作業効率の向上で仕事力アップ!作業と業務の無駄をなくすには

更新:2023/07/28

作成:2022/08/23

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

作業効率の向上で仕事力アップ!作業と業務の無駄をなくすには

社内を見回すと作業効率の高い人とそうではない人がいます。よく見ると作業効率が高い人は高い成果を上げていることが多いでしょう。企業としては、できるだけ短時間で作業を処理し、メンバーにより価値創造する仕事に力を注いでほしいと考えています。

 

記事では作業効率を向上させるにはどうすればよいか、具体的なアイデアを紹介します。

 

<目次>

作業効率の向上が求められる背景

組織のメンバーに対して作業効率の向上が求められる背景には、どのようなことがあるでしょうか。

 

 

なぜ作業効率の向上が求められるのか

作業効率の向上が求められる背景には、働き方改革によって短い労働時間で成果を出すことが要求される社会状況があります。あたりまえのことですが、長時間の残業や休日出勤は認められなくなってきており、時間内にどれだけ成果を出したかが評価されるようになってきています。

 

これに伴って、組織はマンパワーや時間を投入して作業をこなすような方法を脱却しなければなりません。これまでの方法を踏襲するのではなく、業務プロセス自体を根本から見直し、無駄を省いていかなければ仕事が回らなくなっていきます。

 

仕事の生産性を高めることは社会的にも大きなテーマとなっています。日本のホワイトカラーが先進諸国のなかで生産性が低いという問題は広く知られている通りです。ITツールの活用や優先順位の見直しを含め、効率化、生産性向上が必要となっています。

 

作業効率の向上で得られるメリット

作業効率を向上することでどのようなメリットがあるでしょうか。主要な3つのメリットを確認しておきます。

 

 

コスト削減

作業効率を向上させるということは、同じ成果を出すのに必要な作業時間が短縮されるということです。当然、無駄な残業がなくなり、残業代分の人件費なども削減されます。効率化をさらに進めて自動化したり、作業そのものをなくしたりすることができれば、より効果的なコスト削減につながります。

 

 

モチベーションの向上

組織では“以前からやっているから”といった理由で、無駄な作業が続けられていることがあります。こうした作業を省き、大量の単純作業を自動処理したりすることで、本来の業務に時間をあてることができます。

 

長時間の残業や休日出勤がなくなり、今まで嫌々やっていた作業から解放されて、より創造的な仕事に時間を使うことができれば、メンバーのモチベーションは向上するでしょう。

 

 

生産性向上

前述の通り、近年、日本の労働生産性の低さが度々指摘されています。

 

OECDデータに基づく2020年の日本の時間あたり当たり労働生産性は49.5ドル(5,086円)で、OECD加盟38ヵ国中23位となっています。無駄を省き作業効率を向上させることは生産性の向上に繋がるものです。

 

作業に使っていた時間を、成果に直結する仕事に当てることができ、さらに生産性を向上させることができるかもしれません。生産性は、利益率や投資、社員の待遇にもつながってくる重要な指標です。

 

仕事を効率化するには ?

仕事・業務・作業の違いとは

仕事を効率化するうえでは、まず“仕事”と“業務”、“作業”の違いを知っておくとよいいかもしれません。私たちは、普段何気なく“仕事”“業務”“作業”といった言葉を使っていますが、3つにははっきりとした違いがあります。

 

まず仕事とは、自分たちがそれぞれに与えられた使命や役割を果たすことです。ミッションという言葉でも表すことができます。そして、業務とは仕事を果たすために行なう、いくつかの作業を組み合わせた一連の流れを指します。

 

最後に、作業は業務を実行する、一つひとつのプロセスを指します。

 

つまり仕事をするにあたって、いくつかの業務があり、それぞれの業務にはいくつかの作業が含まれているということです。従って、効率化や生産性を考えるうえ上では、“仕事”“業務““作業”のそれぞれで違ったアプローチが必要になります。

 

 

仕事を効率化するには?

仕事を効率化するには、まず“する業務”と“しない業務”を見極めることです。仕事の見極めは個々のメンバーが実施することも大切ですが、管理職等が中心になって考える必要があります。

 

例えば、営業の仕事を考えてみましょう。営業の仕事を大きく分けると“既存客向け”と“新規開拓”に分けられます。このとき、同じ営業担当者が既存客のケアをしながら、空いた時間に新規開拓もするという企業も多いでしょう。しかし、この方法では効率的に仕事することが難しい場合もあるでしょう。

 

場合によっては、同じ営業担当に既存と新規の両方させるのではなく、新規開拓を専門とするチームを作って任せることで、営業職の仕事を大幅に効率化できるかも知れません。

 

このように組織や個人の仕事のなかにはいくつかの業務があります。しかし、現状ですべての業務が適切に割り当てられているとは限りません。

 

「仕事が適切に割り振られているか」「この業務をこのメンバー従業員がすることが正しいのか」「そもそもこの仕事を社員がする必要があるのか」といった視点で考えてみることが大切です。

 

 

業務を効率化するには?

次に業務の効率化をするには方法を紹介します。業務を効率化するには、業務のなかにある“ムリ”“ムダ”“ムラ”をなくすことです。

 

“ムリ”“ムダ”“ムラ”を排除するには、まずどのような業務があって、それぞれの業務にどれぐらいの時間を使っているのか、そして、どのように行なわれているかを見える化することです。

 

使っている時間や方法を見える化、一覧化してチェックしていきましょう。一覧化してチェックすることで、無理な方法をしてやり直しが頻発している業務、必要ないことまでやっている業務、標準化されず時間がかかっている業務が見つかります。

 

こうした“ムリ”“ムダ”“ムラ”のある業務に、対策を講じることで効率化を進められます。

 

 

業務の無駄をなくすには?

“業務の無駄”には、業務のなかに無駄な作業があるという場合と、その業務自体しなくてもよいという2種類があります。

 

しなくてもよい業務とは、“他の方法で代用できる”“、他の工程で同様のことをしている”、あるいは“、しても効果があまりないもの”です。

 

それぞれの業務の、作業工程と作業の成果をひとつずつ見てチェックしていきましょう。このときに大切なことは、“今までやっていることだから”と慣例的に流さずに、作業の目的や効果性と照らし合わせながら、ゼロベースで見直すことです。

 

 

業務の無駄の見つけ方

無駄な工程や作業を見つける参考として、ありがちな“5つの“業務の無駄”をご紹介します。当てはまるものがないかチェックすると、無駄を見つけやすいかも知れません。

 

 

●過剰品質の無駄
業務プロセスのなかで、細かいところまでこだわった作業や必要以上に時間をかけて行っている作業はないでしょうか。品質は大切ですが、過剰品質の作業をしているとすれば、それは無駄です。

 

例えば、ありがちな事例としては「社内の報告書を、丁寧にパワーポイントで作成して、フォントサイズやアニメーションまできっちり作成している」といったものです(もちろん社内でも作りこみが必要な場合があるかもしれませんが、一般的にはWordのメモ等で十分なことが多いでしょう)。

 

過剰品質が発生する背景には、求められる品質の基準がわかっていないことや見栄・自己満足を優先させている、生産性を考えていないということがあります。

 

 

●待ちの無駄

一日の作業のなかで、すきま時間が多く発生していないでしょうか。作業量とスケジュールを調整し、不要な報告や指示、前工程との調整待ちなどが生じないように段取りを組んでいきましょう。

 

 

●コミュニケーションの無駄
仕事にコミュニケーションは欠かせないものです。ただ、過剰品質と同じで、無駄に時間が取られすぎていないでしょうか。会議の時間が長すぎる、メールの返信が多すぎる、これらは無駄なコミュニケーションです。

 

会議の進行ルールを設けたり、メール以外のコミュニケーションも取り入れたりするなど、無駄を省く工夫をしてみましょう。

 

 

●分業の無駄
単純な作業を大量に行なう場合などには、分業が非常に効率的です。しかし、業務の性質を考えずに分業すると、コミュニケーションが悪くなったり、作業がダブったり、連携がスムースに行かなかったりして、無駄が発生することがあります。

 

いまの分業体制が適切であるかをチェックしてみましょう。場合によっては業務を集約して、一括で処理する方法等も検討してみるとよいかもしれません。

 

 

●工程の無駄
業務の工程が複雑になると多くの人が関わることになり、無駄な作業やミスが発生しやすくなります。業務フローが非効率になっていないか、いま一度見直してみましょう。

 

業務フロー図に落とし込んで可視化すると、どこが問題点なのかがわかりやすくなります。

 

 

作業の無駄の見つけ方

作業の無駄は、下記の5つに当てはまるケースがほとんどです。業務の無駄と同じように5つと照らし合わせてチェックしてみると効率的に作業を進めることができるでしょう。

 

 

●不足
完成した作業の内容が求められている質や量に足りていないのでやり直しになる。

 

 

●転記

同じ情報を別の紙に書き写すような作業をしている。

 

 

●手作業(作業効率)
自動化できるのに手作業で行っている(ショートカットキーを使えば…といったことも同様です)

 

 

●重複
違う人が同じことを繰り返し実施している(ダブルチェック等が大切な場合もありますが、同じ作業を重複して実施していれば一般的には無駄があります)

 

 

●捜索
必要な情報やファイルを探すのに時間を使っている。

 

 

効率化に取り組む順番

効率化に取り組む際は、大きなところから順番に手を付けることがポイントです。基本的な考え方としては、“仕事の効率化”→“業務の効率化”→“作業の効率化”という順番でチェックしていきましょう。

 

まずは仕事の効率化のために、するやる業務しないやらない業務の仕分けをします。次に、業務のなかに“ムリ”“ムダ”“ムラ”がないかをチェックします。そして最後に業務内の作業を効率的にする方法を考えていくという順番です。

 

すぐに取り掛り、無駄があることを感じてもらう、ちょっとした成功体験を積むといった意図があれば、“作業の効率化”等にすぐ着手することもありでしょう。

 

ただし、大きな単位から効率化に取り組んだほうが、改善効果も大きくなることは忘れないようにしましょう。

作業効率がよいい人が意識していることは?

社内を見回せば、作業を短時間で終わらせる作業効率のよい人がいるでしょう。そういった人たちの働き方を知ることで、作業効率を向上させるヒントを得ることができます。作業効率がよい人は得てして以下のような視点や考え方をしています。

 

 

作業の意味や全体像を考えてから着手する

着手する前に、作業の意味は何かを考えます。そして求められるスピード、クオリティ、完成度を頭に描いてから作業に取りか掛かります。頭のなかで考えることでスタートは少し遅れるかもしれませんが、手戻りややり直し、無駄な作業を防ぐことができ、トータルの作業効率が高まります。

 

 

適切な優先順位をつける

ほとんどのビジネスパーソンは複数の仕事や業務、作業を同時並行で進めています。複数の業務や作業を実施する場合、作業効率が高い人は、きちんと優先順位をつけて先にすべきもの、あとでもよいものを振り分けています。

 

業務の納期、所要時間、スケジュールの空き状況などを踏まえて、優先順位を調整することで効率よく仕事を進められます。

 

 

こだわりすぎない

1つ目と多少重なりますが、作業効率がよい人は、目的やゴールを踏まえて必要品質を意識しています。必要以上にこだわりすぎないように、どこまで求められているかを常に意識しているのです。

 

例えば、プレゼン資料の作成などは、こだわるとキリがありません。だからこそ、どれぐらいの品質が求められるかを事前にイメージしてから作業にかかります。

作業効率を向上させる7つのアイデア

作業効率を向上させるには具体的にどうすればよいか、前述の視点に加えて7つのアイデアを紹介します。

 

 

現状を見える化する

まずは現状を見える化することです。作業ごとに、発生頻度や作業にかかる工数、必要なスキル、担当部署、担当者などを整理してまとめてみるとよいでしょう。

 

今まで何の疑問も持たず従来の方法を踏襲してきたのであれば、一度しっかりと見直してみることをおすすめします。外部環境やITツール等もどんどん変化するなかで、気付かないところで作業効率が悪くなっていることもあります。

 

 

担当を見直す

人によって作業の得意・不得意があります。また、作業の集約と分業化は効率化を図るうえでの基本です。したがって、Aさんが担当している作業をBさんが担当することで効率的にできる場合があります。

 

 

テンプレート化する

メールの返信などで同じような文章を何度も使う場合、また見積書等に関しても同じようなフォーマットを繰り返し使う場合は、テンプレートを用意しておくようにしましょう。

 

個人で実施してもよいですし、チームや部署内で統一テンプレートを用意しておくことで、効率化とともに均質化を図ることもできます。

 

 

ITやツールを活用する

同じ処理を繰り返し行なう場合は、ITやツールを活用し自動化することを考えてみましょう。

 

最近では、クラウドサービスを使うことで初期費用を安く抑えて、高性能なツールを使うことができるようになっていますし、RPAを導入することで手動部分があるパソコン作業を自動化することもできるようになっています。積極的に活用することをおすすめします。

 

 

マニュアル化する

IT等で自動化できない作業も繰り返す場合はマニュアルを作成しておくようにしましょう。わかりやすいマニュアルがあると、引継ぎも時間がかからず抜け漏れがなくなります。

 

また、同じ人がする場合でも、1ヵ月に1回などしかしない作業はマニュアル化することで効率化できます。

 

 

アウトソーシングを検討する

社内リソースが限られている場合や専門業者が行なうほうが効率的である場合、また付加価値が低い作業である場合などは、アウトソースすることも視野に入れて考えるとよいでしょう。

 

アウトソースすると、その状態で固定費化してしまいますので注意も必要です。ただ、社員の限られた工数をより付加価値の高い仕事に投下することが大切です。

 

 

検証する

作業の効率化に向けて何か取り組んだ場合は、やってみて実際に効率が向上したのか検証することを忘れてはいけません。

 

すべてを厳密に数字で検証する必要はありません。ただ、思ったほど向上しなかった、逆に何か不具合が生じている、また、成功してもう少し費用をかければさらに効率的になることがわかったなど、しっかり確認し次の効率化に活かしていきましょう。

まとめ

生産性の向上が日本全体の大きなテーマとなっているなかで、作業効率を向上させる取り組みは、非常に重要です。

 

作業の効率化を考える際には、個人や目先の作業だけに囚われず、部署やチームを俯瞰して、また、仕事>業務>作業という順番で見ていくことが重要です。

 

記事に掲載した効率化の手法も参考しながら、作業効率の向上、生産性改善に取り組んでいただければ幸いです。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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