研修設計・実施時の「5つのステップ」
お世話になっております。
HRドクターを運営する株式会社ジェイックにて
取締役 兼 教育事業部長を務めます
東宮美樹と申します。
今回は、研修設計・実施時に私がいつも心掛けている
「5つのステップ」について、
お話しさせていただければと思います。
皆様が、ご自身で社内講師として
研修を設計、登壇される際、
伝えた内容を行動に移してもらう為に、
何か心掛けていらっしゃることはありますでしょうか。
研修後の参加者の様子をみてみると、
・身だしなみチェックリストを渡したのに、中々直らない、、、
・電話応対の方法を教えたのに、電話が鳴っても取ろうとしないのは何故!?
・ビジネスマナーを知ったはずなのに、
研修後には机の上が消しカスだらけで、椅子も出しっぱなしだし、、、
等、皆様の多くの時間を割いて、
研修を設計・実施したとしても、
「期待通りの行動を新人が取ってくれない」
と感じてしまうことは多いのではないでしょうか。
この「伝えたけど行動してくれない」時に活用していただきたいのが、
今回お伝えする「5つのステップ」なのです。
研修設計時に役に立つ「5つのステップ」は、
人が、ある新しい知識を“知って”から、
習慣として無意識で“できる”状態までを
5つのステップに分けたもので、
「研修設計・実施時のゴール設定」
において活用することで、今までの研修を
より効果を高めて実施することができるようになります。
具体的に「5つのステップ」とは、、、
———
1.知らない
↓
2.知る(認知)
↓
3.わかる
↓
4.できる
↓
5.している(習慣)
———
上記の順番でステップを踏むことで、
最終的に「成果(対象者が無意識で行動している状態)」に
辿り着くことができるステップのことです。
ではどのように活用するのか。
「5つのステップ」を活用して研修設計するイメージを湧かせる為、
新人研修でよく扱われる「報連相」というテーマで考えていきたいと思います。
「報連相」は、新人の時に成果を出すために“不可欠”である、
といわれるほど重要な要素であり、多くの会社が
「報連相が現場でも当たり前のようにできるようになる」
というゴール設定をした上で、新人研修に取り入れているかと思います。
ですが実際に「報連相が現場でも実践している」というゴールを
達成できている会社はどの程度あるかといわれると、
感覚値ですが半分もないでしょう。
それどころか、
「丁寧に教え、テストでも報連相の意味まで書けたのに、
ケーススタディになるとできなくなる。使い所をイメージできていない」
「研修会場を出るまでは講師相手にできていたのに、
研修中だけの実践で終わってしまい、現場配属後は実践できていない」
という報告(プチクレーム)が、現場配属された新人の上司から
人事に上がってくることもあります。
勿論、人事は「報連相」について、
実際に研修をやる際にも、自分の失敗事例等も話しながら
丁寧に分かりやすく新人に伝えているはずです。
しかし、人事が大切に伝えているにも関わらず、
新人ができないのは何故なのか。
その原因が、「5つのステップ」に隠されているのです。
「報連相が現場でも当たり前のようにできるようになる」
というゴールで研修をしているものの、
新人が「報連相」について、研修終了時に
“知る”のステップにいたとしたらいかがでしょうか。
新人研修で「報連相」を学んだ新人達は、
報連相が報告・連絡・相談という頭文字を取っていること。
報告は、部下としての義務であり、アンサーファーストで伝えて~。
連絡は~。相談は~。ということまで学び“知って”いることでしょう。
ですが、頭の中に情報としては入っているものの、
本当の意味では理解できておらず、“わかる”ステップに至っていないのです。
“わかる”の前の“知る”までの状態では、
「“相談”って重要だったんですね。知ってはいたのですが、、、」
「報告って、この場面とあの場面でしないといけなかったんですね」
という“知って”はいるものの、
“理解”できていないと感じる言動が現れるでしょう。
この例でいえば、「知る」というステップから
「わかる」というステップまで到達できてなかった為、
その先のステップである「できる」「している(習慣)」状態まで到達できず、
「実際に行動として表れない・移せない」のです。
つまり、研修を設計・実施する際には
・学ぶ側(今回は新人)が、伝えるテーマに対してどのステップにいるのか
(与えられた〇時間でどのステップまで到達できるのか)
・今回の研修・教育でどのステップにまで持っていく必要があるのか
(現場の期待事項との摺合せ)
上記を「5つのステップ」に照らし合わせ、
正確に把握することが大事なのです。
もし、その際参加者が「知る」ステップにいるのであれば、
「知る」→「わかる」→「できる」→「している」と、
5つのステップを順に踏みながら伝えたことを行動に移せるよう、
研修を設計・実施すると、より研修効果を高められるでしょう。
例を交えながらお伝えしましたが、
研修設計時に活用できる「5つのステップ」は、
言われてみれば、研修を設計・実施する私たちにとって
当たり前のことだと思います。
しかし、私たちは研修に置いて成果を求められるがあまり、
飛ばしがちなステップが出てくる恐れがあることも
認識しておかなければなりません。
(しかもステップを飛ばしてしまった場合、
学んだことが行動に移されなくなるのです)
是非今回お伝えした「5つのステップ」を、
今後、研修設計・実施の参考にされてみてはいかがでしょうか。
それだけで研修の効果が高まることを実感することができるでしょう。
今週はここまでとさせていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
来週もよろしくお願いいたします。