新人のコミュニケーションスキルを高めるための教育ポイントを解説

更新:2022/11/11

作成:2022/01/15

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

新人のコミュニケーションスキルを高めるための教育ポイントを解説

近年、対面での対人関係に苦手意識を持つ若手が増えています。

 

地域コミュニティー等が無くなる中で年齢差がある人とのコミュニケーションを経験したことがなく、SNSを通じたテキストやスタンプによる同年代とのコミュニケーションが大半という中で育った若者が増えているからです。

 

そういった影響もあり対人関係への苦手意識は自然な心理とも言えます。

 

しかし、社会人になれば世代や立場が違う多くの相手と、対話でコミュニケーションを取る必要があります。

記事では、新人にビジネスで必要となるコミュニケーション力を身に付けてもらう教育のポイントを解説します。

<目次>

新人にコミュニケーションスキルを教育する際に押さえておきたい基本

本章では、新人にコミュニケーションスキルを教える立場の人が押さえておきたい3つの基本を確認しておきます。

 

なぜビジネスで「コミュニケーションスキル」が大切なのか?

なぜビジネスでコミュニケーションスキルが大切なのでしょうか。ここでは3つの理由を紹介します。

 

まず1つ目は、違った考え方を持ったメンバーが同じ組織の目的達成に向けて取り組むうえで、コミュニケーションが不可欠だからです。学生時代と違ってビジネス場面では世代や立場が大きく異なる人と協力して仕事を進める必要があり、学生時代よりも高いコミュニケーションスキルを求められます。

 

2つ目は自分自身が良い状態で仕事に取り組めるようにするためです。考え方や価値観の違う人同士であってもコミュニケーションを交わすことで、自分の意見と相手の意見をすり合わせたり、意見の違いをお互いに認め合ったりすることができるようになります。

 

逆に、自分の意見を上手く伝えられなかったり、相手に認めてもらえなかったりすれば、周囲と信頼関係を築くことができず、仕事で充実感を得ることもできなくなってしまうでしょう。

 

3つ目はビジネスで成果をあげるためです。ビジネスは顧客の意思決定を通じて、契約が成立したり利益が生まれたりします。最もイメージしやすいのは、営業におけるコンペでのプレゼンテーション、商談におけるサービス提案、販売における商品案内などです。

 

販促やサービス開発も、広告やサービス画面等を通じて、顧客とコミュニケーションをとり、相手を動かすことが大切です。ビジネスにおけるコミュニケーションは相手を動かして成果をあげることそのものなのです。

 

ビジネス場面におけるコミュニケーションのゴールとは?

ビジネス場面におけるコミュニケーションは、前述の通り、多くの場合相手を動かすことがゴールです。相手を動かさないにしても、相手と理解をすり合わせる、相手から正しく情報を得るなど、「相手」があってのものです。

 

学生時代やプライベートとビジネス場面のコミュニケーションが明確に異なるのは、ビジネスのコミュニケーションは目的が明確であり、目的を達成するためには「相手」の存在が中心となるということです。

 

だからこそ、じつはビジネスのコミュニケーションは流ちょうに喋る、上手く伝えるといった「発信」よりも、まず相手と信頼関係を作る、相手を理解する、相手の話を引き出すといった「受信」のスキルを高めることが大切なのです。

 

新入社員にとってのコミュニケーション研修のゴールは?

新人にとって、基本となるコミュニケーションスキルを身に付けることは大切です。しかし1年目の新人がコミュニケーションスキルを身に付けたからといって、すぐ仕事の成果に結びつくわけではありません。

 

ただし、電話の受け答えやビジネスシーンでの言葉遣い、指示の受け方、報告・連絡・相談といったコミュニケーションスキルは、上司や先輩が安心して「この新人なら仕事を任せても大丈夫だ!」と思うことに繋がります。

 

新入社員向けのコミュニケーション研修は「相手から安心して仕事を任せてもらえる状態」をゴールにするとよいでしょう。

新人教育で身に付けてもらいたい3つのコミュニケーションスキルと育成ポイント

新人に身に付けてもらいたいコミュニケーションスキルとして、基本となるのは「聞く」「質問する」「話す(伝える)」の3つです。

 

まず相手と信頼関係を築いたり相手を理解したりするには「聞く力」が不可欠ですし、相手の本音を引き出したり指示や説明をしっかり理解したりするためには「質問する力」も欠かせません。

 

そして、相手に自分の意見や考えを適切に伝えるには「話す力(伝える力)」が大切です。

 

3つのスキルは、職種や役割に関係なく、ビジネスで働くすべての人に求められるものです。新人の間に基礎的なコミュニケーションスキルを身に付けることは、成長・活躍するための土台となります。

 

本章では、3つのスキルそれぞれについて、概要と教育時のポイントを紹介します。

 

「聞く」スキルの育成ポイント

「聞く」ことは、誰もが日常的にしている行為であるため、誰もがさほど問題なくできているようにも思いがちです。

 

しかし、私たちが普段しているのは、“自分の関心に基づいて聞く”ことであり、自分の関心がない事柄に対して、しっかり情報や真意を受け取ることは、意外とできていないものです。

 

新人が身に付けるべきビジネスで大切な「聞く」スキルとは、自分の興味関心に囚われず、目の前の相手に耳を傾け、相手の伝えたいことや真意を汲み取ったり、信頼関係を築いたりする力です。

 

相手の話を聞くうえで大事な基本姿勢は、いわゆる「傾聴」です。傾聴には「聞く」ではなく「聴く」という字を使います。

 

「聴」という漢字の通り、「耳を澄まし、目をしっかり見て、心で受けとめる」姿勢で、相手の話と気持ちをしっかりと受けとめることが大切です。

 

傾聴するうえでは自分の「枠組み」、つまり自分の興味関心や価値観、信念といったものを、いったん脇に置いておくことが大切です。

 

逆に言えば、どんなに真剣に相手の話に耳を傾け傾聴の姿勢を見せても、自分の「枠組み」が意識に残っている限り、本当の意味での傾聴にはなりません。

 

自分の「枠組み」が意識の中にあると、相手の話を「判断」したり、「自分が相手の立場だったら」という発想になったりしがちです。

 

自分自身の判断や意見を捨てて、相手の意見に集中する。そして、相手の話を聞く時に相槌やうなずきを入れて、時に相手の意見をオウム返しする、これだけでグッと良い聞き方になります。

 

「質問する」スキルの育成ポイント

「質問するスキル」とは、「分からないところや疑わしい点について問いただす力」です。コミュニケーションが上手な人を観察すると、ほぼ例外なく、質問力にも優れています。

 

質問することで相手や相手の興味関心、話していることへの理解を深め、同時に質問することで相手の話を引き出して会話を盛り上げます。

 

質問するスキルを高めるためには「何について質問するか」を明確にすることが重要です。

ビジネス場面における質問は、大きくは「事実に関する情報」「相手の意見や意思」「相手の感情」という3つに大別されます。

 

何を知りたいのか、何が分からないのかを明確にすることが質問力を高めるポイントになります。

 

会社の中で最も質問の機会に恵まれているのは入社して間もない新人たちです。分からない、知らないことがあるのが当たり前であり、質問することに遠慮はいりません。

 

先述のように、質問するスキルは、「分からないところや疑わしい点について問いただす力」のことです。ぜひ新人である間に質問力を鍛えさせましょう。

 

また、質問するスキルを高める一番の近道は、業務やお客様、周囲の人など、仕事に関するあらゆることに関心を持つことです。

 

相手や物事に対して関心を持ち、新人のうちにめいっぱい質問することは、好ましい対人関係の構築にも繋がりますし、成長・活躍の原動力となります。

「話す(伝える)」スキルと育成ポイント

「話す力(伝える力)」とは、自分の伝えたい情報や意思を相手に伝わるようにするスキルのことを指します。

 

ビジネス場面で話す(伝える)うえで最も大切なことは「伝える」ことではなく「伝わる」ことです。相手に伝わらなければ、ビジネス場面のコミュニケーションとしては失格です。

 

伝えるのではなく、伝わることが大事と考えると、じつは「聞き手」の状況や思考を想像することこそ話す力(伝える力)を鍛えるうえで一番大切な要素になります。

 

まず「話す前の準備」です。例えば、上司に作業完了報告をする時、もし上司が大事なお客様との商談を控えている状況だったらどうでしょう。報告をじっくり聞いたり、フィードバックをしたりする余裕はないでしょう。

 

相手がどんな人で、どんな状況で、関心が何なのかを考慮してコミュニケーションを取らなければ、望む結果にはなりづらいでしょう。

 

また、「要点が分からない」「結論はどこなんだ」と言われてしまう場合も、伝え方に改善が必要です。伝えたいことを1から10までダラダラと話していては、相手はどこに注意して聞けばよいのか分かりません。

 

前置きが長くなってしまう新人には、「結論から話す」ことを徹底しましょう。

 

ちょっと厳しいようですが、ダラダラと話す癖がなかなか治らない新人には「それで結論は何?」「整理してからもう一度話しかけて」と返すことも効果的です。

 

結論ファーストで話すためには、「何を伝えたいのか?」「結論が何か」を事前に整理する、話すことを事前に文章で書くといったことが有効です。

 

ダラダラ話す癖が治らない新人は、事前準備のステップを抜けているのです。きちんと指導して、事前準備させることが話す力(伝える力)を鍛えるポイントです。

おわりに

今回の記事では、新人の教育・育成で身に付けてもらいたいコミュニケーションスキルをテーマにお伝えしてきました。

 

改めて、冒頭でもお伝えした、教育する側が一方的に押し付ける姿勢で臨むと良い結果にはならない、ということを忘れないようにしてください。

 

例えば、新人はまだスキルも成功体験も持っていないことがほとんどです。ですから、自分の成功談を例にして「こうすればできるんだ」と一方的に伝えてしまうと「それは〇〇さんだからできるのでしょう」と一気にやる気をなくしてしまいかねません。

 

コミュニケーションが一人では成立しないように、新人と教える人の双方の協力があって初めて人材育成も上手くいくのです。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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