新卒採用を成功させるポイントは?トレンドから定番まで10の採用手法を徹底比較

新卒採用を成功させるポイントは?トレンドから定番まで10の採用手法を徹底比較

新卒採用を成功させるには、自社の採用力も踏まえて、ターゲットに合ったものを選ぶことが大切です。記事では、新卒採用をするうえで知っておくべき採用成功のポイントと、その考え方に基づく基本的なサービスの選び方、新卒採用するにあたって知っておくべき10の採用手法の特徴を解説していきます。

 

<目次>

新卒採用の担当になったら知っておくべき「採用成功のポイント」

新卒採用の担当になったら知っておくべきこと

新卒採用するうえで大切なのは「母集団形成」と「魅了付け」です。

 

 

母集団形成

母集団形成とは、求人広告等の採用手法を通じて、ターゲット学生に自社の存在を知ってもらい、求人に応募してもらうことです。新卒採用では、標準的には採用人数の20倍程度の母集団(選考応募者数)、厳選採用をおこないたいのであれば50~100倍の母集団(選考応募者数)が必要となります。

 

母集団形成は、求人広告等で学生からの応募を待つPULL型(プル型)と、企業側から積極的なオファーを出していくダイレクトリクルーティングのようなPUSH型(プッシュ型)の2種類があります。母集団形成に際して重要となることは、最初に明確なターゲットを決めて、ターゲット学生の視点で自社の魅力や採用イベントを発信・企画していくことです。

 

 

魅了付け

魅了付けとは、最終的に自社を選んでもらう(内定承諾してもらう)ために学生の志望度を上げることです。魅了付けは求人広告や説明会だけではなく、選考フロー(面接等)の中でもずっとおこない続ける必要があります。

 

具体的には、以下のポイントを重視して実施しましょう。

 

  1. 相手と信頼関係を築き、就職活動の軸や自社や採用競合への本音を教えてもらう
  2. 3C分析のフレームワークを用いて、相手の視点で自社と採用競合の分析をおこなう
  3. 相手の目線に沿って、「自社で描けるワクワクする未来」で魅了付けする

 

魅了付けにおいて、一番重要なことは相手との信頼関係です。もちろん、面接等は選考の場であり、採用基準を妥協する必要はありません。しかし、相手とフラットな立場で、これからの人生を決める選択をしようとしている相手への敬意を持って接しましょう。

 

とりわけ接点を多く持つ人事等は、「相手の人生を応援する」という立場で、相手に寄り添う姿勢を見せることで、信頼関係を築きやすくなるでしょう。

 

また、魅了付けで重要なことは、相手の目線で考えることです。例えば、クラウドサービスを手掛けるようなITベンチャー企業の場合、ベンチャー志向の学生に対して「将来、独立してもやっていけるだけのスキルが得られる」 といったアピールが効果的かもしれません。ベンチャー志向の学生に「安定性」をアピールしても魅力とはなりません。

 

上記は分かりやすい例ですが、採用が成功していない会社では、相手の目線とズレた魅力発信をやっていることはよく見受けられます。魅了付けを図るうえでは、「象徴」や「事実」も重要です。

 

“成長性がある”“成長できる”“仕事のやりがいがある”等、抽象的な言葉ではなく、自社の売上や市場の成長率、先輩社員の事例や写真、顧客からの声やエピソード等、具体的な情報を準備しましょう。

 

 

自社の採用力に合った新卒採用手法、サービスの選び方

採用手法を選ぶうえでは、「採用ターゲット」と「自社の採用力」の2つがポイントになります。

 

表現に語弊がありますが、魚がいない場所に網を投げても魚はかかりません。自社が採用したいターゲット学生は誰なのか、どんな活動をしているのか、どんな媒体に登録が多いのかということが採用手法を選ぶ1つ目のポイントです。

 

そして、2つ目のポイントとなるのが自社の採用力です。採用力は以下のような形で考えると分かりやすいでしょう。

 

  • 採用力  = 集める力 × 口説く力
  • 集める力 = 採用ブランド × マーケティング力
  • 口説く力 = 求人内容 × 営業力

 

採用ブランドは、業種や知名度、規模等の外的な要因。マーケティング力は、ペルソナ設定や広告制作力等の内的な要因。求人内容は、職種自体の人気度や魅力、待遇や採用条件。営業力は対面で魅了付けをおこなう力を指します。

 

 

「集める力」に着目した採用手法の選び方

採用手法は、採用ターゲットを踏まえたうえで、自社の「集める力」で選びましょう。

 

  • 採用ブランドが強い場合

広くリーチすることが最も効率的であり、総合型の求人媒体等が向いています。イベント等も、小規模なマッチングイベントよりも大規模な就職フェアや合説が向きます。

 

  • 採用ブランドが弱いが、マーケティング力が強い場合

集め方を工夫できるチャネルがおすすめです。総合型よりも特化媒体、またダイレクトリクルーティング等の手法が最適です。

 

  • 採用ブランドもマーケティング力も弱い場合

人材紹介(新卒紹介)やマッチングイベント、運用代行付きのダイレクトリクルーティング等、「会う」ことを支援してくれる採用手法を選びましょう。

なお、「口説く力」が強い場合には、母集団形成がうまくいけば、比較的採用は成功しやすいでしょう。従って、対面で会えるイベント等はおすすめの手法です。一方で、口説く力が弱い、そこに工数を割けない場合には、内定承諾までを支援してくれる人材紹介(新卒紹介)をおすすめします。

 

新卒採用の定番手法7つ

新卒採用で定番となるのが、以下7つの採用手法です。それぞれの特徴を簡単に解説します。

 

 

1. 求人サイト(総合型)

職種や業種を限定せずに、さまざまな企業の求人情報を公開する大型サイトです。総合型の求人サイトには、数十万人の学生が登録しているようなサービスがいくつかあります。

 

なるべく広いリーチで母集団を形成したいと考える、「集める力」、とくに採用ブランドが強い企業には最も効率の良い採用手法です。一方で、採用ブランドが弱い会社にとっては、大手企業や人気企業と同じフィールドで勝負することになる総合型の求人サイトは向かない部分もあります。

 

 

2. 求人サイト(特化型)

特定の業界や職種、志向性やエリア等で特化したサイトです。総合型の求人サイトと比べると、登録者数はそれほど多くありません。

 

しかし、業界や職種を希望する学生、志向性が一致する学生が登録していることが魅力です。従って、特化型の求人サイトは、採用人数がそこまで大量ではなく、「マーケティング力」が強い会社にとっては有効な選択肢です。

 

 

3. 就職フェア、合同企業説明会

就職フェアや合同企業説明会は、多くの企業が集まった会場で、学生と直接触れ合えるイベントです。参加者は、会場に訪れて、参加企業一覧等の資料をもらったうえで、自分が行きたいブースを回ります。

 

イベントによって違いますが、半日程度のイベントであれば、時間が決まっていて、30~40分程度の会社説明会が各ブースでおこなわれ、それが5~7サイクル程度おこなわれるような形が多いです。

 

大型イベントの場合には、100社を超える参加企業がいますので、その中で「自社のブースに来てもらう」ところで、採用ブランドの強弱が反映されてしまいます。一方で、そこまで大型ではないイベントであれば、ブースの前で声をかける等もやりやすく、マーケティング力や営業力で学生との接点を作りやすくなります。

 

「いきなり対面で顔を合わせられる」というのが、イベントの魅力です。「採用ブランドはそこまで強くないが、営業力には自信がある!」という会社に向いている採用手法です。

 

 

4. マッチングイベント

マッチングイベントは、一般的な合同企業説明会と比べて参加企業数が限定された採用イベントです。企業は10~20社程度、参加学生も30~100人程度と小規模な分、すべての参加学生に自社のアピールをできたり、多くの学生との面談・面接がしたりする機会があることが特徴です。

 

また、マッチングイベントは、「マッチング」という名前の通り、学生のグループワーク見学や面談・面接を通じて、「学生を評価してオファーを出す」ことが可能です。

 

マッチングイベントに参加する学生は、とりわけ早期においては大型の就職フェア等と比べて主体性や就業意欲が高い学生も数多くいます。従って、マッチングイベントを利用すれば、集める力がない企業でも、優秀な学生との出会いが可能になります。時期を問わず、学生と確実に会えることが特徴ですので、「営業力」があれば、採用効率は非常に高くなる手法です。

 

 

5. 新卒紹介(人材紹介)

新卒紹介とは、「大卒見込みの学生を企業に紹介するサービス」、つまり、「新卒版の人材紹介」です。

 

成功報酬型となっているため、コストが無駄になるリスクもなく、媒体等の運営や選考管理の手間もありませんので、採用人数が少ない場合には、最もコストパフォーマンスが高い場合もあります。

 

また、内定承諾まで新卒紹介のエージェントが伴走してくれますので、集める力・口説く力が高くない会社にとっても、安心のサポート内容となります。

 

なお、新卒紹介も、すべての業種・職種への紹介をおこなっている会社から、専門特化した会社まで多数あります。理系や上位校、体育会系等、登録している学生の傾向による専門特化も多いですので、自社の業界や採用ターゲットに合わせて、複数の会社を併用すると良いでしょう。

 

 

6. 大学就職課

大学側のキャリアセンターや就職課を通じて、学生と繋がれる採用手段です。学生から信頼されやすい就職課からの推薦やPRは、知名度がそれほど高くない企業でも学生と出会える可能性が高まります。費用がかからないことも大きな魅力でしょう。

 

採用実績を積み上げれば、ターゲットとする大学から継続して学生の紹介を受けられる可能性も高まることでしょう。ただし、学内セミナーに呼んでもらったり、うまく推薦を受けたりするためには、大学就職課との信頼関係を築く必要があり、大学就職課への定期訪問やメールによる情報発信等が求められます。

 

なお、昔ほどではありませんが、理系、とくに専門職種の採用においては、就職課だけではなく、研究室やゼミの教授との繋がりも有効です。

 

 

7. 新卒ハローワーク

新卒ハローワークとは、就職活動中の学生や既卒者に企業を紹介する目的で設置された厚生労働省の機関です。全国のハローワーク内に開設されているほか、大学にカウンセラーを派遣しています。

 

費用がかからない点が魅力ですが、活動時期はおもに採用の後半期となります。従って、上位層の採用には不向きですので、注意が必要です。

 

新卒採用のトレンド手法3選

新卒採用のトレンド

近年の新卒採用では、以下3つのトレンド手法を用いる企業も増えています。

 

 

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、学生からの応募や紹介を「待つ」のではなく、企業から学生にアプローチできる「攻め」の採用手法です。

 

企業は、ダイレクトリクルーティングサービスで公開されている学生のプロフィール(個人情報は匿名状態)を検索して、プロフィール等を確認したうえで、スカウトメッセージを送ります。学生がメッセージ内容や企業ページを見て、応募したいと思えば、返信・エントリーして、個人情報が公開されます。

 

一定の条件で検索、プロフィールを確認した学生にだけ、メッセージを送れますので、エントリー後の選考通過率等は非常に高くなります。最近では、登録学生数10万人を超えるようなOffer boxやFutureFinder等のダイレクトリクルーティングサービスも登場してきています。

 

学生を惹きつけるメール文面等の工夫が必要となりますが、「採用ブランドが高くないが、マーケティング力がある」会社にとっては、最適な採用手法です。

 

 

リファラル採用

リファラル採用とは、自社で実力を発揮できそうな人材を社員やアルバイトから紹介してもらう採用方法です。実際に働いている社員やアルバイトが自ら声がけをおこなうため、採用ブランドや採用スキルがあまり高くない企業にも実践しやすい手法となります。

 

また、自社のことを良く知っている既存社員やアルバイトがマッチングしていますので、入社後のミスマッチが起こりにくいところも大きな魅力です。そのため、リファラル採用を導入すると、新卒採用の効率化だけでなく定着率の向上といった長期的な利点も得られやすくなるといわれています。

 

新卒採用においては、後輩とのネットワークを持っている入社1、2年目や内定者、またアルバイト学生を雇用している会社ではアルバイト学生の人脈をうまく活用できると成果が上がるでしょう。ただし、前提として、新人やアルバイト学生等が「いい職場だと感じていて、友達に紹介したいと思っている」ことが前提です。

 

 

SNS採用

情報拡散力の高いSNSの普及によって、ホームページとWeb広告等を組み合わせて採用活動をおこなう会社も増えてきました。とくにtwitterでの採用活動は、最近改めて注目が集まっています。

 

ただし、twitter等で採用活動をおこなおうと思えば、普段からアカウントを運用して、最低5,000~1万人のフォロワーがいる状態にしておく必要があります。リファラル採用と同じように、即効性がある施策ではなく、普段からの積み重ねが成否を分けます。

 

 

まとめ

新卒採用を成功させるには、母集団形成と魅了付けを重視した採用活動がポイントです。母集団形成に利用する採用手法は、自社の採用力(集める力×口説く力)を踏まえて選択しましょう。

 

著者情報

稲本 太郎

株式会社ジェイック|シニアマネージャー

稲本 太郎

新卒で入社してから一貫して、新卒・中途の採用コンサルティング、キャリアカウンセリング、マネジメントを経験。計15年以上に渡って、採用支援の第一線で活躍している、社内でも有数の経験豊富な現役採用コンサルタントでありながら、自社採用の面接官も兼任。新人賞、トップセールス賞、MVT、社長賞、特別賞、ベストプラクティス最多ノミネートなど数々の受賞実績有り。

著書、登壇セミナー

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