「痛みを知りなさい」 市井の人から教わったこと【人を残すvol.36】

2020/06/24

「痛みを知りなさい」 市井の人から教わったこと

いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。

 

世界ではまだコロナウィルスの脅威が続いていますが、
すこしずつ経済活動は動きだしつつありますね。

 

すこしずつですが、以前のように、お客様のもとに出向いて、
リアルで研修をさせて頂けるようになりつつありますが、

 

現時点では、弊社の教育研修やセミナーサービスも、
まだまだオンラインでのご提供が多い状況です。

 

先日のことですが、

 

私が6年間、毎年4月に新入社員をお預かりしている企業様で、
例年より2か月遅れて、新入社員研修を実施させて頂きました。
オンラインです。

 

すでに現場に配属されていて、すこし、社会の波に揉まれ、
不安と希望が入り混じったような様子の若者たちでしたが、

 

熱心に講義に耳を傾け、社会に定着するための心とスキルを
学び取ってくれている様子でした。

 

新入社員研修で、忘れられない思い出があります。

 

こちらの企業様では、例年、新人研修のカリキュラムに、
“街頭調査”というプログラムをセットしています。

 

座学やロールプレイで学んだ、ビジネスマインドとスキルを
実地訓練で深めようというものです。

 

新人たちが、街ゆく人たちにお声をかけさせて頂き、
事前に用意した質問をさせて頂くという内容です。

 

用意する質問は、たいてい、研修の場で学んだ内容を、
再確認したり、理解を深めたりするためのもので、

 

「新入社員に求めたいことは?」「活躍する新入社員の特徴は?」
「新人に一番早くできるようになってほしいことは?」
「成長する若手の共通点は?」 etc

 

といった内容がほとんどです。

 

その回答を集めて、講義室に戻りチームで発表し合うことで、
研修の学びが深まり、彼らも社会体験をするわけです。

 

3年ほど前の実習で、ひとりの男の子が体験したお話です。

 

桜が散り始めた都内の路上で、彼はメモを手に街行く人に
声をかけていました。

 

無視されたり、軽くあしらわれることもあれば、
熱心に回答してくれたり、応援してくれたりする人もいます。

 

回答してもらっても、断られても、お声がけした一人一人に
彼は、きちんとお礼の挨拶をして、次の人に声を掛けます。

 

実習の残り時間もわずか、彼は“もう少し”と思い、
横断歩道の前で、信号が変わるのを待っておられたお婆さんと
目が合い声をかけたそうです。随分と上品そうな方でした。

 

「すみません!少しだけお時間よろしいでしょうか?
私、今年の新入社員で、今、いろんな方々に、
“新入社員に学んでほしいこと”をお聞きしています。
突然で申し訳ないのですが、もし、よかったら、
お教えいただけないでしょうか?」

 

そう声をかけられたお婆さんは、
いくぶん訝しげに、彼の顔を見据え、こう仰いました。

 

「お手を貸してごらんなさい」

 

彼は、少しおどろき緊張しましたが、言われた通り右手を
差し出したそうです。

 

すると、お婆さんは、彼の右手を自分の左手で支え、
自分の右手で彼の右手を叩いたのです。

 

「いたっ!」

 

驚いた彼は、思わず手を引っ込めそうになったそうですが、
お婆さんは、彼の手を強く握り、こう言いました。

 

「痛いでしょう?…
その痛みを覚えておきなさいね、
あなたたち若い人たちに、覚えておいてほしいこと…、
それはね、人の痛みを理解することよ」

 

お婆さんは、そう言うとはじめてニッコリ微笑んで、
その場を立ち去ったそうです。

 

「あ…はい!ありがとうございました!」

 

彼は、深々とお辞儀をして、横断歩道を渡るお婆さんを
見送ったそうです。

 

実習から帰ってきて、その一部始終を発表してくれた時の、
彼の嬉しそうな、少し大人びた表情をよく覚えています。

 

先日の2か月遅れの新入社員研修の際、その彼の現在の状況を
聞きました。

 

1年目から成果を出しつづけて、表彰され、エースとなり、
今では拠点責任者だそうです。

 

そして彼は、自拠点に配属された今年の新人に、
当時の研修テキストを渡して、一通り読ませていたそうです。

 

うれしいですね。

 

その実習での体験談も話して聞かせてくれているといいな、
と思います。

 

「マネジメントとは市井の声を知ることである」

 

ただ知識を習得するだけではなく、人々の声を聴くこと。
このことは、我々企業活動においても大切な原則です。

 

環境が厳しい現状では、組織の存続そのものに集中せざるを
えない状況にもなりますが、あくまで、マーケットの声、
顧客の声を忘れてはならない、そんなことを教えられます。

 

市井の声にも耳を傾け、その人たちの気持ちを理解する、
そんな思いやりに溢れた組織づくりに邁進したいと思います。

 

是非、今後ともご指導ご鞭撻の程お願い申し上げます。

 

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 

株式会社ジェイック
教育事業部ゼネラルマネージャー
梶田 貴俊

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 取締役

知見寺 直樹

大手コンサルティング会社を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海支店立ち上げも経験し、現在は本社HRおよび事業開発を担当する。

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