新入社員研修に効果的なグループワーク!テーマ(お題)決めのポイントと注意点

更新:2023/07/28

作成:2020/12/10

高嶋 阿由里

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

新入社員研修に効果的なグループワーク!テーマ(お題)決めのポイントと注意点

新入社員研修をはじめとする各種研修で、グループワークは受講者の集中力を維持する、コミュニケーションを活性化する等、思考力を鍛える等のさまざまな効果があります。そんなグループワークの効果性を高めるために不可欠なのが、適切なテーマ設定と進め方です。

 

記事では、新入社員研修におけるグループワークの種類やテーマ決めのポイント、運用ノウハウを解説します。

 

<目次>

新入社員研修にグループワークが効果的な理由

新入社員研修でグループワークの導入がとりわけ効果的な理由として、以下のポイントがあります。

 

 

アイスブレイクとチームビルディングに活用できる

まだ関係性が薄い新入社員が集まる新入社員研修の冒頭は、強い緊張感がただよう環境です。

 

グループワークを実施すると、課題への挑戦等を通して自然にチームメンバーと話す機会が生まれます。また、課題の達成感や成功体験等の共有は、同期としての一体感を高めたり、互いの理解を深めたりすることに役立ちます。

 

学ぶことが多い新入社員研修等において「助け合う」「教え合う」環境をつくり、研修効果を高めるうえでも、グループワークによるチームビルディングは有効です。

 

 

チームでのコミュニケーションや意思決定を学べる

グループワークでは、自分の意見を伝える、相手の意見に耳を傾ける、チームでより良い意見を生み出す、チームで意思決定する等、「チームでの仕事」を学ぶことができます。企業での仕事は、その多くがチームや組織で動いていくことになります。

 

グループワーク自体での成功体験・失敗体験が学びとなりますし、グループワークの前に簡単にポイントを解説する、また、グループワークの後に自分たちの進行を振り返ってもらう等を行なうとより効果的です。

 

 

客観的な評価がしやすくなる

新入社員研修の配属は、「適材適所」を実現したいものです。しかし、採用面接や座学の研修だけでは、なかなか新入社員の性格や傾向をとらえきることはできません。

 

新入社員研修のグループワークは、新入社員一人ひとりのコミュニケーション傾向や性格、周囲との関わり方がよく分かります。具体的には、参加姿勢の主体性、意見の内容、チームにおけるポジショニング、意見が違う時の対応方法等です。

 

これらは「適材適所」な配属を考えるうえで、向いている部署、相性の良いマネージャーとの組み合わせを考えるうえで、有効な情報です。採用時の評価や座学、実践研修の結果等と共に、グループワークの評価を活用すれば、配属先の部署や業務内容、上長とのミスマッチも生じにくくなるでしょう。

 

グループワークの種類と得られる効果性

マイクを片手にスピーチをしている女性

グループワークにはいくつかの種類があり、それぞれで得られる効果も変わってきます。新入社員研修で取り入れやすいグループワーク5種類と、期待できる効果を簡単に紹介します。

 

 

“プレゼン”型

プレゼン型のグループワークは、与えられたテーマをチーム内で議論して発表するというものです。自由に話し合いをする自由討論型のグループワークとなります。

 

プレゼン型のグループワークは、大きくは「アイデア出しとディスカッション」「合意形成」「プレゼンテーション準備」という3つのステップで成り立ちます。「考えを論理的にまとめて、他者に分かりやすく伝える」という力をトレーニングすることに効果的です。

 

 

“選択”型

選択型とは、各テーマに複数の選択肢が与えられ、その中で順位をつけたり、最善の一つに絞っていったりするというグループワークです。不時着した宇宙船から持ち出すものを決める「NASAゲーム」等、多くの類型があるグループワークです。

 

自由討論のプレゼン型と違って、選択肢が与えられているからこそ、チーム内での意見相違が起こりやすく、「合意形成」のプロセスが重要となります。合意形成を行なうためのファシリテーションやロジカルシンキングを鍛えるうえで有効です。

 

 

“課題解決”型

課題解決型は、与えられたテーマの解決方法を考えるグループワークです。数ある自由討論型の中では、ビジネスの現実に即した事例やケーススタディーとして行なわれるケースが多いでしょう。

 

プレゼン型と同じようにアイデア出し、ディスカッション、合意形成、プレゼンテーションという一連のプロセスを体験できます。テーマ設定によっては、現実的な制約条件や実現方法等を考える必要もあります。ロジカルシンキングやクリティカルシンキング、ラテラルシンキング等の思考法、またビジネス知識のトレーニングに有効です。

 

 

“作業”型

作業型とは、身体や手を動かすグループワークの総称です。例えば、与えられた材料を使って工作をしたり、みんなで協力し合って製作等を進めたりするプログラムを組みます。ペーパータワーやマシュマロチャレンジ等は、典型的な作業型のグループワークです。

 

口頭で議論するだけでなく、実際に作業することから、通常のグループワーク以上に新入社員同士のコミュニケーションや協調性を高めるのに効果的です。製作ステップを通して、作業順序の計画性や時間配分、作業プロセスといった実務で重要となるスキルに触れさせる機会にもなります。

 

 

“ゲーム”型

ゲーム型は、「学び」と「楽しさ」の両方を兼ね備えたグループワークです。共有体験を持つことで、参加者同士のチームビルディングも実現しやすいでしょう。新人研修のアイスブレイクにも非常におすすめです。

 

ゲーム型のグループワークは、体験を通した学びによって記憶の定着率が高まりやすい特徴があります。また、参加者がグループワークに前向きに参画しやすいため、普段の行動や考え方、コミュニケーション傾向が反映されます。自分のコミュニケーションや人への関わり方を振り返ってもらうにも非常に有効です。

 

新入社員研修でのグループワークテーマ(お題)例

続いて、グループワークのテーマ例と、実践によって得られる効果性等を紹介します。

 

 

社会人に求められるスキルとは?

これは、プレゼン型や課題解決型のグループワークで使われることの多いお題例です。発表を行なうことで、グループ内で結論を出すだけでなく、他チームにも分かりやすく内容をまとめる、伝えるスキルが求められます。

 

取り組むことで、理想の社員像やスキル等とも向き合えますので、新入社員研修や内定者研修におけるマインドセットとして、こうしたテーマは活用できます。

 

 

顧客満足度を上げるにはどうすればいいか?

課題解決型におすすめのお題です。お題を自社の現場に合ったテーマにカスタマイズすることで、新人が配属前に自社の事業内容や顧客視点を考える良い機会にもなります。条件設定やフィードバック等を工夫することで、かなり実務に近い体験をさせることも可能でしょう。

 

チームメンバーと意見を出し合うことで、自社の事業やこれから携わる仕事に対して、さまざまな視点が得られる点も大きなメリットです。

 

 

30枚の画用紙を使い、自立可能な高いペーパータワーを建てる

ペーパータワーと呼ばれる作業型のお題です。「時間の制限がある中で、今ある知識を出し合って推測して、合意形成して、作業する」という現実の仕事に近いプロセスを体験することができます。

 

とくに時間の制限がある、正解が分からない中で、どのように時間配分や意思決定、仕事の分担を行なっていくのかを学ぶことができます。

 

 

イベント企画と広告の作成

作業型だけでなくプレゼン型の要素も持つテーマです。飲食業界や住宅業界等、BtoCの拠点・店舗型ビジネスでよく行なわれるテーマの一つです。

 

プレゼン型のグループワークとして、アイデア出し、ディスカッション、合意形成、プレゼンテーションまで、一連の要素が含まれます。加えて、「顧客は誰か」「顧客は何に興味・関心があるか」「顧客目線で情報を伝えるためにはどうすればいいか」といった「顧客視点」を考えるトレーニングにもなります。

 

さらに、顧客属性の情報や使える予算やリソース等、現実に即した条件を設定すれば、かなり実務に即した難易度の高いグループワークも可能です。

 

 

自社のキャッチコピーを考える

自由度の高いディスカッションのグループワークにおすすめのお題です。このお題のポイントは、グループワークのプロセスにおいて、自社の理念やサービスの特徴、魅力等の調査を行なうところにあります。

 

座学で一方的に理念等を教えるよりも、自分で調べる体験を通して、自社の理解が深まりますし、記憶の定着率も高まります。また、設定次第で、“誰に向けたキャッチコピーなのか”という顧客視点の考え方も学ばせることができます。

 

下記は、新入社員の教育を効果的に進めるうえで、研修にグループワークを取り入れるための記事です。是非、参考にしてください。

 

 

新入社員研修でのテーマ(お題)決めのポイントと注意点

こぶしを掲げて立っている4人のビジネスパーソン

グループワークのお題を決める時には、以下の3つがポイントです。

 

 

グループワークの目的を具体化する

新入社員研修を実施するうえでは、以下の3点を軸に目的とゴールを明確にすることが大切です。

 

  • どういう人材にしていきたいか?
  • そのために何を教える必要があるのか?
  • 研修が終わった時点でどういう状態になっていればいいか?

 

明確にすることで、何のためにグループワークを行なうのかが明確になるでしょう。目的によってグループワークの種類もお題も変わってきます。また、新入社員のレベルや研修内での実施タイミングに応じて、グループワークの難易度も調整する必要があります。

 

 

新人全員が取り組めるお題・進行にする

目的による部分はありますが、グループワークは、全員が参加できるテーマにすることが原則です。1人だけが知識を持っているお題等になってしまうと、活発な意見交換や交流促進ができなくなります。

 

新入社員同士の円滑なコミュニケーションと主体的な参加を促すためにも、グループワークのお題は、全員が参加できる平易なテーマ(お題)を選んだほうが良いでしょう。また、場合によっては、事前に全員参加型で進めるためのポイントをレクチャーすることも有効です。

 

 

グループワーク後にはフィードバックやレクチャーを行なう

グループワークは、お題を実施して終わりではありません。グループワークの目的に応じて、フィードバックやレクチャーを入れることで、効果性が高まります。

 

グループワークで自分たちが体験したファシリテーションや合意形成、また、考えた解決策の評価等に関して、体系的な知識をレクチャーすることで学ぶことへの興味も高まりますし、記憶にも定着しやすいでしょう。

 

レクチャーの効果を高めるためには、新入社員たちが行なった進行方法に対するフィードバックを混ぜながら実施することがポイントです。

 

フィードバックは事実に基づくことが一番効果的です。従って、本当に効果性を高めるためには各グループの進行方法について、レクチャーに使える“事実”を記録しておくことが重要です。

 

事実とは、「開始○分で、○班ではこういう状況になっていた」「この状況になっていた時に、○○さんが『○○○○○○』という発言をした」といった事項です。「全体的にこうだったね」と抽象的なフィードバックではなく、具体的な事実を伝えることで、受け取る側の納得感が変わります。

 

まとめ

新入社員研修におけるグループワークは、チームでのディスカッションやファシリテーション、合意形成等を学べるほか、新入社員同士のコミュニケーションやチームビルディングにも効果的です。

 

グループワークの効果を高めるためには、目的に応じてグループワークの種類、お題の選択を行なうことが大切です。また、進行方法のポイント解説や実施後のレクチャー、フィードバック等と組み合わせることも有効です。

 

ぜひ当ページの内容も参考に、座学型の研修、グループワーク、実践型の研修等を組み合わせて、効果性の高い新入社員研修を実施してください。

著者情報

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

高嶋 阿由里

明治学院大学卒業後、精密機器メーカーに勤務。新規事業をPJとして立ち上げから収益化までを行い、事業部にまで発展させる。その後、住生活関連のベンチャー企業に入社し、人事として社長直下で働いた後、ジェイックに入社。ジェイックでは、講師として受講者に寄り添い、現場でチームメンバーと協働して動ける「自立型人材」を育てる研修に特徴がある。

保有資格

「7つの習慣®」担当インストラクター、アンガーマネジメントファシリテーター、EQPI®トレーナー等

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