割を果たします。また、動画を通じたオンライン学習を軸として、『教材の配付』や『学習進度の確認』『テストやレポートの実施』などを統合して行い、オンライン学習を管理することができます。

 

個別に研修動画や教材を配付するのではなく、LMSを使って研修カリキュラム(コースを作る)にすることで学習効率がアップします。また、受講者の動向や成績を管理者が把握することで、研修運営に効率化や受講生のサポートができます。場合によっては企業内の情報共有等に活用することもできます。

 

目的と使用シーン

LMSの導入目的は、効果的かつ効率的な学習環境を整備・提供して、eラーニングの研修効果を高めることにあります。

 

主な使用シーンとしては、階層や職種等に応じた教育研修、また新たに追加された新商品や新サービスの内容、活用事例やノウハウなどの共有が挙げられます。

 

コロナ禍のなかで、企業の人材育成として主流だった対面での集合研修が実施できない中で、動画を使ったe-ラーニングが広がりました。しかし、動画を使ったe-ラーニングでは以前から以下のような課題がありました。

 

  • 単発のe-ラーニングで動画を提供するだけだと、学習の進捗状況がわからない
  • 受講者が理解できたか、伝わったかなどがわからない
  • 知識のインプットだけになりがち
  • 理解度テストやレポートなどを組み合わせて研修効果を高めたい
  • アフターフォローを強化したい
  • コンテンツ数が増えてくると、動画の管理が煩雑
  • e-mailやフォルダ、アンケートフォームなどの組み合わせで運営すると工数が煩雑

これらの課題を解決するのがLMSです。LMSを導入すれば、一つのプラットフォーム上でコンテンツの管理、学習状況の把握、レポートや理解度テスト等の実施ができます。LMSはより効果的に学べる学習環境を提供し、社員育成のマネジメントを楽にするシステムです。

LMSの基本機能

LMSの基本機能

 

LMSを使うと、動画やテキストを使ったオンライン学習を効率的にマネジメントできます。LMSの基本的な機能、出来ることを紹介します。

 

受講者の登録・検索

LMSは受講者の登録を行い、ID・パスワードを発行することで対象者が必要な教材を利用できるようになります。受講者を登録するには、、個別に手動入力を行う、必要データを登録したCSVファイルをアップロードする等の方法があります。

 

氏名・部署・役職・メールアドレス・社員番号など、研修の実施や管理に必要な情報をLMSに登録しましょう。必要な項目を登録しておくことで、「○○部門」と言った形で検索して、受講者に研修プログラムを割り当てたり、履歴を確認したりすることができます。

 

学習状況の確認と分析

LMS上では、個別の学習状況を確認できます。誰がどの教材を利用してどの動画まで閲覧が終わっているか、実施したテストの成績はどのくらいなのか等をチェック可能です。

 

動画サイト等では、管理できない学習進捗を個別確認する手間が省けます。進捗を管理することで、講義を受けていない社員がいるときに該当者へ学習を促すこともできます。

 

また、進捗や履歴を把握できれば、再教育の必要性やコンテンツ追加の判断もしやすいでしょう。理解が足りていない分野が偏っているときは再度全体研修を行うなど、LMSの活用により状況に応じた改善策も取り入れられます。

 

確認テストの実施

講義や研修を行った後、『確認テスト』の実施も可能です。重要なポイントを小テスト形式で出題して受講者に答えてもらうようなイメージです。実際に研修内容を理解しているか、テストやレポートで合否や理解度を確認できます。

 

上記のようにLMSの教材には繰り返し閲覧・受講できるものだけでなく、テストやレポートのように1回きりで利用するものもあります。必要に応じてテストやレポートを利用して、対象者の理解度を揃えましょう。

 

なお、テストで不合格の場合は再受講を促すような機能がある場合もあり、動画や講義内容を閲覧して終わるよりも圧倒的に効果的です。

 

アンケート、レポート提出

LMSを活用すると研修の成果や次回に生かしたいポイントなど、オンライン上でのアンケート実施やレポート提出もできます。アンケート回収やデータを入力して整理する手間が省け、すぐに社員の声を確認できる点もLMSの特徴です。

 

サービスによっては、回答が必要なアンケートをショートカット表示して目立たせるなど回答漏れを防ぐ効果もあります。回答が遅れている受講者向けに、リマインドメールを設定することもできるでしょう。

教材、コンテンツの管理

教材、コンテンツの管理

 

LMSを使うと、教材やコンテンツを管理できます。追加や更新・分類が可能です。とくに自社コンテンツを追加できるタイプのLMSでは、自社の社員教育に合ったコンテンツを提供できます。

 

教材の追加、更新

詳細は後述しますが、LMSと呼ばれているサービスの中には、サービス運営側が提供しているコンテンツだけが使えるタイプと自社で用意した動画やコンテンツの登録が可能なタイプがあります。

 

自社で教材を追加すると、他にはないオリジナルの研修やテスト、自社の実態や商材・サービスに即したプログラムを実施できるでしょう。LMSを活用して研修を実施した後は、結果の検証も重要です。

 

社員教育に効果があったのかを営業成績や業務効率化等で確認して、必要あればプログラムを更新しましょう。

 

教材を分類・体系化する

eラーニングの動画や教材だけでは、誰がどの教材を使用して学習を進めればよいのか判断が難しくなります。しかし、LMSでは教材の分類と体系化、また割り当て等が可能です。

 

例えば、複数本の動画を1つの『コース』として設定して、特定の受講者に割り当てることが可能です。こうすることで、管理者が意図した順序や対象に必要な研修を進めることもできます。受講者の理解度を深めるためにも役立つでしょう。

 

新入社員向け、中途採用者向け、営業職向け、○○の商材を理解するためのプログラムなど、対象に応じて研修を整備していくといいでしょう。

 

研修以外のコンテンツを共有する

LMSを使うと、一般的な「研修」以外にも、例えば以下のようにコンテンツを管理、共有することが可能です。

 

  • 新商品の説明動画や活用事例などを登録する
  • 商談のロールプレイング動画などを登録する
  • オンライン会議の動画を登録して欠席者に見てもらう

各自の業務のタイミングにあわせて都合のよいときに見てもらうこと、またLMSのコンテンツにすることで繰り返し内容を使うことが出来ます。

LMS導入のメリット

LMS導入のメリット

 

LMSを導入すると、どのようなメリットがあるでしょうか? 学習の効率化や、コストカットの実現も期待できます。具体的なメリットや主なケースを紹介します。

 

一人ひとりに合った学習プログラムの提供

LMSには、『成績管理システム』や『学習状況の確認システム』が搭載されていますので、誰がどこでつまずいているのか、把握できます。部署毎または個人の苦手な分野を分析して適切な指導ができるでしょう。

 

LMS内部に、動画やテキストなどのコンテンツを登録していくようにすることで、LMS内に自社のノウハウがどんどん溜まっていきます。新人へのオンボーディング、中途採用や異動による配属者向けの資料、商材に関するノウハウや資料など、繰り返し使えるようになります。

 

個々のレベルや状況に応じてピックアップするコンテンツを変えるだけで、受講者に必要とされるプログラムを提供できるようになるでしょう。

 

運用工数の圧縮、excel管理からの解放

研修や講義に、何かと手間がかかります。とくに集合研修であれば一括で管理もしやすいですが、eラーニングの場合、コンテンツ数が多くなりますし、進捗も個々に追跡していく必要があります。

 

研修管理を実施していこうと思うと

・誰がいつ何を受講したか?という履歴
・評価や成績のデータ
・アンケートや提出されたレポート
・動画等の進捗状況
・上記を追いかけていくためのメール等のコミュニケーション

等を管理することが必要です。

 

しかし、LMSであれば、成績や学習進度はLMS内にデータとして保存され、一括で管理できます。対象人数が増えるほど、LMSによる効率化メリットは大きいでしょう。

 

受講者のモチベーション維持

LMSの導入は受講者のモチベーション維持にも役立ちます。eラーニングは自分の都合が良い場所やタイミングで自由に学べることがメリットである一方で、どうしても孤独になりがちです。

 

LMSを活用すると受講者同士、または受講者と管理者のコミュニケーションを創出可能です。また、対象者の進捗状況を見える化したり、進捗が思わしくないメンバーに対して管理者からフォローしたりすることも可能です。

 

また、単に動画を見るのではなく、テストやクイズ、レポート提出などの区切りを付けたりすることもモチベーション維持に役立ちます。

LMSの種類

LMSの種類

 

LMSは大きく分けて3種類の提供形式に分類することができます。この章では、三つの提供形式と具体例を簡単に紹介します。

 

LMSのプラットフォームだけが提供されるサービス

まず紹介するのは、LMSのプラットフォーム単体で提供されるものです。これが、一番「システム」というイメージに近いでしょう。

 

プラットフォーム単体で提供されるタイプのLMSは、研修プログラムなどのコンテンツは提供されない代わりに、プラットフォームとしての使いやすさに機能を集中させています。自社でコンテンツを作ったり、運営したりすることを前提にして、チャット機能や掲示板、プログラム設計や動画作成などの機能を持っているものもあります。

 

『自社で色々と工夫して、効果性の高い研修プログラムを作りこみたい!』という企業に向いているタイプで、代表的なサービスとしては「UMU」があります。

 

LMS機能+コンテンツが提供されるサービス

LMSには、コンテンツとプラットフォームが一体化して提供されるものもあります。つまり、「LMSが組み込まれたe-ラーニングサービスを購入する」というイメージです。

 

研修コンテンツは、たとえば、集合研修やセミナーを動画として撮影したコンテンツ、項目別のスキルアップ研修のコンテンツまでさまざまです。「使い放題」で提供されるものもあれば、研修会社が「若手の営業研修」といった特化したテーマで提供しているものもあります。

 

前者の代表的なサービスは「Schoo」です。Schooと契約すると、利用者はさまざまなコンテンツを自由に受講できるようになることに加え、過去の学習状況を管理することもできます。

 

法人プランでは、法人内の社員にアカウントを発行して、管理者は各アカウントの利用状況や受講状況などを確認することができます。このタイプのLMSは、LMSというよりは、「e-ラーニングサービス」であり、自社で作成した学習コンテンツを公開することはできません。

 

LMS機能+コンテンツ提供+オリジナルコンテンツを登録できるサービス

さらに機能を拡張したい場合は、既存のコンテンツとオリジナルコンテンツの両方が備わったタイプも利用できます。2つめの「e-ラーニングサービス」に加えて、自社オリジナルのコンテンツも社員向けに提供できる、自社オリジナルで研修プログラムを設計できるといったものです。

 

「使い放題」型のタイプと比べると、コンテンツ数は少なくなることが多いですが、知識インプット型のコンテンツは既存コンテンツを使う、営業研修や社内共有などはオリジナルでコンテンツを登録する、既存の営業研修プログラムを使いながら不足する部分だけオリジナルで準備して1つの研修コースにするといった、柔軟な使い方が可能です。代表的なサービスは「AirCourse:エアコース」です。

LMSを導入するには

LMSを導入するには

 

LMSの導入前に、計画や製品の検討が必要です。使いやすく、自社の課題を改善できるツールを探してみましょう。使用感を確かめた後は、実際の導入と運用に移ります。

 

計画

LMS導入を検討するに際して、社内で導入目的や対象者等をきちんと計画しましょう。何のために導入するのか、LMSに何を求めるのかによって、必要な機能が変わります。

 

また、LMS導入後の使い方も検討しておきましょう。『新入社員向けの研修に利用する』『そのつど業務に必要な情報や知識を伝える場として使う』など、受講の対象者規模によっても適した料金形態、サービスが変わってくるでしょう。

 

製品を選ぶ

具体的に求める機能や使い道を決定した後は、LMSのサービスを比較して製品を選びましょう。
一度運用を軌道に乗せると、導入後のサービス切り替えは手間がかかります。正式導入の決定前に、デモアカウント等を使って、使い心地や目的に合った使い方ができるか確認しておきましょう。

 

前述の通り、LMSは『プラットフォーム機能のみ』『コンテンツ機能が付帯』『オリジナルコンテンツの登録が可能』など、製品によって形態が異なります。シンプルな管理機能を求めるならプラットフォームのみのタイプ、サービス側が提供する教材を活用したいならコンテンツが付帯しているタイプを選びましょう。

 

自社が作成したオリジナルコンテンツを登録したい場合には、登録が可能なサービスを選びます。

 

導入、運用を始める

LMSを導入したら、『初期設定』が必要となります。コンテンツと受講者の登録のほか、運用管理の方法や担当者を決める作業も必要となるでしょう。LMSの管理者が何をできるのか、各担当者の権限設定も行います。

 

導入時には受講者の情報登録やコンテンツ作成・登録で時間を取られますが、一度基盤を作った後は更新・改善が基本となり効率化が進むでしょう。運用開始時は登録作業や運営に人手が割けるよう、準備をしておくとスムーズです。

 

また、いきなり全社・全研修に展開するのではなく、はじめは対象やカテゴリを絞って導入していくこともひとつのやり方です。

ラーニングプラットフォームの例

ラーニングプラットフォームの例

 

最後に、代表的なLMSを4種類紹介します。LMSの機能や特徴を比較しながらチェックしてみてください。「機能が豊富なほうが良いサービス」というわけではありません。自社でどのような使い方をするのかイメージしながら、どのような機能が必要かを検討しましょう。

 

UMU

UMUはプラットフォーム単体で提供されるタイプのLMSです。非常に多機能であり、動画配信だけでなく、Zoomなどと組み合わせて、ウェビナーや双方向型のオンライン研修などと組み合わせてコースを作ることが可能です。

 

マイクロラーニングやAIによる学習サポート、PPTを使った動画コンテンツの作成機能などもあり、効果的なe-ラーニングやオンライン研修を実施するための仕組みが整っています。

 

UMUをプラットフォームとして利用して、自社の研修プログラムを提供している教育研修会社もいくつかあります。

 

AirCourse:エアコース

株式会社KIYOラーニングのAirCourseは、豊富な動画研修コンテンツが使えて、自社独自の動画研修プログラムも作成できるハイブリッド型のLMSです。

 

コース内でウェビナーや双方向型の研修などと組み合わせることは難しいですが、その分、受講者側のマルチデバイスに対応しているほか、管理者側の操作性もシンプルで使い勝手の良さが人気です。

 

Generalist®/LM

東芝が運営するGeneralistは定額制の料金プラン体系で運営されています。もともと東芝がグループ10万人へのe-ラーニング提供をすることを念頭に開発されたシステムであり、大規模利用に対応できます。

 

個別開発、SaaS、ASPまで、三つの契約形態があり、LMSのタイプとしては、既存コンテンツとオリジナルコンテンツの両方を利用することが可能です。

 

Coursebase

Coursebaseは、企業研修に特化したLMSです。プラットフォームとして提供され、アンケート調査やコースビルダー機能、コースライブラリなど、複雑な操作もなく、直感的に使えるUIで研修プログラムを設計することができます。

 

LMSのシステム単体で提供されるサービスですが、「コンテンツ・マーケットプレイス」というオプションサービスを持ち、外部のパートナー企業(研修会社)が作成した研修プログラムを、システム上で個別に追加購入することが可能です。

まとめ

LMSを導入することにより、従来のe-ラーニングでは困難だった受講状況の管理や受講者のモチベーション維持ができるようになります。
また、オンライン研修やウェビナーとの組み合わせで、研修の効果性を上げるうえでも大きな効果を発揮します。

 

LMSの種類によって、できることも異なります。紹介したLMS導入のメリットや特徴を踏まえ、自社に最適なLMSを導入しましょう。

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 執行役員|上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 副董事長

知見寺 直樹

東北大学を卒業後、大手コンサルティング会社へ入社。その後、株式会社エフアンドエム副本部長、チャレンジャー・グレイ・クリスマス常務取締役等を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海法人(上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 )の立ち上げ等を経て、現在はHumanResourceおよび事業開発を担当する。

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