中途採用に適した時期とは?ベストなタイミングの選び方を徹底解説

更新:2023/07/28

作成:2020/06/22

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

中途採用に適した時期とは?ベストなタイミングの選び方を徹底解説

貴社では中途採用をおこなうタイミングを、どのように決めていますか? 中途採用の場合、採用する必要が生じた際、そのタイミングが中途採用をおこなっているという企業が多いと思います。

 

しかし、じつは中途採用市場は時期によって異なる特徴があり、応募が活発になる時期と、そうではない時期があります。従って、緊急性が低い場合や中長期的に人材採用をおこなう場合には、転職市場の年間スケジュールを把握して、自社に有利な時期に採用をおこなうことで、低単価で優秀な人材を採用できる可能性もあります。

 

記事では、中途採用、転職市場の年間スケジュールや有利なタイミングの選び方を解説します。

<目次>

時期による中途採用のトレンド【基礎知識】

年間を通じた中途採用、転職市場のトレンドを、変化をもたらす要因とともに確認しておきましょう。転職市場に活性化するタイミングがあるのは、採用企業と求職者、双方の要因があります。

 

中途採用が活発化する3つの時期

転職市場で活性化する時期は、年間を通して3回あります。

 

1つ目が「年始の1~2月」です。この時期は求人数が増えます。日本企業の約3割が3月末決算で、4月に新年度を迎えます。それに合わせて人員を増強、新年度を迎えようとする企業が多いため、年始の求人数が増加するのです。
なお、採用予算の余剰がある場合、年度内に使い切りたいという意向が働くことも1~2月の活性化を後押しする要因です。

 

2つ目に「5月末~6月頃」です。この時期は、転職者が増えます。6月の賞与を受け取った後に転職しようと考える求職者層が、転職活動をスタートするためです。企業側も、既存社員の退職を見越して採用を増やす場合があります。

 

最後に、「9~10月頃」にも求人数が増加します。これは、年始のピークと同じで、10月からの下期に向けての採用活動をおこなう企業が増えるためです。

 

ただ、お盆があることや、あくまで半期の区切りであることから、「必ず10月に間に合わせたい」というほど強い意欲ではないため、9~10月は緩やかなピークとなります。転職/採用活動には、1~2ヵ月程度かかるのが一般的です。従って、上記のように、転職/採用を完了したい時期の1〜2ヵ月前に市場の動きが活発になることが多いのです。

中途採用の求人数が少ない2つの時期

転職市場では、求人数が少なくなる時期もあります。

 

求人数が減る1つ目は「5月頃」です。ゴールデンウィークの大型連休もありますし、4月に入社した新入社員の配属や研修に人事担当者の時間が割かれてしまう、前年度末に活性化した反動で少し採用が落ち着くといった要因があります。

 

もう1つが「12月」です。これは年末の慌ただしさで中途採用まで手が回らない、また年末年始に入ってしまうと、母集団形成しても選考が難しい等の要因です。

景況感や社会情勢にも大きく影響される点に注意

確認した通り、中途採用、転職市場は月ごとに固有の傾向があります。ただし、こうした時期ごとの事情だけでなく、景況感や社会情勢も転職市場に大きな影響を与えることに注意しましょう。
とくに中途採用は、新卒採用以上に、景況感の変動や先行きが不透明なときには「一旦停止」になる傾向があります。

 

新卒採用は一度止めてしまうと、リカバリーすることが難しく、また採用しない年度を作ってしまうと将来的に年齢構成等に影響が出てしまいます。しかし、中途採用は一旦停止しても、後からリカバリーできますし、年齢構成等には影響しませんので、景況感を敏感に反映するのです。

 

近年では、リーマンショック、東京オリンピックの開催決定、新型コロナウイルスの感染拡大等が転職市場に大きな影響を及ぼしてきました。逆にいえば、転職市場は、景況感が悪くなると、一気に採用競合が減る、ともいえます。

 

自社の業績や資金が健全であり、中長期的に採用活動をする必要があるようであれば、景況感が悪い、先行きが不透明で求人数が一気に減るときは、優秀な人材を採用するチャンスだといえます。

採用時期を調整できるケースとできないケース

紹介してきたように、求人数が少ない時期、転職者が多い時期の方が、採用活動を有利に進めやすくなることは事実です。ただし、中途採用においては、市場のトレンドに合わせて採用時期の調整できるとは限りません。

 

例えば、欠員補充の採用、新プロジェクトや拠点展開のための採用、年度や期に合わせて採用したい場合は、有利な時期を見極めて調整する余裕はないでしょうし、その必要もありません。できるだけ早く人材を確保できるよう動くのがベストです。

 

一方で、営業力の強化や将来の幹部候補の獲得、中長期的な年齢構成の是正等、時期を融通できるケースでは、自社に有利な時期を見極めて採用活動をおこなうことも効果的です。

中途採用で「時期」を考慮するメリットとデメリット

中途採用の時期を考慮する担当者

 

時期を考慮した中途採用には、有利に採用活動をおこなえるメリットがある反面、デメリットもあります。ここまでに紹介してきたい内容も含めて確認しておきましょう。

 

メリット

転職市場のトレンドを踏まえて中途採用を実施することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 母集団の多い活発期や競合の少ないタイミング等、自社に有利な時期を選んで採用活動を実施することで、優秀人材の獲得や低コストでの採用をおこなえる
  • 時期ごとの特徴に合わせた採用方法を活用することで、効率的なアプローチができる
  • ゴールから逆算して計画的な採用活動ができる

転職市場が活発化する時期に中途採用を実施する場合、求人媒体への広告出稿や人材紹介会社を使って、網を広げるような採用活動が向いています。

 

転職市場があまり活発ではない時期に採用活動をおこなう場合は、リファラル採用やダイレクトリクルーティング、人材紹介会社等、ピンポイントで採用しにいったり、転職の潜在層にもリーチしたりするような手法が効果的です。

デメリット

時期を調整した中途採用の実施には、次のようなデメリットや注意点もあります。

  • 人材が今すぐ必要な場合には、そもそも時期を調整して採用する余裕がない
  • 5月や12月等、競合他社の人事が忙しい時期には、自社の人事も忙しい
  • 景気や社会情勢の影響もあり、必ず例年通りに市場が活発化したり落ち着いたりするとは限らない

なお、時期を調整して活動するにしても、しないにしても、採用力の強化は不可欠であり、時期の調整が抜本的な対策となるわけではありません。時期の調整は、「母集団形成がしやすくなる」という効果に留まります。

 

転職市場が活発化する時期であれば、求人数も増えますので、他社よりも自社を選んでもらうために、スピーディーかつ確実に求職者を口説かなくてはなりません。

 

また、閑散期には母集団が少なくなりますので、一人ひとりを確実に口説く必要があります。結局のところは、根本的な採用力の強化は欠かせないのです。

時期によって異なる中途採用を成功させるポイントとは?

転職市場が活発化する時期とそうでない時期とで、中途採用を成功させるためのポイントは少し異なります。もちろん、根本的な採用成功のコツは変わりませんが、時期によって少しずつ抑えるべき点が変わると考えてみてください。

 

市場が活発化する時期での中途採用のポイント

転職市場が活発になりやすい時期の中途採用で重要なことは、「採用活動をスピーディーにおこなう」ことです。転職者が増える分、競合他社も増えますので、選考スピードを速めることで、競合に勝つ、求職者の入社意欲を落とさないことがポイントです。

 

具体的な対策としては、以下のようなものがおすすめです。

  • 活性化した母集団に求人広告や人材紹介を使って、効率よくアプローチして応募者数を最大化する
  • オンライン面接も活用して、スピーディーに選考日程を調整する
  • 各面接が終わった後では、速やかに合否を出してもらい、選考を遅延させない

市場が落ち着いた時期での中途採用のポイント

転職市場があまり活発でない時期の中途採用は、そもそも母集団が少なくなりがちです。そのため、一人ひとりの求職者に対して、自社の魅力的を確実にアピールすることが大切になります。

 

また、“すぐ転職”を考えている層が少なくなりますので、“潜在層”にリーチしていける施策を打っていくといいでしょう。例えば、以下のような手法が考えられるでしょう。

  • 転職エージェントの活用
  • リファラル採用
  • ダイレクトリクルーティング

ただし、リファラル採用やダイレクトリクルーティングを成功させるには、ノウハウも必要です。確立するには少し時間もかかりますので、だからこそ閑散期に着手しておくことが有効です。

欠員補充で緊急性の高い中途採用のポイント

欠員補充では、なるべく早く必要なスキルを持った人材を入社してもらう必要があります。とくに前任者から業務を引き継いでもらいたい場合には、前任者の退職前に確実に入社して欲しいという場合もあるでしょう。

 

人材紹介やダイレクトリクルーティング等、なるべく早く動ける、またスキル面をクリアした人だけで母集団形成できる手法がおすすめです。

 

すべての時期に共通して必要なこと

時期によらず、中途採用においても重要なポイントがいくつかあります。

 

まずは、自社の採用基準を明確化することです。必要なスキルが明確になっていないと、判断が属人的になり、面接の合否を決めるにも時間がかかってしまいます。経営陣や現場の管理職等も巻き込みながら、自社が採用したい人材像を明確にしておきましょう。

 

また、求職者を口説く力を高めることも重要です。中途採用は、新卒以上に求職者ごとに求めるものが異なります。転職理由によって求めるものが違いますし、生活状況や前職の状況によって待遇面で求める条件も変わります。

 

応募者と信頼関係を築き、求めるものを把握して、魅了付けする力を磨いていきましょう。

入社時期から逆算した中途採用のスケジュール設計

入社時期から逆算して中途採用をスケジュールする

 

最後に、入社させたい時期から逆算して中途採用のスケジュールを立てる方法を解説します。無理なく効果的な採用活動をおこなうために、ぜひ参考にしてください。

 

中途採用の場合、引き継ぎ等を考慮すると、採用から入社まで一般的に2~3ヵ月ほどの時間を要します。採用手法によってはそれ以上の時間がかかることもあるので、余裕を持って採用計画を立てましょう。

 

手順① 入社して欲しい時期と必要な人数を設定する(~3ヵ月前)

まずは、中途採用で獲得する人材に、いつ何人入社して欲しいかを設定します。このプロセスでは、今後半年~1年を見据え、産休や退職見込も含んで、必要人数を想定しておくことが重要です。

手順② ターゲットの人物像を設定する

「いつまでに何人獲得したいのか」が決まったら、次は「具体的にはどのような人材が欲しいのか」を明らかにしていきます。スキル、経験、価値観、性格等、さまざまな面から理想の人材像を明確化しましょう。

 

下記の記事も参考にしてください。

手順③ 採用媒体を絞り込み、母集団形成をする

ここまでで、「どのような人材を、いつまでに、何人獲得したいのか」が明らかになりましたので、必要な母集団形成を設計しましょう。

 

採用ターゲットに合わせた採用媒体と同時に、先ほど説明した「採用時期に合わせた採用手法」も意識しましょう。

 

求人媒体での募集に加えて、ダイレクトリクルーティングや人材紹介(転職エージェント)、リファラル採用等も視野に入れ、適切な手法を選択していきましょう。

 

採用方法の種類は、以下の記事をチェックしてみてください。

 

採用手法によって、母集団形成にかかる時間軸も異なりますので、採用手法が決まればスケジュールもほぼ決定します。

 

手順④ 採用時期に合わせた手法で採用をおこなう

採用手法が決定し、具体的なスケジュールに落とし込めたら、時期に合った方法で採用活動を実行に移しましょう。書類選考や面接はスピード感を持っておこなうと共に、「見極め」と「口説き」を並行して魅了付けを進めていきましょう。

まとめ

中途採用は年間を通しておこなわれますが、転職市場には時期によって異なる特徴があります。

 

必要な時期に必要な人材を採ることが基本ではありますが、時間に余裕がある場合や中長期的な視点で採用を進めている場合には、繁忙期や閑散期等の時期による違いを踏まえた採用アプローチをおこなうと効果的です。

 

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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