企業文化は、事業内容や商品・サービスの競争優位性、社内の組織構成や各種規則と比べると見えづらいものです。事業内容や組織構成が地面に生える木の土から上、「幹」や「枝葉」の部分だとすれば、企業文化は「根」にあたる部分であるとも表現できるでしょう。
良い企業文化は、表面的には目に見えるものではありません。しかし、日常の意思決定や行動規範であるからこそ、木の成長を支え、地面の下から水分や栄養を送り込む役割を担います。
逆に、悪しき企業文化は、地面の下で根が腐っている状態です。悪しき企業文化がある組織で優れた事業戦略を作り、商品・サービスの販売施策を実行しようとしても、根から十分な水分や栄養が送り込まれない状態では、いつか木は枯れてしまうことでしょう。
優れた企業文化の確立・浸透は、企業に以下のような効果ももたらします。
組織開発
優れた企業文化は、メンバーの思考を良い方向に刺激し、主体性を引き出し、挑戦を促進します。企業文化の浸透によって社員の主体性が高まると、人と人との相互作用や関係性の向上によって組織力は向上し、組織も活性化します。
現在のビジネス環境は、過去のように「規模の経済」や「効率化」を追っていれば良いわけではなく、目まぐるしく動く外部環境や市場への変化対応が求められます。そのため、良い企業文化の確立・浸透は従来以上に重要なものとなります。
エンゲージメント強化
企業文化の確立・浸透ができている組織は、「組織が目指す在り方」や「メンバーに求められること」が明確です。
ミッションやビジョン、バリューに共鳴して入社した人にとって、掲げたミッション・ビジョン・バリューを実際に実現しようとしている組織は、働きがい(働きやすさ+仕事のやりがい)が高まる環境です。
働きがいのある職場は、メンバーと仕事、メンバーと組織のエンゲージメントを高め、定着率や生産性を向上させるでしょう。
人材獲得
メンバーのエンゲージメントは、リファラル採用や採用選考を通じた優秀人材の獲得につながります。
組織に継続的に貢献する優秀人材の採用には、成果をあげるためのスキルだけでなく、自社とのカルチャーフィットが重要です。カルチャーフィットとは、企業文化と個人の価値観が合うかどうかということになります。
スキルは、入社後の教育や経験で向上させることも可能ですが、個人の価値観を変えることは非常に困難です。したがって、カルチャーフィットは、採用の視点として不可欠なものになります。
企業文化が明確になると、メンバーが自社のカルチャーを自覚しますし、外部から見ても固有のカルチャーを認識しやすくなります。したがって、選考側・応募側の双方でカルチャーフィットの視点を意識することが可能になります。
マネジメントの容易さ
優れた企業文化は行動規範であり、意思決定基準です。メンバーの基準を高め、セルフマネジメントを促進するものでもあります。また、企業文化は共通言語となり、意思決定基準の共有、メンバーの指導、フィードバックなどを非常に行ないやすくします。
したがって、優れた企業文化の確立・浸透ができると、組織のマネジメントは容易になります。
組織スピードの向上
企業文化が確立・浸透すると、高い基準によるセルフマネジメントが促進されます。また、共通言語の浸透は、組織のスピードや連携も向上させます。
外部環境の変化が著しい状況で、組織の意思決定や実行スピード、組織内の連携は大きな競争力となり、業績や組織の成長につながります。
企業イメージの向上
目指す企業文化を自社サイトなどで公開し、実践していくと、顧客からの企業イメージ向上につながります。
ただし、企業文化を掲げているだけの状態で、行動規範などと反する行為が行なわれていた場合、逆に企業イメージを損ねることもあるでしょう。企業文化は掲げるだけでなく、浸透させてこそ価値につながります。
競争優位性の向上
どのような業種にあっても、商品・サービスの開発や改善、販売や提供にはメンバーが関わります。良い企業文化の確立や浸透は、メンバーの判断基準、実行力、連携を良い意味でそろえます。
そして、優れた商品開発、ユーザー目線での改善やイノベーション、心配りやスピード感のある提供につながり、競争優位性を向上させるでしょう。