パルスサーベイとは?|導入組織が増える背景と活用の効果、主要サービスを紹介

更新:2023/07/28

作成:2023/04/17

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

パルスサーベイとは?|導入組織が増える背景と活用の効果、主要サービスを紹介

「パルスサーベイ」とは、従業員に簡単な質問を回答してもらい、従業員のモチベーションや組織の状態を定期的に調査する手法を指します。

 

「パルス」は脈動や鼓動、「サーベイ」は調査を意味し、医療領域でいう“心電図”のように組織や従業員の健康状態をモニタリングするという意味でパルスサーベイと名づけられています。

 

パルスサーベイを実施することで従業員の異変に気づけるだけでなく、人事評価やマネジメントにも役立ちます。記事では、パルスサーベイの概要と実施時に得られる効果について解説します。

 

主要なパルスサーベイサービスも紹介しているので、パルスサーベイに興味のある方はご一読ください。

<目次>

パルスサーベイとは?

パルスサーベイとは、従業員に簡単な質問を回答してもらうことで、従業員の意識や組織の状態を定期的に調査する手法のことです。

 

「パルス」は脈動や鼓動、「サーベイ」は調査を意味し、医療領域でいう“心電図”のように組織や従業員の健康状態をモニタリングするという意味で名づけられています。

 

パルスサーベイは週1回~月に1回程度の頻度で実施し、従業員への質問内容はモチベーションや人間関係、体調といったものです。

 

従業員のエンゲージメントやモチベーションなどの状態を把握し、異常が見つかった際には早期に手を打てるようにすることが目的です。

パルスサーベイを実施するメリット3つ

パルスサーベイを実施することで、以下のメリットがあります。

  • 1.個人と組織の状態をタイムリーに把握できる
  • 2.エンゲージメントの向上につなげられる
  • 3.運用の手間が少ない

ひとつずつ見ていきましょう。

1.個人と組織の状態をタイムリーに把握できる

パルスサーベイは比較的短いスパンで実施するため、個人と組織の状態をタイムリーに把握できます。

 

エンゲージメントや組織調査には、パルスサーベイ以外にもさまざまな手法がありますが、多くの場合は半年~1年に1回程度の実施頻度となります。

 

パルスサーベイでは1週間~1ヶ月に1回程度になるため、変化が見えた時点、問題がまだ小さい段階での対応が可能になります。

2.エンゲージメント向上につなげられる

個人に対するケアや組織単位での改善を行っていくことで、従業員のエンゲージメントの向上が期待できます。エンゲージメント向上は、結果的に生産性の向上につながります。

 

エンゲージメント向上を実現するために大切なのは、パルスサーベイの中で見えてきた異常を捉えて、適切に対応することです。

3.運用の手間が少ない

後述しますが、パルスサーベイは専用サービスがいくつもあり、運用にかかる手間は少ないので、担当者は負担なく進められます。

 

実施頻度が週1回程度と聞くと「手間が多そう」と思われる方もいるでしょう。

 

しかし、最近のパルスサーベイツールはクラウドサービスとして提供されており、配信~調査結果の集計・分析まで自動で実施できるようになっているので、担当者の負担は少なく実施できます。

パルスサーベイと従業員満足度調査、組織診断の違い

パルスサーベイと同じように、組織単位で従業員に調査を行う調査方法には「従業員満足度調査」や「組織診断」があります。パルスサーベイとの違いを、簡単に表にまとめると以下のようになります。

パルスサーベイ従業員満足度調査/組織診断
調査頻度1週間~1ヶ月に1回半年~1年に1回
質問項目3~5問数十問
匿名性システム上で特定可能匿名での実施が多い

従業員満足度調査や組織診断は、匿名で実施し、かつ詳細な質問をすることで、さまざまな項目に関して従業員の本音を捉えられます。

 

集計結果は部門別や年代別などで分析することで、組織改善に向けた検討も可能です。

 

一方で、設問数が多く、従業員にとっては回答する手間がかかりますし、億劫に感じ、担当者にとっては運用する負荷が大きくなってしまいます。

 

従って、利用頻度も自然と少なくなります。(パルスサーベイと比べると、短期間で変化しにくい項目を質問している側面もあります)

 

一方のパルスサーベイは1回当たりの質問数が3~5問程度であり、負担は非常に少ないものです。

 

また、パルスサーベイはシステム上で回答者を特定できることから、個人へのケアも可能であることも特徴です。

 

パルスサーベイと組織診断・従業員満足度調査は、「どちらが優れている」という類のものではなく、組織全体の問題を精度高く捉えるなら従業員満足度調査や組織診断、個人へのケアを実施したい場合はパルスサーベイといった形で、目的に応じて使い分ける、組み合わせるものになります。

パルスサーベイを導入する手順と基本ステップ

パルスサーベイを導入するまでの手順は、以下の6ステップです。

  • 1.ツールの情報を収集・比較検討する
  • 2.実施目的・ゴールを明確にする
  • 3.ツールを選定する
  • 4.質問内容を決めて調査を開始する
  • 5.調査結果を集計する
  • 6.効果検証する

ひとつずつ解説します。

1.ツールの情報を収集・比較検討する

パルスサーベイを実施する際は、ツールを使うことが多いでしょう。そのため、まずツールの比較・検討をしてみると良いでしょう。

 

現在、多くのパルスサーベイツールは単独またはタレントマネジメントツールなどとセットで、クラウドサービスとして運用されています。

 

タレントマネジメントツールとは、従業員のスキルや能力などの情報を一元的に管理および共有が可能なツールのことです。

 

サービスによって特徴や機能、コストが異なるので、何種類か資料を取り寄せて、価格の相場観や機能の違いなどを見てみるとよいでしょう。

2.実施目的・ゴールを明確にする

最適なツールを選ぶためには、パルスサーベイを導入する目的やゴールを明確にすることが必要です。

 

パルスサーベイを実施する目的やゴールによって、ツールはもちろん、従業員へ質問する内容も変わってきます。

 

本来はツール情報の収集を始める前に目的・ゴールを設定したほうが良いですが、実際の検討フェーズでは「組織規模が大きくなったので従業員の状態を確認して早期にケアできるようにしたい」と、抽象度の高い状態から導入検討が始まることもあります。

 

パルスサーベイの主要サービスはそんなに数が多いわけではありませんので、ツールの情報収集をして、金額の相場や機能の違いなどを知ったうえで、目的やゴールを言語化してもよいでしょう。

3.ツールを選定する

設定した目的・ゴールを達成するために、最適なツールを導入しましょう。ツールを導入する時点で、効果検証のタイミングやゴールも検討しておくとよいでしょう。

 

クラウドサービスは初期費用や月額は安いですが、全従業員の1年分となると、それなりの費用になってきます。

 

また、年間契約になっていることが多いので、次年度に継続するかを検討するタイミングを決めておくことが大切です。

4.質問内容を決めて調査を開始する

ツール選定が決まれば、いよいよ導入して対象となる従業員に実施していくことになります。

 

多くのパルスサーベイツールはツール毎で設定されている基本質問に加えて、自社独自の質問を加えられます。そのため、目的やゴールに応じて、独自の質問を追加してもよいでしょう。

 

ただし、追加質問数が多いと従業員の負担が大きくなり、回答率が下がる恐れがあります。

 

まずはツールで設定されているデフォルト状態から始め、必要に応じて質問を追加していくことがおすすめです。

5.調査結果を集計する

回答が集まったら集計し、分析や対応を行います。

 

多くのパルスサーベイツールで、調査結果はツールが自動集計してくれ、個人別、部署別の一覧、個人や部署の回答結果の推移などを見ることが出来ます。

 

また、ツールによってはCSVファイルへエクスポートできるので、必要に応じて活用してみてください。

 

調査結果に基づいて見えた課題の改善に努めたり、引き続き調査を継続したりして、より働きやすい職場環境を目指しましょう。

6.効果検証する

パルスサーベイツールによって職場環境がよくなったかどうかの効果検証も、忘れてはいけない工程です。

 

前述の通り、多くのパルスサーベイツールは1年契約で、従業員数に応じて利用料が発生します。そのため、契約期間が満了を迎える前に継続するか否かを決断する必要があります。

パルスサーベイの結果を活用する方法4選

パルスサーベイの調査結果を活用する方法は、4つあります。

1.モチベーションや体調などへのケア

パルスサーベイを通じて従業員個人のモチベーションや体調について、把握できます。

 

何度か調査を積み重ねるうちに、以前までと異なる結果が出た場合には声がけや面談するなど、改善のための手を打っていきましょう。

 

モチベーションの低下などを放置してしまうと、退職という最悪な事態になりかねません。

 

モチベーションや体調に異常が見られた段階で業務量の調整やキャリア面談、異動の検討などを実施できれば離職や休職などに至ってしまう前に手を打てるでしょう。

2.従業員のメンタルヘルス・ストレスチェック

設問によっては従業員のメンタルヘルスやストレスチェックも把握が可能です。

 

うつ病をはじめとしたメンタル的な理由による休職・退職は、年々増加傾向にあります。モチベーションや体調と同じく、本人が追い込まれる前に会社でケアする体制を整えることが大切です。

 

また、人は意外と、自分の精神状態などに対して無自覚なことも多いものです。

 

研修などを組み合わせれば、パルスサーベイへの回答を通して、従業員本人が自身の状態を自覚、ケアできるようになることも期待できます。

3.評価制度などの改善材料

パルスサーベイの結果を人事評価につなげると、従業員が本音で答えなくなりますので、これはNGです。しかし、パルスサーベイの結果は人事評価制度の改善にもつながる可能性があります。

 

組織において、評価制度などに対してフィードバックや指摘を得る機会というのは意外とないものです。

 

そのため、評価制度などに不満を抱えたまま働き、エンゲージメントが低くなっている従業員がいる可能性は十分にあります。

 

そして、従業員が「自分が適切に評価されていると思っているか?」は本人に聞いてみないとわからないものです。

 

パルスサーベイなどで、評価制度などに対する不満や疑問の声を拾えば、制度改善のための材料となります。

 

評価制度に納得できる従業員が増えればモチベーション向上やエンゲージメント改善につながります。

4.新人へのフォロー

新入社員や異動してきた従業員など、新しく組織やチームへ入った人は不安や困惑を感じやすいものです。また、無意識に緊張していたり、ストレスを感じていたりすることもあります。

 

パルスサーベイでこうした新入社員や異動者の状況をウォッチしておくと、新人の不調やストレス状態、部署や新しい仕事への適応状態を確認できます。

 

適切にフォローすることで早く戦力化できるだけでなく、離職や休職も未然に防げるようになるでしょう。

パルスサーベイを実施する際に注意すべきポイント

パルスサーベイは職場環境をよくするうえで効果的な手法ですが、無闇に実施しても正確な回答を得られない恐れがあります。

 

パルスサーベイを導入する際は、以下の点を押さえておくと効果を得やすいでしょう。

調査目的を従業員に共有する

従業員に協力してもらうために、調査目的を事前に共有することが大切です。調査目的や回答結果の共有範囲を公開しておくことで、従業員も気軽に、また本音で回答しやすくなります。

 

従業員にきちんと目的や共有範囲を知らせておかないと面倒がられてしまい、適当に回答されたり、そもそも協力してくれなかったりする恐れがあります。

変化に着目する

調査結果を分析する際には、変化に着目することを意識しましょう。パルスサーベイの質問への回答傾向は、人によって異なります。

 

例えば「モチベーションは高いか?」という質問があったときに、5段階評価に対する標準値が「4」の人もいれば、「2」の人もいます。

 

このように、人によって標準が異なるので、数値による比較はあまり意味がありません。

 

結果を活かすためには数値そのものではなく「いつも4で答えている人が今回は2だった」と言うように、変化を見逃さないことが大切です。回答の変化にすぐに気づければ、小さな段階で解決できます。

調査コストに見合うかを検証する

運用が軌道にのって導入から一定期間が経過したら、パルスサーベイツールのコストが見合った効果が得られているかを検証してみてください。

 

パルスサーベイの1人当たり月額費用は小さくても、全従業員分×12か月分となるとそれなりの金額となります。投下コストに対して見合うかを、きちんと検証することが大切です。

 

コストに見合わなかった場合は調査目的を見直したうえで、プランの変更やツールの乗り換え、また解約を検討しましょう。

パルスサーベイの主要ツール

パルスサーベイの主要ツール5つを紹介しましょう。

Geppo

サービス名Geppo
公式HPhttps://www.geppo.jp/
運営会社株式会社リクルート
対象人数25人~数万人規模
利用料20,000円~/月

「Geppo」はリクルート社とサイバーエージェントグループが共同開発したパルスサーベイツールです。従業員は選び抜かれた質問3つに毎月回答するだけなので、負担なく進められます。

 

集計結果を自動で表やグラフなどにまとめ、変化を瞬時に察知できるダッシュボードを提供しています。

 

調査が行われるたびにリアルタイムでアップデートしてくれるので、些細な変化を見逃す心配をせずに済むでしょう。

 

Geppo

Wevox

サービス名Wevox
公式HPhttps://get.wevox.io/
運営会社株式会社アトラエ
対象人数3人~
利用料300円〜/名

アトラエ社が提供する「Wevox」は調査を通して、エンゲージメントの可視化および分析が可能です。

 

スマフォでの回答性などは他ツールも共通ですが、Wevoxは自動で実施できる分析の精度や種類などが豊富です。

 

Wevox

カオナビ

サービス名カオナビ
公式HPhttps://www.kaonavi.jp/
運営会社株式会社カオナビ
対象人数数千人規模にも対応
利用料要問合せ

「カオナビ」はタレントマネジメントツールとして有名ですが、オプション機能としてパルスサーベイ機能を利用できます。機能設計もシンプルなうえに、柔軟性が高いことが特徴です。

 

また、誰でも使えるように直感的に作られているので、ITシステムに疎い人であっても管理しやすいです。

 

タレントマネジメントツールと一体運用すると、管理側からするとツールが分散せずに運用しやすくなりますし、タレントマネジメントツール側に入っている情報とも紐づけて分析や運用が可能です。

 

カオナビ

タレントパレット

サービス名タレントパレット
公式HPhttps://www.talent-palette.com/
運営会社株式会社プラスアルファ・コンサルティング
対象人数非公表
利用料初期費用+月額費用
※詳細は要問合せ

「タレントパレット」もカオナビを同じタレントマネジメントツールです。タレントパレットはサポートも手厚く、活用するための勉強会や個別相談会も実施しています。

 

導入してみてわからないことがあっても気軽に相談できるので、初めてツールを活用される方でも、スムーズに利用できるでしょう。

 

タレントパレット

SmartHR

サービス名SmartHR
公式HPhttps://smarthr.jp/
運営会社株式会社SmartHR
対象人数2人~数万人規模
利用料要問合せ

「Smart HR」はさまざまな人事・労務業務に必要な機能を搭載した総合HRツールです。

 

カーナビやタレントパレットと同じように、機能の1つとしてパルスサーベイ機能である「従業員サーベイ」が搭載されています。

 

従業員サーベイでは、エンゲージメントやキャリア希望、ハラスメントの有無などを可視化できます。

 

SmartHR上に登録されている従業員情報とかけ合わせた分析ができるので、分析を深めやすいことが特徴です。

 

SmartHR

まとめ

パルスサーベイは週1回~月1回程度の短いスパンで従業員へ質問し、エンゲージメントやモチベーションを調査する手法です。

 

他の組織調査よりも調査スパンが短いので、リアルタイムに調査結果を得られ、問題や異常の早期発見が可能です。

 

主要なパルスサーベイはクラウドサービスとして提供されていますので、それぞれのツールの料金や特徴などを比較して、自社に最低なツール導入を検討していきましょう。

 

なお、パルスサーベイツールは「状況把握」は出来る一方で、対策などは社内で実施していく必要があります。

 

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著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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