ONA(組織ネットワーク分析)とは?概要と期待できる5つの効果を紹介

更新:2023/07/28

作成:2022/08/22

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

ONA(組織ネットワーク分析)とは?概要と期待できる5つの効果を紹介

組織マネジメントの分析手法として、近年注目されているのがONA(組織ネットワーク分析)です。ONAは、HRtechを用いてメンバー同士のコミュニケーションと組織内の人的なネットワークを分析する手法です。

 

記事ではONAの概略と期待できる効果を紹介します。

<目次>

ONA(組織ネットワーク分析)とは?

ONA(組織ネットワーク分析)とは?

 

ONAとはOrganization Network Analysisの頭文字を取ったもので、日本語では”組織のネットワーク分析”と呼ばれる手法です。具体的には組織内のコミュニケーションやメンバー同士の関係性・ネットワークを分析する方法と理論を指します。

 

今まで、組織内の関係性やコミュニケーションを調べるには、アンケートや聞き取り、サーベイ、面談などを行なうしかありませんでした。従来の取り組みは手間や工数もかかり、すべての情報を網羅することも出来ませんでした。

 

しかし、仕事のIT化が進み、メンバー同士のコミュニケーション状況をデータ等で収集できるようになった結果、組織のネットワークをAIやツールなどで分析できるようになりました。これがONAです。

 

ONAでは、たとえば、メールやチャットなどのコミュニケーションをAIやツールで分析します。メッセージの送受信だけでなく、スタンプなどのリアクション、また、カレンダーを使った会議やmtg状況なども分析対象になります。

 

ONAの実証実験は、こうした組織内のコミュニケーション状況を分析することでハイパフォーマーの発掘や離職の予測に役立つことが示唆されています。また、組織内のネットワーク分析を通じて、イノベーションの創出や隠れたキーマンの発掘などのヒントも得られます。

ONAを行なうメリット

ここでは、組織にONAを導入することで実現することを5つ紹介します。

  • 離職の兆候を予測できる
  • 適切な人材の発掘・配置ができる
  • エンゲージメントサーベイを代替できる
  • 組織内のコミュニケーション構造を把握できる
  • さまざまな分析に役立てられる

 

離職の兆候を予測できる

まず、ONAは離職の兆候を予測することが期待されています。実証実験では、メンバーのコミュニケーションパターンの変化を察知して、離職のリスクをかなりの精度で予測できたとされているのです。

 

具体的には「離職を考えているメンバーは社内でのネットワークが縮小し、深くなる(特定の人とだけよくコミュニケーションをとるようになる)」という変化があったと報告されています。ONAを活用すると、このようなコミュニケーションの変化が明らかになり、離職の兆候を突き止めて解決につなげられる可能性があるわけです。

 

組織では、メンバーの離職が他メンバーの士気を損ね、退職が続いてしまうこともあります。例えば、誰かに社内に不満があって退職した場合、共感したり似たような不満を共有したりしているメンバーがいると、連鎖的に退職者が続出するというケースは珍しくありません。

 

この場合もONAでデータを分析することで、「離職した人物とコミュニケーションが多いメンバーが誰か」「士気の低下が生じているメンバーがいるか」等を察知できます。このようにONAは離職の防止だけでなく、離職に伴う士気低下などの波及効果も分析できます。

 

適切な人材の発掘・配置ができる

ONAは組織の成長戦略に合った人員の配置や人材の発掘にも役立てられる可能性があります。これは、組織内の “弱いつながり” や “強いつながり” を可視化することができるからです。

 

ベストセラーにもなった入山章栄『世界標準の経営理論』(ダイヤモンド社)では、弱いつながりがイノベーションを引き起こし、強いつながりがイノベーションを実践に落とし込むとされています。

 

冒頭でも述べたように、ONAは組織内の関係性やコミュニケーションをAI・ツールによって可視化するものです。つまり「誰がどのメンバーとどのようなつながりを持っているのか」がわかるようになります。このような分析によって弱いつながり・強いつながりを可視化できれば、イノベーション創出の施策などにもつなげやすくなります。

 

エンゲージメントサーベイを代替できる

エンゲージメントサーベイは、定期的なパルスサーベイによって、メンバーのエンゲージメント状況を定量化して、現状を把握するための調査です。ONAを取り入れることで、エンゲージメントサーベイを代替できる可能性があるのです。

 

エンゲージメントサーベイはどうしても「本人の回答」をベースに定量化や分析が行われるため、回答の信ぴょう性などに限界があります。しかし、ONAは「行動データ」を分析しますので、高い信ぴょう性があります。

 

社員間のコミュニケーション傾向はエンゲージメント状況と密接な関係がありますので、コミュニケーションを分析することで、定期的なパルスサーベイ等を実施しなくても、エンゲージメント状況をより高精度の把握できることが期待されます。

 

組織内のコミュニケーション構造を把握できる

ONAを利用することで、組織やプロジェクト内のコミュニケーション構造を可視化できます。これによって、組織の課題を見つけることができます。

 

たとえば、リモート環境・テレワークは業務の効率化につながる一方で、メンバーのタスクをマネジメントしにくいというデメリットがあり、場合によっては特定のメンバーに負荷が集中することになりかねません。

 

また、マイクロソフトによる分析結果などでは、テレワーク下ではコミュニケーションのタコツボ化が起こりやすいといった課題もあげられています。

 

ONAを導入して、組織内のコミュニケーション状況を可視化することで、上記のような過負荷状況の社員をピックアップしたり、コミュニケーションのタコツボ化状況を把握したりすることができます。

 

さまざまな分析に役立てられる

ONAには、他にもさまざまな分析に役立つ効果が期待できます。例えば、組織ネットワーク内の”キーマン”を把握できます。ONAを導入してコミュニケーションを可視化することで、誰がプロジェクト(コミュニケーション)の中心を担っているかを定量的に表すことができます。

 

また、組織全体を分析すれば、組織が階層的かフラットかなどの状況も分析できます。このようにONAはメンバー間のコミュニケーションだけじゃなく、組織の構造課題を見つけることにも役立ちます。

ONAの一般的な流れ

ONAの一般的な流れ

 

本章ではONAを実施す流れを紹介します。ONAはおもに3つの段階にわかれています。

  • 1.データを取得する
  • 2.データの定量化・分析を行う
  • 3.分析結果を可視化する

 

1.データを取得する

まずは分析するためのデータを取得します。例えばGsuiteやSlack、Zoomといったコミュニケーションツールからデータを抜き出し、ONAのソフトウェアにインポートします。

 

2.データの定量化・分析を行う

次に、収集したデータを分析します。上述したような個々のコミュニケーション量やメンバーの関係性などを定量化・分析します。

 

ONAを実施するソフトウェアとしては、マイクロソフトのWorkplace Analyticsなどが代表的です。Workplace Analyticsは今まで説明してきたとおり組織内のコミュニケーション状況を分析したり、組織内のネットワークを可視化したりすることができます。

 

3.分析結果を可視化する

最後に分析した結果を可視化して、施策立案に役立てます。ONAの分析結果は、たとえば、組織内のネットワークをメンバー間の距離、つなぐ線の太さなどで可視化することができます。

 

そして、前述したとおりネットワークの規模が減っているメンバーに対しては退職を防止するよう働きかけたり、過負荷状態にあるメンバーをサポートしたりと、さまざまな施策を検討していきます。

組織内のコミュニケーションを可視化するONA

Organization Network Analysisの頭文字を取ってONA、”組織のネットワーク分析”と呼ばれるHRtechの手法は組織内のコミュニケーションやネットワークを分析・可視化するものです。

 

組織内のコミュニケーションがオンライン化し、また、ITやAIの発達に伴って、これまでは手間暇をかけて定性的な調査やサーベイをやらないと分析できなかった組織内のコミュニケーション状況が、容易に分析できるようになってきました。

 

ONAを用いて組織内のコミュニケーション状況を分析すると、離職兆候の予測やエンゲージメントサーベイの代替、また組織内の課題や負荷状況の把握などに役立ちます。まだ実証実験段階の手法ではありますが、テレワークの普及等を考えると、今後に向けてアンテナを貼っておく価値があるHRtechのひとつだと言えるでしょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック執行役員

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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