『定着』より『成長』~Z世代の新しい働き方に関する調査から読み解く最新傾向

更新:2026/02/10

作成:2026/01/20

『定着』より『成長』~Z世代の新しい働き方に関する調査から読み解く最新傾向

「現在の勤務先に留まるのは後1年」と答えたZ世代が22%──。ランスタッド株式会社が実施した『Z世代の新しい働き方 ワークプレイスの青写真』調査から、Z世代の働き方やキャリア観が推察できます。同社人事本部 タレント部長の西野祐介氏に、調査結果の詳細と、企業が取るべきアプローチについて話を聞きました。

 

<目次>

「1年以内に転職」が22%

Z世代の勤続意向が示す“異例の短さ”

 

01_留まるつもりグラフ

 

今回の調査で目を引く数字が、Z世代の勤続意向です。「現在の勤務先に留まるつもりの期間」について、日本のZ世代の22%が「後1年以内」と回答。他の世代と比較して大幅に短い期間となっています。この数字が意味するものは何でしょうか。Z世代のキャリアに対する価値観をひも解いていきます。

 

定着よりも「成長」

 

02_キャリアプランの考慮

 

西野氏は「Z世代は、定着よりも成長に重きを置いています。入った会社で定着するよりも、自分が成長できる環境に身を置きたいというのが、Z世代のマインドセット」と考察します。

 

「成長」へのこだわりは、Z世代の育ってきた時代背景と深く結びついています。彼らは物心ついた頃から、終身雇用の崩壊、リーマンショック、コロナ禍といった経済や雇用の不安定を目の当たりにしてきた世代です。その中で親世代が大きなダメージを被る姿も見てきました。

 

会社に長期間尽くしても必ずしも報われない現実を見てきた彼らにとって、会社への「忠誠」よりも自分自身のスキルや経験を蓄積することが合理的な選択です。

 

変化を恐れないデジタルネイティブ世代

西野氏は、Z世代の特徴として変化を恐れない点も挙げます。「彼らは変化を恐れず、環境が合わなければ次に行くという選択ができる世代だろうと思います」

 

変化を恐れない姿勢は、デジタルネイティブとして育ってきたZ世代ならではの特性でもあります。仕事に関していえば、転職市場の動向や他社の待遇についてWebやSNSで情報収集し、「現在の職場に留まる」ことと「転職すること」の損得を常に比較検討しています。そして、今の職場で成長が見込めないと判断すれば、躊躇なく次のステップへ進む決断をします。

 

企業にとって、「1年以内に転職」が22%を占めるという数字が突きつける課題は明確です。優秀な人材を確保し続けるためには、「働きやすい環境」を提供するだけでは不十分で、従業員が「ここにいれば成長できる」と実感できる具体的な機会を、継続的に提供し続ける必要があることを示します。

 

キャリアパスの不足が離職の主要因

「昇進機会の欠如」と「キャリアパス不足」の違い

Z世代が職を離れる理由として、調査結果では「現在の役割におけるキャリアパスの不足」と「昇進機会の欠如」が上位となっています。具体的には何を指すのでしょうか。

 

実は、二つの理由は似ているようで、微妙にニュアンスが異なります。西野氏は違いを丁寧に解説してくれました。「昇進機会の欠如は、まさに昇進できないという、非常に直接的な話です。一方で、キャリアパスの不足は、少し曖昧なところもあります。

 

キャリアパスの不足というのは、今やっている仕事が将来何に繋がるのかが見えない、あるいは自分が将来こうなりたいけれども、そこに向けてどう成長したらいいか見えない等、“見通しがない”心境を指していると捉えています」

 

「キャリアパスの不足」は中長期的なキャリア形成に関わる本質的な問題です。たとえ昇進の機会はあったとしても、自分がどこに向かって進んでいるのかが見えなければ、Z世代にとってキャリア安全性が満たされているとは言えません。

 

日本型ジェネラリスト育成とのミスマッチ

「キャリアが見通しづらい」というのは、多くの日本企業が抱えてきた構造的な課題でもあります。従来の日本型雇用では、若手社員には様々な部署を経験してもらい、徐々に適性を見出していく、またマネジメント人材に育成するというプロセスが一般的でした。

 

しかし、従来のジェネラリスト育成のアプローチは、明確なキャリアビジョンを求めるZ世代には不透明に映ります。「今は営業をやっているけど、3年後に自分がどうなっているのか想像できない」「マーケティングに興味があるけど、今の仕事がマーケターとしてのキャリアに繋がっているのか分からない」こうした悩みを抱えるZ世代は少なくありません。

 

西野氏は「Z世代にとって、キャリアの見通しが立たないということは、その会社で働き続ける理由がない、とほぼイコールです。だからこそ、企業は一人ひとりのキャリアパスを可視化し、実現を支援する仕組みを整える必要があります」と指摘します。

 

企業が提供すべき3つのサポート

企業は従業員のキャリア形成に対してどのようなサポートを提供できるのでしょうか。西野氏は制度面と啓発面、両面からのアプローチを提案します。これは単なる理想論ではなく、実際に多くの企業で成果を上げている実践的な施策です。

 

キャリアビジョンの明確化

03_キャリアビジョンの明確化

 

「制度として、まずキャリアビジョンを明確にすることが重要だと思います。複線型の人事制度で『いろんなキャリアパスがある』と示すこともそうですし、あるいは、『こういう仕事があって、こういうふうにステップアップしてキャリアを積んでいけます』とキャリアパスをしっかり明示することも必要です」

 

複線型の人事制度とは、管理職を目指すだけでなく、専門職としてのキャリア、プロジェクトマネジャーとしてのキャリアなど、複数のキャリアルートを用意する仕組みです。すべての社員が管理職を目指す必要はなく、自分の強みや志向に合わせてキャリアを選択できます。

 

制度を整えるだけでは不十分です。重要なのは、制度を「見える化」することです。入社時や定期面談の際には具体的なキャリアパスの例を示し、「このポジションに到達するためには、こういうスキルが必要で、こういう経験を積む必要がある」と明示することが求められます。

 

ある企業では、社内の様々なポジションについて、必要なスキルセット、想定される業務内容、キャリアアップの道筋を詳細にまとめた「キャリアマップ」を作成し、全社員に公開しています。こうした取り組みによって、社員は自分の目指す方向を明確にイメージでき、そこに向けた具体的なアクションを起こせるようになります。

 

多様な学習機会の提供

西野氏は「業務命令で参加してもらう研修だけではなくて、“学習機会”を制度として設けておくと、『自分はここでキャリアアップできる』『成長できる』と考える一つの材料になる」と指摘します。

 

「学習機会」とは、従来型の集合研修だけを指すものではありません。オンライン学習プラットフォームの提供、外部セミナーへの参加支援、資格取得の補助、社内勉強会の開催、他部署へのジョブローテーション、社外プロジェクトへの参画など、多様な形態が考えられます。

 

特にZ世代に好まれるのは、自分の関心に合わせて、自分のペースで学べる環境です。「会社が決めた研修を受ける」というトップダウン型ではなく、「自分が学びたいことを会社がサポートしてくれる」というボトムアップ型のアプローチが効果的です。

 

例えば、一定額までの書籍購入費を会社が負担したり、業務時間の一部を学習時間として公式に認めたりする制度を設けている企業もあります。こうした施策は「この会社は自分の成長を本気で支援してくれる」というメッセージとなり、Z世代のエンゲージメント向上に寄与します。

 

1on1を「キャリア対話の場」に変える

制度整備だけでなく、日常的なコミュニケーションも重要です。「一番いいのは1on1だと思います。社内での精度や意識啓蒙という観点で、1on1できちんとキャリアの話をするということです。『今の仕事にどういう意味があるか』『将来どういうところに繋がっていくか』を上司や先輩がしっかり伝えるということです」

 

1on1は近年多くの企業で導入されていますが、実施されている質には大きなばらつきがあります。1on1は名ばかりで、単なる業務の進捗確認に終始しているケースも少なくありません。西野氏が強調するのは、1on1を「キャリア対話の場」として位置づける重要性です。

 

効果的な1on1では、以下のような対話が行われます。「今の仕事で何を学んでいるか」「3年後、5年後にどうなりたいか」「そのために今、何が足りないか」「会社としてどんなサポートができるか」──こうした問いかけを通じて、上司と部下が共にキャリアを考える時間を持つことが重要です。

 

ただし、こうした対話を実現するには、上司側のスキルアップも必要となります。キャリアコーチングの基本を学ぶ研修や、1on1の進め方に関するガイドラインの整備など、組織全体でキャリア対話の文化を醸成していく取り組みが求められます。

 

副業への関心をどう捉えるか

副業はリスクか、それとも成長機会か

 

04_副業はリスクか否か

調査では、Z世代の副業(サイドハッスル)への関心の高さも明らかになりました。企業は、従業員の副業志向にどうアプローチすべきでしょうか。

 

副業は、過去には「本業への集中力を欠く」「情報漏洩のリスクがある」として、多くの企業で禁止されていました。しかし、時代は大きく変わりました。政府が「働き方改革」の一環として副業・兼業を推進し、大企業でも副業を解禁する動きが広がっています。

 

Z世代が副業に惹かれる理由

Z世代が副業に関心を持つ理由は様々です。収入を増やしたい、新しいスキルを身につけたい、将来の起業に向けた準備をしたい、純粋に興味のある分野に挑戦したい。動機はそれぞれですが、共通しているのは「自分のキャリアを自分でコントロールしたい」という意識です。

 

副業経験を本業に

西野氏は、副業を通じた成長が本業にも好影響をもたらすと考えます。「副業をやることによって得られたスキルや経験を本業に活かしてもらうことは、Win-Winではないかと思います。企業としても従業員の副業に積極的に関わると良いのではないかと思います」

 

副業経験者からは「副業で学んだマーケティング手法を本業のプロジェクトに活用できた」「副業で培った交渉力が営業成績の向上につながった」といった声もあります。社外での経験は、視野を広げ、新しい発想をもたらす貴重な機会となり得るのです。

 

副業を認める際には、いくつかの注意点もあります。競合他社での就業や、機密情報の取り扱いに関するルールは明確にしておく必要があります。また、本業に支障が出ないように労働時間の管理や健康管理にも配慮が求められます。

 

先進的な企業では、副業を許可するだけでなく、社内で副業経験を共有する場を設けたり、副業で得たスキルを人事評価に反映させたりする取り組みも始まっています。副業を「個人の自由な活動」として放置するのではなく、「組織の成長につなげていく仕組み作り」が重要です。

 

給与への関心──日本と世界のギャップ

世界と日本で分かれる給与不満の度合い

調査では、Z世代にとって給与がキャリア選択の重要な要素であることが示されました。ただし、興味深いことに日本と世界では数値に大きなギャップがあります。

 

グローバルではZ世代の38%が給与の不満を転職理由に挙げているのに対し、日本では18%にとどまっています。日本のZ世代にとって、昇進機会の欠如と並んで給与は最大の転職理由となっていますが、世界と比較すると不満度は相対的に低い数値です。

 

インフレ率が生む意識差

世界と日本の給与への不満度のギャップは何を意味するでしょうか。日本のZ世代は給与にこだわらないのでしょうか。答えは「ノー」です。重要なのは、経済環境の違いです。

 

数字の背景について、西野氏は「2023年以降、欧米諸国では急激なインフレが進行し、生活コストが大幅に上昇しました。その結果として、給与の据え置きは実質的な収入減を意味します。一方、日本では長年デフレが続いた影響もあり、インフレ率は相対的に低く抑えられていました。

 

調査期間は日本でも物価上昇が顕著になってきた時期でもあるのですが、Z世代にとってはまだ給与に対する不満や関心が、他の国に比べると相対的に低いという結果につながっている可能性があると考えています」と述べます。

 

日本のZ世代が給与を重視する理由

日本企業が給与問題を軽視してよいわけではありません。日本のZ世代も、給与を転職理由の第一位に挙げていることは変わりません。特に給与比較などができるWebサービスを通じて、Z世代は他社の給与水準と自分の給与を比較しています。そして、同じ仕事をしていても、企業によって給与水準に大きな差があることを把握しています。

 

近年、日本でも「ジョブ型雇用」の導入が進み、職務内容に応じた給与設定が広がりつつあります。こうした動きは、透明性の高い報酬制度を求めるZ世代の志向とも合致します。「なぜこの給与なのか」「市場の相場と比べて妥当なのか」を説明できる制度設計が、今後ますます重要になるでしょう。

 

AIツールの活用で広がる可能性

Z世代にとってAIは“当たり前のツール”

 

05_AIの活用割合

 

調査では、Z世代のAIツール活用率の高さも明らかになりました。日本のZ世代の69%がAIツールを週に数回以上使用しており、他の世代と比較して圧倒的に高い数値となっています。
 

数字は、Z世代とテクノロジーの親和性の高さを如実に示しています。彼らにとって、AIツールは特別な存在ではなく、日常業務を効率化するための当たり前のツールです。

 

西野氏は「Z世代は仕事にAIツールを活用することに非常に前向きです。新しいツールや新しい技術に対して、積極的に取り入れようとしているのは、顕著な傾向です」と語ります。

 

生産性向上への高い意識

 

06_AIトレーニングについて

 

Z世代が活用しているAIツールは多岐にわたります。文章作成支援、データ分析、画像生成、コーディング支援、翻訳、スケジュール管理──様々な場面でAIを活用し、業務効率を高めています。特に注目すべきは、AIツールを「使いこなす」だけでなく、「どう使えば最大限の効果が得られるか」を試行錯誤している点です。

 

企業がAI活用を支援すべき理由

西野氏は、AIツールの活用は企業にとってもメリットをもたらすと指摘します。「AIツールを使って自分の仕事の生産性を上げよう、効率化しよう、あるいはもっと良いものを作りたい、そういったところに興味があるというですので、企業としても積極的にサポートしていくべきだと思います」

 

企業が、Z世代のAI活用を支援する方法は様々です。有償AIツールへのアクセスを提供する、活用事例を社内で共有する場を設ける、AIリテラシー向上のための研修を実施する、AIを活用した業務改善提案を評価する制度を作る──こうした取り組みによって、組織全体の生産性向上も期待できます。

 

ただし、AIツールの活用には注意点もあります。情報セキュリティの観点から、機密情報の入力には制限を設ける必要があります。また、AIの出力を鵜呑みにせず、人間が最終チェックを行う体制も重要です。

 

エントリーレベルの職務を再設計する

「下積み」発想の限界

調査レポートでは、雇用主が取るべきアクションとして「エントリーレベルの職務を再考する」「真の成長の足がかりとなるよう職務を設計する」ことも提言されています。

 

西野氏は、エントリーレベルの職務が「ジョブローテーション」や「雑用」に偏りがちな日本企業の現状を指摘します。従来の日本型雇用では、若手社員は様々な部署を経験しながら会社全体を理解し、管理職を育てていく「ジェネラリスト育成」が主流でした。

 

しかし、このアプローチには時間がかかる上、Z世代が求める「明確な成長」が見えにくいという課題があります。

 

若手にも責任を任せる

西野氏はエントリーレベルであったとしても、「こういう仕事をして欲しい」と明確にした上で、ある程度の責任を渡して、主体的に取り組んでもらうことが大切だと考えます。

 

重要なのは「責任を持ってやってもらう」という部分です。補助的な業務だけでなく、小規模でも成果に対する責任を持てる業務を任せることが求められます。

 

単なる雑務や先輩・上司がすべてを指示・決定するのではなく、明確な役割と責任を任せることがZ世代の成長意欲に応えることになります。

 

成長につながる職務設計

例えば、ある企業では新入社員に対して、入社半年後から小規模なプロジェクトのリーダーを任せています。予算規模は小さいですが、企画立案から実行、振り返りまで一連のプロセスを経験させます。

 

失敗してもフォローできる範囲に留めたうえで、できるだけ本人の裁量に任せます。「自分で決める」「責任を持つ」「成果を出す」という経験が、若手社員の自信と実力を育てていきます。

 

エントリーレベルの職務設計では、「この仕事が将来どう繋がるのか」を明示することも重要です。「今はデータ入力をしてもらっているが、データ分析の基礎を学ぶためのステップである」といったように、現在の業務と将来のキャリアの関連性を説明することが、Z世代のモチベーション維持につながります。

 

自信を育む組織文化の重要性

日本のZ世代に共通する「自信のなさ」

西野氏が最後に強調するのは、自信の醸成です。調査データを分析する中で、西野氏は日本のZ世代に共通する課題を見出しました。それは「自信のなさ」「自己肯定感の低さ」です。他国のZ世代と比較しても顕著な傾向だといいます。

 

「自信がないという世代なのであれば、組織として自信を育む、成功できるという意識を醸成することが必要です。また自信がないということは、自己肯定感が低いということですので、自己肯定感を高めるアプローチも大切です」

 

成功体験が自己肯定感を育てる

どうすれば組織として若手の自信や自己肯定感を育むことができるでしょうか。西野氏が提案するのは「成功体験を積ませる」ことです。小さくても確実に達成できる目標を設定し、目標ををクリアする経験を重ねることで、徐々に自信が育っていきます。

 

「成功体験を重ねることで、『自分はここに居場所があるんだ』『自分は価値があるんだ』といった感情が生まれ、企業へのエンゲージメントが高まっていくこともあるでしょう」

 

Z世代は、給与や待遇だけでなく、「自分がこの組織に必要とされている」という実感を求めており、その実感こそが、エンゲージメントの源泉となります。

 

承認と心理的安全性

自信を育む組織文化を作るための具体的な方法としては、以下のようなアプローチが考えられます。

 

まず「承認の文化」を醸成することです。成果を上げた際に、適切に評価し、褒めます。失敗した際にも、挑戦したこと自体は評価します。こうした日々の承認の積み重ねが、自己肯定感を高めていきます。

 

次に、「心理的安全性」を確保することです。失敗を恐れずに意見を言える、新しいことに挑戦できる環境を整えます。「失敗は学びの機会」という価値観を組織全体で共有することが重要です。

 

そして、「役割の明確化」も大切です。自分の仕事が組織にどう貢献しているのかを理解できれば、自分の価値を実感しやすくなります。定期的に組織のビジョンと個人の役割を結びつける対話を行うことが効果的です。

 

日本特有の課題

今回の調査結果からは、自信や自己肯定感の低さなど、日本特有の傾向も見えました。

 

「日本特有の傾向」は、単なる個人の性格の問題ではなく、文化的・社会的な背景に根ざしています。日本の教育システムは、協調性を重視する一方で、個人が意見を主張することには消極的です。「出る杭は打たれる」という文化もある中で、自己主張を控えることが美徳とされてきた側面もあります。

 

失敗を許容しない風土は、自信のなさにつながっています。欧米では「失敗から学ぶ」ことが重視されるのに対し、日本では失敗を否定的に捉えられがちです。そうした文化の中で環境で育ったZ世代が、自信を持ちにくいことは当然とも言えます。グローバルな調査結果を参考にしつつも、日本の文化的背景を踏まえた施策が求められています。

 

西野氏は、「日本固有の課題と背景を細かく色々見ていくと面白いかなと思います」と述べ、データを詳細に分析することの重要性を強調しました。表面的な数字だけでなく、背景にある文化的・社会的要因まで理解することで、より効果的な施策が見えてきます。

 

総括

Z世代は「定着」よりも「成長」を重視し、変化を恐れない世代です。企業には、明確なキャリアパスの提示、多様な学習機会の提供、1on1での丁寧な対話、副業への柔軟な対応、AIツール活用の支援、そして何よりも自信と自己肯定感を育む組織文化の構築が求められています。

 

今回の調査結果が示すのは、Z世代が「わがまま」なのではなく、「合理的」だということです。終身雇用が崩壊し、労働市場の流動性が高まる中で、彼らはキャリア自律の必要性を自然に理解しています。だからこそ、継続的な「成長」を重視するのです。

 

従来の人材マネジメントの枠組みを超えて、Z世代の価値観に寄り添った新しいアプローチが、これからの組織には不可欠だと言えるでしょう。

 

ただし、「Z世代に合わせる」だけでは不十分です。組織には様々な世代が混在しており、それぞれの世代が持つ強みを活かし合うことが、真の組織力強化につながります。

 

西野氏が指摘したように、AIツールの活用においても「全世代含めてありとあらゆる世代が使って実験して共有する」ことが重要です。Z世代の柔軟性と、ベテラン世代の経験知を組み合わせることで、組織は新しい価値を創造できます。

 

Z世代との向き合い方を考えることは、組織全体のあり方を見直す機会でもあります。透明性の高いキャリアパス、公正な評価制度、心理的安全性の確保、継続的な学習機会──これらは、Z世代だけでなく、すべての世代にとって望ましい職場環境の要素です。

 

Z世代とともに、新しい働き方の未来を創っていく。その覚悟が、今、すべての企業に問われています。

 

取材協力

西野 祐介氏
ランスタッド株式会社 人事本部 タレント部長
西野 祐介氏
人材会社の日本法人を経て、2010年にシンガポールへ移住。エンワールド・シンガポール法人にて、グローバルカンパニーのアジア太平洋地域における経営人材のヘッドハンティングおよび同事業の経営に携わる。その後帰国し、経済メディア「NewsPicks」を運営するユーザベース株式会社にて、日本およびアジア地域の人事・採用責任者などを歴任。2021年よりランスタッド株式会社に入社し、現職。Forbes JAPANのオフィシャルコラムニストとして、キャリアや組織に関する発信も行っている。また、在日オランダ商工会議所副会頭を務める

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