上述の通り、採用人数が多くなり、採用面接を分担するようなケースでは採用基準をつくることを強くお勧めします。
本章では、採用基準を作る基本的なステップを紹介します。
採用基準の作り方① 必要スキルの棚卸し
まずは募集を検討しているポジションで、入社後に活躍するために必要なスキルを棚卸しします。
当然、採用するポジション、また期待レベルによって、必要なスキルは変わってきます。
該当ポジションで活躍している社員をしっかりと分析して、何が必要かを決めていきましょう。
スキルはいわゆる「能力」や「知識」だけでなく、また「コンピテンシー」や「動機」などの行動習慣や内面の特性要素にも焦点をあてることが大切です。
必要スキルを棚卸しする場合には、人事部門だけではなく、採用部門の責任者を交えて行いましょう。
責任者を交えることで、現場の採用基準と乖離しないものになります。また、責任者を巻き込むことで、採用に積極的に力を貸してくれるようになるでしょう。
採用意準の作り方② 必須(MUST)と希望(WANT)の区分け
活躍に必要なスキルを棚卸していくと、得てして「理想像」になってしまい、「こんな人はいないかな…」「うちには応募してこないかな」ということになりがちです。
棚卸したスキルを踏まえて、今回の採用で「必須(MUST)」にする条件、あればプラス評価という「希望・歓迎(WANT)」の条件に切り分けていきましょう。
採用で妥協すると、ほとんどの場合、良い結果にはなりません。従って、必要スキルをしっかりと洗い出して対象者を絞り込むことは重要です。
ただし、行き過ぎるとそもそもターゲットがいなくなり、採用がうまくいきません。ある程度の柔軟性をもって対応することが望ましいでしょう。
MUSTとWANTの切り分けは、自社の採用力(難易度が高い基準を設定しても応募者が来るか?)、また、採用で求めるレベルに応じて変わってきます。
ただし、大まかには「入社後の育成・獲得が難しい要素≒MUST」「入社後の育成・獲得が可能な要素≒WANT」という軸で考えてみるとよいでしょう。
もちろん入社後の育成・獲得が可能な要素だとしても「今回の採用は即戦力採用なので、この経験はないと育成にも時間がかかりすぎる」「そもそもこの資格がないと仕事ができない」というものもありますので、それをMUST基準にすることは一切問題ありません。
ただし、業務知識やコミュニケーション能力などのスキルに比べて、内面的な要素:達成動機の強さや挑戦心などはある程度幼少のころに定まってくる特性であり、入社後の育成等で変えることが難しいことは知っておくとよいでしょう。
採用基準の作り方③ 面接評価の項目設定
求めるスキルが明確になったら、それを面接評価シートに落とし込んでいきましょう。評価項目は曖昧だと評価が分かれてしまいます。
ただし、得てして業務スキルやコンピテンシー、要素というのは抽象的なものです。それ自体はやむをえません。
ただし、「コミュニケーション能力」や「主体性」といった抽象的な単語だけを項目として設定すると、「それが何を指すか?」という定義が面接官によって変わってしまい、基準としてあまり機能しなくなってしまいます。
採用基準に落とし込む際には、その項目が具体的にどんな行動や素養を指しているのか、また、どうやって評価するのかを補足事項として明確にしていくことが大切です。
なお、項目が多くなりすぎると評価することに意識が向きすぎてしまい、対象者との会話が不自然になってしまいます。
多くても5~6項目程度に抑えたほうがよいでしょう。
採用基準の作り方④ 評価基準の設定
最後に評価基準を設定します。◎〇△×、1~5、A~Eといったイメージです。
基準を設定することで、面接官も評価しやすくなりますし、面接結果の比較や引継ぎ等もしやすくなります。
なお、3段階評価にすると評価が真ん中に落ち着く傾向にありますので、4段階や5段階にすることをおすすめします。
基準を設定したら、それぞれのレベル定義を作ります。たとえば、以下のようなイメージです。
- ◎ 優秀(社内でもトップ10%レベル)
- 〇 合格レベル
- △ 合格基準に満たないが致命的ではない
- × 1つでもバツがつけば不合格
といった形です。