2018年10月、経団連が今後の就活指針の策定をしない発表をしたことの影響もあり、この数年で改めて新卒採用の早期化が進んでいます。また中途採用でも、少子高齢化による労働人口の減少の影響等もあり、優秀人材は取り合いが続く状況になっています。
その中で、大きく普及してきたのが、“攻めの採用”ともいわれるダイレクトリクルーティングです。そして、ダイレクトリクルーティングを成功させるために不可欠なのが、求職者の心を動かす「スカウトメール」の書き方です。
本記事では、ダイレクトリクルーティングとスカウトメールの基礎知識を確認します。また、求職者の心に届くスカウトメールを作成するポイント、スカウトメールの例文、スカウトメールを活用しやすいダイレクトリクルーティングサービスを紹介します。
<目次>
スカウトメールの基礎知識
まずは、スカウトメールがどういうものかを確認しておきましょう。
スカウトメールとは?
事業会社のHR領域における“スカウトメール”とは、ダイレクトリクルーティングなどのサービス利用時に用いられる用語です。ダイレクトリクルーティングは、匿名状態の求職者・登録者データベースを検索して、自社の採用候補になる人を見つけ、メッセージを送ることができるサービスです。そして、スカウトメールとは、ダイレクトリクルーティングのなかで送る「エントリーを促すメッセージ」のことです。
従来からある、求人媒体に広告を出稿する手法は、一回広告を出稿してしまえば求職者を「待つ」しかなくなってしまいます。また、応募の多寡は、求人広告のクオリティーの影響もありますが、企業規模や知名度、業界などに左右されてしまうことも否定できません。
一方で、ダイレクトリクルーティングでは、スカウトメールを工夫することで知名度がなくても優秀層のエントリーを獲得できます。また、返信状況を見ながらスカウトメール内容を随時修正していくことからも、「攻め」の採用手法といえます。
スカウトメールの種類
スカウトメールには、大きく分けて以下の2種類があります。
- 1対1のスカウトメール
- 1対複数人のスカウトメール
スカウトメールを使って母集団形成して、選考、内定へとつなげていくには、求める採用ターゲットの心を動かすスカウトメールを作成する必要があります。
・1対1のスカウトメール
代表的なものとしては、ダイレクトリクルーティングのスカウトメールです。ダイレクトリクルーティングの場合、サービス自体がスカウトメールの送信を前提としたものとなっています。
ダイレクトリクルーティングのサービスの場合、求職者のプロフィールなどを細かくチェックできるため、自社に合う人材かどうかの判断も行ないやすいです。また、非公開求人を出す企業からのスカウトメールであれば、特別感という付加価値もあります。
・1対複数人のスカウトメール
本来のスカウトメールは、ダイレクトリクルーティングの形で、1対1で送ることを基本にしています。ただ、ダイレクトリクルーティングのサービスが普及するなかで、求人広告の登録者などに送るダイレクトメールを、スカウトメールと呼ぶケースも出てきました。
1対複数人の場合、ダイレクトリクルーティングのスカウトメールほどのピンポイント送信は難しいでしょう。しかし、ある程度絞り込んだ幅広いターゲットに一気にメールを送れる利点はあります。
こうした特徴から、企業説明会やイベントの参加者リストなどに対して、多少絞り込んで選考への誘導メールなどを送るのも、一種のスカウトメールといえるかもしれません。本記事内では、1対1のスカウトメールを基本として解説していきますが、複数人に一斉送信するメールを作成する際にも参考にしてみてください。
求職者に響くスカウトメールを作るポイント
スカウトメールは、
- 1.送ったメッセージが開封され、
- 2.求職者が読んでエントリーしてくれる
ことがゴールになります。本章では、求職者の心に響き、相手を動かすスカウトメールを作るポイントを紹介します。
求職者のニーズを考える
スカウトメールでまず優先すべきなのは、求職者のニーズです。求職者のプロフィールから各々のニーズを把握して、それをくみ取ったうえで以下のような求職者のニーズに合った訴求を接触の切り口にしていきます。
- 留学経験を活かしたい → 外国人向け◯◯メディアで業界No.1
- 女性のキャリアアップに興味がある → 管理職の40%が女性、独自の育休制度あり
- 成長できる企業を求めている → 教育支援の充実、副業制度もあり
- Uターンしたい → 東北地方の◯◯業界でNo.1 など
テンプレ感のない個人的な文面にする
スカウトメールの業務を効率化するうえで、テンプレートやサンプルの作成は大切です。しかし、見るからにテンプレートのごく一部を書き換えただけのような内容は、求職者の心に響かず、むしろ不快感を与えてしまうこともあります。
スカウトメールを送信するときには、必ず各自のニーズや悩みに寄り添う個人的な文面にアレンジしましょう。求職者の疑問や不安感が大きい場合は、無理にテンプレートに当てはめない柔軟性も大切です。特に、冒頭の数行を、しっかりと相手の経歴やニーズを反映した内容にすることが重要となります。
特別感を感じさせる
スカウトメールでは、求職者に「あなただからこそオファーしたのです!」という特別感を感じさせることも大切です。たとえば、Uターンを望んでいる工学系の学生の場合、「地元出身の優秀なエンジニアを育てたいと思っていたところ、◯◯さんが目にとまりました。」といった文面を入れれば、相手は“自分のことだ!”と感じてくれるでしょう。
また、社長などの経営陣の名義でスカウトメールを出すと、「企業としてぜひ獲得したい」という熱意が伝わりやすくなるでしょう。
具体的な事実を多く盛り込む
スカウトメールでは、具体的な事実を通してわかりやすさ・親近感を実現することも大切です。たとえば、「女性リーダーや女性のキャリアアップ」に興味を持つ女子学生がいたと仮定します。この時、送るメールの文面が、「弊社では女性のキャリアアップに力を入れており、女性リーダーもたくさんいます。」だけでは、職場のイメージはあまりつかめません。
一方で、以下のような具体的なメールを作成すればどうでしょうか。
「IT事業部の課長をしている女性のAさんは、5年前に出産されました。産休育休を終えたあとは、まず、テレワークから職場復帰しています。今では週の半分をオフィス出勤していて、女性社員向けの勉強会も実施されています。◯◯さんも入社されたら、ぜひ勉強会に参加してくださいね。」
このように具体的な内容を記載すると、相手に「自分も女性リーダーを目指せるかもしれない」や「女性リーダーの人たちと話してみたい」などのポジティブな想いが生まれやすくなるでしょう。
明確な行動を依頼する
スカウトメールのゴールは、エントリーや返信などのアクションをしてもらうことです。したがって、以下のように相手に求める行動を明確・具体的に記載することもポイントです。
- 本メールだけで応募するかは決められないかと存じます。つきましては、選考ではないカジュアル面談の場を設けています。まずは気軽にオンラインでお話ししましょう。メール下部の「エントリーする」ボタンをクリックしてご応募ください。
- 少しでもご興味あれば◯月◯日の◯時までに、メール下部の「開催しているイベント」ボタンから弊社の説明会にエントリーいただければと存じます。不明点がある場合は、本メッセージに返信ください。
スカウトメールの例文
先述のスカウトメールを作るポイントを意識すると、たとえば、以下のような内容の件名・本文になるかもしれません。
・件名:
ウェブマーケティングの経験を活かして事業会社のマーケティング職で働きませんか?
・本文:
はじめまして、△△株式会社の□□と申します。
今回、プロフィールで、
・従業員35名のWEBマーケティング会社で運用型広告に携わっている
・SNSマーケティング等の経験もある
・今後は幅広くマーケティングの知見を積みたい
といった内容を拝見して、メッセージをお送りしました。
弊社は、東証上場するHR領域の事業会社であり、
現在、WEBマーケティング領域の拡張を図っています。
少人数のベンチャー企業で主体的な働き方をしてきた、
また、WEBマーケティングの経験をお持ちの○○様のような方に、
ぜひご参画いただければと思っています。
いままでWEBマーケティング会社、広告代理店ではできなかった
上流工程への関わり、後工程とも連携して成果を追うような仕事に
興味がございませんか?
上流から下流まで、また各種パートナーとも連携して、
幅広くマーケティングを経験できるのが事業会社で働く魅力です。
興味ありましたら、ぜひご応募ください。
ただ、本メールだけで応募するかは決められないかと存じます。
つきましては、まずは選考ではないカジュアル面談の場を設けています。
まずは気軽にオンラインでお話ししませんか。
メール下部の「エントリーする」ボタンをクリックしてご応募ください。
よろしくお願いいたします。
スカウトメールを活用できる新卒&中途のダイレクトリクルーティングサービス
中途向け
中途採用でスカウトメールを活用するには、以下3つのサービスがおすすめです。
●ビズリーチ
即戦力・ハイクラス求人に特化したダイレクトリクルーティングのサービスです。ビズリーチには、以下2種類のスカウトメールが用意されています。
- スカウト:ヘッドハンターが送信するもの、有料プラン利用者のみ閲覧可能
- プラチナスカウト:ヘッドハンターと採用企業の両方が送信できるもの、有料プラン利用者だけでなくビズリーチ会員も閲覧可能
●Wantedly
待遇や給与などの条件ではなく環境ややりがいでマッチングするビジネスSNSです。スカウトメールの平均返信率は20%。返信率の高い企業では、49.3%の求職者から返信されています。
Wantedlyでは、ベーシック・プラス・プレミアムの3プランが用意されています。プレミアム企業になれば、スカウトメールの上位表示が可能です。「プレミアムスカウト」というラベルが付くことで、自社のメールを目立たせられるでしょう。
●openwork
国内最大級の社員口コミプラットフォームです。openworkのメインサービスは、社員の声を参考とする働きがいの検索ですが、新サービスとして、企業からスカウトメールを受け取れる機能をスタートしています。
openworkは、利用者の66%が20~30代です。34万人以上がスカウト検索できるWeb履歴書を登録しているかなり大規模なサービスになっています。
新卒向け
続いて、スカウトメールを送信できる新卒向けサービスを紹介しましょう。
●オファーボックス(OfferBox)
大手からベンチャーまで、幅広い企業が登録するダイレクトリクルーティングサービスです。オファー(スカウトメール)の承認後は、選考だけでなく、面談やインターンシップにも進める仕組みになっています。AnalyzeU+という独自の適性診断ツールも用意されているため、社会人基礎力や次世代リーダー力などで活躍する可能性の高い人材の検索も可能です。
●ラボベース
研究を頑張る理系学生向けのダイレクトリクルーティングサービスです。ラボベースには、今まで培ってきた多くの研究室データベースを通じて、幅広い理系学生が登録されています。
研究キーワードやプログラミングスキルなどによる絞り込みもできるため、自社の新規事業に合う人材のスカウトも可能です。「機械学習」や「制御工学」などのフリーワード検索も行なえます。学生のスカウト開封率は、90%です。
●FutureFinder
HRドクターを運営する株式会社ジェイックでも、自社で活躍する可能性の高い学生とだけ出会える新卒ダイレクトリクルーティング「FutureFinder」を提供しています。本サービスの魅力は、心理統計学を駆使することで、企業と学生のベストマッチができることです。
また、FutureFinderでは、求人作成から、スカウトメッセージの原稿作成・配信までの実務を事務局側で代行可能となります。スカウトメッセージの書き方がわからなかったり、工数などの問題でダイレクトリクルーティングの運用が難しかったりする企業にも、FutureFinderはおすすめです。
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まとめ
スカウトメールとは、ダイレクトリクルーティングサービスなどにおいて、匿名状態の求職者に対して、採用担当者が送信するメッセージのことです。具体的には、エントリーを促したり、企業説明会への応募へ誘導したりするものとなります。
効果的なスカウトメールを作成するには、以下のポイントを大切にしながら、求職者に響く文面を作成する必要があります。
- 求職者のニーズを考える
- テンプレ感のない個人的な文面にする
- 特別感を感じさせる
- 具体的な事実を多く盛り込む
- 明確な行動を依頼する
ダイレクトリクルーティングは、新卒でも中途でも普及している“攻めの採用手法”であり、知名度がなくても優秀人材にリーチしたり、自社のターゲット人材のみに接触できたりするメリットがあります。
ただし、スカウトメールで高い効果を得るためには、作成・運用がポイントになります。ぜひ本記事を参考に、スカウトメールやダイレクトリクルーティングを活用してください。
なお、HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、自社で活躍する可能性の高い学生を検索してスカウトメールを送れる新卒ダイレクトリクルーティング「FutureFinder」を運営しています。新卒のダイレクトリクルーティングを検討するようでしたら、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。
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