職種別採用とは?新卒採用における導入メリットやジョブ型採用との違い

面接を受けるビジネスマン

近年「ジョブ型採用(雇用)」というワードに注目が集まっていますが、日本では新卒採用で「職種別採用」を導入している企業は昔から多く見られます。

記事では職種別採用の概念やジョブ型採用(雇用)との違い、導入のポイントを解説しますので、採用方式の変更や新規導入にお役立てください。

<目次>

職種別採用とは

職種別採用とは、事前に採用後の配属職種を決めて募集する採用方式のことです。職種別採用には、部門・部署を細かく設定して募集する方法と、「営業」「事務」「エンジニア」などざっくりと職種を設定して募集する方法があります。

中途採用では以前から、「〇〇職の募集」という形で職種を限定して採用することが一般的です。一方で新卒の場合は「総合職」という形で職種を限定ぜず採用する企業が日本では多く見られました。

しかしこの数十年で新卒採用でも職種別採用を導入する企業は非常に増えています。

たとえ総合職採用であっても、技術系と事務系を分けて募集することは一般的になりましたし、文系職種においても、「マーケティング」や「営業」などで区分けて新卒採用を行うケースも増えています。

職種別採用とジョブ型採用(雇用)の違い

比較する女性

職種別採用とよく似た概念で、近年注目されている「ジョブ型採用(雇用)」があります。職種別採用と同じような概念だと思われがちですが、実は雇用契約の形態において両者は大きく異なります。

 

日本における職種別採用は、配属職種を明示して採用する採用方式です。ただし、配属職種を「明示」するだけで、雇用契約自体は職種を限定する形では結ばないことが大半です。

 

一方、ジョブ型採用(雇用)は、経団連によって「特定のポストに対して、職務(ジョブ)と役割を遂行できる能力や資格のある人材を社外から獲得、あるいは社内で公募する雇用形態(※)」と定義されています。

 

部門やポスト、仕事内容を特定して採用活動を行うことは職種別採用と同様ですが、ジョブ型採用(雇用)は雇用契約に関しても仕事内容、ポスト、勤務地、労働時間、待遇などを特定して雇用契約を結ぶことを前提としています。

 

ジョブ型採用では、募集段階の明示にとどまらず雇用契約でも部門や職種を限定しており、採用後に部門や職種を一方的に変更することができません。

(※ 採用と大学教育の未来に関する産学協議会の報告書「Society 5.0 に向けた大学教育と採用に関する考え方」より抜粋)。

 

仕事の専門性を評価して「仕事に人を付ける」ジョブ型採用(雇用)は、欧米ではスタンダードな採用方式であり、日本でも近年推進されている採用方式です。少子高齢化・労働人口の減少・グローバル化等が進む今日において、専門性の高いプロフェッショナルや優秀層を採用する目的でジョブ型採用に注目が集まっています。

 

仕事内容を特定するという点では、ジョブ型採用(雇用)は職種別採用と近い性格を持っていますが、雇用契約のあり方においてはまったく別物であることが多いので、注意しましょう。

 

職種別採用 ジョブ型採用
募集にあたり明示するもの 職種 職種

(職種に紐づくポスト、部門、待遇等も示すことが一般的)

雇用契約で職種を限定するか 限定しないことが一般的 限定する

職種別採用導入の背景

日本における従来の総合職採用は、ジョブローテーションによって自社理解を深めながら、幹部候補となるジェネラリストを育てていくことを前提としていました。

 

しかし、技術の進化により職種が専門分化し、労働生産人口の減少にともなって優秀な人材の採用難易度が上昇、働き方も多様化している現代においては、従来のようなジェネラリスト採用では対応できない場面が増えています。

 

職種別採用は、上記の背景のもとで優秀人材や基礎的な専門性を持った人材を確保するために普及してきました。インターネットでさまざまな情報が入手できるようになった昨今、就職活動中に業務内容や職種に興味を持つ新卒生が増えたことも、新卒採用での職種別採用が広まった要因の一つです。

 

昨今では、総合職を「理系総合職」と「文系総合職」といった形で区分するだけでなく、同じ理系総合職でも「○○部門」「○○エンジニア」など細かく配属先を区分して提示する企業が増えています。文系総合職でも「マーケティング職」「営業職」と職種を区分して提示する企業が増加しています。

 

新卒採用において「地域限定採用(エリア職)」などと勤務エリアを限定するのも、職種別採用の一種と言えるでしょう。

職種別採用のメリット・デメリット

メリットとデメリットの比較

職種別採用にはメリットもあれば、デメリットもあります。両面を理解したうえで、うまく導入・運用することが必要です。

 

メリット

職種別採用の代表的なメリットを3つご紹介します。

 

・職種や配属先を確約することで、採用力の向上につながる

近年では、応募先企業を検討する際に、業種だけでなく職種で求人を絞り込む学生が増えている中で、配属職種を限定することは採用力の向上に繋がります。

 

自分の専門性を生かしたり、特定の職種に興味があったりする学生にとっては、「総合職」でどこに配属されるか分からないよりも、希望する配属先が約束されている企業のほうが魅力的に映ります。

 

・専門職種を採用しやすくなる

特に研究職やエンジニア職の場合、新卒であっても専門知識が必要になることが多く、採用要件で専攻が限定されているケースも少なくありません。

 

専門職種の新卒採用で職種別採用を取り入れ、「どのような仕事で活躍してほしいか」を明示することで、機械・電気・建築・情報などの専門性を身につけた新入社員を採用しやすくなります。

 

例えば、最近の建設業界では建設現場や建機がすべてネットワーク接続されてIT管理されており、ITエンジニアの採用ニーズも高まっています。しかし、一般的には建設業界といえば「設計」や「施工管理」のイメージが強いため、普通に総合職採用を実施しても、情報専攻した学生が応募してくれることは少ないのが実情です。

 

しかし、「エンジニア職」として職種別採用を実施することで、情報専攻の学生にも興味を持ってもらうきっかけを作れるといった効果があります。

 

・離職率を減らすことができる

採用ミスマッチによる早期離職は、企業としてできる限り避けたい問題です。

 

職種別採用では、希望する職種で働くことが叶うため、入社後のミスマッチが起こりにくくなります。加えて、職種が明示されているため、目的意識を持った人材が集まりやすいことも、職種別採用が離職率の改善につながる理由です。

 

 

デメリット

職種別採用はメリットだけではなく、デメリットも生じます。

 

・職種を限定して契約を結んだ場合、職種変更が難しい

雇用契約を結んだあとの職種の変更は労働契約の変更にあたり、労働者の合意が必要になります(労働契約法第8条)。

 

採用時の職種で定年まで活躍してもらうのが理想かもしれませんが、定年までの時間軸と現在の市場環境、また入社後に判明する業務適性等もあることを考えると、採用職種での雇用を継続的に約束することは難しいのが現実です。

 

日本は欧米と比べると雇用の流動性が低く、とりわけ企業から労働契約を解除できる場面はかなり限定されています。そのため、部門や職種を限定した雇用契約を結んでしまうと、部門・職種変更が難しくなり、組織運営上支障が生じるおそれがあります。

 

上記のような理由から日本の職種別採用は、職種を限定した雇用契約(ジョブ型雇用)ではなく、あくまで初期の配属先や職種を約束するだけで、雇用契約上は部門や職種を限定しない形態になりやすいのです。

 

なお、職種限定での雇用契約でない場合も職種変更には制約はあり、企業側が一方的に職種変更を命じることはできないことも知っておく必要があるでしょう。

 

・壁にぶつかり退職を考える人材も生じる

希望職種で働けることが定着率の向上につながるのは、メリットとして先ほど述べたとおりです。

 

しかしその反面、希望した仕事で壁にぶつかったときに「職種転換」を考えづらいというデメリットもあります。「違う職種でがんばろう」という考えを持ちづらい環境を作ってしまうと、退職につながるおそれもあります。

 

・社内の協力体制に支障が出るおそれがある

職種別採用で入社したメンバーが「自分のやりたいこと以外はやらなくて良い」という考えを持ってしまうと、社内の協力体制が崩れ、業務に支障をきたす可能性もあります。

 

上記は職種別採用に限定した問題ではありませんが、職種別採用の実施は、「自分は○○職」という限定的な思考をもたらしやすい側面はあります。

職種別採用を導入する際のポイント

中途採用では当たり前のように行なわれている職種別採用ですが、新卒採用で職種別採用を導入する場合には、やはり新卒採用ならではのポイントを押さえておく必要があります。

 

以下に、新卒採用で職種別採用を導入する際のポイントをご紹介します。

 

 

雇用契約の形態をどうするか決定する

まずは、職種を限定した契約(職種限定契約)にするのか、それとも初期の配属先や職種を約束するだけで雇用契約上は特に区別しないのかを決めることが重要です。先述のとおり、職種限定契約の場合、契約締結後の職種変更が難しくなるので注意しましょう。

 

 

職種別採用を行なっていることをPRする

最近では、「業界」という大分類ではなく、もっと詳しい仕事内容や職種に興味を持つ学生が増加しています。自社サイトや採用メディア、説明会などで職種別採用を行なっている旨をPRしましょう。

 

学生に向けて職種別採用の実施をアピールすれば、従来なら応募してこなかったような学生に自社を認識してもらったり、学生の志望度を高めたりする効果が期待できます。

 

 

企業説明会や面接などで詳しく説明することで、魅力付けと入社後のミスマッチを防ぐ

企業説明会など学生と接する場面では、企業概要や事業内容のほかに、募集職種の業務内容を詳しく説明しましょう。職種が多い場合は、職種ごとに日程や場所を分けて実施したり、二部制(前半は各職種共通、後半は職種別の説明)で実施したりすることもおススメです。

 

説明会や面接に該当職種の現役メンバーを登場させるのも、自社の魅力を伝えたり、ミスマッチを防止したりするのに効果的な手段です。

まとめ

「職種別採用」は、入社後初期の配属部門や職種を約束する採用スタイルです。中途採用では一般的な採用方式ですが、近年では新卒採用でも職種別採用を導入する企業が増えています。

 

職種別採用に似た採用方式として、昨今注目されている「ジョブ型採用(雇用)」がありますが、ジョブ型採用(雇用)は職種などを完全に限定して雇用契約を結ぶスタイルですが、日本の職種別採用は初期の配属や職種だけを約束するものであり、多くの場合、雇用契約上は明確に職種を限定しません。

 

職種別採用には、専門職種の採用をスムーズに進められる、ミスマッチによる離職を防止できるなど、さまざまなメリットがあります。採用における魅力付け材料にもなるので、職種別採用を導入するのであれば、説明会などの場面で職種別採用の実施をしっかりPRしましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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