採用活動を成功させるうえで、自社に合った採用フローを設計し、魅了付けや見極めをしていくことは大切です。しかし、初めての採用フロー設計や修正をする場合、どのようなパターンが良いのかわからないこともあるでしょう。
本記事では、採用フローの概要と、採用フローを構成する3つの段階、6種類の基本パターン、新卒採用と中途採用における採用フローの違いを確認します。
確認したうえで、採用フローを設計する際の流れと3つの検討ポイントを解説しますので参考になれば幸いです。
<目次>
採用フローとはなにか?
採用フローとは、採用活動における応募~内定承諾までのプロセスを細分化したものです。いわゆる選考の流れであり、たとえば、以下のようなものになります。
- 選考応募
- 会社説明会→ES提出
- 適性試験
- 一次面接
- 二次面接
- 最終面接
- 内定通知
採用フローはなぜ重要なのか?
採用活動の選考フローは、以下のような各企業のニーズや事情によって、進め方が大きく変わってきます。
- 採用活動の工数を抑えたい……
- 筆記試験の結果を重視したい……
- 短期間で採用活動を終わらせたい……
- インターンシップでの振る舞いなども選考材料にしたい……
- 自社の魅了付けをしっかり行ないたい……
- 慎重に見極めていきたい……
たとえば、「工数を抑えたい」「短期間で採用活動を終わらせたい」というニーズが強いにも関わらず、一次面接⇒二次面接⇒最終面接と3度も面接を行なえば、人事担当者の工数は増え、選考期間も長くなってしまいます。
一方で、会社説明会~内定出しまでを1日で終わるフローに押し込んだ場合、一次面接⇒二次面接⇒最終面接とじっくり進める企業と比べて、魅了付けや見極めの精度が低くなる可能性もあるでしょう。
選考の進め方に正解はありません。ただ、企業の採用活動を成功させるには、自社の採用ニーズに合ったフローを設計したうえで、工夫を重ねながら採用活動を進めていく必要があるでしょう。
採用プロセスとの相違点
採用フローとは、一般的に選考部分のみのフローのことです。
採用フローに対して採用プロセスは、母集団形成などまでを含めた採用活動全体のステップを指すことが多くなっています。
ただ、さほど区別せずに同じようなものとして使われていることが多いでしょう。
採用フローを構成する3つの段階
一般的な採用フローは、以下3つの段階で構成されています。
応募受付
求人サイトなどからのエントリーを受け付ける段階です。応募受付は、選考の前段階となるため、以下のようなステップが含まれることもあります。
- 会社説明会
- ダイレクトリクルーティングの人材選定
- リファラル採用などのカジュアル面談 など
選考
選考は、人材の見極めをする以下のようなイベントの総称です。なお、面談・面接では、見極めのほかに、自社の魅了付けも行ないます。
- 書類選考(エントリーシート・履歴書・職務経歴書 など)
- 筆記試験(一般教養試験・適性検査(性格検査・能力検査)など)
- 面談・面接(一次面接・二次面接・最終面接、グループディスカッション など)
内定出し
内定出しとは、内定通知~内定承諾までの段階です。内定承諾につなげるためのオファー面談・内定保留者との面談が行なわれます
採用フローの基本パターン
採用フローには、さまざまな種類があります。本章では、新卒で一般的な採用フローを6つ紹介しましょう。
標準型
最も多く利用されているパターンです。一般的なフローとなるため、新卒学生も戸惑わずに参加できる利点があります。
試験先行型
会社説明会の参加枠が限られることから、ターゲット外の人をはじく目的で、説明会の前に選考を実施するパターンです。ネームバリューが高い大手企業や人気企業のように、エントリーが多く母集団が大きくなりがちな企業向けです。
筆記試験・面接一体型
筆記試験と面接を同日に行ない、両方の結果を併せて判断する採用フローです。企業にとっては、日数短縮のメリットがあります。一方で求職者には、長い時間的拘束が発生します。
対応人数が多くなってくると、面接会場・筆記試験会場・控室などの準備と、案内係やスムーズな動線の設計が必要です。なお場合によっては、最終面接の前に個別面接が入ることもあるでしょう。
説明会・選考一体型
会社説明会と筆記試験、面接を同日に行なう採用フローです。こちらも日数短縮しやすいパターンになります。事前に書類選考を行なうことで、説明会会場のキャパシティー以下まで求職者を絞り込みます。
インターンシップ型
採用活動の一環としてインターンシップを組み込んだフローです。インターンシップをどの段階・どれだけの期間で組み込むかは、企業側の目的によって変わってきます。
たとえば、以下の形でインターンシップを組み込んだ場合、インターンシップでの作業評価を使うことで、一部の面接や筆記試験(能力検査など)を省略できるでしょう。
一方で、以下の流れの場合、1dayインターンシップは選考ではなく、企業紹介・職場見学・業務体験などを行なって、学生本人に「自分に合った仕事か?」「今の仕事をもっとやってみたいか?」などを考えてもらうための位置づけになることが多いでしょう。
面接重視型
ダイレクトリクルーティングやリファラル採用で使われることが多い採用フローです。
ダイレクトリクルーティングの場合、データベースから自社の要件に合うかどうかを見極めているため、筆記試験や適性検査が省略されたり、あと回しになったりすることも多くなります。
また、リファラル採用の場合も、自社の社員からの紹介になるため、カジュアル面談で求職者と相互理解を深めたあとは、やはり筆記試験や適性検査を行なわずに個別面接に入ることも多いです。
新卒採用と中途採用における採用フローの違い
新卒と中途の採用フローには、以下の違いがあります。
新卒 | 中途 | |
企業の説明 | 説明会を開催する | 面接時に会社説明することが多い |
選考方法 | 多様な選考方法がある (筆記・個別面接・集団面接・インターンシップ など) | 個人面接が中心になる |
選考期間 | ポテンシャルを見極めるために長期になることが多い | キャリア採用の場合、短期で終わることが多い |
採用フローを設計する際の流れと3つの検討ポイント
採用フローを設計する場合、ベースは標準型で考えてみるとよいでしょう。
「見極め」視点での検討
採用フローを設計するうえでは、見極め精度を上げる視点での追加や入れ替えが必要です。
ただし、たとえば、実技やロールプレイングなどを入れると見極め精度は高まりますが、一方で応募や実施のハードルは上昇しやすくなります。
「魅力付け」視点での検討
採用フローの設計では、魅力付けに向けて面談を加える、最終面接の手前に人事面談を入れるなども必要です。
優秀者を採用したいのであれば、「誰に会わせるか?」「自分が“選ばれた”感覚をどう作るか?」などが大切です。
対応キャパシティーとの兼ね合い
数ある選考方法のなかでも、個別面接が最も人的工数を使うことになります。
人的工数を削減するには、個人面接の手前で、書類選考や筆記試験を実施するとよいでしょう。
ただし、エントリー時の項目が多い、提出書類に手間がかかる、筆記試験があるなどすれば、求職者が減少する、辞退が増えるといったデメリットが生じやすくなります。
振り返ってブラッシュアップする
採用フローは、決めた流れで選考を実施して終わりではありません。採用活動の精度を高めるには、選考のあとの振り返りやブラッシュアップが大切です。
たとえば、新卒の場合、採用年度が終わったら、必ず定量・定性の両側面から振り返りを行ないましょう。辞退率が高すぎないか、効率化したほうが良い部分がないかといった視点で確認する必要があります。
まとめ
採用フローとは、以下のように応募~内定承諾までのプロセスを細分化したものです。いわゆる選考の流れになります。
- 選考応募
- 会社説明会→ES提出
- 適性試験
- 一次面接
- 二次面接
- 最終面接
- 内定通知
採用活動を成功させるには、自社が重視するポイントに合った採用フローを設計することも大切です。なお、採用フローには、以下6つの種類があります。
- 標準型
- 試験先行型
- 筆記試験・面接一体型
- 説明会・選考一体型
- インターンシップ型
- 面接重視型
採用フローを設計するときには、以下3つの視点を持つとよいでしょう。
- 「見極め」視点での検討
- 「魅力付け」視点での検討
- 対応キャパシティーとの兼ね合い
採用フローの作成・運用では、いずれにせよ、定期的な振り返りやブラッシュアップが大切になります。